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彡(゚)(゚)で学ぶ都市伝説
Part2


39 :名無しさん@おーぷん :2016/05/30(月)18:26:07 ID:dGG
彡(゚)(゚)「しかしこの都市伝説は生き延びた。真実味を持たせる為に、どこかの誰かが枝葉を付け足していったんや。そうして出来たのが次のバージョンや」
北海道札幌市内の踏み切りで、ある寒い夜に悲惨な事故が起きた。夜遅く電車が踏み切りに差し掛かった時、当時9歳だった女の子が踏み切り内に入ってしまったのだ。塾帰りで、急いで家に帰ろうとしていたらしい。
向こう側に一気に走り抜けようとしたが、レールに足を滑らせて転び、そのまま轢かれてしまった。周囲には他にも人がいたが、助ける間も無かったという。
車輪で真っ二つになってしまった少女の上半身は、踏み切りの向こう側まで飛んでいった。暫くして救急隊員が現場に到着したが、応急処置でどうなるというレベルの話ではない。
仕方なく目の前にある上半身だけ担架に乗せようとした時、少女がいきなり目を開けてこう叫んだ。
「いたい! 助けて!」
外気は氷点下にまで達していたので、少女の体が切断された際に断面が瞬時に凍りつき、更に血管そのものが冷気により収縮したので出血が止められた。
そして救急隊員に抱き上げられた時、体内の血が流れ始め、一時的に意識が戻ったらしい。現地の消防関係者でこの話を知らない者はいない。
彡(゚)(゚)「どうや」
(´・ω・`)「さっきの話より信憑性が高まったね。北海道なら傷口が簡単に凍り付くこともあるかも」
彡(゚)(゚)「更に切断された場所が首から胴体に変わっとる。生首だけなら到底生き残れそうには思えへんけど、これなら僅かな時間意識を保つことが出来るかも分からんな」
彡(゚)(゚)「もちろん実際には傷口が一瞬で凍り付くなんてことはあらへん。そもそも抱き上げられた程度の衝撃で血流が復活するなら、地面に打ち付けられた時に流れ出てしまうやろうな」
彡(゚)(゚)「せやけどこれを実際に確かめる方法も存在しない訳や。いくら頭ではあり得ないと理解していても、ひょっとしたら本当に生きていられるのかも知れない……そう憶測した時点で、この都市伝説は延命に成功している」
彡(゚)(゚)「どうせ検証は元から不可能なんやから、足される真実味も僅かな物でええっちゅうことや。オカルトを信じていない人でも、何かの機会に別の誰かにこの話をしてくれれば、潰えずに生き残ることができる」
(´・ω・`)「なんだか悪魔の証明に近い物があるね。突拍子もない話だからこそ、検証するのは逆に難しくなってしまうと」
彡(゚)(゚)「ちょっと違うがまぁそうやな」

41 :名無しさん@おーぷん :2016/05/30(月)18:27:07 ID:dGG
彡(゚)(゚)「これも5W1Hで表してみるやで。元々の話に設定されていた核はwho(切断された死体)とwhat(喋る)の二つだけや。誰の死体かは決められてへんから、これでも都市伝説としては成立する」
彡(゚)(゚)「せやけど、これが真実(のような話)として流布されるには弱い。なぜならwhy、死んでいるはずの人間が喋る理由が存在していないからや」
彡(-)(-)「whyの有無が噂に与える影響はかなり大きいんやで。この点についても語りたいんやけど、長くなるから止めとくわ」
(´・ω・`)「だったら最初からそんなこと言わないでよ」
彡(゚)(゚)「北海道verは元の話の弱点である信憑性の薄さを克服した。それは同時に、この都市伝説を語るのに欠かせない設定、すなわち枝葉ではなく核が付け足されたということや」
彡(゚)(゚)「枝葉の変容が都市伝説の特徴と言ったが、この話の場合核の部分まで大きく踏み込んだ上で、内容が改変されている。せやから、北海道verは元の話の派生というよりは、元の話から進化した都市伝説だと言った方が適切やな」
彡(゚)(゚)「寒さで血流が止まるという理由を考えた奴は偉大やで。時代の進歩に合わせられず消えかけていた元の都市伝説を見事生き返らせてくれたわけやからな。ワイが個人的に賞を送ってやりたい位や」
(´・ω・`)「そこまで言うほどのもんじゃないと思うけどね」
彡(゚)(゚)「せやけどその代償として、whereの部分に『血流が瞬時に凍りつくほどの寒い場所』という縛りも生み出されてしまった」
彡(゚)(゚)「ワイはまだ現在の都市伝説が他国に広まったものを確認できてへんが、変わるにしてもロシアやらアラスカやらの寒い地方にしか変異先が見付からん」
彡(゚)(゚)「まぁ環境が違いすぎるせいで、ハワイやオーストラリアなんかでこの都市伝説が広まるのは少し難しいやろうな。残念なことや」
(´・ω・`)「さっきから僕の言うこと無視してない?」

