30歳からの青春を謳歌した話
Part4
280 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/23(月) 03:41:56.35 ID:H5v4l5vW0
そうして俺は悪く言えばぼっちの毎日
良く言えば低燃費な毎日を過ごしていた
それでスレの冒頭の、多摩川で爺さんたちに出会った
最初こそびっくりしたけど
相手が爺さんで懐かしい感じがして、俺が偶然仲良くなることができた
そしたらみるみる内に新鮮な出来事が俺を取り巻いてくれた
本当に、運が良かったよ
281 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/23(月) 03:49:34.82 ID:H5v4l5vW0
ここで>>262に戻るわけなんだけど
夏の旅行の一件や
爺さんの娘さんのおめでたで心動かれた俺は
自分を変える決心をした
憧子に連絡して、自分の本当の気持ちを伝えきろうと思った
彼女に「好きと言えなかった」ことが俺の重い足かせになっている
俺はそれをずっと見て見ぬフリしてきた
これが正しい選択かなんて分からない
今更、この歳になって「好きだった」なんて言うのは馬鹿げてる
でも一歩踏み出したかった
282 :名も無き被検体774号+:2012/04/23(月) 03:54:34.31 ID:icblK/vcO
一度止まった人生の坂道は傾斜が厳し過ぎる。
283 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/23(月) 03:57:48.91 ID:H5v4l5vW0
俺は休みをとって
地元に変える計画を立てた
とはいえ俺はいいものの
家庭がある彼女を引き連れるのは容易なことではなかった
俺の地元の近所では、毎年夏の終わりに花火大会がある
シーズン最後の花火大会となるそれには、県内から多くの人があつまる
俺の実家の庭は広く、絶好の花火鑑賞スポットだった
これを利用しようと思った
284 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/23(月) 04:03:14.56 ID:H5v4l5vW0
突然の連絡で驚いただろうな
今度の花火大会、ウチの庭で見よう
テーブルや椅子を用意して、外で花火見ながら酒盛りしよう。
家族はもちろん、高校メンツの連中を呼んでいいよ
そういって俺は柄にもなく自ら花火見酒を企画した
でも、不思議と嫌に感じなかったし、楽しくさえあった
もしかしたら、少しだけ爺さんの影響もあったのかもな
誰かを巻き込んで、誰かと一緒に飲む、それも悪くないと思えた
285 :名も無き被検体774号+:2012/04/23(月) 04:05:09.80 ID:vLLbK6AF0
楽しそうだな
そういうことしたいな
286 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/23(月) 04:09:54.86 ID:H5v4l5vW0
企画には、予想以上に多くの友人が集まった
憧子の力もあったからかもしれないが
皆4,5年ぶり、大学ぶりなんてヤツもいるのに来てくれた
「お前、元気にしてたのかよ!心配したぞ!」
「懐かしい、お前の家でよくスト?Uやったよな」
俺は目の前の光景に涙が出そうだった
皆すっかり大人になったとは言え
旧友は旧友なのだ
会った瞬間当時のテンションや懐かしさが一瞬で蘇る
皆と笑いながら飲んでて
「勇気を出してごらん」と言った爺さんの顔が浮かんだ
287 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/23(月) 04:15:57.44 ID:H5v4l5vW0
多くの人が俺の家の庭で楽しそうな時間を過ごしていた
俺はそれを見てウットリしていたが
途中、勇気を振り絞って憧子を呼び出した
「ちょっと来てごらん」と言って話しかけ
「どうした?」なんていう彼女を家の裏へと連れて行った
「ここにゴミまとめてあるから…」なんて最初は全然関係ないことを言ってたけど
俺は死ぬほど勇気を振り絞った
288 :名も無き被検体774号+:2012/04/23(月) 04:17:49.65 ID:vLLbK6AF0
ドキドキしてきた
289 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/23(月) 04:21:31.81 ID:H5v4l5vW0
俺は、はっきりと憧子に伝えた
「ずっと言いたくて言えなかったことなんだけど
言わないと俺がずっと変われないから言うよ」
こんな言い回しで話し始めたと思う
「ずっと憧子のことが好きでした。でも素敵な人を見つけた。これからは幸せになってね」
言った。言ったぞ。
これが本当に正解だったかは分からないけど、言った。
憧子はしばらく呆然としていた
が、すぐに笑って「なにそれwありがとう。幸せでいるよ」と言った
