Part2
77 :
名無しさん@おーぷん :2016/07/30(土)23:05:20 ID:
o3W
彡(゚)(゚)「周転円モデルとエカントの組み合わせ。
細かい部分を除けば、プトレマイオスの天動説はこれで完成形と言ってええやろな」
(´・ω・`)「でもその二つを組み合わせたら惑星の動きはかなり複雑になりそうだね」
彡(゚)(゚)「せやな、プトレマイオスの説に基づくと惑星の動きはこんな感じになるで」
[
写真を見る]
(;´・ω・)「やっぱり複雑だね…」
彡(゚)(゚)「実はこの複雑さが天動説が長らく覆されなかった理由の一つでもあり、最終的に覆された理由でもあるんや」
(´・ω・`)「どういう事?」
彡(゚)(゚)「”プトレマイオスの天動説はあまりに複雑で理解できる人が少なかった”んや」
彡(‐)(‐)「当時読み書きのできる人は今ほど多くなかった上、その中でも天文学に精通する人間はごく一部だけや。
裕福な家庭に生まれて高等教育を受け、さらに才能を認められて聖職者の道を目指し(※5)、
様々な知識を必要とされる中で天文学を選んで探求した人やな」
彡(゚)(゚)「もちろん例外もあるんやけど、プトレマイオスの天動説に触れることができたのはそんな人たちだったんや。
しかも触れたところで複雑で難解なもんやから、ちゃんと理解した上で疑問を抱ける人なんてほとんど居なかったんやな」
(´‐ω‐)「そっか、理解しようとした人が少なかったから覆してやろうなんて考える人も出てこなかったんだね」
彡(゚)(゚)「結局プトレマイオスが天動説をまとめて以降、ヨーロッパの天文学の発展は1000年以上に渡って停滞してしまうんや。
どっかの球団が可愛く思えてくる程の超暗黒時代に突入してしまったわけやな」
※5:聖職者の道を目指し
天動説が支持されていた時代のヨーロッパでは、天文学は聖職者になるために学んでおくと良いとされる学問だった
しかし天文学を修めても星の見かけの位置を計算によって予測できる程度の利用価値しか無く、
あくまで占星術の中の一分野という認識が強かった
90 :
名無しさん@おーぷん :2016/07/30(土)23:09:45 ID:
o3W
(´・ω・`)「停滞の時代がそんなに長かったのは天動説が複雑だったからだけなの?」
彡(゚)(゚)「もちろん天動説が覆されなかった要因は他にもあるで。例えば…」
◆観測技術が未熟であったため
望遠鏡が発明されたのが16世紀の終わり頃であり、それまでの天体観測は基本的に目視なので観測誤差も大きかった
そのためプトレマイオスの理論から導かれる天体の位置と実際の位置との差を発見するのは容易ではなかった
◆物理学が未発達であったため
引力の概念や力学が確立されたのは17世紀後半以降であり、それまでは
「もし地球が動いているのならば、何故我々はその動きを感じず、吹っ飛ばされる事もなく地球上に立っていられるのか」
といった疑問に答えを出す事ができずにいたため、これらを地球が動いていない証拠として天動説が支持されていた
◆天動説に疑いを持つ必要が無かったため
プトレマイオスの天動説は当時としては不便の無いレベルの精度であり、天体の見かけの動きを予測するのにも有用であった
予測と実際の天体の見かけの位置に僅かな差はあったものの、ほとんどの場合は計算をさらに複雑にする形で修正され、
絶対的な存在である聖書の記述とも矛盾しない天動説に疑いを持つ理由は少なかった
◆そもそも天動説は宇宙の真の姿を暴こうとしたものではなかったため
プトレマイオスは天文学者であると同時に占星学者でもあったため、
宇宙の真の姿を暴くよりも天体の見かけの動きを予測する方が重要であると考えていた
天動説を記した彼の著書であるアルマゲストも実質的には計算の手順書であり、
「宇宙の真の姿がどうなっているのか」という謎は別の話として長らく宗教や哲学に委ねられていた
(´‐ω‐)「いろんな要因が重なってたんだね。どれか一つでも変われば突破口が開けそうな感じもするけど…」
彡(‐)(‐)「暗黒時代なんてそんなもんや。こういうところはスポーツも学問もあまり変わらんのやな」
111 :
名無しさん@おーぷん :2016/07/30(土)23:12:49 ID:
o3W
(´・ω・`)「そうだ。さっき”天動説が複雑だった事が最終的に覆された理由でもある”って言ってたよね?
