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白兎「アリス! 私達のアリス!」
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1: 名無しさん:2011/6/9(木) 19:08:39 ID:Sk5yLArqZw
少女は走る 走る

その白い足は止まる事を知らない

その赤い目は風にぶつかり開け続けていられない

その長い耳は、たった一人の少女の声を捉えようとせわしく揺れる

腰にぶら下げた目覚まし時計の音は、その邪魔をする

辿り着いたのは、とある井戸

その向こうは、彼女の世界


284: ◆AlicexxO96:2011/6/29(水) 20:49:18 ID:jea4yQfMpw
>>283
ありがとう!

さて本日も寝落ちに気をつけのんびり更新
285: 名無しさん:2011/6/29(水) 20:53:10 ID:C/EsOqUYxw
熊「昔話でもするか」

男「時間稼げるなら何だっていいよこの際」

熊「安心しな。お前を見捨てて逃げた奴らは、もう喰うつもりはねぇよ」

男「……」

熊「ただ、どぉぅしっても人間だけは許せねぇんでな」

男「…何でそんな目の敵にする」

熊「俺の嫁さんが人間に殺されたからさ」

男「……」
286: 名無しさん:2011/6/29(水) 21:02:14 ID:jea4yQfMpw
熊「つっても元凶はアリスだ
あの糞餓鬼も人間だった」

熊「たった一度ここに来て以来姿を見せねぇ」

男「……」

熊「お蔭で献上だとか訳わかんねぇことを言い出してよ」

熊「俺は『理性』を捨てた
熊としては必要ねぇもんだ」

男「…理性飛んでるようには見えないけどなぁ」

熊「ガハ、一日中イカレっぱなしはキツいぜ」
287: 名無しさん:2011/6/29(水) 21:09:11 ID:96TVUWlwC6
熊「嫁さんは俺の理性の代わりになるだのって『獰猛さ』を捨てたさ」

熊「俺が道を踏み外さないように、だとよ」

熊「俺には勿体ねぇ位の良い熊だった」

男「ノロケ?」

熊「そう聞こえるか
まぁそれなりに平和に暮らしてたよ
が、ある日俺達の前に人間が現れた」

熊「狩人だ」
288: 名無しさん:2011/6/29(水) 21:11:52 ID:AkYREPUZEc
熊「『アリスに必要ない』って、嫁さんを仕留めにきた」

男「必要、ない…?」

熊「嫁さんの献上してた『獰猛さ』はアリスにとって害にしかならないんだとよ」

熊「撃ち殺しやがったよ、可愛い可愛い嫁さんを
俺が出掛けてる間によぉ…」
289: 名無しさん:2011/6/29(水) 21:16:59 ID:uo2scn7/PE
熊「人間は屑だ
屑。屑野郎ばかりだ」

熊「その狡賢い頭脳は自分の為にしか使わないし、使えない」

熊「訳の分からん理由で俺達の命を奪う」

男「……だいぶ、滅茶苦茶な事言ってるぜ熊さんよ」

熊「分かってるさ
それでもよ、悔しいんだよ…」

熊「理不尽だろ
あんまりだろ」

熊「人間の顔を見るだけで腹が煮えくりかえりそうになんだよ…」
290: 名無しさん:2011/6/29(水) 21:27:50 ID:D7b7GprCD.
熊、理性、あるよ

嫁がお前の理性になってくれてるんだよ
そんな、悲しいこと言わないで
291: 名無しさん:2011/6/29(水) 21:29:57 ID:jea4yQfMpw
男「ふぅん。ならどうぞ
やればいいんじゃね」

熊「……おめぇは、本当に変な野郎だな
アリスに脳味噌でもくれてやったんじゃねぇか」

男「……あ、待って。俺喰われるの?」

熊「喰いやしねぇよ
人間なんて脂肪だらけで糞不味い
餌にもならねえ糞共だ」

熊「俺が飽きるまでいたぶるだけ」

男「気持ち良くサックリやってくれよ」

熊「ガハ、やだね」
292: 名無しさん:2011/6/29(水) 21:42:25 ID:C/EsOqUYxw
男「あんたは理性、失ってなんかないと思うよ」

熊「慰めのつもりかは知らねえが、一番吐き気がする言葉だ」

熊「嫁さんが俺の為にしてくれた事、否定してやがる」

男「……」

熊「俺には理性は無い
そう思わなきゃやってられねぇ」

男「…ごめん」

熊「いんだよ、今から死ぬ癖に謝んな」
293: 名無しさん:2011/6/29(水) 21:46:17 ID:tC2Fo0C.cE
心臓に鳥肌立ってるなう
ガハ、がぐっとくる
294: 名無しさん:2011/6/29(水) 22:12:52 ID:ayxDgaoNKQ
男「じゃ、最後にお願いだ」

