少女は走る 走る
その白い足は止まる事を知らない
その赤い目は風にぶつかり開け続けていられない
その長い耳は、たった一人の少女の声を捉えようとせわしく揺れる
腰にぶら下げた目覚まし時計の音は、その邪魔をする
辿り着いたのは、とある井戸
その向こうは、彼女の世界
552: 名無しさん:2011/7/26(火) 23:09:55 ID:t57GnFDOYg
チェシャ「! そっか、君は一応彼の標的だったんだね」
男「ま、知らない奴に殺されるのは嫌だし」
チェシャ「んー。一応彼の献上品は『感情』なんだけど」
男「感情…?」
チェシャ「厄介なのは献上じゃない
彼がタブー認定されたのは、アリスと同じ『人間』だったせいだ」
男「はぁ…」
チェシャ「『同じ人間だからこそ、アリスの事を一番理解している』
そういう思考が、どうも彼にはあるようでね」
553: 名無しさん:2011/7/26(火) 23:30:21 ID:1e0RqNmnOw
チェシャ「彼が狙っているのは『アリスに必要の無い献上をしている住民』なんだよ」
男「必要、ない…」
チェシャ「そうだね。例を出せば、
『獰猛さ』の雌熊
『束縛』の公爵夫人
『孤独』のドラゴンなんかもそうかな」
男「……!」ピクッ
チェシャ「お友達なんだろ?あのドラゴンと」
男「狙われてるのか…?」
チェシャ「腐ってもドラゴンだ、猟筒一本で殺せやしないよ」
男「……」ホッ
554: 名無しさん:2011/7/27(水) 01:01:41 ID:SBxlnoh5O6
男「じゃ、俺を狙ってる理由ってのは」
チェシャ「彼が、アリスに『死』は必要ないと判断したからだね」
男「マジキチ」
チェシャ「あぁ最もだ
彼には正直苦労してる」
チェシャ「二人の針鼠が居たんだ」
男「ハリネズミ?」
チェシャ「ハリネズミのジレンマって言葉、知ってるかい?」
男「自分を暖める為に体を寄せ合ったらお互いの針が刺さって…って奴?」
555: 名無しさん:2011/7/27(水) 01:07:58 ID:zY8aT7nkmQ
チェシャ「ごめーとー!
なかなか物知りなんだね君は」フリフリ
チェシャ「その二人はまさにそんな状態だった訳さ」
男「……」
チェシャ「で、二人は献上の際、『痛覚』を捨てた」
男「ほぉ」
チェシャ「そして仲睦まじく体を暖めてる最中、狩人に撃ち殺された」
男「っ…」
チェシャ「山鼠ちゃんには内緒だぜ?
針鼠達は彼女の友達だったからね」
男「おいおい…」
556: 名無しさん:2011/7/27(水) 01:14:09 ID:zY8aT7nkmQ
チェシャ「彼は感情がないからね
それ位軽々やってしまうのさ」
チェシャ「少し怖い話をしたけど……んまぁ、君は実際体験してるしね」ニンマリ
男「笑いごとじゃ無いんですけどね」
チェシャ「でも心配する必要はないよ
彼も、君を幾ら撃っても死なないことは理解したろうから」
チェシャ「もう襲われることは無いだろ。君はね?」
男「そうなの?」
チェシャ「君はね。ただ他の二人はアリスに不必要と認識されるかも知れない」
チェシャ「その時はしっかり守ってあげるんだよ?
それこそ死ぬ気でね」
男「うす」
チェシャ「素直でよろしい」ニンマリ
557: 名無しさん:2011/7/27(水) 01:24:59 ID:bskeXDFV8Q
チェシャ「それにしても、熊は死んで、狩人は諦めて、猫は君を気に入ってしまったと…」
チェシャ「悪運強いねぇ君は」
男「そう?」
チェシャ「さぁもう時間だ。二人に怒られちゃうよ」
男「…?」
チェシャ「楽しかったぜ君とのお話は」
男「んー」
チェシャ「じゃ、出口はそこの扉ね」
男「ありがと。困った時はまた力貸して欲しいな」ガチャ
チェシャ「暇だったらねー」フリフリ
チェシャ「…さぁて、次はいつ会えるかな」
チェシャ「…お昼寝と洒落込みますか」
558: 名無しさん:2011/7/27(水) 01:38:48 ID:jox2lqGdgw
男「ただいまーぃ」
白兎「」ビクッ
山鼠「…!」
男「ん、まだ迷路の中か
どうせなら迷路のゴールに……っと!」ポスッ
山鼠「…」ギュム
男「へ…」
山鼠「……」ギュムー
男「山鼠ちゃん?」
山鼠「……心配して、やってた」ギュムー
男「あぁ、うん。ごめんな……痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い」
山鼠「俺言ったよな?関わんなって言ったよな? な?」ギュムムー
男「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い」
山鼠「ちょっとばかし躾が必要だお前にゃ」ギュムギュム
白兎「ちょ、男さんが千切れちゃいますよ!」
559: 名無しさん:2011/7/27(水) 15:22:30 ID:hx2NZUpaHc
