2chまとめサイトモバイル
彡(゚)(゚)と学ぶ日本精神医療の歴史
Part2


43 :名無しさん@おーぷん :2017/12/17(日)18:18:47 ID:9j1
エピソード2 都立松沢誕生
「都立松沢病院」という名前は滅多に聞かんはずや。精神科の病院やからな。
日本で一番歴史がある精神科病院なんやで。
松沢を知らん精神科医はヤブの精神科医と言っていいぐらいや。
ちなみに東大の精神科より歴史が古いんや。まさしく最古やな。

44 :名無しさん@おーぷん :2017/12/17(日)18:20:11 ID:9j1
1872年 東京
彡(゚)(゚)「この度ロシア皇太子が訪日することになったんや」
彡(゚)(゚)「とはいえ明治になってたかだか5年。浪人や浮浪者が多くて何をするか分かったもんやない。
斬り付けられでもしたら日本はお仕舞やで。それにそういう連中を見せたら国の体面にも関わるし。」
彡(゚)(゚)「せや、収容所を作って隔離したろ」
(・ω・`)「というわけで収容してみたんだよ。色々調べてみよう」
(・ω・`)「えーっと、120人中68人の言動がおかしいね。この人たちは病人だから別の施設に移そう。でも土地がないね」
彡(゚)(゚)「土地なら上野の恩賜公園を使ってや。名前は東京府癲狂院やで」

47 :名無しさん@おーぷん :2017/12/17(日)18:23:21 ID:9j1
こんな調子で東京府癲狂院は誕生した、その後巣鴨に一度引っ越し、次いで松沢村(現在の世田谷区松沢)に引っ越した。
1901年
三代目病院長 呉秀三
(*^○^*)「病院を改革するよ!頭がおかしいからと言って人間扱いしないのは許されないんだ!」
呉院長の方針は次の通り。
・拘束具の使用禁止。それらをすべて焼却処分する。*現在は、やむを得ない場合において身体拘束が使用されている。
・患者の室外運動の自由化 - 看護職員や家族が付き添い、病院構内での運動を自由化。
・旧来の看護観を持つ看護長などリーダー格の職員を更迭し、看護職員の人員と意識の刷新を図る。
・新しい看護長には医科大学附属病院で看護学講習を聴講させ、看護技術の向上を図る。
・患者処遇の改善と治療方針の刷新。
・作業療法の積極的活用。
・病棟の増改築の実行。
彡(゚)(゚)「今では当たり前になっていることも多いが、時代の背景を考えると相当に進歩的だったんやな。」
彡(゚)(゚)「何せ当時は私宅監置の時代や。後で触れるけどな」
彡(゚)(゚)「実際に都立松沢には呉院長の銅像と碑文があって、こう書かれとる。」
(*^○^*)「わが邦十何万の精神病者は実にこの病を受けたるの不幸の他に、この邦に生まれたるの不幸を重ぬるものというべし
(*^○^*)「(我が国10何万人の精神障害者は疾患にかかるという不幸の他に、この国に生まれたという不幸を重ねているものと言えるのである)」
彡(゚)(゚)「この文章は1919年当時の実態を調べた論文の中から引用されとる。」
彡(゚)(゚)「こんな書かれ方をする当時の社会と比較すると、都立松沢は相当恵まれとったんやな。」

48 :名無しさん@おーぷん :2017/12/17(日)18:23:50 ID:aYk
呉秀三すこ

49 :名無しさん@おーぷん :2017/12/17(日)18:25:22 ID:a29
都立松沢ってそんな凄いとこなん?
東京に引っ越したらそこの外来で見てもらおうかな

51 :名無しさん@おーぷん :2017/12/17(日)18:26:59 ID:9j1
彡(゚)(゚)「ポイントやで」
・隔離
彡(゚)(゚)「都立松沢病院誕生の歴史は隔離から始まった」
彡(゚)(゚)「『治療』やなかったんやな」
彡(゚)(゚)「当時は薬が無い時代やったから、自然回復を待つ以外にやむを得んかったのかもしれん」
>>49
彡(゚)(゚)「知らん精神科医はおらん」
彡(゚)(゚)「都立やけど最先端治療もおこなっとるで」

55 :名無しさん@おーぷん :2017/12/17(日)18:35:43 ID:aYk
私宅監置→精神病者監護法(1900年)
精神病者監護法は治療については記載なし、監護義務者が医師の診断書をすえて警察に届け出れば、座敷牢に閉じ込められる法律。
入院患者数は限られ、入院すること自体困難

56 :名無しさん@おーぷん :2017/12/17(日)18:46:57 ID:yyT
治すというよりは社会的な事情で排除しようって時代なんやろ?

