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彡(゜)(゜)「ワイはアドルフ・ヒトラー。将来の大芸術家や」
Part9


384 :名無しさん@おーぷん :2015/08/19(水)18:58:22 ID:Htq
(´・ω・`)(あれから、アドルフと何回か手紙のやり取りをした 冗談を言ったり、最後に親愛なるご両親によろしく、と付け加ええているいつも通りのものだ)
(´・ω・`)(そして帰る日が決まり、手紙にその日時を書いた)
11月20日

(´・ω・`)「あの柱の下が、いつもの待ち合わせの場所なんだよね」
(´・ω・`)「あれ…いない」
(´・ω・`)「さてはまた寝坊してるんだな…全く 手紙に書いたのに…」
20分後
(´・ω・`)「……待合室にいるのかな?」

385 :名無しさん@おーぷん :2015/08/19(水)18:59:47 ID:ciS
キター!!期待

386 :名無しさん@おーぷん :2015/08/19(水)19:06:19 ID:Htq
(´・ω・`)(……)
(´・ω・`)「もう一度ホームに行ってみよう」
1時間後
(´゜ω゜`)「おかしいな… 時間を破るなんて彼かしくない」
(´・ω・`)「まさか……病気!?」
(´゜ω゜`)「そうに違いない! そういえば手紙にまた気管支カタルがぶり返してるって書いてた! いそいで借家に行こう!」
借家前
大家「あらこんにちは」
(´@ω@`)「こんにちは!」
大家「……どこへそんなに急いでるんです?」
(´・ω・`)「どこって……ここは僕達が借りてる家じゃないですか!」ガチャガチャ
(´゜ω゜`)「あれ、開かない」
大家「もしかして何も知らないのですか?」

387 :名無しさん@おーぷん :2015/08/19(水)19:09:29 ID:stC
何があったんや…

388 :名無しさん@おーぷん :2015/08/19(水)19:11:09 ID:Htq
(´・ω・`)「……え?」
大家「ヒトラーさんは引っ越しましたよ」
(´゜ω゜`)「ええっ!?」
(´・ω・`)「か、彼はどこに引っ越したのでしょうか?」
大家「そのことについては何も」
(´・ω・`)「しかし彼は僕宛てに何か残したはずです 手紙とかメモ書とか それはどこに?」
大家「いいえ、ヒトラーさんは何も残さなかったわ」
(´・ω・`)「挨拶もなしですか!?」
大家「何も言わなかったのよ」
(´ ω `)

389 :名無しさん@おーぷん :2015/08/19(水)19:11:27 ID:ciS
えっ…('A`)

390 :名無しさん@おーぷん :2015/08/19(水)19:11:27 ID:7hF
かなc

391 :名無しさん@おーぷん :2015/08/19(水)19:18:04 ID:lIR
兵役からの逃亡ですかね...

392 :名無しさん@おーぷん :2015/08/19(水)19:24:21 ID:Htq
(´ ω `)(彼は自分の分の家賃を払い、姿を消した 次の日から、僕は独り孤独に新しい部屋を探しに出掛けた)
(´・ω・`)「ここでいいかな…」
(´-ω-`)(アドルフ…一体何があったんだ… 思い返しても、理由がみつからないよ)
(´・ω・`)(きっと、ひょっこり現れるに違いない 元大家さんや学校、実家に僕の住所を教えておこう きっと彼が辿ってくるはずだ)
しかし、一週間たっても、翌週になっても、アドルフは来なかった
(´・ω・`)(確かに、ピアノを弾いたら怒ったり部屋中をうろうろしたり急に演説を始める同居人がいない方が勉強は捗るかもしれない)
(´-ω-`)(でも、それじゃ駄目なんだ 君がいなければ僕の人生は平凡で退屈にしか思えないんだ)

393 :名無しさん@おーぷん :2015/08/19(水)19:31:36 ID:ZKY
(クビツェクみたいな友人がいなくて)辛いです…

394 :名無しさん@おーぷん :2015/08/19(水)19:47:44 ID:Htq
劇場
(´・ω・`)(ここにくれば、アドルフに会えるかもしれない)
(´・ω・`)(『真夏の夜の夢』……か)
(´・ω・`)(ああ、いい…けど、一人だけじゃ感想は言い会えない…面白さも半減だよ…)
(´・ω・`)(そういえば、リンツの劇場ではいつも柱の下で二人で見てたな…)チラ
※※※
(´゜ω゜`)「あ、アドルフ!?」
(☆…●)
(´・ω・`)「すいません…人違いでした」

