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白兎「アリス! 私達のアリス!」
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1: 名無しさん:2011/6/9(木) 19:08:39 ID:Sk5yLArqZw
少女は走る 走る

その白い足は止まる事を知らない

その赤い目は風にぶつかり開け続けていられない

その長い耳は、たった一人の少女の声を捉えようとせわしく揺れる

腰にぶら下げた目覚まし時計の音は、その邪魔をする

辿り着いたのは、とある井戸

その向こうは、彼女の世界


158: 名無しさん:2011/6/16(木) 22:01:11 ID:PmyquluLE6
男「だからこそ…?」

夫人「よく働いてくれるって理由だけで、他人の連れ様を奪おうなんて言うと思う?」

夫人「いくら私が自由奔放、勝手気儘でも
そこまで酷くないわぁ」

男「何か理由でもあるんですか?」

夫人「そうよぉ?
でないとこんな事言えるもんですか」

男「……白兎がいないと、アリスは帰ってきませんよ?」

夫人「なぁに、それ?
まるで私がアリスの帰りを心待ちにしているみたいじゃない」
159: 名無しさん:2011/6/16(木) 22:40:11 ID:H5eUe.tjLc
男「違うの…?」

夫人「ふふ…敬語、忘れてるわよぉ」

夫人「あなたとの、意見の違いはそこから生まれてるのねぇ」

男「アリスが帰って来なくてもいいって、言うんですか?」

夫人「少なくとも、私はね
執事ぃ?白兎ちゃんも会話に混ぜたいのだけれどぉ」

執事「…連れてきております」グィ

白兎「あぅ…」

男「よぉ白兎、迎えに来ましたよ?」

白兎「お…男さん…?」
160: 名無しさん:2011/6/16(木) 22:54:57 ID:tI7SKCVOJE
夫人「主役が揃ったようだから話させて貰うわぁ」

夫人「白兎ちゃんを手放したくない理由はねぇ
簡単に言えば、今の自分を守る為、なのかしら」

男「今の、あなた?」

夫人「今、私は幸せなの
アリスに献上が始まった瞬間から、私を縛り付けるものは無くなったのだからね」

夫人「もう懲り懲りなのよねぇ
あんな権力に縛られ、身分に縛られる生活は」

執事「……」

161: 名無しさん:2011/6/16(木) 23:10:39 ID:IY41cBvn0o
夫人「その点においては、アリスには感謝しているわぁ」

夫人「一切のしがらみから私を解き放ってくれたのだから」

白兎「あなたは…間違ってますよ…!」

夫人「充分承知よぉ?
アリスはこの不思議の国にいなくてはいけない」

白兎「なら!」

夫人「これは私の身勝手
私の自由を守る為の身勝手なのよぉ」

162: 名無しさん:2011/6/16(木) 23:12:27 ID:jY3AzaRTlY
やべぇ。面白い。
これからも期待してます!
頑張ってください
つCCCCC
163: 名無しさん:2011/6/16(木) 23:14:32 ID:H5eUe.tjLc
白兎「あなたは…!」

白兎「あなたは女王様を侮辱なされているのですか…!?」

夫人「……女王ねぇ
ぶっちゃけ私には関わりの無い人だし」

夫人「あ、でもあの人が亡くなれば、次の女王の座につくのは私になるのかしらぁ」

白兎「な…!」

男「落ち着け、白兎」グイッ

白兎「わっ!」ポスッ
164: 名無しさん:2011/6/16(木) 23:25:27 ID:PmyquluLE6
白兎「あ、あの…男さん?」

男「では、約束通り
白兎を返して貰いますよ、御夫人」

夫人「……あなたは私の話しを何一つ聞いて無かったのかしらぁ?」

男「しっかり聞かせて貰いましたよ」

男「その上で、俺の身勝手で白兎は連れ戻します」

白兎「…へ?」

夫人「…あらぁ?逃げるつもりなのかしらぁ?」

男「とりあえず俺は、白兎について行くって決めたからな」

男「こんな所で止まってられない」
165: 名無しさん:2011/6/16(木) 23:30:01 ID:jea4yQfMpw
夫人「アリスが戻る事で、不幸に戻る人もいるのよぉ?」

男「その不幸もそいつの一部分だよ
甘えちゃ駄目です」

執事「……」

夫人「…言うじゃないの」

男「それに、こっちにはどうも…」

バンッ

山鼠「シロ! 男!」

男「アリスが帰って来ないと、困る奴がいるようなんで」
166: 名無しさん:2011/6/16(木) 23:33:37 ID:AkYREPUZEc
白兎「山鼠ちゃん!」

山鼠「ハッ…お…おっせぇから迎えに来てやったぞ…!」ゼェゼェ

白兎「うん…ごめん…ごめんね心配させちゃって…」

山鼠「糞怠い体に鞭打って走って来てやったんだ、感謝しろよ!」

男「せっかく来たとこ悪いけど、すぐに出てくよ?」

山鼠「畜生が!!」

167: 名無しさん:2011/6/16(木) 23:39:31 ID:uo2scn7/PE
夫人「ふふ…身分を弁えなさぁい?
逃げられると本気で思っているの?」