しえんしえんしえん
560: 名無しさん:2011/7/28(木) 13:23:11 ID:PF9TGwc8pY
自分の中で白兎が1番お気に入りだったんだけど、チェシャ猫が現れてその地位を揺るがしはじめたw
しえんしえん!フリフリ
561: 名無しさん:2011/7/28(木) 15:52:00 ID:arwVIe7vNo
山鼠は俺の嫁
562: 名無しさん:2011/7/28(木) 20:20:47 ID:SBxlnoh5O6
白兎「…無事でしたか?」
男「見ての通りピンピンさね」
白兎「そ、ですか…?」
男「疑うねー」
白兎「そ、そりゃタブーですから…
心配もしますよ…」
男「俺は何でチェシャ猫がタブー扱いされてるのか分からんかったが」
白兎「…??」
563: 名無しさん:2011/7/28(木) 20:30:30 ID:1b/AplOPAI
男「なんでなん?」
白兎「なんでと言われましても…」
白兎「気紛れなチェシャ猫に関わると消される、と言われてまして…」
男「ふーん」
白兎「…良い人だったんですか?」
男「変な子だったなー
まぁここの住民は全員変だけど」
男「また話してみたくなる子だった」
白兎「はぁ…」
山鼠「まだ懲りてねぇのか」ムギュ
男「やめてくらはい><」
564: 名無しさん:2011/7/28(木) 20:49:34 ID:JZ308n9LZ6
男「よしっ!」ビシッ
白兎「ひゃい!」ビクッ
山鼠「うるせぇなお前ら」
男「さっさと迷路出るぞ。キリキリ歩けキリキリ」キリキリ
白兎「は、はい!」キリキリ
山鼠「男ー」
男「おんぶは駄目
最近甘え過ぎ」
山鼠「む…じゃ、手、繋げ。んで引っ張ってけ」
男「なんで一々命令形なん」
山鼠「しょうがねぇじゃん歩幅違うんだから」
男「はいはい」スッ
山鼠「…へへ…」タッ
565: 名無しさん:2011/7/28(木) 20:56:04 ID:t57GnFDOYg
男「城って自由に出入りできるの?」
白兎「一応門番はいますよ。トランプ兵の皆さんが」
男「ほう」
白兎「ま!私はこれでも女王様直属の配下ですから!」
白兎「お二人も私が話をつければ、なんとかなりますよ」
山鼠「ん…!」
男「あ…ゴールじゃね?」
白兎「…!」
566: 名無しさん:2011/7/28(木) 21:14:56 ID:SBxlnoh5O6
城の門を見つけた途端
兎の少女は目を輝かせ、飛び跳ねるように駆けて行きました
男「速ぇ」
山鼠「速ぇな」
男「……あのトランプから手足がはえてるキモいのが、トランプ兵なの?」
山鼠「そうだな」
兎の少女と話しているトランプ兵は
鼠の少女が言うには、『言葉』を献上しているらしく
時々折れるように頷くだけでした
そのうち、許可が取れたのでしょうか
兎の少女がこちらを向いて、嬉しそうにその長い白い耳を揺らしました
567: 名無しさん:2011/7/28(木) 21:44:23 ID:IvjfUba.8M
今まで見たことのないような、兎の少女の笑顔
ゆっくりと、低い音を立てて開いていく城門
道を挟み、規則正しく並ぶトランプ兵のオーケストラ
帰還を祝う盛大なファンファーレ
バイオリン・コントラバス
チェロ・ティンパニ
ホルン・トランペット
耳障りだと言うように、それら睨む鼠の少女
目の前に聳える、巨大な城
三人の旅はついに、終わりを迎えたのです
568: 名無しさん:2011/7/29(金) 09:24:14 ID:IQmVNaxnrM
ついたー!
え、てことはもう終わりなん?
しえんえん!
569: ◆AlicexxO96:2011/7/29(金) 21:41:23 ID:bskeXDFV8Q
>>559
ありがとうありがとうありがとう!
>>560
チェシャ「ふふ、なかなか良い趣味してるじゃないか」フリフリ
>>561
寝取られちゃいますぜ男君
支援感謝です!
>>568
まだ終わらんよ!
最後までお付き合いいただけたら光栄です
それでは本日も更新はじめ!
570: 名無しさん:2011/7/29(金) 23:04:57 ID:Y7potMdNLI
最初、異空間に男が入ったときからチェシャきたー!って思ってた!
チェシャ可愛いよチェシャ
大好き!
571: 名無しさん:2011/7/29(金) 23:41:07 ID:WeYS042/lU
男「なんか凄いな…」
山鼠「五月蝿いだけだろこんなの
頭ガンガンする…」
白兎「ふっふー♪」
男「嬉しそうにしちゃって」
白兎「いやぁやっと帰って来ましたよ!長い旅でした!」ピコピコ
男「そっすね」
山鼠「あー…だる…」
トランプ兵のオーケストラは、城の大扉まで続いていました
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