395 :名無しさん@おーぷん :2015/08/19(水)19:53:10 ID:Jsg
切ないなぁ…

396 :名無しさん@おーぷん :2015/08/19(水)19:59:48 ID:Htq
(´・ω・`)(あれから一年がすぎた)
(´・ω・`)(ある情報によると、彼は貧民街の独身者合宿所に行ったらしい)
(´・ω・`)(でも今は、どこにいるか解らない 兵役から逃れる為にドイツへ行ったか、それを無視してまだウィーンにいるか…)
(´・ω・`)(彼は、大都市の闇に姿をくらませた)
(´・ω・`)(彼には、もう友達がいなかった 大都市の真ん中にいる人ほど孤独なものはない 彼が選んだ道は辛く険しいものだった)
彼は、自分の貧乏を恥じており、もう友達が欲しくなかったのだ
(´^ω^`)『もしオーケストラの指揮者の推薦が決まったら、もっと僕が家賃を負担できるようになるよ!』
彼が選んだ運命の道は、孤独、荒涼、虚無に通じる道だった

397 :名無しさん@おーぷん :2015/08/19(水)20:02:08 ID:Htq
最終話・総統兼帝国宰相アドルフ・ヒトラーに続く

398 :名無しさん@おーぷん :2015/08/19(水)20:09:32 ID:Doi
やっぱりここが転機だったんだな……
別れる前に別れを悟ってたみたいだし、もうその時には何か起きてたのかな

399 :名無しさん@おーぷん :2015/08/19(水)20:13:26 ID:ybb
>>398
この頃にナチスに染まったはず

400 :名無しさん@おーぷん :2015/08/19(水)21:14:49 ID:Zwy
切ないなあ…

401 :名無しさん@おーぷん :2015/08/19(水)21:50:28 ID:sXo
おお
悲しいなぁ・・・

402 :名無しさん@おーぷん :2015/08/19(水)21:57:19 ID:1Tu
おお、もう

406 :名無しさん@おーぷん :2015/08/20(木)00:17:35 ID:g72
良スレ

407 :名無しさん@おーぷん :2015/08/20(木)00:21:14 ID:naC
書籍化してほしいぐらい好き

421 :名無しさん@おーぷん :2015/08/22(土)11:10:25 ID:heO
1912年 私立劇場
ザワザワ ザワザワ
ヴー
『ロルツィングの【刀鍛冶】指揮者 アウグスト・クビツェク』
(´・ω・`)ノ ̄サッ
♪〜♪〜♪〜♪〜
(´・ω・`)(音楽院での徹底的な四年間の勉強の後、僕はスロヴァキアの私立劇場の補助指揮者になった)
(´・ω・`)ノシ\(そしてこの舞台が僕の指揮者デビューだ!)
(´-ω-`)ノ ̄
バチバチパチパチパチパチパチパチ

424 :名無しさん@おーぷん :2015/08/22(土)11:19:19 ID:heO
『続いてホロトウ【マルタ】』
(´・ω・`)ノ ̄ジャカジャン
バチバチパチパチパチパチパチパチバチバチパチパチパチパチパチパチバチバチパチパチパチパチパチパチ
(´・ω・`)(この最初の本格的な仕事は成功に終わった)
(´・ω・`)(スロヴァキア…アドルフから聞いていた話でいいイメージはなかったけど、そんなことはなかった 結局、それは偏見でしかなかった)
支配人「素晴らしい!来シーズンまでの契約を早速結ぼう」
(´・ω・`)「はい これからよろしくお願いします」
(´・ω・`)(それから、僕はスロヴァキアをまわった 南の田舎から聞きにきてくれる人もいた)
スロヴァキア とある街
『続きまして『エヴァ』 指揮者アウグスト・クビツェク』
(´-ω-`)スッ
♪〜♪〜♪〜♪〜♪
???「ほう…あの指揮者…使える」

425 :名無しさん@おーぷん :2015/08/22(土)11:27:26 ID:heO
公演後 楽屋
支配人「クビツェク君、君に会いたいという人が来ている」
(´・ω・`)「はぁ」
(´゜ω゜`)「あ、あなたは!」
大オペラ監督「君がクビツェク君か 君に来年、1914年に私のオペラで指揮者をやって貰いたい」
(´・ω・`)「ぜひ、是非お願いいたします!」
(´・ω・`)(やった! クラーゲンフルトの楽団といったら40人のオーケストラに美しい劇場、近代的な設備もある そしてケルンテンの州都、つまり都会だ!)
(´^ω^`)(やったやった! もう最高だよ!)
申し分なかった 僕はこの時、幸福に酔いしれていた