290 :名も無き被検体774号+:2012/04/23(月) 04:25:13.10 ID:W1HUZB9y0
言えたし、相手の家庭を壊さない配慮もできたんだね
291 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/23(月) 04:27:14.59 ID:H5v4l5vW0
そして彼女は付け加えてこう言った
「あ、これも言ったほうがいい?…ごめんなさい」
そう言って俺に頭を下ろした
その瞬間、俺が人生をかけて育ててきた、悪いものなのか、良い物なのか分からないけど
そんな何かが心の中から消え去った気がした
彼女はとても驚いていたけど、真剣に応えてくれた
大人だし、茶化して流して終わりにもできる
けれど憧子は中学の時となんら変わらない様子で、
真剣に俺の告白に応えてくれた
292 :名も無き被検体774号+:2012/04/23(月) 04:32:04.33 ID:vLLbK6AF0
いい女だな
1もいい男だ
293 :名も無き被検体774号+:2012/04/23(月) 04:32:15.06 ID:CjAQ3NA50
暖かい
294 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/23(月) 04:33:45.46 ID:H5v4l5vW0
すごく悲しい気持ちになった
でも、色々な事実をこれでやっと受け止めた気がした
彼女が結婚したということも
俺が新しい一歩を踏み出さなきゃいけないということも
とても前向きな気持になれて
今ならなんでもできる、という気さえした
憧子と二人で表の宴会に戻るとき、
憧子に「俺も頑張りなよ。」と笑顔で言われた
何かを察していたんだろうな
俺も勢い良く「今日からまた新しい一歩を踏み出すんだ」と言った
295 :名も無き被検体774号+:2012/04/23(月) 04:34:58.98 ID:FyqruSTQO
いい話だ…
297 :名も無き被検体774号+:2012/04/23(月) 04:39:24.89 ID:tpPzrwuo0
趣味って大事だな・・・・
趣味のひとつもない俺
碁で打ち解けることも、歌の趣味で話がはずむことも、
本の話で仲良くなることもない・・・
趣味って大事だな・・・
なんて薄っぺらい俺、自己嫌悪になるよ
300 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/23(月) 04:42:07.17 ID:H5v4l5vW0
>>297
俺もずっとそう思っていたんだよ
俺は薄っぺらだって
でも今からだって何か見つかるさ、30過ぎたオッサンだって見つけられたよ
298 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/23(月) 04:39:29.28 ID:H5v4l5vW0
その日見た花火は、あの大学の時見た花火より数段綺麗で
なんとなくだけど希望に満ち溢れてる気がした
あの夏が最後の花火になってしまったと思ったのに…
まわりの皆に「今年最後の花火だね」って言われて、俺はそんなことを思ってた
いくつになってからでも花火は打ち合えげられるんだ、なんて
そんなクサイことを考えながら皆と一緒に花火酒にウットリしていた
302 : 忍法帖【Lv=6,xxxP】 :2012/04/23(月) 04:48:15.63 ID:pD7VPc1MO
何度も繰り返して読み返しても、良い話だと思うし癒される
『自分も変わらなくちゃ…』って気持ちにもなる
まだまだ自分が持つ課題は山積みだけど、このスレを見てると頑張ろうって元気な気持ちになれる
心から>>1氏に感謝したい
303 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/23(月) 04:51:39.01 ID:H5v4l5vW0
それからの俺は、だいぶ社交的になったと思う
会社の飲み会にもよく顔を出すようになり
会社の同僚たちともよく遊ぶようになった
ほとんど話したことのなかった会社の女の子たちとも関わるようになり
気持ちひとつでここまで世界が変わるのかって思った
その間も碁会所には通い続けた
爺さんの娘さんのお腹が少しだけ大きくなってきたり
大学生君やマスターの娘さんたちともたまに顔を合わせ
俺の毎日は、急に楽しくなった
305 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/23(月) 05:01:09.18 ID:H5v4l5vW0
そしてなんと同僚の年下の女の子に、偶然にも囲碁に少し興味があるという子がいて
俺はその子と懇意になっていった
休日何してるんですか?と聞かれて恥ずかしそうに
碁会所とか行ってるw と行ったら予想外に食いついて来たのだ
碁会所にもその子を連れて行ったりして
顔なじみのお客さんに茶化されマスターに笑われ
この時点で秋もすぎて冬だったかな
爺さんに出会ってから、俺の毎日は目まぐるしく変わった