42 :名無しさん@おーぷん :2016/05/30(月)18:28:02 ID:dGG
彡(゚)(゚)「さて、今解説したのは生き残った例やけど、今度は途絶えてしまった例について紹介しよか」
彡(゚)(゚)「話の核が時代・環境に沿ったものであれば、都市伝説はいくらでも姿を変えて生き続けることが出来る。せやけどもちろん、それ以外の理由で根絶えてしまった話もあるで」
彡(゚)(゚)「例えばこれ。2006年にアメリカで爆発的に広まった都市伝説、『リバース暗証番号』や」
先進国の中で、ATMで強盗に会う確率が一番高いのがアメリカであることを知っているだろうか。実は、こうした被害を防ぐ為の裏技がある。
銃やナイフを突きつけられて、ATMから現金を下ろさなければならない時は、暗証番号の4桁の数字を逆の順番、つまり1919だったら9191と打ち込めばいい。
これはアメリカ全土の銀行やコンビニの全てのATMに搭載されているシステムで、キャッシュカードに設定されている4桁の数字が逆に打ち込まれると、最寄りの警察署から一番近くにいるパトカーに無線が入って、強盗に知られずに危険を知らせることが出来るようになっている。
導入前の実験では、警官が現場に到着するまでの平均時間は約一分であった。アメリカ国内ならどんなATMにもこの機能が搭載されているが、この事実を知っているアメリカ国民は少ない。
彡(゚)(゚)「これは口伝えと同時にチェーンメールでもこの噂が広まっていったものの、今では誰も話す人はいないんや。理由は簡単、当時の米政府が公式にこの都市伝説を否定したからや」

43 :名無しさん@おーぷん :2016/05/30(月)18:28:39 ID:dGG
彡(゚)(゚)「この都市伝説はそもそも、1994年にアメリカの弁護士ジョゼフ・バーカーが、実際にこの緊急用暗証番号の特許を出願したことに端を発する。『セイフティPINシステム』という名前で、内容もこの都市伝説と大体同じやで」
彡(゚)(゚)「せやけどこの利用法には大きな欠陥があった。なんだか分かるか?」
(´・ω・`)「……ひっくり返しても同じ数字の場合は使えないってこと?」
彡(゚)(゚)「せや。他にも緊急事態の時に、落ち着いて逆側から入力できるのかとか、導入時のコストが莫大だとかで、特許は取れたものの実際にアメリカの銀行で採用されることは無かった。その後10年以上の時を経て、この都市伝説がアメリカで大流行したんや」
(´・ω・`)「なんで10年も経ってから流行りだしたのかな?」
彡(゚)(゚)「10年の間にジョゼフが各銀行にシステムの導入を提案したもののどこも取り合ってくれず、ヤケになって流したという説があるで。もちろん本人は否定しとるがな」
彡(゚)(゚)「事態を重く見たクレジットカード協会が、アメリカの連邦取引委員会に真相の調査を依頼。そして翌年の2010年に、同委員会が「アメリカ国内でリバース暗証番号システムを搭載したATMは発見出来なかった」と発表し、事態は終焉を迎えたんやで」
(´・ω・`)「政府が動くなんて随分と大変な騒ぎだったんだね」
彡(゚)(゚)「都市伝説が社会にもたらす影響としてはかなり大きい方やろうな。せやけど政府の対応のせいで、リバース暗証番号という魅力的な話が潰えてしまったのは残念や」
(´・ω・`)「悲しむのも変な話だと思うけどね」

44 :名無しさん@おーぷん :2016/05/30(月)18:28:59 ID:TbS
信じてしまいそうな都市伝説やな

45 :名無しさん@おーぷん :2016/05/30(月)18:29:18 ID:dGG
彡(゚)(゚)「この都市伝説が廃れた最大の原因は、内容が明確過ぎたからや。専門性が高かったから廃れた、とも言えるな」
彡(゚)(゚)「この話の核は『暗証番号を逆から打ち込むと、外部に連絡できる』という点。5W1Hにおいて、whatとhowしか決まっていない」
彡(゚)(゚)「せやけど、この二点を満たせる状況は相当限られるやろ。ただの金庫じゃ外部には繋がらへんし、もっと他に良い連絡手段がいくらでもあるはずや」
(´・ω・`)「まぁ確かに、ATMくらいにしか使い道はなさそうだよね」
彡(゚)(゚)「つまり、この都市伝説と同じ事態が起き得る場所がATM位しかあらへん。変異を阻害する要因であるwhereが定まってしまっていたんやな」
彡(゚)(゚)「そしてアメリカ政府がリバース暗証番号システムの虚偽を公表したことで、真偽が確定してしまった。そうしてこの都市伝説は廃れてしまったんや」

