彡(゜)(゜)「ワイはアドルフ・ヒトラー。将来の大芸術家や」
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Part4
152 :
名無しさん@おーぷん :2015/08/10(月)19:52:52 ID:
200
第二部 ウィーンでの体験
153 :
名無しさん@おーぷん :2015/08/10(月)19:53:57 ID:njy
お、来たか
155 :
名無しさん@おーぷん :2015/08/10(月)20:00:51 ID:
200
(´・ω・`)(1906年の5月から6月にかけて、アドルフはウィーンに滞在していた)
(´・ω・`)(もう言うまでもないけど、アドルフは慣れ親しんではいるけど小市民的なリンツに限界を感じていた)
父「おーいクビツェク、ヒトラー君から絵葉書が届いているぞ」
(´・ω・`)「え、ほんと!?」
『この絵葉書を送るが、ずっと便りを出さなかったことをすまないと思っている。僕はとても元気で、今はあちこちを見て回っている。明日はトリスタンを見に行き、明後日はさまよえるオランダ人という具合だ』
(´・ω・`)「ふむふむ 楽しそうだなぁ」
『全てがとても素晴らしいのだが、僕はもうリンツが恋しい。今日は市立劇場に行く 尊敬するご両親によろしく』
『アドルフ・ヒトラー』
彡(゜)(<)
156 :
名無しさん@おーぷん :2015/08/10(月)20:03:11 ID:QhM
ヒトラーくんええやつやな
157 :
名無しさん@おーぷん :2015/08/10(月)20:10:23 ID:
200
(・`ω・‘)「んん… きっとこの『リンツ』っていうのはそのままの意味じゃなくて…」
(´-ω-`)「きっと『ステファニー』のことなんだろうなぁ…全くもう」
同じ日の1906年5月に、アドルフは二枚目の絵葉書を出していた
『建物の内部に感動はしない。建物の外面の力強い威厳が芸術の記念碑的厳粛さを建物に及ぼすのであり、内部ではその威厳よりも感嘆を覚える』
彡(`)(´)キリッ
『力強い音の波が室内をうねり、風のざわめきが波打つ音のすごい洪水に消え失せるときにこそ、崇高さを感じ、内装を飾る金やビロードのことはわすれてしまう』
彡(-)(-)
『尊敬するご両親に宜しく』
『アドルフ・ヒトラー』
159 :
名無しさん@おーぷん :2015/08/10(月)20:18:04 ID:
200
リンツ駅
(´・ω・`)「おかえり、アドルフ」
彡(^)(^)「おおクビツェク! なんか久しぶりに感じるで!」
彡(;)(;)「ホンマによかったでぇーウィーンは! 流石ステファニーを生んだ町や! あそこの建築を見て音楽を聞けばワイも都会人や!」
(´・ω・`)「絵葉書からも十分にその素晴らしさが伝わったよ」
彡(゜)(゜)「クビツェク…ワイは決心したで…」
(´・ω・`)「ああ…やっぱり…」
彡(゜)(゜)「ワイは…ウィーンへ行くで」
160 :
名無しさん@おーぷん :2015/08/10(月)20:26:05 ID:
200
ヒトラー家
彡(゜)(゜)「マッマ! ワイはウィーンへ行くで!」
(*^◯^*)「駄目なんだ!」
彡(゜)(゜)「なんでや! 費用はワイが親父から相続した分を使うんやからええやろ!」
(*^◯^*)「そういう頑固なところがお父さんそっくりなんだ!」
(*^◯^*)「それに、知り合いの農夫さんに職の斡旋をたのんでいるんだ!」
彡(゜)(゜)「ファ!?聞いてへんでそんなこと!」
(*^◯^*)「言ったら反対するから黙っていたんだ!」
(*^◯^*)「アドルフ、二年前に実科学校を止めて以来お前はずっとブラブラしていたんだ!」
彡(。)(゜)「ぶっ、ブラブラぁ!? それは聞き捨てならんで! ワイはいつも芸術家になるため努力しとったんや!」
161 :
名無しさん@おーぷん :2015/08/10(月)20:37:07 ID:
200
(*^◯^*)「はっきり言うんだ! 芸術家なんて不安定で軽率なものなんだ!」
外
(´゜ω゜`)「す、すごい剣幕で言い争ってる クララおばさんのこんな声聞いたことないよ…」
彡(゜)(゜)「何を言っとんじゃ! ワイはちゃんと大学にいって勉強するんや! 学校やぞ学校!! どや!? 学生なら世間体も悪くないやろ!?」
(*^◯^*)「ぐぐ…でもクビツェク君みたいに音楽ならともかく絵なんて…」