355 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/24(火) 00:26:09.03 ID:oLJvEn5z0
俺にとって幸せな毎日だった
とてもとても
その年のクリスマスも人生で初めて異性と過ごした
後輩は、とてもいい子だった
碁会所で、クリスマス会なんぞもあった
忙しい合間をぬって、俺は行った
小学校の頃の「お楽しみ会」を思い出すかのようなアットホームぶり
356 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/24(火) 00:30:17.05 ID:oLJvEn5z0
大の大人たちが年甲斐もなくはしゃぎ倒している
ほとんどの人が、碁会所でしか会わないのに
昔からの友達かのようにとても親しげに楽しそうに、
俺は、この碁会所に来て生まれ変わった
俺に楽しみをくれたし、若さをくれた
こんなお年寄りたちに若さをもらうなんて、なw
358 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/24(火) 00:39:04.37 ID:oLJvEn5z0
年が明けると、俺は彼女となった後輩を連れて爺さん家に行った
もう、すっかり娘さんのお腹も大きくなってきていて
家の中は幸せな空気そのものといったところ
俺の目の前にも洋々とした未来が広がりだしたなって思った
爺さんしきりに孫が生まれるぞいいだろいいだろ、って言うんだw
そんで俺君にも子どもが生まれたら私の孫だって言うんだw
ほんと、憎めない人だよw
359 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/24(火) 00:44:39.26 ID:oLJvEn5z0
それからしばらくは、碁会所にもそんなに行けなくなった
俺も仕事が忙しかったし
まあ何もかもが順風満帆な気がしたし、仕事は辛くなかった
たまーに碁会所に行っても爺さん家の誰かに会うこともなかった
娘さんもそろそろ大変だろうし、色々とバタバタしてるんだろう
子どもが生まれるってどんなんかなあって俺は楽しく想像してた
360 :名も無き被検体774号+:2012/04/24(火) 00:46:37.99 ID:N6u/bFsv0
もしや爺さん・・・
361 :名も無き被検体774号+:2012/04/24(火) 00:47:09.91 ID:0ynKXrBG0
胸騒ぎ
362 :名も無き被検体774号+:2012/04/24(火) 00:48:39.14 ID:FSe7XKDfO
どうして世の中の男が簡単に彼女を作っているのに俺には彼女が出来ないのだろうか?
363 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/24(火) 00:49:12.73 ID:oLJvEn5z0
3月になった頃かな
ちょうど地震があってさ
どうなっているだろうって碁会所に様子を見に行ったんだよ
なんとか皆無事だと聞いて、安心した
碁会所には爺さんの娘さんの旦那が来ていた
俺は「爺さん最近どうしてるの?」って聞いた
なんでも、地震の揺れに驚いてつまずき、少し足を悪くしたらしい
だからしばらく来れないとか
俺は少し寂しくなるなーって思った
364 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/24(火) 00:57:24.18 ID:oLJvEn5z0
それで4月になった頃、爺さんの娘さんが出産した
娘さんと旦那さんが碁会所に子ども連れてきていた
元々が仲の良い碁会所
みんな寄ってたかって子どもをみたがり軽い祭り状態
俺も「お〜よちよち〜」とか言ってたw
もうね、赤ちゃんってね、マジ可愛いんだw
ただそこに嬉しそうに笑ってるはずの爺さんはいなかった
よっぽど足悪くしたんだろうな、残念だ
365 :名も無き被検体774号+:2012/04/24(火) 01:00:47.03 ID:N6u/bFsv0
やはり爺さん・・・
366 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/24(火) 01:01:01.20 ID:oLJvEn5z0
俺はそれからも楽しい毎日を続けていた
仕事も楽しいし、友人ともうまくやってた
恋の方も順調で、碁会所にも通い続けていた
まあ相変わらず2ちゃんやらネットも存分に続けていたw
でも、相変わらず爺さんたち一家はパッタリ来なかった
こっちからはあまり連絡をとったことがなかったし
今までも自然に碁会所で会う感じだったから、とても拍子抜けだった
おかしいなあおかしいなあって思いながらも
俺はいつか来るだろうって思って待ってた
爺さんがいるはずの隅の席が寂しく見えた
コーヒー、淹れてやるのにな
367 :名も無き被検体774号+:2012/04/24(火) 01:02:34.02 ID:E5hjbzlDi
そんなのいやだよ
爺さん…!