426 :名無しさん@おーぷん :2015/08/22(土)11:37:23 ID:heO
数ヵ月後 1914年
ドガーン バパパババパパバパパ
ヒュルルルルルルルル ズガッ 突撃ィー!!! ママー
(´゜ω゜`)
パンパンパンパンパン ドヴルルルルルルルル
ロシアジンダ!コロセ! パンパンパンパンパン ドガー
(´゜ω゜`)(僕は…なんでこんなところに…今頃『ローエングリン』の指揮をしていた筈じゃ…)
アパーム!タマモッテコーイ フゥアハハハー パンパンパンパンパン
大砲ヨーイ ズガーン パパパパパパパ
軍曹「伏せろ、クビツェク二等兵!」
(´゜ω゜`)「うわああ」
ズガーン
軍曹「死にたいのか貴様! 常に腰を低くしていろ!」
(´゜ω゜`)「はい……」

427 :名無しさん@おーぷん :2015/08/22(土)11:46:21 ID:heO
士官「我々はこれからガリチアに向かう! ロシア熊どもから祖国を守るのだ!」
(^q^)(°∀°)『サー、yes、サー!!!』(゜ロ゜)(´゜ω゜`)
ウオオオオオオ!!!! 砲火だ! ズガーーーー ウアアアアア
パパパパパパパパパパパパパパ ドガーン
(´゜ω゜`)(とにかく、今は生き残ることだけ考えよう……)
ガガガガガガガガガガガガ トツゲキー
ズガーン
1915年
(^q^)「クビツェク、よけろー!!」
(´・ω・`)「えっ」
ズガーーーーーン
(´。ω゜`)「うああああ!!!!」
(^q^)「衛生へーい!!」

428 :名無しさん@おーぷん :2015/08/22(土)11:49:12 ID:a7A
あぁ...

429 :名無しさん@おーぷん :2015/08/22(土)11:58:40 ID:heO
野戦病院
(´・ω・`)(ああ…なんとか命拾いした…でも、重症の人はみんな棄てられていく…)
(´-ω-`)(僕も覚悟を決めておこう…)
上官「アウグスト・クビツェク二等兵、回復したな 次の戦地が待ってるぞ」
(´・ω・`)(助かった……いや、また地獄に行くだけか……)
上官「その前に1ヶ月の休暇が下りた 故郷で過ごすといい」
(´・ω・`)「はっ」
リンツ
(´゜ω゜`)「えっ…ここがリンツ…? ここまで荒れ果ててたなんて…」
父「クビツェク…生きてたか…そうか…神はまだお前を見捨てなかったか…」
(´・ω・`)「父さん…店は…」
父「もう…疲れた 店は閉める ここら一体みんなそうさ」
(´・ω・`)「……」

430 :名無しさん@おーぷん :2015/08/22(土)12:07:33 ID:q0i
唐突な当たり前の急転直下
辛い時代ンゴ…

431 :名無しさん@おーぷん :2015/08/22(土)12:08:19 ID:heO
1917年
(°∀°)「やった!ロシアで革命が起こったぞぉー!!」
(´・ω・`)「やった!これで帰れる…?」
(^q^)「次はイタリアが攻めてきたぞぉー!!」
(´ ω `)「ええ…」
1918年
母『戦地で頑張る息子へ この度、父が死去しました』
(´;ω;`)(父さん…もっといい晩年を送って欲しかった…何もこんな絶望と悲痛の中逝かなくてもいいじゃないか…)
ーーーーー
ーーー

(°∀°)「俺達は……負けた」
(^q^)「……ちのう」カチャ
(°∀°)「……俺も」カチャ
(´゜ω゜`)「あっ…駄目だよ!!」
バンバン
(°∀°)「」(^q^)
(´゜ω゜`)「あう…あう…」
( ・`ω・´)「折角命拾いしたのに…馬鹿な奴らだ」

432 :名無しさん@おーぷん :2015/08/22(土)12:16:33 ID:heO
(´゜ω゜`)「上官……」
( ・`ω・´)「クビツェク二等兵、ここで俺達の部隊は解散だ」
(´・ω・`)「上官…僕はこれからどうすればいいのでしょうか」
( ・`ω・´)「そうか、お前は元音楽家だったな これからの時代生きていくのは厳しいだろう」
( ・`ω・´)「取り敢えず、故郷に帰れ」
(´゜ω゜`)「はい」トボトボ
( -`ω-´)(あいつも、不運な奴だ 時代が違えば名のある音楽家になれたものを…)
( ・`ω・´)(だが、戦争では落ちぶれる奴がいるのと同時に成り上がる者もいるものだ 革命と同じだな)
( ・`ω・´)(取り敢えず、俺はドイツの義勇軍にでも入るか)