(*^◯^*)「それに、ラウバルだって反対だって言ってたんだ! 気違いの沙汰だって言ってたんだ!」
彡(●)(●)「あんな小役人風情に芸術の何がわかるんや!! そうか、あいつがマッマに何か吹き込んだんやな!?」
(´゜ω゜`)「僕の出る幕は無さそうだ…今日のところは帰ろう…」
162 :
名無しさん@おーぷん :2015/08/10(月)20:45:56 ID:
200
あくる日 クビツェク家
(´・ω・`)「このマットレス、ずいぶん注文が込んでるね…! ぐぐ…」
父「ああ…今日いっぱいはかかるな…」
彡(゜)(゜)「クビツェク」
(´・ω・`)「あ、アドルフ…ごめん、今は少し忙しくて…」
彡(゜)(゜)「明日、出発するで 出来れば一緒に駅まで来てくれや」
(´゜ω゜`)「明日!?随分急だね」
彡(゜)(゜)「そんじゃ、仕事頑張ってな…」
彡(゜)(゜)「叔父さんも、無理をなさらずに頑張って下さい」
父「ありがとう、アドルフ君はいつも礼儀正しいねぇ」
彡(゜)(゜)「ほな…また…」
163 :
名無しさん@おーぷん :2015/08/10(月)20:49:16 ID:
200
夜
(´・ω・`)「やっと終わった…!アドルフの家に行ってみよう…」
(´・ω・`)「ごめんください」
(*^◯^*)「クビツェク君なんだ!アドルフはいないんだ!」
(´・ω・`)「はぁ、そうですか…あの…」
(*^◯^*)「ウィーンへの引っ越しのことなんだ?」
(´・ω・`)「えっ、あ、はい…」
164 :
名無しさん@おーぷん :2015/08/10(月)20:58:57 ID:
200
(*^◯^*)「アドルフは実科学校できちんと勉強していたら、今頃高卒資格を得ていた筈なんだ!」
(*^◯^*)「大急ぎでウィーンへ行って何になるんだ! 画家になっても、得るものはないし、歴史物語を書いても、1クローネにもならないんだ!」
(*^◯^*)「もうアドルフを助けてやることはできないんだ!アドルフだけじゃなく、パウラもいるんだ!」
(´・ω・`)「妹さん、体が弱いんでしたね」
(*^◯^*)「アドルフはそんなことお構い無しなんだ! まるで世界に自分一人しかいないかのように、自分の道を進むんだ!」
(*^◯^*)「うぐ…」
(´・ω・`)「お、おばさん!?」
(*^◯^*)「最近はもう…駄目なんだ…! ああ…あのお星さまに顔が見えるんだ…!」
(´・ω・`)「し、しっかり…!」
165 :
名無しさん@おーぷん :2015/08/10(月)21:08:54 ID:
200
(*^◯^*)「クビツェク君…アドルフが自力のを見る前に、この体は駄目になるんだ…!」
(*^◯^*)「アドルフは孤独なんだ…! だから一瞬いてやってほしいんだ…!」
(´・ω・`)「おばさん…」
翌日 駅
彡(゜)(゜)「もうマッマは一切反対せん ワイは行くで」
(´・ω・`)「あれ、クララおばさんは?」
彡(゜)(゜)「親が子を見送るなんて恥ずいやろ!」
(´・ω・`)「そっか…」
彡(゜)(゜)「あいつだって…あの糞親父だってウィーンへ行かなかったら一生靴職人でマッマとも結婚できなかったんや ワイだってできるで…!」
彡(゜)(゜)「だからクビツェク! お前もこいや!」
(´・ω・`)「ははっ、またまた…」
彡(゜)(゜)「クビツェク! これはいつもの冗談やない! 本気や!お前が望まんと一生そのままやぞ!」
166 :
名無しさん@おーぷん :2015/08/10(月)21:14:41 ID:
200
(´・ω・`)「うっ……!」
彡(-)(-)「ワイは知っとるんやで、お前がワイに及ばずとも努力していることを… オペラに行く回数を減らして家庭教師を呼び、詩を読んだり…」
彡(゜)(゜)「後はお前が勇気をだすだけや!そしたらワイも全力でやれることをやらせてもらうで!」
(´・ω・`)「アドルフ…」
彡(゜)(゜)「せやから、来い!クビツェク!」
ポーッポーシュッポー
彡(-)(-)「ほな…またな…待ってるで…」
(´-ω-`)「……」
(´・ω・`)「……!」
167 :
名無しさん@おーぷん :2015/08/10(月)21:21:59 ID:
200
クビツェク家
父「クビツェク… そうか、ヒトラー君は行ったか」
(´・ω・`)「父さん…僕…」
父「皆まで言うな お前の頑張りはヒトラー君から聞いてる お前のやりたいこともな」
(´;ω<`)(アドルフ…あんなこと言って、もうやることやってるんじゃないか…!)
