少女は走る 走る
その白い足は止まる事を知らない
その赤い目は風にぶつかり開け続けていられない
その長い耳は、たった一人の少女の声を捉えようとせわしく揺れる
腰にぶら下げた目覚まし時計の音は、その邪魔をする
辿り着いたのは、とある井戸
その向こうは、彼女の世界
358: 名無しさん:2011/7/5(火) 23:24:58 ID:IjDuDJDKyo
白兎「あ、ご、ごめんね!」
山鼠「いや、今から洗うしいいけど」ヌギヌギ
白兎「……」
山鼠「……なんだよ?」
白兎「えへへ、成長してないなと思いまして」
山鼠「…胸のことなら、シロをぶん殴るかも知れない」
白兎「う…」ギクッ
山鼠「…友情崩壊の危機だなこりゃ」ゴゴゴ
359: 名無しさん:2011/7/6(水) 00:08:53 ID:jox2lqGdgw
山鼠「シロだってまな板の癖に良く言うぜ」
白兎「……あ」
山鼠「あ?」
白兎「雨雲ができてる音が聞こえます」
山鼠「ってことは何?」
白兎「雨、降りそうです」
山鼠「…面倒だな」
白兎「…どうしましょう。一旦洞穴に戻りましょうか」
山鼠「男は?」
白兎「う…鷹、居ますもん…」
白兎「…洞穴に集合と伝えてますし」
山鼠「…そ」
360: 名無しさん:2011/7/6(水) 00:10:10 ID:SBxlnoh5O6
男「鷹君ね。『聴力』を献上してると」
鷹「そう、俺にはこの目があるからな!
不思議の国で一番目が良い自信がある!」
男「白兎の真逆か」
鷹「な!ち、違うからな!」
鷹「別に俺が白兎の目の代わりになってやろうとかそういう考えじゃ…!」
男「勝手にボロ出した上に
その理由がそこはかとなく気持ち悪いな」
361: 名無しさん:2011/7/6(水) 00:11:38 ID:zY8aT7nkmQ
鷹「て、めぇは!」
男「あん?」
鷹「てめぇは何を献上したんだって聞いてんだ!」
男「……」
鷹「言えよ!俺は言ったんだから!」
男「…まだ知らん」
鷹「……はぁ!?」
362: 名無しさん:2011/7/6(水) 00:14:38 ID:WeYS042/lU
鷹「意味わかんねぇよお前!」
男「何その逆ギレ
馬鹿なの?」
鷹「キレてねーし!
自分の献上してるもん知らない奴の方が馬鹿だわ!」
男「自分が一番要らないと思ったものなら、別に良いんじゃない?」
鷹「ばーか!!」ベーッ
男「……」イラッ
363: 名無しさん:2011/7/6(水) 00:22:35 ID:zY8aT7nkmQ
男「面倒くせぇな
だから白兎らに鬱陶しがられんだよ」
鷹「…な!!」
男「どうせ惚れてるけど話し掛け方が分からなくて」
男「鬱陶しくちょっかい出して、嫌われたって口だろ」
鷹「…ぐ」ギクッ
男「小学生かお前」
鷹「ぅ…うぅうぅう…!!」ポロポロ
男「泣くなよもううざいな…」
364: 名無しさん:2011/7/6(水) 00:28:58 ID:1b/AplOPAI
鷹「もう…もう帰るし!!」
男「…はいはい、またな」
鷹「…お前なんか…熊に食われて死んじまえ!」バサッ
男「……」
ポツ……ポツ……ポツ……
男「……雨か、せっかく洗ったのに」
男「……乾くのに時間がかかるな」
?「……見つけた」
365: 名無しさん:2011/7/6(水) 00:31:07 ID:SBxlnoh5O6
男「ん?」チラッ
男「……」
男「……今、物音がした筈なんだけどな」
男「……」スッ
鷹「……んだよ雨か、よ……?」
鷹「…白兎じゃん」
鷹「……うん、偶然を装って」
鷹「……行ってみよ」バサッ
366: 名無しさん:2011/7/6(水) 00:33:31 ID:B4pYf22bqU
白兎「……」
山鼠「……なんでお前がいんだよ…」
鷹「よ、よぉ…お前ら…」
白兎「男さんは」
鷹「あ、え…?」
白兎「一緒に居たんじゃなかったんですか?」
鷹「…あ、あんな奴どうだっていいじゃん……」
白兎「良い訳ないでしょう
あなたより、よっぽど大切ですから」
鷹「……」
367: 名無しさん:2011/7/6(水) 00:35:57 ID:B4pYf22bqU
白兎「……どこにいたんですか?」
鷹「…知らねえよ」
白兎「……」
山鼠「……本降りになってきたぜ、シロ」
白兎「捜しに行ってきます」タンッ
山鼠「あ、俺も…」
白兎「いや、山鼠ちゃんは風邪ひいちゃいますからいてくだ………!?」ピョコ
不思議の国一の聴力を持つ白兎
彼女だけに聞こえた
すぐ雨の音にかき消されたけども、確かに聞こえた音
白兎「銃声…!?」
山鼠「は…?」
368: 名無しさん:2011/7/6(水) 00:40:55 ID:SBxlnoh5O6
狩人「……とりあえず、逃げられないよう足を潰した」
男「…は…ぃ…?」ヨロッ
狩人「……前は、足を撃っても逃げられたが」
狩人「……今回は、逃がさない」スッ
男「…な…」
ドンッ!