368 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/24(火) 01:04:42.59 ID:oLJvEn5z0
夏が来た頃、俺はあまりにおかしいって思った
マスターに聞いても「何も聞かされてないんだ」って言う
こんなことは初めてらしかった
なんとなく嫌な予感がし始めたので
俺は爺さんの家の電話に連絡しようかと考えた
でも携帯とは違うし、あくまで碁会所だけの友人である俺が
いきなり自宅に電話かけるってのもあれだし…って思ってずっと悩んでた
369 :名も無き被検体774号+:2012/04/24(火) 01:04:53.90 ID:kYz4JE3oO
ザオリクザオリク!Σ(゚Д゚;)
!
370 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/24(火) 01:08:06.98 ID:oLJvEn5z0
ただ、社会人になるとあまりに時間が流れるのが早いんだよな
みんな分かるだろ?大学の頃の10倍時の流れが早く感じる
仕事やら実家のことやら、色々追われていたらあっという間に夏が終わってた
あまりに一瞬だった
あれ?夏いつだった?って思った、コミケも行かなかったし
夏が終わろうと相変わらず来ない爺さん一家
もうどう考えても何かあったとしか思えなかった
371 :名も無き被検体774号+:2012/04/24(火) 01:08:30.84 ID:ImhJIQLO0
爺さんの件が激しく心配である
372 :名も無き被検体774号+:2012/04/24(火) 01:11:27.65 ID:ZbphUaiJi
やだやだやだやだやだ( ; ; )
そうして俺は悪く言えばぼっちの毎日
良く言えば低燃費な毎日を過ごしていた
それでスレの冒頭の、多摩川で爺さんたちに出会った
最初こそびっくりしたけど
相手が爺さんで懐かしい感じがして、俺が偶然仲良くなることができた
そしたらみるみる内に新鮮な出来事が俺を取り巻いてくれた
本当に、運が良かったよ
281 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/23(月) 03:49:34.82 ID:H5v4l5vW0
ここで>>262に戻るわけなんだけど
夏の旅行の一件や
爺さんの娘さんのおめでたで心動かれた俺は
自分を変える決心をした
憧子に連絡して、自分の本当の気持ちを伝えきろうと思った
彼女に「好きと言えなかった」ことが俺の重い足かせになっている
俺はそれをずっと見て見ぬフリしてきた
これが正しい選択かなんて分からない
今更、この歳になって「好きだった」なんて言うのは馬鹿げてる
でも一歩踏み出したかった
282 :名も無き被検体774号+:2012/04/23(月) 03:54:34.31 ID:icblK/vcO
一度止まった人生の坂道は傾斜が厳し過ぎる。
283 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/23(月) 03:57:48.91 ID:H5v4l5vW0
俺は休みをとって
地元に変える計画を立てた
とはいえ俺はいいものの
家庭がある彼女を引き連れるのは容易なことではなかった
俺の地元の近所では、毎年夏の終わりに花火大会がある
シーズン最後の花火大会となるそれには、県内から多くの人があつまる
俺の実家の庭は広く、絶好の花火鑑賞スポットだった
これを利用しようと思った
284 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/23(月) 04:03:14.56 ID:H5v4l5vW0
突然の連絡で驚いただろうな
今度の花火大会、ウチの庭で見よう
テーブルや椅子を用意して、外で花火見ながら酒盛りしよう。
家族はもちろん、高校メンツの連中を呼んでいいよ
そういって俺は柄にもなく自ら花火見酒を企画した
でも、不思議と嫌に感じなかったし、楽しくさえあった
もしかしたら、少しだけ爺さんの影響もあったのかもな
誰かを巻き込んで、誰かと一緒に飲む、それも悪くないと思えた
楽しそうだな
そういうことしたいな
286 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/23(月) 04:09:54.86 ID:H5v4l5vW0
企画には、予想以上に多くの友人が集まった
憧子の力もあったからかもしれないが
皆4,5年ぶり、大学ぶりなんてヤツもいるのに来てくれた
「お前、元気にしてたのかよ!心配したぞ!」