夫人「城下町は私の家来達で溢れていると言うのに」

男「さぁ、その時はその時じゃないですか?
行くぞ白兎、山鼠」グイッ

白兎「あ、は…はい!」タッ

山鼠「ちょ…ちょっと、ちょっと待って…もう走れねぇ……」ヨタヨタ

夫人「…捕まえたら、三人とも一生奴隷としてこき使ってあげるわぁ」

男「ごきげんよう、公爵夫人!」


バタンッ!
168: 名無しさん:2011/6/16(木) 23:43:54 ID:ayxDgaoNKQ
夫人「……」

執事「……御夫人」

夫人「……えぇ。勿論はったりよ?
城下町に家来だとか、逃げられないだとかは」

執事「…でしょうな」

夫人「すぐに町を出られるでしょうね
何なら、ショッピングをする余裕だってあるわ」

執事「…よろしかったのですか?」
169: 名無しさん:2011/6/16(木) 23:50:43 ID:H5eUe.tjLc
夫人「よろしかったも何も、反抗された時点で私の負けよぉ?」

夫人「私にはあの子達を『束縛』する術は無いのだから」

執事「左様ですか」

夫人「……思ったよりも、必要な物だったのかしらねぇ」

夫人「今更後悔しても遅いのだけれど」

執事「……では、お仕事ですよ。準備なさって下さい」

夫人「……仕事という束縛から、私は解き放たれたの」

執事「問答無用です」
170: ◆AlicexxO96:2011/6/17(金) 00:14:09 ID:96TVUWlwC6
よし、今日はここまでと致します

>>155>>157
ふむふむなるほど
いやー恥ずかしいミスしましたふへへww

>>155さん可愛いらしい絵をありがとうございました!

>>157さんの絵も心底期待しております!
携帯の前で正座して待機してますねww

>>162
わーお!Cがいっぱい!
ありがとうございまするm(_ _)m


いひー…1日間が空いた分、結構多めの更新量になりました…
疲れた…w

それではまた明日お会いしましょう
グッナイです!
171: 名無しさん:2011/6/17(金) 19:19:49 ID:G8lHzL2u4M
C あげ
172:
◆AlicexxO96:2011/6/17(金) 22:48:53 ID:PmyquluLE6
>>171
支援ありがたし…

少ないですが更新します
173: 名無しさん:2011/6/17(金) 23:06:45 ID:PmyquluLE6
男「白兎!」

白兎「は、はいっ!」

男「無事だな?」

白兎「はいっ!」

男「よし、ならいい」

山鼠「…俺が…無事じゃないんだが…」ゼェハァ

白兎「大丈夫山鼠ちゃん?
わ、靴が汚れていらっしゃる!すぐに靴磨きの準備しますね!
あわわ…床が汚い…掃除しなきゃ…」イソイソ

男「それ床やない、地べたや」

山鼠「城での雑用がもう体に染み込んでるぞ」

男「これもう手遅れじゃね?」
174: 名無しさん:2011/6/18(土) 00:37:19 ID:nyGYlXK0JM
更新待ってました!
っC
175: 名無しさん:2011/6/18(土) 10:46:14 ID:H5eUe.tjLc
白兎「えへへ…ご迷惑お掛けしました…」

男「見事な出落ちっぷりだったな」

白兎「いやー…何故か公爵夫人の命令には逆らえなくてですね…」

男「あの人にとって束縛と自由は紙一重なんだよ
ああいうのは気の持ちようだ」

白兎「確かに無理矢理逃げられましたもんね」

山鼠「おかげで俺の頑張りは無駄になったがな……」ガックシ

男「街にももう戻れないしな」ガックシ

白兎「買い物に来ただけだったんですがねぇ……」ガックシ
176: 名無しさん:2011/6/18(土) 11:00:47 ID:AkYREPUZEc
山鼠「口は災いの元だなホント」

白兎「ですね……」

男「で、これからどうすんの」

白兎「……そうですね、少々遠回りになりますが」

白兎「ここの城から北西に向かうと、川沿いの街があります」

男「川?」

白兎「はい。川です」

白兎「どちらにせよ、女王様の城に行くにはその川を渡らなければなりません」

男「ふうん」

白兎「少々歩く距離は、長くなりますがね」
177: 名無しさん:2011/6/18(土) 11:03:41 ID:DEPQDGNmG.
男「因みに、女王様の城はどこにあるの」

白兎「そですね、向こうに大きな山があるの見えます?」

白兎「その手前に川があってですね…」

白兎「あの山を越えたさらに向こうに…」

男「まず山が見えない」

白兎「え!あれ山じゃないんです!?」

山鼠「山はこっちだぞ」グイッ

白兎「へ?あ、あれですね
あの山の向こうです」

男「結構白兎の目も重症だな」
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