二発目の弾丸が、少年の肩に飛び込みました
少年はもう、呼吸すらままなりません
369: 名無しさん:2011/7/6(水) 00:42:04 ID:1e0RqNmnOw
白兎「また…!」
山鼠「シロ?銃声って何のことだよ…!?」
白兎「……聞こえたんです、二発分の銃声が…」
山鼠「…男が…?」
白兎「…すぐ捜しに行きます」クルッ
白兎「…鷹」
鷹「な、んだよ…」
白兎「お願いがあります」
370: 名無しさん:2011/7/6(水) 00:43:14 ID:WeYS042/lU
鷹「……捜せってのか?」
白兎「出来ればあまり力を借りたくはないんですが…」
白兎「大切な人なんです…」ペコッ
鷹「…っ…分かったよ…捜しゃあいんだろ!」バサッ
山鼠「お、俺も!」
白兎「何度も言わせないで、山鼠ちゃん」
山鼠「でも…」
白兎「……行ってくるね」ピョン
371: 名無しさん:2011/7/6(水) 00:47:22 ID:WeYS042/lU
男「……なんで、何で…」
狩人「……何の理由が聞きたい?
何故こんなことをするのか?」
男「……」
狩人「……簡単だ
悪を排除するのは当然のこと」
狩人「……赤頭巾を飲み込んだ狼という悪を撃ち殺すように」
狩人「……お前という悪を撃ち殺すだけ」
372: 名無しさん:2011/7/6(水) 00:48:31 ID:IvjfUba.8M
男「……」
狩人「……お前は、アリスに必要ない」
男「……」
狩人「……アリスに必要ないものは、悪だ」スッ
ドンッ
男「…ぎっ…ぃい…!」
狩人「……次で終わりにしようか」
男「……」
白兎「……!」タッタッ
白兎「……男さん…御無事で…!」タッタッ
鷹「……」
373: 名無しさん:2011/7/6(水) 00:50:35 ID:SBxlnoh5O6
鷹の少年は見ていました
その不思議の国一の目で
狩人の銃口が、先程の彼の話し相手の頭へ向けられるのを
彼の頭が勢い良く弾け飛ぶのを
鷹「……」
ただ、それを決して止めようとはしませんでした
鷹「……」クルッ
374: 名無しさん:2011/7/6(水) 00:53:32 ID:WeYS042/lU
山鼠「……!」
鷹「…」スタッ
山鼠「…なんだ、鷹かよ
見つかったのか…?」
鷹「……」
鷹「……どこにもいなかったよ」
山鼠「……あっそ」
鷹「忠告しといてやるけど」
鷹「俺が見つけられなかったんだからさ
もう諦め…」
バキッ
鷹「っ…!」
375: 名無しさん:2011/7/6(水) 00:54:49 ID:IjDuDJDKyo
山鼠「…分かってんな」
山鼠「…それ以上言ったら、歯ァ全部へし折るから」
鷹「…んだよ…」
山鼠「…もう消えろ。俺は捜しに行く…」タッ
鷹「……なんだってんだよ」
鷹「…へ…」バサッ
鷹「…ざまぁみろってんだ!!」
376: 名無しさん:2011/7/6(水) 00:57:55 ID:IjDuDJDKyo
狩人「……ここまでやればもう大丈夫、だろう」
狩人「……アリスの為さ」スタスタ
白兎「…雨が、上がった」
白兎「…男さん…」
山鼠「シロ!」
白兎「…山鼠ちゃん?
あれだけ駄目だって…」
山鼠「雨もやんだし服も乾いたからいいだろ!」
白兎「う…」
377: 名無しさん:2011/7/6(水) 00:59:45 ID:SBxlnoh5O6
白兎「…鷹は」
山鼠「一発しばいて帰らせた」
白兎「…初めから期待してませんでしたから」
山鼠「…周りの森の中、探すわ」
白兎「…湖をもう一回りしてみます」
男「……」ムクッ
男「……」サワサワ
男「……なんだ夢か」
?「……」ザッ
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