「懐かしい、お前の家でよくスト?Uやったよな」
俺は目の前の光景に涙が出そうだった
皆すっかり大人になったとは言え
旧友は旧友なのだ
会った瞬間当時のテンションや懐かしさが一瞬で蘇る
皆と笑いながら飲んでて
「勇気を出してごらん」と言った爺さんの顔が浮かんだ
287 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/23(月) 04:15:57.44 ID:H5v4l5vW0
多くの人が俺の家の庭で楽しそうな時間を過ごしていた
俺はそれを見てウットリしていたが
途中、勇気を振り絞って憧子を呼び出した
「ちょっと来てごらん」と言って話しかけ
「どうした?」なんていう彼女を家の裏へと連れて行った
「ここにゴミまとめてあるから…」なんて最初は全然関係ないことを言ってたけど
俺は死ぬほど勇気を振り絞った
288 :名も無き被検体774号+:2012/04/23(月) 04:17:49.65 ID:vLLbK6AF0
ドキドキしてきた
289 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/23(月) 04:21:31.81 ID:H5v4l5vW0
俺は、はっきりと憧子に伝えた
「ずっと言いたくて言えなかったことなんだけど
言わないと俺がずっと変われないから言うよ」
こんな言い回しで話し始めたと思う
「ずっと憧子のことが好きでした。でも素敵な人を見つけた。これからは幸せになってね」
言った。言ったぞ。
これが本当に正解だったかは分からないけど、言った。
憧子はしばらく呆然としていた
が、すぐに笑って「なにそれwありがとう。幸せでいるよ」と言った
290 :名も無き被検体774号+:2012/04/23(月) 04:25:13.10 ID:W1HUZB9y0
言えたし、相手の家庭を壊さない配慮もできたんだね
291 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/23(月) 04:27:14.59 ID:H5v4l5vW0
そして彼女は付け加えてこう言った
「あ、これも言ったほうがいい?…ごめんなさい」
そう言って俺に頭を下ろした
その瞬間、俺が人生をかけて育ててきた、悪いものなのか、良い物なのか分からないけど
そんな何かが心の中から消え去った気がした
彼女はとても驚いていたけど、真剣に応えてくれた
大人だし、茶化して流して終わりにもできる
けれど憧子は中学の時となんら変わらない様子で、
真剣に俺の告白に応えてくれた
292 :名も無き被検体774号+:2012/04/23(月) 04:32:04.33 ID:vLLbK6AF0
いい女だな
1もいい男だ
293 :名も無き被検体774号+:2012/04/23(月) 04:32:15.06 ID:CjAQ3NA50
暖かい
294 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/23(月) 04:33:45.46 ID:H5v4l5vW0
すごく悲しい気持ちになった
でも、色々な事実をこれでやっと受け止めた気がした
彼女が結婚したということも
俺が新しい一歩を踏み出さなきゃいけないということも
とても前向きな気持になれて
今ならなんでもできる、という気さえした
憧子と二人で表の宴会に戻るとき、
憧子に「俺も頑張りなよ。」と笑顔で言われた
何かを察していたんだろうな
俺も勢い良く「今日からまた新しい一歩を踏み出すんだ」と言った
295 :名も無き被検体774号+:2012/04/23(月) 04:34:58.98 ID:FyqruSTQO
いい話だ…
297 :名も無き被検体774号+:2012/04/23(月) 04:39:24.89 ID:tpPzrwuo0
趣味って大事だな・・・・
趣味のひとつもない俺
碁で打ち解けることも、歌の趣味で話がはずむことも、
本の話で仲良くなることもない・・・
趣味って大事だな・・・
なんて薄っぺらい俺、自己嫌悪になるよ
300 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/23(月) 04:42:07.17 ID:H5v4l5vW0
>>297
俺もずっとそう思っていたんだよ
俺は薄っぺらだって
でも今からだって何か見つかるさ、30過ぎたオッサンだって見つけられたよ
298 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/23(月) 04:39:29.28 ID:H5v4l5vW0