46 :名無しさん@おーぷん :2016/05/30(月)18:29:53 ID:dGG
彡(゚)(゚)「リバース暗証番号システムは都市伝説としては魅力的な内容であったものの、変異を起こすには内容が特殊過ぎた。ATMという限られた環境にしか依存できなかったせいで、否定された時に拠り所を失ってしまい、息絶えてしまったというわけやな」
彡(゚)(゚)「ただし、これはアメリカでの話や。他の国ではリバース暗証番号も都市伝説の一つとして広がっているし、日本でもたまに目にするで。アメリカみたいに公式に否定されなければ続いてくやろ」
彡(゚)(゚)「当たり前の話やけど、疑いをかけられている対象が否定しない限り、噂っちゅーのは無くなることが無いんやな」
(´・ω・`)「新田恵海はAV疑惑を否定したのに噂が止まないけどね」
彡(゚)(゚)「可哀想だから止めてってお前言わなかったか?」

47 :名無しさん@おーぷん :2016/05/30(月)18:30:37 ID:dGG
彡(゚)(゚)「さて、最後にワイが個人的に面白いと思う都市伝説を紹介して終わりにしたろか」
彡(゚)(゚)「この話が広まったのは1980年代。題名は『だるま女』や。タイトルから想像できるやろうけど、結構キツイ内容の話やから、苦手な人は注意してな」
(´・ω・`)「今更そんなこと言うのもどうかと思うよ」
友達の友達である男子学生から聞いた本当の話。この人はかなりのアジア好きで、年に何回も旅行に行く。外国語も堪能で、あちこちに現地の友達もいるから、普通の観光客では近付けないようなところにも出入りできるらしい。
彼がある時中国の香港に旅行に行った際、秘密裏に行われるショーを見に行ったそうだ。
時刻は深夜、場所は路地裏に設置された薄暗いテントの中。中央に取り付けられたテーブルの上には、両手両足を切断された女性が転がっていた。恐ろしいことに女性はまだ生きており、テント内にいる男達は酒を飲みながら、気ままにその女をレイプしていた。
テーブルまで近付いた時、女性の口がうわごとのように「助けて……助けて……」と呟いているのを耳にした。だるまに変えられてしまったその女性は日本人だったのだ。
しかし彼はその言葉を無視し、足早にテントから立ち去っていった。女性を助け出そうとしたら、自分の身も危険に晒されることが明白だったからだ。
後に現地の友達から聞いた話だが、一人で旅行している外国人の女性をさらっては、彼女のように両手足を切り落とし、「だるま女」として見世物にする中国の闇組織が存在するらしい。
中には運よく救出された者もいるが、麻薬で薬漬けにされており自身の名前も覚えておらず、身元の特定は不可能だそうだ。
(;´・ω・`)「え、何これは」(ドン引き)
彡(^)(^)「だるま女という、単純明快ながらもどういう状態にあるのかを脳裏にありありと思い描かされるそのネーミングセンス。そしてその妄想を裏切らない凄惨なストーリー。都市伝説の中でもピカイチの完成度と恐ろしさを感じさせる傑作やな」
(;´・ω・`)「よくそんなに絶賛できるね」
彡(゚)(゚)「これも都市伝説としてはかなり有名やろうな。ほな解説していくで」
(´・ω・`)「お願いだから無視しないで」

