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白兎「アリス! 私達のアリス!」
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1: 名無しさん:2011/6/9(木) 19:08:39 ID:Sk5yLArqZw
少女は走る 走る

その白い足は止まる事を知らない

その赤い目は風にぶつかり開け続けていられない

その長い耳は、たった一人の少女の声を捉えようとせわしく揺れる

腰にぶら下げた目覚まし時計の音は、その邪魔をする

辿り着いたのは、とある井戸

その向こうは、彼女の世界


272: 名無しさん:2011/6/28(火) 23:23:26 ID:ayxDgaoNKQ
山鼠「あん…?」

男「熊って何?ヤバいの?
いや常識的に熊はヤバいんだろうけどさ」

山鼠「……おいシロ」

白兎「なぁに?」

山鼠「こいつに教えてねぇのか!」

白兎「う…や、また機会があれば言うつもりだったんだけどっ」

山鼠「優先順位考えろ馬鹿シロ!」

白兎「あぅぅ…」

男「……?」

山鼠「平和ボケした面しやがって…」
273: 名無しさん:2011/6/28(火) 23:29:55 ID:C/EsOqUYxw
山鼠「いいか?時間もねぇからな」

山鼠「端的に教えっから耳かっぽじってよく聞け」

男「ん…」

山鼠「この不思議の国のタブーだ
今から言う三人は絶対に関わんな」

男「タブー…?」

山鼠「狩人、チェシャ猫、んで今問題の熊」

男「おぉ、熊…」

白兎「その三人はね、アリスへの献上で特に悪い影響を受けたの」

山鼠「影響ったって俺らみたいに、各本人が被害を受ける訳じゃねぇ」

山鼠「他人に被害を与えかねないから、タブーなんだよ」
274: 名無しさん:2011/6/28(火) 23:37:54 ID:96TVUWlwC6
男「…タブー…」

山鼠「特に熊の野郎は、何よりその獰猛さが群を抜いてやがる」

山鼠「何が言いたいかってぇとだ…」

白兎「……!」ピョコ

男「……!」

山鼠「今すぐ逃げる、ぞ……?」

?「へぇ逃げる?誰からだ?どうやってだ?」
275: 名無しさん:2011/6/28(火) 23:44:00 ID:Sk5yLArqZw
山鼠「…あ…ひ…?」カチカチ

?「…あ?言ってみなよ嬢ちゃんよ
餌が、俺から逃げられると思うか?」ノソ

男「……こいつが、熊?」

熊「あぁ、俺が噂の熊さんだが」

男「…熊が喋った」

熊「ガハ、そいつらだって喋ってんだろ」

山鼠「…ぁ…あ…」ガチガチ

白兎「…に…げなきゃ…!
や、山鼠ちゃん!男さん!」グイッ

熊「おい、誰が行っていいっつった餌ども」

白兎「…っ!」ビクゥ
276: 名無しさん:2011/6/28(火) 23:46:13 ID:ayxDgaoNKQ
熊「…ぉお。やっぱり人間じゃねぇか」

熊「臭いでそうじゃねえかと思ったんだよ」

男「俺のこと?」

熊「ガハ
他に誰がいるんだよ」

熊「おめぇには罪は無いかも知れねーけどよぉ
悪いが人間は虫酸が走る程嫌いなんでね」

男「あぁそう」

熊「随分淡白な反応だなぁおい」

熊「ま、そういう訳で全身かっさばかして貰うぜ」ノソ
277: 名無しさん:2011/6/28(火) 23:50:20 ID:H5eUe.tjLc
男「こいつら、白兎や山鼠はどうすんの?」

白兎「な、何を聞いてるんですか!?
逃げますよ男さん!」

熊「……あぁ、ありゃ今晩の飯さ」

白兎「ひ…!!」

男「そっか」

熊「…俺を見て逃げる素振りを見せねぇのは、てめぇが初めてだ」

男「精々後世に語っておくれ。白兎」

白兎「は、い!」

男「山鼠連れて逃げて頂戴」

白兎「は、い?」
278: 名無しさん:2011/6/28(火) 23:51:33 ID:jea4yQfMpw
白兎「の…残るつもりですか!?」

男「あたぼうよ」

白兎「ば、馬鹿ですか!?馬鹿ですかあなたは!」

白兎「下手したら…いや、下手しなくたって死にますよ!!」

男「阿呆か。こちとら元から死ぬつもりだっつったろうが」

男「前はお前に邪魔されたからな、仕切り直しだ仕切り直し」

白兎「し、仕切り直し…!?」
279: 名無しさん:2011/6/28(火) 23:56:40 ID:AkYREPUZEc
男「大体つい最近知り合ったような奴だぜ俺
気にしねぇでいんだよ」