あれはどういう事だったの?」
彡(゚)(゚)「プトレマイオスの天動説が随分と複雑なもんやから、”その複雑さ自体に疑問を持つ人”が徐々に現れはじめるんや。
ワイらの居る宇宙はこんなに複雑なんか? と考えるようになってきたんやな」
彡(^)(^)「その中の一人が、地動説の基礎を築いたとされる『ニコラウス・コペルニクス』や」
(´・ω・)「どんな風に地動説の基礎を築いたの?」
彡(‐)(‐)「コペルニクスは聖職者になるために天文学を修めていて、その過程でプトレマイオスの天動説に出会ったんや。
ほんで何か強く惹かれるものがあったんやろな、資料を漁るだけじゃなく自ら天体観測も行うようになったんや」
(´・ω・)「どんな観測をしてたの?」
彡(゚)(゚)「観測そのものは目視で惑星の位置を測るパターンがほとんどや。
せやけどコペルニクスが生きた15〜16世紀頃には観測を補助する道具が多く発明されとったから、
それまでと比べると精度の高い観測が可能だったんや」
彡(゚)(゚)「ほんでもって、そうやって少しずつ観測を行っていくうちに、
天動説で予測される天体の位置や大きさと実際の観測結果が異なると気づいたんや」
(´・ω・`)「でも微妙に違うって気づいた人はそれまでにも居たんでしょ?
ほとんどの場合は計算を複雑にする形で解決されてたって話だったけど」
彡(^)(^)「確かに小さな差に気づく段階までたどり着いた人は他にもおったんや。
せやけどコペルニクスは他の人たちとは逆方向に考えを進めたんやな」
(´・ω・)「逆方向?」
彡(゚)(゚)「多くの学者がより複雑な計算を行って違和感を解消していたのに対し、
コペルニクスは”より単純化する事で解決できるのではないか”と考えたんや」
126 :
名無しさん@おーぷん :2016/07/30(土)23:14:45 ID:
o3W
(´・ω・`)「単純化して解決って言うと?」
彡(^)(^)「察しの通りやろうけど”地球ではなく太陽を回転の中心とした”んや」
彡(゚)(゚)「これで逆行の説明に周転円モデルは必要なくなるし、水星や金星が太陽から離れない(※6)理由も説明できたんや。
まぁ今だから言えるんやけど、それが本当の宇宙の姿なんやから当たり前の話やな」
(´・ω・)「つまり地動説を発見したんだね」
彡(゚)(゚)「厳密に言えば”再”発見やけどな。太陽を宇宙の中心とする考え方は紀元前の時点でも存在しとったんや。
とは言え精密な計算をもって太陽が中心だと主張したのはコペルニクスが初やろうけどな」
彡(゚)(゚)「コペルニクスが想像した宇宙モデルはこんな形や。だいぶ簡略化されとるけどな」
[
写真を見る]
彡(゚)(゚)「この図では太陽(Sol)が中心で、惑星は内側から順に水星、金星、地球、火星、木星、土星の順で並んどる。
一番外側にある円は『恒星天』と言って、惑星以外の恒星がここを廻ってるって意味の表記やな」
(´・ω・)「地球を廻る月も書かれてるし、もうほとんど実際の太陽系と同じだね」
(´‐ω‐)「ここまで完璧な説を出されたら天動説も終わりだね…」
彡(゚)(゚)「と思うやろ? 残念な事にまだ終わらないんやなぁこれが」
(;´・ω・)「あれ? せっかく地動説が出てきたのに、まだ天動説は覆されないの?」
彡(゚)(゚)「せや、実は当時”コペルニクスの地動説はほとんど支持を得られなかった”んや」
※6:水星や金星が太陽から離れない