48 :名無しさん@おーぷん :2016/05/30(月)18:31:14 ID:dGG
彡(゚)(゚)「この都市伝説の魅力は、なんと言っても実例が存在することやな」
(´・ω・`)「えっ、さらわれて両手足を切られちゃった人って、本当にいるの?」
彡(゚)(゚)「済まんな、両手足を切られたという事件があった訳ではないんや。両手足が無い状態でも人間は生きられるというのは紛れも無い事実であり、実例も残っているっちゅーことや」
彡(゚)(゚)「明治〜昭和時代の人間に、中村久子という女性作家がおる。彼女は幼少期に凍傷の影響で両手足を失い、青年期には見世物小屋で『だるま娘』という芸人として働いておったんや。ウィキペディアのURL貼っとくで。詳しい説明はこれを見てクレメンス」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E6%9D%91%E4%B9%85%E5%AD%90
彡(゚)(゚)「あとはZ武もだるま女の信憑性を表す実例やろな。まぁこっちは先天性の障害やから同列に扱うのはちょいと違うか」
彡(゚)(゚)「どうでもいいけど「おっとったっけっくん」ってな感じで間に促音を入れて名前を呼ぶと障害者っぽさが増すで」
(´・ω・`)「本当にどうでもいい情報だね」
彡(゚)(゚)「実例が存在するという点において、この都市伝説は他の物とは一線を画す話やな。他にもアメリカのレスリング選手ダスティン・カーター、キリマンジャロを登頂したカイル・メイナードなど、海外にも四肢の欠損した人間は実在しておる」
彡(゚)(゚)「流石に四本とも無いのはそうそうおらへんが、1〜2本程度の欠損ならパラリンピックを見ればゴロゴロ見付かるな。こんな風に、人間ってのは四肢が無くなっても立派に生きていけるもんなんや」
(´・ω・`)「カボチャじゃないんだからそんな言い方は止めようよ」

49 :名無しさん@おーぷん :2016/05/30(月)18:32:44 ID:dGG
彡(゚)(゚)「人間はだるまの状態になっても生きられる。だからこそ逆に、『だるまの状態になっても生きている』というこの都市伝説の怖さが際立つ」
彡(゚)(゚)「両手両足を切断され、麻薬で廃人にさせられ、見知らぬ男達にレイプされる。まさに地獄やな。こんな目に遭うくらいなら死んだ方がマシやと誰もが思うやろう」
(´・ω・`)「まぁそうだね。手が無ければきうりも食べられないし」
彡(゚)(゚)「人間が陥る状況としては最低最悪、疑う余地も無いバッドエンドや。それゆえに、この話は他の都市伝説で失踪した人間の終着点として用意されていることもある。ワイがこの都市伝説を傑作と評したのはこれが理由や」
(´・ω・`)「? どういうこと?」
彡(゚)(゚)「例を見せた方が早いな。1990年代には、この話の派生系と見られる都市伝説が広まった。それがこれや」
ある日本人新婚カップルが、ハネムーンでヨーロッパに行った。
パリに着くと、奥さんは次から次へとブティックを巡り、その内の一店でディスプレイされていたドレスを試着したいと言った。夫はドレスを持って試着室に入る妻を見届けた後、そこから少し離れた場所にあるソファで妻が着替え終わるのを待っていた。
ところが、いつまで経っても妻は帰ってこない。不審に思った夫が店のオーナーを呼んで試着室を確認させたが、妻の姿はどこにも見えないという。試着を終えた後に一人で帰ってしまったのかと思いホテルにも連絡したが、そこにも彼女はいなかった。
失踪したことに気付いた夫は警察に通報し、旅行期間中に大規模な捜索を行ったが、とうとう妻が見付かることは無かった。一人で帰国した夫は失意の日々を送るようになる。
それから五年後、インドネシアから旅行に帰ってきた友人が、いなくなった妻を発見したというのだ。しかし、「どこで見つけたんだ」と聞いても、なぜかそれ以上のことを喋ろうとしない。強い口調で問い詰めると、ようやく友人は浮かない口調で語り始めた。
インドネシアにはジャワ島やバリ島のような有名な島だけではなく、ほとんど観光客が訪れないような小さな島も数多く存在する。中には警察や政府の権力が及ばない島も残っていて、そこでは独特な裏社会の文化が強く根付いているそうだ。
好奇心からそんな島々の一つを訪れた友人は、路地裏の見せ物小屋で恐ろしい物を見つけた。
テーブルの上で両手両足を切断され、変わり果てた姿となっている友人の妻。麻薬でも打たれているのか意識は混濁し、知り合いである自分の顔を見てもなんの反応も無い。ただうわごとのように「助けて……助けて……」と呟きながら、客の男達にかわるがわるレイプされていた。
そして……見せ物小屋を取り仕切る男性は、まるで高級なブティックで働いているかのように、立派な身なりだったという。
彡(゚)(゚)「中々の恐ろしさやろ」
(´・ω・`)「うん。友人から話を聞いた夫の反応が書かれていないのもまた怖いね」
彡(゚)(゚)「せやな。一応最後の文を解説しておくと、ブティックのオーナーが妻をさらい、見せ物にしてたっちゅー事やで」