57 :名無しさん@おーぷん :2017/12/17(日)19:06:44 ID:aqf
呉…精神病院…うっ、時計の音が

58 :名無しさん@おーぷん :2017/12/17(日)19:07:31 ID:RKl
彡()()「アカン、書き込みが吸い込まれてしまう
エピソード3 相馬事件
彡(゚)(゚)「この事件は端的に言えば「お家騒動」や」
彡(゚)(゚)「「やけど、お家騒動に病気の疑いと当時の制度の不備、マスコミの煽りが絡んで大騒動になったんや」
彡(゚)(゚)「この1件で法律が作られた程や」

59 :名無しさん@おーぷん :2017/12/17(日)19:08:48 ID:RKl
1879年
彡(゚)(゚)「ワイは相馬誠胤、陸奥中村藩の末代(第13代)藩主やった。今は東京府で華族やっとる。」
彡(-)(-)「やけど最近調子が悪いんで通院しとるんや」

64 :名無しさん@おーぷん :2017/12/17(日)20:15:35 ID:dtm
ある日
J( 'ー`)し「最近夫の調子がおかしい。自宅に閉じ込めてしまおう。」
(*^○^*)「僕は錦織 剛清。主君に仕えていたんだ!」
(*^○^*)「主君が病気なんて嘘っぱちなんだ!どうせ金目当ての親族が嘘っぱちを言っているだけなんだ!」
(*^○^*)「訴えてやるんだ!!」
???「コレをネタにすれば新聞が売れる!」

65 :名無しさん@おーぷん :2017/12/17(日)20:16:10 ID:dtm
単なるお家騒動はマスコミの煽りもあってヒートアップしてしまった。
そんな中で裁判では診察を行うことになった。
裁判所
('ω`)「診察してはっきりさせよう。偉い先生、お願いします」
診察後…
( ・`ω・´)「これは精神病だ。統合失調症(※)だろう」
(★…●)「これは精神病だが、統合失調症ではなさそうだ」
(●゚◇゚●)「これは精神病じゃない」

66 :名無しさん@おーぷん :2017/12/17(日)20:17:54 ID:dtm
医師の出した診察がばらばらであり、「病気じゃない」と診察した医師すらいた。
診断が不明確になっただけでお家騒動は混迷の度合いを深めていく。
1887年
(*^○^*)「らちが明かないんだ!身柄を奪い返すんだ!」
(*^○^*)「何をするんだ!主君を助けただけなんだ!」
錦織 剛清は東京府癲狂院に侵入し、身柄を奪うことに成功するも1週間で逮捕された。

67 :名無しさん@おーぷん :2017/12/17(日)20:18:35 ID:dtm
1892年
┏━━━━━┓
┃   / \  ┃
┃ /     \┃
┃ (゚) (゚)ミ  ┃
┃ 丿     ミ ┃
┃ つ   (  ┃
┃   )  (   ┃
┗━━━━━┛
相馬誠胤はこの世を去った。しかし納得しない人物がいた。

68 :名無しさん@おーぷん :2017/12/17(日)20:19:39 ID:dtm
(*^○^*)「これはきっと毒殺なんだ!墓を掘り起こして調べるんだ!!」
錦織 剛清は墓を暴いて調べたが、結局のところ毒殺を裏付ける証拠はなかった。

69 :名無しさん@おーぷん :2017/12/17(日)20:19:45 ID:dtm
彡(゚)(゚)「ポイントは以下の通りや
・制度がなかった。
彡(゚)(゚)「上の解説で「私宅監置」と書いとるが、当時はそんな言葉すらなかったんや。」
彡(゚)(゚)「だからその時その時で対応が違ってしまったんや。いかんでしょ。」

70 :名無しさん@おーぷん :2017/12/17(日)20:20:20 ID:dtm
というわけで法律を作ったんや。
1899年精神病者監護法制定
( ・`ω・´)「この法律は、精神障害者の扱いについて手続きを定める方法だ。詳しくは以下の通りだ」
( ・`ω・´)「@監護者を定める。ようするに身元引受人だ」