白兎「でも…でも…!」

男「山鼠」

山鼠「!」ピクッ

男「これでこないだの飯代はチャラな」

男「女の子共を庇って死ぬとか本望じゃねえか
はよ行け」

白兎「っ!」ダッ
280: 名無しさん:2011/6/28(火) 23:59:26 ID:Sk5yLArqZw
熊「……変わった人間だな」

男「よその奴とは覚悟が違う」

熊「なんだ、俺とやる気か」

男「違う、死ぬ覚悟が出来てんの」

熊「…ガハ」

熊「もっと理不尽だって訴えろよ
あんまりだって泣き叫べよ」

男「ダサいから嫌だ」
281: 名無しさん:2011/6/29(水) 00:03:55 ID:96TVUWlwC6
少女は走る 走る

その白い足に生え散らかした枝が食い込む

その赤い目は涙に濡れ開け続けていられない

その長い耳は、風に煽られ後ろに引っ張られる

背中に背負う少女もまた同じ様、顔を涙で腫らしている

二人は一人の少年を犠牲にして、山を抜けることが出来ました
282: ◆AlicexxO96:2011/6/29(水) 00:10:31 ID:tI7SKCVOJE
うわーどうしよう切り所がない…
ここで一旦ストップです

月麗SSさん終わったようで
お疲れ様でした

そこそこ書いてますね
書き溜めかなり消費しました

うー…寝ます
また明日必ず来ますんで!

それではおやすみなさい
283: 名無しさん:2011/6/29(水) 00:20:36 ID:Udx8e9GNrs
乙!
284:
◆AlicexxO96:2011/6/29(水) 20:49:18 ID:jea4yQfMpw
>>283
ありがとう!

さて本日も寝落ちに気をつけのんびり更新
285: 名無しさん:2011/6/29(水) 20:53:10 ID:C/EsOqUYxw
熊「昔話でもするか」

男「時間稼げるなら何だっていいよこの際」

熊「安心しな。お前を見捨てて逃げた奴らは、もう喰うつもりはねぇよ」

男「……」

熊「ただ、どぉぅしっても人間だけは許せねぇんでな」

男「…何でそんな目の敵にする」

熊「俺の嫁さんが人間に殺されたからさ」

男「……」
286: 名無しさん:2011/6/29(水) 21:02:14 ID:jea4yQfMpw
熊「つっても元凶はアリスだ
あの糞餓鬼も人間だった」

熊「たった一度ここに来て以来姿を見せねぇ」

男「……」

熊「お蔭で献上だとか訳わかんねぇことを言い出してよ」

熊「俺は『理性』を捨てた
熊としては必要ねぇもんだ」

男「…理性飛んでるようには見えないけどなぁ」

熊「ガハ、一日中イカレっぱなしはキツいぜ」
287: 名無しさん:2011/6/29(水) 21:09:11 ID:96TVUWlwC6
熊「嫁さんは俺の理性の代わりになるだのって『獰猛さ』を捨てたさ」

熊「俺が道を踏み外さないように、だとよ」

熊「俺には勿体ねぇ位の良い熊だった」

男「ノロケ?」

熊「そう聞こえるか
まぁそれなりに平和に暮らしてたよ
が、ある日俺達の前に人間が現れた」

熊「狩人だ」
288: 名無しさん:2011/6/29(水) 21:11:52 ID:AkYREPUZEc
熊「『アリスに必要ない』って、嫁さんを仕留めにきた」

男「必要、ない…?」

熊「嫁さんの献上してた『獰猛さ』はアリスにとって害にしかならないんだとよ」

熊「撃ち殺しやがったよ、可愛い可愛い嫁さんを
俺が出掛けてる間によぉ…」
289: 名無しさん:2011/6/29(水) 21:16:59 ID:uo2scn7/PE
熊「人間は屑だ
屑。屑野郎ばかりだ」

熊「その狡賢い頭脳は自分の為にしか使わないし、使えない」

熊「訳の分からん理由で俺達の命を奪う」

男「……だいぶ、滅茶苦茶な事言ってるぜ熊さんよ」

熊「分かってるさ
それでもよ、悔しいんだよ…」

熊「理不尽だろ
あんまりだろ」

熊「人間の顔を見るだけで腹が煮えくりかえりそうになんだよ…」
290: 名無しさん:2011/6/29(水) 21:27:50 ID:D7b7GprCD.
熊、理性、あるよ

嫁がお前の理性になってくれてるんだよ
そんな、悲しいこと言わないで
291: 名無しさん:2011/6/29(水) 21:29:57 ID:jea4yQfMpw
男「ふぅん。ならどうぞ
やればいいんじゃね」

熊「……おめぇは、本当に変な野郎だな
アリスに脳味噌でもくれてやったんじゃねぇか」

男「……あ、待って。俺喰われるの?」

熊「喰いやしねぇよ
人間なんて脂肪だらけで糞不味い
餌にもならねえ糞共だ」

熊「俺が飽きるまでいたぶるだけ」

男「気持ち良くサックリやってくれよ」

熊「ガハ、やだね」
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名前:
sage:


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