50 :名無しさん@おーぷん :2016/05/30(月)18:33:12 ID:dGG
彡(゚)(゚)「さてこの話、後編は最初に出した例と核は同じやな」
(´・ω・`)「うん。5W1Hで表すと、見世物にする為(why)に女性(who)をさらって薬漬けにして(how)、両手足を切り落とす(what)点が同じだね」
(´・ω・`)「だけど都市伝説を最低限成り立たせる為には、whyとwhatの二点だけでいいんじゃないかな。人間は人身売買で手に入れた子供とかでもいいわけだし」
彡(゚)(゚)「そういう説明はワイがやるところやで。まぁいいか。原ちゃんの言う通りや。ほいで、今回取り上げたい部分はそこじゃないことも分かるやろ」
(´・ω・`)「まぁここまで来たらね。前半の内容は全くの別物だけど、後半の部分はどうやって生み出されたの? ってことでしょ」
彡(゚)(゚)「せや。実はこのバージョン、元は別物だった二つの都市伝説が合体して生まれたものなんや」
(´・ω・`)「やっぱりね」
彡(゚)(゚)「もうちょい驚けや」

51 :名無しさん@おーぷん :2016/05/30(月)18:33:45 ID:dGG
彡(゚)(゚)「前半の部分、新婚旅行でブティックを訪れた妻が姿を消してしまったというくだり。これは元々単独の都市伝説として広まっていた。『消えるブティック』という題名や」
彡(゚)(゚)「これも現在は色んな派生形が存在するんやけど、ここでは元になった原型のバージョンを紹介するで」
パリの南100キロ余りに、オルレアンという街がある。1969年のこと、この街全体が奇妙な噂に包まれた。この街にあるブティックで、若い女性が行方不明になったという噂が次から次へと語られたのだ。
実は試着室の姿見がマジックミラーで出来たドアになっており、試着室に入った女性を監視し、機を見計らって女性に麻酔を嗅がせてさらう……という物だ。誘拐された女性は売春組織に売り飛ばしてしまうらしい。
(´・ω・`)「オルレアンなんて街、聞いた事ないや。これは元々ヨーロッパで広まっていた都市伝説なの?」
彡(゚)(゚)「せや。実際にオルレアンの街には有名なブティックが何店もあったんやが、経営者が全員ユダヤ系だったそうや。繁盛していることに嫉妬した人間が、意図的に流した噂だと言われているんやで。一種のヘイトスピーチやな」
(´・ω・`)「真面目に商売してたのに、こんな噂流されるなんてはた迷惑だね」
彡(゚)(゚)「せやな。それに対して『だるま女』は、実は日本が発祥の地だと言われてるんやな」
(´・ω・`)「えっ、なんで? 香港から広まったんじゃないの? それとも『腎臓泥棒』みたいに、日本が舞台になったバージョンがあるの?」
彡(゚)(゚)「違うで。日本発祥ながら舞台が香港なのには別の理由がある。『だるま女』は『消えるブティック』と同様、差別的感情から生まれた都市伝説なんや」

52 :名無しさん@おーぷん :2016/05/30(月)18:34:19 ID:dGG
彡(゚)(゚)「ジャン・ハロルド・ブルンヴァンという人物を知ってるか? 1933年生まれの民俗学者で、都市伝説研究の第一人者や。ちなまだご存命やで」
(´・ω・`)「そういう紹介って普通話の最初にするもんじゃないかな」
彡(゚)(゚)「うるさいわ。とにかくこのブルンヴァンっちゅう研究者が、個別の噂として語られていた話に共通点を見出し、都市伝説として体系立てたんや。そんでブルンヴァンが発表した、都市伝説をまとめた本の中に、『くそ、なんてこった!』という物がある」
(´・ω・`)「ひっでぇタイトルだね」
彡(゚)(゚)「まぁ原作のタイトルを和訳しただけだからね、しょうがないね。1989年出版のその本において『だるま女』も収録されてるんやけど、その経緯が特殊でな。ブルンヴァンの知り合いである大学教授が受け持つクラスにいる、日本人の留学生が書いたレポートを元にしているらしい」
(´・ω・`)「……茶々ばっかり入れて申し訳ないけど、知り合いが受け持つクラスの生徒が書いたレポートって、正に友達の友達並みの怪しさだね」
彡(゚)(゚)「ワイも正直、信憑性に欠ける話ではあるなと思う。せやけど一応、日本が発祥であると思われる証拠はないことも無いんや」
彡(゚)(゚)「『だるま女』はかなり有名な都市伝説やから、派生系も数多く見付かっとる。原作のバージョンは最初に紹介したものやが、他にも一人旅の女子大生やOL、修学旅行で外国を訪れた女子高生がさらわれたというバージョンもある。
彡(゚)(゚)「『消えるブティック』との複合版でさらわれるのは新婚旅行の妻やし、色んな女性が被害にあっとるな」
彡(゚)(゚)「もちろん話の舞台も様々や。原作の香港、複合版のインドネシアに加え、マレーシア・シンガポール・フィリピン・タイ……実に様々や。一応は」
(´・ω・`)「……ん?」
彡(゚)(゚)「お、気付いたか」
(´・ω・`)「そりゃ気付くよ。お兄ちゃんが今あげた都市伝説の舞台って、香港以外全部東南アジアの国じゃん。どうしてなの?」
彡(゚)(゚)「せや。都市伝説の特徴である変異が、なぜか東南アジアという狭い範囲でしか起きていないんやな。少なくともワイが見た限りでは、原作verを除いて東南アジア以外の国が舞台となった話は無かった」