その日見た花火は、あの大学の時見た花火より数段綺麗で
なんとなくだけど希望に満ち溢れてる気がした
あの夏が最後の花火になってしまったと思ったのに…
まわりの皆に「今年最後の花火だね」って言われて、俺はそんなことを思ってた
いくつになってからでも花火は打ち合えげられるんだ、なんて
そんなクサイことを考えながら皆と一緒に花火酒にウットリしていた
302 : 忍法帖【Lv=6,xxxP】 :2012/04/23(月) 04:48:15.63 ID:pD7VPc1MO
何度も繰り返して読み返しても、良い話だと思うし癒される
『自分も変わらなくちゃ…』って気持ちにもなる
まだまだ自分が持つ課題は山積みだけど、このスレを見てると頑張ろうって元気な気持ちになれる
心から>>1氏に感謝したい
それからの俺は、だいぶ社交的になったと思う
会社の飲み会にもよく顔を出すようになり
会社の同僚たちともよく遊ぶようになった
ほとんど話したことのなかった会社の女の子たちとも関わるようになり
気持ちひとつでここまで世界が変わるのかって思った
その間も碁会所には通い続けた
爺さんの娘さんのお腹が少しだけ大きくなってきたり
大学生君やマスターの娘さんたちともたまに顔を合わせ
俺の毎日は、急に楽しくなった
305 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/23(月) 05:01:09.18 ID:H5v4l5vW0
そしてなんと同僚の年下の女の子に、偶然にも囲碁に少し興味があるという子がいて
俺はその子と懇意になっていった
休日何してるんですか?と聞かれて恥ずかしそうに
碁会所とか行ってるw と行ったら予想外に食いついて来たのだ
碁会所にもその子を連れて行ったりして
顔なじみのお客さんに茶化されマスターに笑われ
この時点で秋もすぎて冬だったかな
爺さんに出会ってから、俺の毎日は目まぐるしく変わった
355 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/24(火) 00:26:09.03 ID:oLJvEn5z0
俺にとって幸せな毎日だった
とてもとても
その年のクリスマスも人生で初めて異性と過ごした
後輩は、とてもいい子だった
碁会所で、クリスマス会なんぞもあった
忙しい合間をぬって、俺は行った
小学校の頃の「お楽しみ会」を思い出すかのようなアットホームぶり
356 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/24(火) 00:30:17.05 ID:oLJvEn5z0
大の大人たちが年甲斐もなくはしゃぎ倒している
ほとんどの人が、碁会所でしか会わないのに
昔からの友達かのようにとても親しげに楽しそうに、
俺は、この碁会所に来て生まれ変わった
俺に楽しみをくれたし、若さをくれた
こんなお年寄りたちに若さをもらうなんて、なw
358 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/24(火) 00:39:04.37 ID:oLJvEn5z0
年が明けると、俺は彼女となった後輩を連れて爺さん家に行った
もう、すっかり娘さんのお腹も大きくなってきていて
家の中は幸せな空気そのものといったところ
俺の目の前にも洋々とした未来が広がりだしたなって思った
爺さんしきりに孫が生まれるぞいいだろいいだろ、って言うんだw
そんで俺君にも子どもが生まれたら私の孫だって言うんだw
ほんと、憎めない人だよw
359 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/24(火) 00:44:39.26 ID:oLJvEn5z0
それからしばらくは、碁会所にもそんなに行けなくなった
俺も仕事が忙しかったし
まあ何もかもが順風満帆な気がしたし、仕事は辛くなかった
たまーに碁会所に行っても爺さん家の誰かに会うこともなかった
娘さんもそろそろ大変だろうし、色々とバタバタしてるんだろう
子どもが生まれるってどんなんかなあって俺は楽しく想像してた
360 :名も無き被検体774号+:2012/04/24(火) 00:46:37.99 ID:N6u/bFsv0
もしや爺さん・・・
361 :名も無き被検体774号+:2012/04/24(火) 00:47:09.91 ID:0ynKXrBG0
胸騒ぎ
362 :名も無き被検体774号+:2012/04/24(火) 00:48:39.14 ID:FSe7XKDfO
どうして世の中の男が簡単に彼女を作っているのに俺には彼女が出来ないのだろうか?