熊「…聞いてやるよ」

男「もしこれから白兎とか山鼠とか見かけても
手を出さないで欲しいな」

熊「…どうだかな
俺、熊だし
腹も減るしよ」

男「そうか。腹減ってたらしょうがないか」
295: 名無しさん:2011/6/29(水) 22:15:24 ID:tI7SKCVOJE
熊「終わりかい?命乞いはねぇのか?」

男「そういうのは初めからするつもりないし」

熊「怖くはねぇのか」

男「怖いよ。今すぐ逃げたいもん
だから一思いにやっておくれ」

熊「まぁ、それ位なら叶えてやるよ
あばよ人間」ノソ


ヂュンッ!!



296: 名無しさん:2011/6/29(水) 22:19:09 ID:DEPQDGNmG.


少年に走った衝撃
熊の牙でも爪でもありません

鉛が。弾丸が少年の頬を掠めました

緊張の糸を撃ち抜かれたように、少年の足からは力が抜け、尻餅をつきます

男「…ぁ…は…?」

熊「…誰だ…」

?「……外した」ザッ
297: 名無しさん:2011/6/29(水) 22:24:55 ID:IY41cBvn0o
熊「……!」

?「……次は、外さない」スッ

男「…っ…ひッ…ィいい…!」ヨロッ

少年の、死への覚悟は全て消えて無くなりました

その代わりに頭に流れ込むのは死への恐怖

男「(逃げなきゃ…逃げろ…!!)」

ジュッ

次の弾丸は確実に少年の右足を撃ち抜きました
298: 名無しさん:2011/6/29(水) 23:28:46 ID:LYdCTbqa1c
!!
続きが楽しみでしかたがない!!!
しえん!!!
299: 名無しさん:2011/6/29(水) 23:40:08 ID:PmyquluLE6
男「…ぁ…あああ!」ドサッ

悲痛な声をあげ、山道を転がり落ちる少年

?「……面倒な」

熊「待てよ」

?「……」

熊「俺の事覚えてるか、狩人さんよ」

狩人「……?」
300: 名無しさん:2011/6/29(水) 23:44:36 ID:H5eUe.tjLc
狩人「……忘れた」

熊「こっちは一瞬たりとも忘れたことは無いんだぜ」

熊「喰い殺してやる」

狩人「……」スッ

熊「オ゙オ゙オ゙オオォォォ!!!」

山が揺れる程の咆哮

その巨体からは想像のつかない速さで狩人に飛びかかり

ドンッ!!
301: 名無しさん:2011/6/29(水) 23:48:57 ID:IY41cBvn0o
熊「……オ゙ヴァ゙?」

狩人「……熊の急所の鼻っ面を撃った」

熊「ォ゙ア゙ァ゙!!」ブンッ

狩人「……っ!」

熊「……そうやって俺の嫁さんの鼻を蜂の巣にしやがったなぁ!」ノソ

狩人「……」スッ

熊「死んで詫びろ゙ぉ゙ぉぉ!」

狩人「……!」

ズドンッ
302: 名無しさん:2011/6/29(水) 23:50:50 ID:IY41cBvn0o
熊は息絶えました
その頭に捻込まれた鉛の塊は四つ

この瞬間をもって、アリスへの『理性』の献上はお終いとなります

狩人「……まぁ、いいさ。正当防衛だ」

狩人「……アリスが帰ってきた時に、お前のような屑がいても困る」

狩人「……あの少年を追わなければ」タッ

303: 名無しさん:2011/6/29(水) 23:56:26 ID:96TVUWlwC6


男「……」

男「……やっと」

「残念だけど、死んでないんだな」

男「!?」ビクッ

「やぁ、お目覚めかい?気分はどう?
足の怪我はほぼ治ってるみたいだけど」

男「……!」バッ

男「お前が治してくれたの?」

「さぁ、どうだろうねぇ?
死にたがりの君からしたら、良い迷惑かもしんないけど」

男「……いや、生きてるなら、痛くないほうがいい」

「……そうかい」
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