53 :名無しさん@おーぷん :2016/05/30(月)18:34:51 ID:dGG
彡(゚)(゚)「もちろんこの都市伝説がどこにでも舞台に出来るというわけじゃあらへん。ある程度治安が悪い国でなければこんな惨劇が起きることはないやろ」
彡(゚)(゚)「せやかて、ブラジルとかアフリカとか、『だるま女』の舞台になりそうな国はいくらでも見付かるやろ。ぶっちゃけ個人的には、イスラム国が真っ先にやりそうな事なのに、中東が舞台になった話は一個も見当たらない。ほとんど東南アジアや」
彡(゚)(゚)「この辺りにワイは、日本人が抱く中国や東南アジアへの偏見やら差別感情いうのが含まれているんじゃないかと思ってしまうんやな」
彡(゚)(゚)「そもそも東南アジアは、日本人が思っているほど治安が悪いわけじゃあらへんで。窃盗や強盗被害は日本に比べれば確かに多いけど、人口当たりの発生率で見れば欧米諸国の方が遥かに高いんや」
彡(゚)(゚)つ「これを見てみい。人口10万人当たりの殺人事件数のランキングやけど、東南アジアの国なんかひとつも入ってへんやろ」
http://ailovei.com/?p=33493
(´・ω・`)「本当だ。割と日本からは近いけど、行ったことないから知らなかったよ」
彡(゚)(゚)「せや、その「割と日本から近いけど、行ったことはない」という点も重要なポイントの一つや」
彡(゚)(゚)「人間は自分の知らない分野の物事については、あれこれと勝手な憶測で固定観念を抱いてしまうことが多い。ほんで、往々にしてその憶測っちゅうんは、良い方よりも悪い方に流れやすい」
彡(゚)(゚)「せやけど、本当に治安が悪いアフリカや南アメリカなんかは地理的にかなり遠い。その分心理的にも大きく隔たりがあるせいで、そもそも興味・関心が向くことが少ない訳やな」
彡(゚)(゚)「それに日本に比べれば治安が悪いのは確かや。というか日本が異常な位治安が良過ぎるんやけどな。よくカフェなんかで荷物を置いて席取りする奴がおるけど、あんなん海外でやったら一発で置き引きされるで」
(´・ω・`)「確かにそれは気をつけた方がいいね」

54 :名無しさん@おーぷん :2016/05/30(月)18:35:43 ID:dGG
彡(゚)(゚)「都市伝説を語る際に必要なのが、ある程度の身近さや。内容がどんなにおどろおどろしくても、どこか遠い国のお話だったら恐怖も薄れる」
彡(゚)(゚)「かといって日本で起きる事件とするには、『だるま女』は余りにも凄惨過ぎる内容や。これじゃリアリティもクソもあらへん」
彡(゚)(゚)「相反する二つの要因がせめぎ合い、生み出された落とし所が東南アジアという地域だった訳や。そこそこ身近で、かつそこそこリアリティのある場所に適役だったという訳やな」
彡(゚)(゚)「だるま女の存在は実例から証明されている。失踪自体は神隠しやら誘拐やらでどこででも起こり得る事件である。原ちゃんが言った通り、必ずしもさらう必要もないしな」
彡(゚)(゚)「となれば必要なのは、さらった女性だるま女へと変えてしまう『闇社会の組織』と、だるま女を鑑賞できる『見せ物小屋』の存在や。生憎この二つは現代日本には到底存在できる物やない」
彡(゚)(゚)「せやから日本人はこの都市伝説を語る際、二つの無秩序な存在の居場所を東南アジアに仮託してしまったんや。
彡(゚)(゚)「言い換えれば、日本人が抱くバーチャルな『裏社会』を、「日本じゃそんな怪しいものはあり得ないから」っていう勝手な理由で、東南アジアに押し付けてしまったということやな」
(´・ω・`)「うーん、どこぞの大国みたいな身勝手さだね」