水星と金星は地球より内側を公転する惑星なので、地球から観測すると常に太陽の近くに見える
地動説では当然の事として説明が可能だが、プトレマイオスの天動説ではこの理由を上手く説明できず、
水星と金星だけ計算に大きな補正をかけるなどやや力ずくで解決していた
152 :
名無しさん@おーぷん :2016/07/30(土)23:19:08 ID:
o3W
(´・ω・`)「どうして支持を得られなかったの?」
彡(‐)(‐)「まぁ一言で表せば”説得力に欠けていたから”やな」
彡(゚)(゚)「コペルニクスの地動説は地球ではなく太陽が中心という核心を突いてはいたんやけど、
実はそれ以外の部分はそれまで天動説で使われていた理論を流用していたんや」
(´・ω・)「例えばどんな部分?」
彡(゚)(゚)「まず、コペルニクスは”惑星の公転軌道が楕円である”事には気づけなかったんや。
しかも例によって真円を絶対視する考えを持っとったから、真円だけで全てに説明を付けようとしてしまったんやな」
(;´・ω・)「それってプトレマイオスと同じだよね…」
彡(゚)(゚)「せやな。しかも真円を使う事で発生するズレの穴埋めに周転円を使うという本末転倒な解決法を採ってしまっとる」
(´・ω・)「あれ? さっき”周転円モデルは必要なくなった”って言ってなかった?」
彡(‐)(‐)「それはあくまで”惑星の見かけの逆行を説明するのには必要ない”ってだけや」
彡(゚)(゚)「コペルニクスは周転円モデル自体は必要な要素だと考えていたんやろな。
さっきの図は簡略化されとるから描かれとらんけど、数値のズレを説明する為に周転円を使いまくっとるんや」
(´・ω・)「それじゃあ天体の配置が変わっただけで、中身はだいぶ複雑なままだったんじゃないの?」
彡(゚)(゚)「それまでの天動説と比べると幾分シンプルにはなってたみたいやけどな。
せやけど結局複雑である事は確かやし、正直数字の精度もそれほど高いわけではなかったんや」
彡(‐)(‐)「どっちにしろ複雑やし精度も大して変わらんとなれば、
慣れ親しんだ今までの説と突拍子も無い新説のどちらを支持する声が多いかは言うまでもないやろ」
176 :
名無しさん@おーぷん :2016/07/30(土)23:23:07 ID:
o3W
(´・ω・`)「発想は画期的だっただけに惜しかったね」
彡(゚)(゚)「まぁもし精度が高かったとしても、当時の状況を考えれば結局は支持を得られなかった可能性も高いやろうけどな」
(´・ω・)「どういうこと?」
彡(゚)(゚)「当時は、もし地動説が真実であるならば…という数々の反論に対して返す言葉も無い状態だったんや。
なぜ地球が太陽に向かって落ちていかないのか、なぜ空を飛ぶ鳥は動いている地球に置いていかれないのか、
なぜ真上に撃った矢がその場に落ちてくるのか、なぜ地球にだけ月があるのか、地球を動かす力はどこから来ているのか…」
彡(゚)(゚)「こういった反論を退けられるようになるのはもう少し後の時代や。
実際それができないうちは地動説はなかなか認めて貰えなかったわけやしな」
(´‐ω‐)「地動説が理解されるにはまだ環境が整ってなかったんだね」
彡(‐)(‐)「せやな。古い環境の中で新しい物が理解を得るってのはなかなか難しいもんや」
(´・ω・`)「理解を得ようとしてる分、有無を言わさず侵略する誰かさんよりよっぽどマシだと思うけどね」
誰の事や!腐れ原住民が!