71 :名無しさん@おーぷん :2017/12/17(日)20:24:23 ID:FW7
( ・`ω・´)「A監置することが出来るのは監護者のみ、かつ、場所は限定だ。勿論届け出も必要だ」
( ・`ω・´)「B行政は監護者を監督する権利がある。好き放題はダメだ」
( ・`ω・´)「Cお金は監護者が払うこと」
( ・`ω・´)「これで適当な理由をつけて閉じ込めることは防止できるな」

72 :名無しさん@おーぷん :2017/12/17(日)20:25:22 ID:FW7
しかし現実はそうではなかった。
特に監置の場所に「私宅」を定めたことが問題になった。自宅は目が届きにくいからである。

73 :名無しさん@おーぷん :2017/12/17(日)20:25:52 ID:FW7
社会の変化・精神医学の進歩により精神科の患者が増えた。
しかし当時の日本には患者を受け入れるだけのリソースが不足していた。
1916年精神病院法によって「精神病院を作る」ことが決まったものの、金が無いので結局私宅監置は続いた。
最終的には1950年まで続くことになる。

75 :名無しさん@おーぷん :2017/12/17(日)20:27:39 ID:FW7
彡(゚)(゚)「ポイントや」
・制度の確立
彡(゚)(゚)「色々な問題があれど、制度を定めたことの意義は決して小さくないんや」
彡(゚)(゚)「少なくとも制度があることで助かる可能性が高まるからな」
彡(゚)(゚)「制度のはざまに落ちた患者は存在しないも同然やで」

76 :名無しさん@おーぷん :2017/12/17(日)20:29:29 ID:FW7
・リソースの不足
彡(゚)(゚)「当時の日本は貧乏やったからな。人物金が不足しとったで」
彡(゚)(゚)「受け入れる病院がなかったんや。だから私宅監置せざるをえんかったんや」
彡(゚)(゚)「国だって問題があることは理解していたから、作ろうとしたんやけどな」
彡(゚)(゚)「せやかて偏見が強い当時のことや。遅々として進まんかったやで」

77 :名無しさん@おーぷん :2017/12/17(日)20:30:13 ID:FW7
エピソード3 ロボトミーの衝撃
彡(゚)(゚)「みんなは「ロボトミー」って聞いたことあるか?「脳みそを切ってしまう」アレや。」
彡(゚)(゚)「現代の精神科では禁忌なんやが、その歴史はまさしく精神科の暗黒史なんや。」
彡(゚)(゚)「そんな黒歴史誕生と、起きた悲劇、その終焉についてまとめていくで」

78 :名無しさん@おーぷん :2017/12/17(日)20:33:51 ID:FW7
1935年
当時の精神科の治療と言ったら基本は「閉じ込める」。
他には「カウンセリング」「インスリンを打って低血糖にして痙攣を起こす」
「電気ショックで痙攣w(ry」という具合で治療効果は非常に悪かった。
薬?そんなものはない。

79 :名無しさん@おーぷん :2017/12/17(日)20:34:23 ID:FW7
そんなある日
(´・ω・`)「僕はジョン・フルトンとカーライル・ヤコブセン。どっちも精神科医だよ」
(´・ω・`)「医者だから精神病の治療方法を考えているんだ。だけど治療法がこれと言ってないんだ」
(´・ω・`)「そんなわけで試しにチンパンジーの脳みそを切ってみたら、穏やかになったんだ。これは使えるね。というわけで学会発表だ」

80 :名無しさん@おーぷん :2017/12/17(日)20:34:43 ID:FW7
学会
彡(゚)(゚)「ええこと聞いた。人間でもやってみよ」
こうして世界各地で人間に対する「治療」が始まった。
確かにある程度感情が抑制されたことは事実であった。
エガス・モニスは世界で初めてロボトミーを人間に行ったことでノーベル賞を授与されたほどである。

81 :名無しさん@おーぷん :2017/12/17(日)20:35:13 ID:FW7
しかし
┏━━━━━┓
┃   / \  ┃
┃ /     \┃
┃       ┃
┃ (´^ω^`)┃
┃ (    )┃
┃   し─J  ┃
┗━━━━━┛

