少女は走る 走る
その白い足は止まる事を知らない
その赤い目は風にぶつかり開け続けていられない
その長い耳は、たった一人の少女の声を捉えようとせわしく揺れる
腰にぶら下げた目覚まし時計の音は、その邪魔をする
辿り着いたのは、とある井戸
その向こうは、彼女の世界
36: ◆AlicexxO96:2011/6/9(木) 22:24:46 ID:IY41cBvn0o
白兎「じゃ、質問を変えましょう!」
男「お願い」
白兎「あなたは誰ですか?」
男「……男。多分、いや絶対にお前の言ってるアリスって奴じゃない筈」
白兎「…男さんですね?
じゃ、どうしてあの井戸の前に居たんです?」
男「飛び降りて死ぬつもりだったんだよ」
白兎「…へ?」
37: ◆AlicexxO96:2011/6/9(木) 22:26:28 ID:H5eUe.tjLc
白兎「死ぬつもりだった…?」
男「…あぁ、したらいきなり誰かさんに後ろから突き落とされて
気づいたらここだ」
白兎「あぁ、私ですね!」
男「だろうな」
白兎「や!でも死なずにすんで良かったじゃないですか!」
男「人の話聞いてた?」
38: 名無しさん:2011/6/9(木) 22:29:41 ID:uo2scn7/PE
男「…こっちからも質問していいか?」
白兎「どうぞ?幾らでも答えますよ?」
男「ここは、何処なのかな?」
白兎「……」
少女は初めは質問の意味が分からないという顔をしていましたが
やがてその答えを見つけたようで
白兎「この世界は、アリスの創った『不思議の国』です!」
男「……」
こう、言いました
39: ◆AlicexxO96:2011/6/9(木) 22:36:29 ID:AkYREPUZEc
男「……何となく、自分の置かれた状況が理解できた」
男「あの井戸はここに繋がってた訳?」
白兎「というより、私が一緒だったから此方に繋がったんですね」
男「…不思議の、国ね」
白兎「はい!素敵な所でしょ!?」
男「空も野原も気味悪い色してるんだけど?」
白兎「仕様です!」
男「どんな仕様だ」
40: ◆AlicexxO96:2011/6/9(木) 22:38:52 ID:jea4yQfMpw
男「んで、アリスさんは何処なの」
白兎「…それが…」
男「……?」
白兎「見つからないんですよ、ね…」
男「見つからない?」
白兎「来なくなっちゃったんです
アリスが初めてこの国に来て…それ以来一度も…」
男「ふうん」
白兎「人事ですね…」
男「人事だからね」
白兎「むぅ…」
男「ちゃんと聞くから続けて」
白兎「……」
41: ◆AlicexxO96:2011/6/9(木) 22:40:35 ID:DEPQDGNmG.
白兎「不思議の国は、アリスがいる事で成り立っています。存在しています」
白兎「この国はアリスを育てる為に存在するんだと、聞きました」
男「……」
白兎「でも、10年間以上肝心の彼女が居なくって…」
男「で、お前は探しに出てきてた訳か」
白兎「そういう訳です」
42: ◆AlicexxO96:2011/6/9(木) 22:46:00 ID:tI7SKCVOJE
男「アリスを探しに行く必要ってあるの?」
白兎「へ!?」ガバッ
男「っ…急に大声出すなよ」
白兎「あ、す、すいません…!
で、でもアリスを探さなくて良いって…」
男「来ないなら来ないでいいだろ
そこまで執着する必要も…」
白兎「何言ってるんですか!?馬鹿ですか!?馬鹿なんですか!?」
男「言ってくれるじゃねぇか」
43: ◆AlicexxO96:2011/6/9(木) 22:48:29 ID:uo2scn7/PE
男「アリスが居なくても
不思議の国は消える訳でもないんだろ?」
白兎「そんなことですか!