※AA略。
204 :
名無しさん@おーぷん :2016/07/30(土)23:27:46 ID:
o3W
彡(゚)(゚)「まぁ当初は支持を得られなかったとは言え、『天球の回転について』という著書の中で地動説について言及しとるんや。
こうやって書物として地動説を遺した事が後々大きな波を作り出していくんやで」
(#´・ω◎`)「結局は本を1冊書いただけで終わっちゃったんだね」
彡(‐)(‐)「小さな事のように感じるやろうけど、その1冊を世に送り出すだけでも勇気ある決断だったんやで」
彡(゚)(゚)「コペルニクスは天文学者であると同時に聖職者やった。
天文学者としては地動説を主張したいんやけど、聖職者としては聖書に裏付けられた天動説を信じたかったんやな」
(´・ω・)「複雑な立場だったんだね」
彡(゚)(゚)「この立場で聖書に反する地動説を唱える事は教会への裏切りともとれる行為やからな。
”我々は今まで嘘を教えていた”と認めるようなもんやし、下手すりゃ異端扱いされて派閥争いに巻き込まれるかもしれん」
(;´・ω・)「大変な事になりそうなのは簡単に想像できるね」
彡(゚)(゚)「それでもコペルニクスは天文学者としての芯を通して地動説を発表したんや。英断やな」
(´・ω・`)「大丈夫だったの? 袋叩きにされそうな気がするけど…」
彡(゚)(゚)「それが案外平和なままだったんやな。と言うのも、『天球の回転について』を校閲したアンドレアス・オジアンダーが勝手に
”太陽を中心としたのは計算上の便宜の為であり、これはあくまで仮説に過ぎない”って但し書きを追加したんや」
彡(゚)(゚)「これによって数ある仮説の一つ扱いになったから、コペルニクスの地動説は大きな批判を浴びずに生き残ったと言われとる。
一方でオジアンダーがあんなチキンじゃなけりゃ地動説はもっと早く普及してたやろって意見もあるんやけどな」
(´・ω・)「結果論ってやつだね」
236 :
名無しさん@おーぷん :2016/07/30(土)23:31:29 ID:
o3W
(´・ω・`)「地動説が生き残ったって事は、このあとじわじわ浸透していくのかな?」
彡(゚)(゚)「残念やったな。ここでまた天動説が優勢になるんや」
(;´・ω・)「あれ、折角コペルニクスが地動説の種を蒔いたのに…」
彡(゚)(゚)「その種が芽を出すのはもうちょい後の話や。
コペルニクスの死後『ティコ・ブラーエ』という天文学者が出てくるんやが、この人物が天動説の勢いを取り戻させるんやな」
(´・ω・)「どんな人なの?」
彡(゚)(゚)「ティコ・ブラーエは貴族の生まれなんやけど、当時のよく居る貴族とは違って勉強熱心で天文学にも興味を持っとった。
しかもカリスマ性もあったんやろな、貴族のつてを頼りに人材を集めて、国王の協力まで得て”天文台を建造した”んや」
(´・ω・)「天文台って当時は少なかったの?」
彡(゚)(゚)「少ないどころかほぼ無かったと言ってもええ。観測所と呼べる程度のものは当時からあったんやけど、
職員の宿泊施設や食堂、さらに実験室や印刷所まで備えた近代的な天文台はおそらく世界初だったやろな」
(;´・ω・)「そこまでやるなんて凄い人だね。でも天文台を造って何をしてたの?」
彡(゚)(゚)「そらもちろん天体観測や。ただしその精度はそれまでとは段違いに高かったんやで。
それまでの天文学では誤差の大きい古いデータを使っていて、どうしても必要なら自分で観測するってのが基本やった」
彡(‐)(‐)「ティコは”そんな信用ならん古いデータなんて使えるか!”と思ったんやな。
大量の星を自分で観測してデータを更新する為に天文台を建造したんや」
(´・ω・)「新しくて正確なデータがあれば天文学者は大助かりだもんね」
彡(゚)(゚)「ところがその正確なデータこそが、ティコに天動説が正しいと確信させてしまった要因なんや」
240 :
名無しさん@おーぷん :2016/07/30(土)23:32:58 ID:Dft
なおティコ・ブラーエくんは若い頃女の取り合いで決闘して鼻ちょん切られて金属製の付け鼻をつけていた模様
243 :
名無しさん@おーぷん :2016/07/30(土)23:33:21 ID:xPZ
>>240
えぇ…
244 :
名無しさん@おーぷん :2016/07/30(土)23:33:30 ID:2o2
>>240
なにそれひどE
251 :
名無しさん@おーぷん :2016/07/30(土)23:33:58 ID:Dft
そしてその付け鼻に使われていた金属による中毒が死因
252 :
名無しさん@おーぷん :2016/07/30(土)23:34:06 ID:VaA
>>251
くっそわろたwww
256 :
名無しさん@おーぷん :2016/07/30(土)23:34:25 ID:2o2
>>251
ファーwww
259 :
名無しさん@おーぷん :2016/07/30(土)23:34:46 ID:VaA
死因おもしろすぎるだろww
※当時は毒殺とも言われてましたが、数年して墓を掘り起こし再検査した結果、金属の鼻からでた水銀が死因と判明したようです。