少女は走る 走る
その白い足は止まる事を知らない
その赤い目は風にぶつかり開け続けていられない
その長い耳は、たった一人の少女の声を捉えようとせわしく揺れる
腰にぶら下げた目覚まし時計の音は、その邪魔をする
辿り着いたのは、とある井戸
その向こうは、彼女の世界
467: 名無しさん:2011/7/14(木) 01:01:49 ID:SBxlnoh5O6
山鼠「今いくつ?」
婆鼠「あんたの三つ下さね」
男「え」
婆鼠「おや、どうしたの?」
男「三つ下でそれは、幼過ぎません」
白兎「お、男さん…失礼ですよ…?」
婆鼠「しょうがないさ
この子はアリスに『知』を献上したんだから」
山鼠「ち…?」
468: 名無しさん:2011/7/14(木) 06:35:10 ID:t57GnFDOYg
婆鼠「言ってしまえば私の逆さ
この子の知識は、どんどん減っていく」
婆鼠「こないだ、言葉を無くした所だね」
男「…それはキツいですね」
婆鼠「……そうね」
婆鼠「何にしてもごめんなさいね
孫鼠が髪を引っ張ったりしたみたいで」
山鼠「あ、や、別に平気
元からボサボサだし」
婆鼠「それじゃ女の子らしくないわ
後で直してあげる」
山鼠「あ、うん」
婆鼠「ごめんなさいね男さん。さっきの話はまた夜にでも」
男「……」
山鼠「…なんのこと?」
469: 名無しさん:2011/7/14(木) 07:59:04 ID:JZ308n9LZ6
婆鼠「山鼠、林檎は?」
山鼠「あ、忘れてた」
婆鼠「お願いね」
山鼠「はーい」タッ
婆鼠「白兎さん、お料理は得意かしら
手伝って欲しいのだけれど」
白兎「女王様直々に教わりましたから多少自信はあります」フンス
婆鼠「あらありがたいわ…」
白兎「にんじんも入れちゃっていいですかね!?」
婆鼠「どうぞ」
男「……」
孫鼠「あぅー!」グイー
男「髪を引っ張るな髪を」
470: 名無しさん:2011/7/14(木) 22:38:16 ID:SBxlnoh5O6
山鼠「婆ちゃんの料理は久しぶりだ」モグモグ
婆鼠「美味しいかい?」
山鼠「うん!」
婆鼠「そりゃ良かった
お二人の口にもあえば良いのだけれど…」
白兎「おいひいれすよ?ね?」モグモグ
男「久しぶりににんじん以外の物を食べて感動してる」
白兎「それは良かったですね!」
男「誰のせいだよ」
471: 名無しさん:2011/7/14(木) 22:46:55 ID:JZ308n9LZ6
婆鼠「はい。少しは髪も綺麗になったでしょ」
山鼠「ん、お、指が通る!」サラサラ
婆鼠「ふふ、山鼠も一応女の子なんだから
身嗜みはキチンとね?」
山鼠「別に誰に見せる訳でもないからいいと思うんだけどな…」
婆鼠「あら、私に隠し事は無駄よ?
全部お見通しなんですから」
山鼠「え…?」
婆鼠「山鼠、恋してるでしょ?」
山鼠「きゅっ!?」ビクッ
472: 名無しさん:2011/7/14(木) 22:54:49 ID:IvjfUba.8M
婆鼠「気付いてないとでも思ったかしら?
お婆ちゃんに分からないことなんて殆ど無いんですから」
山鼠「な、なななななななな…」
婆鼠「落ち着きなさいな」
婆鼠「あんな男勝りだった山鼠ちゃんがねぇ
やっぱり女の子ね」ポスッ
山鼠「…ぅう」
473: 名無しさん:2011/7/14(木) 22:59:29 ID:1b/AplOPAI
婆鼠「でも、何でその相手…」
山鼠「へ?」
婆鼠「あぁ、何でも無いのよ?」
婆鼠「……あんなややこしい少年なのかしら」ボソッ
白兎「男さんの献上ですか…」
男「何だと思う?」
白兎「…例外じゃ無い限り、この国で一番初めに強く願ったこと、になる筈です」
男「そういう事は先に言って欲しかったよね」
白兎「無茶言わないでくださいよ」
474: 名無しさん:2011/7/14(木) 23:20:39 ID:B4pYf22bqU
婆鼠「…山鼠、今日はもう休みなさい
疲れたでしょ?」
山鼠「婆ちゃんと一緒に寝たいな…」
婆鼠「甘えん坊さんねぇ
代わりに孫鼠を寝かしつけて欲しいのだけれど」
山鼠「えぇ…」
婆鼠「お願い」
山鼠「ん…お休み婆ちゃん」スタスタ
婆鼠「ごめんなさいね?お休みなさい」
婆鼠「…さて、と」
475: 名無しさん:2011/7/14(木) 23:26:37 ID:SBxlnoh5O6
白兎「まぁ何にしろ、アリスの役に立ってるなら素晴らしい事だと思いますよ」
男「白兎は相変わらずアリスが第一なんだな」
白兎「いえいえ、男さんのこともしっかり考えて…」
白兎「あ、山鼠ちゃん」
山鼠「…俺はもう休むから」
男「また明日な」
山鼠「……」
男「…何?」
山鼠「別に、お休み」スタスタ
476: 名無しさん:2011/7/14(木) 23:56:55 ID:IvjfUba.8M
婆鼠「ごめんなさいねさっきは
山鼠には聞かせたくなかったものだから」
白兎「いえ…」
男「…なんか嫌な予感がしますけど」
婆鼠「まぁ、人によるわ」
婆鼠「喜ぶ者もいれば絶望する者もいるかも知れない」
男「……」
婆鼠「…不思議の国の者として敬意を払わせて貰います」
婆鼠「…あなたはアリスに、『死』を献上している」
白兎「し…?」
男「……」
ドクンと、心臓の動く音が
一瞬だけ、少年の脳に強く響いたのが分かりました
477: ◆AlicexxO96:2011/7/15(金) 00:00:28 ID:1b/AplOPAI
もう今日はお終い!