不思議の国も多大なるダメージを受けてますよ!」
男「例えば…?」
白兎「ん!」ビシッ
男「白兎の眼がどうした」
白兎「よく見て下さい!」
男「赤いな」
白兎「色は生まれつきです
ん!!」
男「ん!!じゃないよ分かんねーよ」
白兎「視力がどんどん落ちてるんですよ!!」
男「見ただけで分かるか馬鹿」
44: ◆AlicexxO96:2011/6/9(木) 22:55:50 ID:AkYREPUZEc
白兎「さっき、この国はアリスを育てる為に存在するって言いましたね」
男「あぁ」
白兎「育てると言うのは、別に算数や英語を教える訳じゃありません」
男「道徳的な面を育てるとか?」
白兎「それも少し違いますね
アリスは生まれながらに不完全な存在です」
45: ◆AlicexxO96:2011/6/9(木) 22:56:40 ID:C/EsOqUYxw
白兎「足りないそれらを不思議の国の住人が、アリスと遊ぶ事で人として作り上げる
ここは、その為の世界なんですって」
男「よく分かんないわ」
白兎「実際、細かい事は私も分かりませんがね!」
男「その自信に溢れた態度は何処から来てるんだ」
46: ◆AlicexxO96:2011/6/9(木) 22:58:37 ID:Sk5yLArqZw
白兎「けど、アリスが来ないとなると話は別です」
白兎「アリスに足りない部分は、『住人達が直接、分け与えなければならない』んです」
白兎「ここではそれを、『アリスへの献上』と呼んでます」
男「……献上」
白兎「基本は、『自分には最も必要無いと思ったもの』が、アリスに献上されていきます」
47: ◆AlicexxO96:2011/6/9(木) 22:59:37 ID:jea4yQfMpw
男「…で、お前は」
白兎「はい!視力を献上する事にしました!
私にはこの自慢の耳がありますからね!」ピコピコ
男「視力って…」
白兎「でも、完全に視力が無くなる前に、もう一度アリスの顔は一目見ておきたいですね!」
男「……」
48: ◆AlicexxO96:2011/6/9(木) 23:03:47 ID:IY41cBvn0o
男「じゃあ、この景色が気味悪い色してるのは…?」
白兎「そうですね
この景色はアリスに『色』を献上してるらしいです」
男「なる程、そういう仕様なんだな
…つか色って、大事なもんじゃないの?」
白兎「例外も有るみたいなんです
特定の物、人からしか与えられないものも有りますからね」
白兎「女王様なんかも、それに当てはまってますね…」
男「女王様?」
白兎「この国で二番目に偉い人です!
私をあなた達の世界に送り込んだのも女王様ですよ」
男「二番目?」
白兎「当然、一番はアリスですがね?」
49: ◆AlicexxO96:2011/6/9(木) 23:05:38 ID:IY41cBvn0o
白兎「とりあえず説明は以上ですね…
ちなみに、この説明も全部女王様の受け売りなんですが」
男「本当に、長ったらしい説明だな」
白兎「ふぅ…喋り過ぎました…」
男「だろうね」
白兎「全部説明したら喉が枯れちゃいます…」ケホッ
男「とりあえず、水でも飲みにいくか?」
白兎「ありがたいです…」
50: ◆AlicexxO96:2011/6/9(木) 23:07:59 ID:tI7SKCVOJE
男「不思議の国なら、メルヘンチックな泉でもあるんじゃないの?」キョロキョロ
白兎「っとですね…
お茶会にでも行ってみます…?」
男「お茶会?」
白兎「はい、帽子屋さんが毎日のようにお茶会を開いてるんです」
男「帽子屋なのに?」
白兎「細かい事気にしちゃ負けです」
51: ◆AlicexxO96:2011/6/9(木) 23:13:09 ID:tI7SKCVOJE
今晩はここまでですね
あやや、初っ端から説明パートです
文字数が多いこと多いこと
長い目で見てくれたら嬉しいです
ではでは
52: 蝶・専半島:2011/6/9(木) 23:18:25 ID:y2zfpJx/KY
私の目は切れ長でイケメンです
53: 名無しさん:2011/6/9(木) 23:21:43 ID:SJ78b/5rEM
>>51
なかなか良かった
紫煙
54: 名無しさん:2011/6/10(金) 12:29:02 ID:eyiXSnv7S6
結構重そうな話だけど支援
55: ◆AlicexxO96:2011/6/10(金) 20:53:41 ID:Sk5yLArqZw
男「とりあえずその帽子屋に行くのね」
白兎「そう遠くは無いですからね」
男「じゃ、行くとしようかね」スタスタ
白兎「あ、待って下さいよ!道分かるんですか?」
男「いんや、分からん」
白兎「私が前歩きますから!」タッタッ
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