84 :名無しさん@おーぷん :2017/12/17(日)20:36:09 ID:FW7
患者の6%が死亡し、残った患者も人格が変わる、てんかん発作を起こす、等の副作用が発生した。
しかし「暴れるよりマシ」ということで「治療」は続いていくことになる。

85 :名無しさん@おーぷん :2017/12/17(日)20:36:29 ID:FW7
1938年 日本
( ・`ω・´)「私は中田瑞穂だ。新潟大の脳神経外科医だ。」
( ・`ω・´)「ロボトミーという術式があるそうじゃないか。やってみよう」
1947年 都立松沢、東大病院でロボトミー開始

86 :名無しさん@おーぷん :2017/12/17(日)20:37:36 ID:FW7
そして、日本の精神医療を揺るがす実験が始まった。1950年のことである。

87 :名無しさん@おーぷん :2017/12/17(日)20:37:39 ID:FW7
(●゚◇゚●)「僕は臺弘。東大精神科の教授だ。都立松沢でも働いているよ」
(●゚◇゚●)「精神病は脳の脚気じゃないか?というわけで調べよう。脳みその標本が欲しいな」
(●゚◇゚●)「ロボトミーをすると切った脳みその機能が停止するよね。その部分を貰おう」
(●゚◇゚●)「機能が停止する部分なんだから、ロボトミーより前に取っちゃえ」

88 :名無しさん@おーぷん :2017/12/17(日)20:38:35 ID:FW7
その後精神科の薬物療法が始まっていたが、依然としてロボトミー手術は続いていた。
そんな1971年の精神神経学会で衝撃的な告発が行われた。

89 :名無しさん@おーぷん :2017/12/17(日)20:38:55 ID:FW7
('ω`)「僕は石川 清、東大病院で働いているよ。精神神経学会の評議員も務めているんだ。
('ω`)「おじいちゃんは戦艦三笠の軍医長、父は信州大学の初代病院長をやって医者の一族なんだ」
('ω`)「えー、東大教授の臺弘は患者の脳を使って人体実験を行いました。」

90 :名無しさん@おーぷん :2017/12/17(日)20:39:25 ID:FW7
石川の告発を朝日新聞が取り上げ、臺弘も反論する。
(●゚◇゚●)「人体実験とは人聞きが悪い。ロボトミーで機能停止する部分だから害はないよ」

92 :名無しさん@おーぷん :2017/12/17(日)20:40:22 ID:FW7
双方の主張が衝突する中、石川の追及はなおも続いた
1972年大阪府
('ω`)「えー、臺弘の行った人体実験の症例を提示します。」
('ω`)「これは19歳男性、これは11歳女性です。」
ザワザワ…ミセイネンカヨ…

91 :名無しさん@おーぷん :2017/12/17(日)20:39:26 ID:EcK
精神病院の内部が報道されることがそれまでなくてアメリカどこかで取材で衝撃をうけて
それを外に出したことで暗闇の中で縄につながれたりする状態が変わったとか見たで

93 :名無しさん@おーぷん :2017/12/17(日)20:41:59 ID:FW7
同年 精神神経学会理事会(イメージ)
騒ぎを無視できなくなった学会は聞き取り調査を行った。
>>91
彡(゚)(゚)「「外圧で内部が変わる」のは世界共通かもしれんで」

94 :名無しさん@おーぷん :2017/12/17(日)20:42:30 ID:FW7
( ,_ノ` )「聞き取り調査をしよう。臺先生、患者の同意は得たのかね?」
(●゚◇゚●)「私の担当患者の家族からは同意を得ました」
( ,_ノ` )「先生、『患者から得たんですか?』と聞いています。得たんですか?」

95 :名無しさん@おーぷん :2017/12/17(日)20:42:47 ID:FW7
(●゚◇゚●)「得ていません。でも私の担当した患者の家族から同意を得ています」
( ,_ノ` )「…先生以外が担当した患者の家族からは得たんですか?」
(●゚◇゚●)「得ていません」
( ,_ノ` )「…」

96 :名無しさん@おーぷん :2017/12/17(日)20:43:07 ID:FW7
現代はもちろん、1972年当時の感覚ですらあまりにも杜撰としか言いようがない研究であった。
1973年には追い討ちをかける報告がされる。