55 :名無しさん@おーぷん :2016/05/30(月)18:36:09 ID:dGG
(´・ω・`)「そういえばどこぞの大国で思い出したけど、なんで『だるま女』の舞台には香港も使われてるの? あそこは東南アジアじゃないでしょ?」
彡(゚)(゚)「そう言ってる時点でどこを思い出したのか丸分かりやで。東南アジアに混じって香港も都市伝説の舞台に使われとるのは、まぁまずトライアドの影響やろな」
(´・ω・`)「トライアドって?」
彡(゚)(゚)「一言で言えば香港のヤクザや。今でもトライアドは仲間同士の報復行為なんかで手足を切り落とすらしいで」
彡(゚)(゚)「後は人豚(じんてい)やら凌遅(りょうち)刑やらも香港を舞台にするのに一役買ってるんやろな。ここら辺のとこまで詳しく語るといつまで経っても終わらへんから止めとくで」
(´・ω・`)「解説が面倒臭くなってきたんじゃないよね?」
彡(-)(-)「違うで。ホントは内容がグロ過ぎて語れる程詳しく調べたくないんや。知りたいならググれば出るけど自己責任でな」
(´・ω・`)「今更にも程があるけどね」

56 :名無しさん@おーぷん :2016/05/30(月)18:36:48 ID:dGG
彡(゚)(゚)「さて、盛大に横道に逸れてしまったが、『だるま女』が日本発祥である可能性が高いということは理解したか?」
(´・ω・`)「うん。てことはその前に上げた『消えるブティック』を合体させたのも日本人なのかな?」
彡(゚)(゚)「可能性は無きにしもあらず……というか多分日本人やろうな。真相は闇の中やけど」
彡(゚)(゚)「ただ、意図的に両者を繋げたというよりは、むしろ偶然合致してこの都市伝説が生まれたんじゃないかとワイは睨んどる」
(´・ω・`)「偶然なのかなぁ?」
彡(゚)(゚)「これも確証は無いけどな。『消えるブティック』は試着室に入った女性がどのようにしてさらわれてしまうのかを詳しく説明しとるが、さらった女性のその後については簡潔に終わらせとる」
彡(゚)(゚)「一方『だるま女』は、だるまになった女性の壮絶な苦しみを余すところ無く解説してるが、どこからさらってきたのかについてはやはり簡潔や。両者とも、簡潔な部分は話の核ではなく枝葉やな」
(´・ω・`)「なるほど。曖昧だからこそ、その部分がふとした拍子に繋がってしまったと」
彡(゚)(゚)「そうや。『消えるブティック』の話を知る誰かが、『だるま女』の都市伝説を聞いた時ーーあるいは逆かも知れへんなーーこう思ったんやないか。「『消えるブティック』でさらわれてしまった女性の行き着く先が、『だるま女』なのではないか?」と」

57 :名無しさん@おーぷん :2016/05/30(月)18:37:18 ID:dGG
彡(゚)(゚)「もちろん冷静に考えれば、ヨーロッパでさらってきた女性を香港や東南アジアまで運ぶなんてとんでもない労力やな。わざわざ移動させるメリットがこれっぽちも無い。せやけど何度も言っている通り、都市伝説というのは曖昧な物なんや」
彡(゚)(゚)「恐らく二つの話を聞いた奴は、どちらも細部を曖昧にしか覚えていなかった。もしくはそいつが聞いた時点で、たまたま齟齬が起きない形に枝葉が変容していたのかも知れへん」
彡(゚)(゚)「そして二つの都市伝説が合体した。ブティックでさらわれても、売春組織に売られるだけで済んだはずの女性は、哀れ両手足を落とされ麻薬漬けにされて、更に深い地獄に落ちてしまったんや。『だるま女』という名の地獄にな」
彡(゚)(゚)「それと同時に、単独でも高い完成度を誇っていた二つの都市伝説は、合体してより一層強い輝きを放つようになったんや。何しろ夫との楽しいハネムーンから一転、四肢切断&麻薬漬け&慰み者やからな。都市伝説どころか創作物全体から見ても随一の落差や」
(´・ω・`)「確かに、これ以上にむごい転落はちょっと考えられないよね」