363 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/24(火) 00:49:12.73 ID:oLJvEn5z0
3月になった頃かな
ちょうど地震があってさ
どうなっているだろうって碁会所に様子を見に行ったんだよ
なんとか皆無事だと聞いて、安心した
碁会所には爺さんの娘さんの旦那が来ていた
俺は「爺さん最近どうしてるの?」って聞いた
なんでも、地震の揺れに驚いてつまずき、少し足を悪くしたらしい
だからしばらく来れないとか
俺は少し寂しくなるなーって思った
364 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/24(火) 00:57:24.18 ID:oLJvEn5z0
それで4月になった頃、爺さんの娘さんが出産した
娘さんと旦那さんが碁会所に子ども連れてきていた
元々が仲の良い碁会所
みんな寄ってたかって子どもをみたがり軽い祭り状態
俺も「お〜よちよち〜」とか言ってたw
もうね、赤ちゃんってね、マジ可愛いんだw
ただそこに嬉しそうに笑ってるはずの爺さんはいなかった
よっぽど足悪くしたんだろうな、残念だ
365 :名も無き被検体774号+:2012/04/24(火) 01:00:47.03 ID:N6u/bFsv0
やはり爺さん・・・
366 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/24(火) 01:01:01.20 ID:oLJvEn5z0
俺はそれからも楽しい毎日を続けていた
仕事も楽しいし、友人ともうまくやってた
恋の方も順調で、碁会所にも通い続けていた
まあ相変わらず2ちゃんやらネットも存分に続けていたw
でも、相変わらず爺さんたち一家はパッタリ来なかった
こっちからはあまり連絡をとったことがなかったし
今までも自然に碁会所で会う感じだったから、とても拍子抜けだった
おかしいなあおかしいなあって思いながらも
俺はいつか来るだろうって思って待ってた
爺さんがいるはずの隅の席が寂しく見えた
コーヒー、淹れてやるのにな
367 :名も無き被検体774号+:2012/04/24(火) 01:02:34.02 ID:E5hjbzlDi
そんなのいやだよ
爺さん…!
368 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/24(火) 01:04:42.59 ID:oLJvEn5z0
夏が来た頃、俺はあまりにおかしいって思った
マスターに聞いても「何も聞かされてないんだ」って言う
こんなことは初めてらしかった
なんとなく嫌な予感がし始めたので
俺は爺さんの家の電話に連絡しようかと考えた
でも携帯とは違うし、あくまで碁会所だけの友人である俺が
いきなり自宅に電話かけるってのもあれだし…って思ってずっと悩んでた
369 :名も無き被検体774号+:2012/04/24(火) 01:04:53.90 ID:kYz4JE3oO
ザオリクザオリク!Σ(゚Д゚;)
!
370 :1 ◆yT5YRa9V0k :2012/04/24(火) 01:08:06.98 ID:oLJvEn5z0
ただ、社会人になるとあまりに時間が流れるのが早いんだよな
みんな分かるだろ?大学の頃の10倍時の流れが早く感じる
仕事やら実家のことやら、色々追われていたらあっという間に夏が終わってた
あまりに一瞬だった
あれ?夏いつだった?って思った、コミケも行かなかったし
夏が終わろうと相変わらず来ない爺さん一家
もうどう考えても何かあったとしか思えなかった
371 :名も無き被検体774号+:2012/04/24(火) 01:08:30.84 ID:ImhJIQLO0
爺さんの件が激しく心配である
372 :名も無き被検体774号+:2012/04/24(火) 01:11:27.65 ID:ZbphUaiJi
やだやだやだやだやだ( ; ; )
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