バレたーwww
まぁ結構バレバレの伏線ひいたからしょうがないよと、自分に言い訳
明日で試験が終わる…
もうモチベーション上がらねーです…
ではまた明日
明日は色々濃い内容にして行きたいですノシ
478: 名無しさん:2011/7/15(金) 14:32:32 ID:UmtXrgXVU.
あれ、山鼠ちゃんハァハァしてたらいつのまにかエグい展開に・・・C
479: 名無しさん:2011/7/15(金) 18:58:04 ID:DgQGPfo82A
そういや、ちゃんと遡ると、一番最初に男は死にたくないって願ったもんな。
C
480: 名無しさん:2011/7/15(金) 22:13:33 ID:t57GnFDOYg
男「……??」
白兎「死を失うって、どういうことですか?」
婆鼠「そのまま。死なないし、傷付かないってことさ」
男「……ぇ」
婆鼠「理解したかい?
理解しても認めたくないかい?」
婆鼠「あなた、自ら命を断つつもりだったんでしょう?
知っているわ」
男「……ぁ、あ」
鼓動は高まり続けます
481: 名無しさん:2011/7/15(金) 22:33:23 ID:IjDuDJDKyo
少年の頭に浮かぶのは、目の前に突きつけられた銃口のイメージ
確かに頭を撃ち抜かれたはずなのに、夢にしか思えなかったのです
気が付けば、穴の空いた筈の体はすっかり元通りになっていたのですから
何故?
答えはあまりに簡単
少年がそういう体になっていたから
男「ぅ…」
鼓動が加速します。涙が滲みます。指が震えます。胃液が逆流します。
482: 名無しさん:2011/7/15(金) 22:49:16 ID:SBxlnoh5O6
婆鼠「…今伝えたのは全て事実よ」
男「…ゃだ…何で…何で」
婆鼠「『どうして自分がそんな大事なものを献上してるんだ』と言いたいの?」
男「例外…例外なんだ…白兎…白兎!」ガシッ
白兎「お、落ち着いてください男さん!」
婆鼠「例外なんかじゃないわ
あなたが望んだことだもの」
男「…あ?」
婆鼠「あなた、この国に来たときに『死にたくない』って願ってたもの」
483: 名無しさん:2011/7/15(金) 22:54:01 ID:B4pYf22bqU
男「違う…違う…そんな意味じゃない…!」
婆鼠「…男さん」
男「…そんな事…知らなかったから…」
婆鼠「…受け入れなさい」
男「…死なせて…お願いだから…」
婆鼠「無理よ」
白兎「…あの」
484: 名無しさん:2011/7/15(金) 23:05:57 ID:bskeXDFV8Q
白兎の少女の声を聞いて、我にかえりました
そうだ。元はこいつのせいだったんじゃないか、と
白兎「…なんと言えば良いか分からないんですが」
白兎「その、男さんはアリスに『死』を与えてるって、凄い名誉な事だと思いますよ!」
白兎「『死』は生き物としての命の働きの中で最も重要な役割だって聞いてますもん!」
あぁ。この瞬間から、少年の遣り場の無い憤りの矛先は、全て白兎の少女に向けられました
485: 名無しさん:2011/7/16(土) 06:52:13 ID:1e0RqNmnOw
男「何?それどういうこと?」
男「アリスさえ良ければ俺はどうでも良いってこと?」
白兎「い、いえ…そういう訳では…その」
男「その最も重要な役割ってのが俺にはもう無いんだよ?」
男「誰の…誰のせいか分かってるか?」
白兎「…それは」
486: 名無しさん:2011/7/16(土) 07:05:42 ID:WeYS042/lU
少年には分かっていました
少年をこの世界に連れてきたのは彼女の手違いの為ではありますが
ここでこのか弱い白兎の少女を責めるのはあんまりにも酷であると
でも、少女への責める言葉が止まりません
口が、体が自分のものじゃないみたい
白兎「…約束」
男「…は?」
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