58 :名無しさん@おーぷん :2016/05/30(月)18:37:42 ID:dGG
彡(゚)(゚)「こうして出来た新たな都市伝説は、現在では『消えた花嫁』と呼ばれとる。『だるま女』にも『消えるブティック』にも無かった特徴として、被害者にはほとんどの場合パートナーがいて、そいつの視点から語られる話になっとる」
彡(゚)(゚)「ほいでもう一つ、後半の内容は主人公が体験したものではなく、東南アジアへの旅行から帰ってきた友人の話、という体が多い」
彡(゚)(゚)「前者は物語の悲劇性を増加させる為の演出、後者はただ単に「妻を失った夫がそんな怪しい場所に行くのか?」っちゅうツッコミを避ける為やろ」
彡(゚)(゚)「前半の舞台はヨーロッパのどこか、後半の舞台は東南アジアのどこかとして、今や世界中で広くこの都市伝説が語り継がれている。いずれは大幅に枝葉を変えたバージョンも出てくることやろうな」
彡(^)(^)「日本発の都市伝説とヨーロッパ発の都市伝説が奇跡の融合を果たしたこの傑作。今後の成長が実に楽しみやで。次はどこでどんな惨劇が起きるんかなぁ」
(´・ω・`)「笑いながらそんな怖いこと言わないでよ」

59 :名無しさん@おーぷん :2016/05/30(月)18:38:50 ID:dGG
彡(゚)(゚)「この後特にオチとかは考えてないから、ダイマして終わりにするで」
(´・ω・`)「えぇ……」
彡(゚)(゚)「紹介するのはこれ、日本一ソフトウェアから七月七日に発売予定のソフト、『真流行り神2』や。対応機種はプレステ3とプレステ4、VITAの三つや」
公式サイト
http://hayarigami.com/shin_hayarigami2/
彡(゚)(゚)「元々流行り神シリーズは、日本一ソフトウェアの社長である新川宗平がシナリオを担当し、都市伝説とそれを元にした怪事件が生み出す恐怖を前面に押し出したホラーノベルの名作やったんや」
彡(゚)(゚)「ゲーム中の選択肢によって、主人公が科学とオカルトどちらか一方の立場に立って事件の解決に取り組むという斬新なシステムも見物だったな。一つの事件が毛色の全く異なる二つの展開を見せるんやで」
彡(゚)(゚)「ところが何をトチ狂ったか、四作目に当たる前作『真流行り神』では登場人物や舞台設定を一新した上に、魅力的だった科学とオカルトの分岐システムは廃止。
彡(゚)(゚)「その他のシステムもことごとく改悪または廃止。シナリオ担当もどこぞの馬の骨に変わってしまい、グロと電波が飛び交う基地外ストーリーに変貌してしまったんや」
(´・ω・`)「そ、そんなにひどいの?」
彡(゚)(゚)「そんなに酷いんや。おかげで該当スレでは発売直後から不満と酷評と絶望が噴出する阿鼻叫喚の地獄絵図と化し、「産業廃棄物」「公式の原作レイプ」「買わない方がより良い人生を送れる」とまで罵られたんやで」
(´・ω・`)「なんか大変だったんだね」
彡(゚)(゚)「しかしこの度発表された『真流行り神2』では、廃止されたシステムの復活、そしてシナリオライターも新川宗平に戻り、かつての名シリーズを思わせる体裁が取られているんや」
彡(゚)(゚)「せやけどイラストレーターや舞台設定は前作のままや。幸い登場人物は前作で大体死んでくれたから今のところ続投が決まっているのは主人公だけやな。まぁその主人公が今までに比べてどうしようもない基地外なんやけどな」
彡(゚)(゚)「何より一番の不安材料は、レーティングが前作と同じZ(18禁)のままなんや。お子様お断りなのをいいことに、また前作のように無駄なグロ表現が盛り込まれるんじゃないかと危惧しとるで」
(´・ω・`)「ファンとしては期待を込めて見守るしかないね」
彡(;)(;)「これが売れなきゃ流行り神シリーズは間違いなく打ち切りや、ぶっちゃけこのスレもダイマする為に建てたんやで。せやからここまで読んでくれたおんJの皆、カラス除けでもフリスビーにしてもいいから買ってクレメンス。ワイは信じとるで」
(´・ω・`)「……可哀そうだから僕も買ってあげるよ」
  / ̄ ̄ ̄ ̄~\
 |       彡(;)(;)  頼むでホンマ
 /      /    と
(へ___ ヽ/  ノ ̄ ̄
/ /|   | <_

60 :名無しさん@おーぷん :2016/05/30(月)18:39:51 ID:dGG
おわりやで
最後のaaは彡(゚)(゚)が土下座してるところや

62 :名無しさん@おーぷん :2016/05/30(月)18:41:26 ID:hNY
おつ

68 :名無しさん@おーぷん :2016/05/30(月)19:50:19 ID:FpD
イッチ乙

69 :名無しさん@おーぷん :2016/05/30(月)20:37:48 ID:x6h
面白かったで
都市伝説には興味あるんで流行り神買います・・・(小声)