父「仕事がないときはなるべく家を避けていたお前が親友を見送った後すぐここに来た…! それだけでもう私は理解した」
(´;ω;`)「父さん…! じゃあ…!」
父「ああ…ただし後一年の修行を終えてだ 勿論音大の受験勉強と平行でな」
(´;ω;`)「うん…うん…やるよ…勿論やるよ…!」
168 :
名無しさん@おーぷん :2015/08/10(月)21:32:26 ID:
200
ウィーン
『アドルフへ 君のおかげで、父さんの許可が貰えたよ 宝くじの夢は叶わなかったけど、同居して二人、ウィーンで学生生活を送る夢は果たせそうだね』
(´・ω・`)
『あと一年で、君に追い付くよ それまで、抜け駆けして有名になったりしてちゃ駄目だからね』
(´・ω<`)
『アウグスト・クビツェク』
彡(゜)(゜)「ふふふ、やりおった、やりおったであいつ! 全てはワイの計画通りや!」
彡(゜)(゜)「だが悪いな、クビツェク! ワイはお前を待つつもりはないで! 必死にワイの芸術家人生に喰らいついてくるで!」
「大松造形美術大学」
彡(゜)(゜)「この美大からワイのそれは始まるんや!」
彡(^)(^)「ほな、行くで!」
169 :
名無しさん@おーぷん :2015/08/10(月)21:32:37 ID:
200
続く
170 :
名無しさん@おーぷん :2015/08/10(月)21:35:34 ID:vll
こういう友情マジで好き
171 :
名無しさん@おーぷん :2015/08/10(月)21:36:52 ID:Yg4
しかしこのあとヒトラーは…
173 :
名無しさん@おーぷん :2015/08/10(月)22:26:24 ID:uUg
こう見るとヒトラーも人間なんやと思って不思議な感じがする
174 :
名無しさん@おーぷん :2015/08/10(月)23:15:22 ID:Ijt
ヒトラーに詳しくなりそう
175 :
名無しさん@おーぷん :2015/08/11(火)06:16:52 ID:2Gq
>>174
そのために見てるんやろ
190 :
名無しさん@おーぷん :2015/08/13(木)08:58:08 ID:
bHU
1907年10月
とある市場
(´・ω・`)(アドルフがウィーンへ行って数ヶ月たった)
(´・ω・`)(僕はヴィオラの交響楽団、弦楽合奏団に入り特訓の日々を重ねている)
(*^◯^*)「あ、クビツェク君なんだ!」
(´・ω・`)「あ、おばさん 元気そうでなによりです」
(*^◯^*)「ありがとうなんだ!」
(*^◯^*)「アドルフは上手くやっているそうなんだ! ただ、何について勉強しているのかわからないんだ! きっと忙しいんだ!」
(´・ω・`)「ええ、そうらしいですね」
(´・ω・`)(実は僕との文通でも政治やステファニーのことばっかりで不思議と勉強のことは書かれてないんだよね)
191 :
名無しさん@おーぷん :2015/08/13(木)09:02:33 ID:9gU
きたー!
192 :
名無しさん@おーぷん :2015/08/13(木)09:03:34 ID:qqG
クビツェクくんヴィオラ弾きだったのか
何故かピアノイメージだったわ
193 :
名無しさん@おーぷん :2015/08/13(木)09:05:40 ID:ukK
待っとったでー
194 :
名無しさん@おーぷん :2015/08/13(木)09:08:08 ID:
bHU
翌日
父「こ、これは…」
(´゜ω゜`)「はえ〜」
注文書にはベットが50床とあった 新築された婦人科病棟のためだ
空いてる時間は全て音楽の勉強に費やした こうして数週間の間、楽団と家だけを往復する日々が続いた
11月後半 ヒトラー家
(´・ω・`)「おばさん、暫く顔見せられなくてすいません」
(* ◯ *)「だ、誰…なんだ……」
(´゜ω゜`)「お、おばさん!?」
数週間ぶりに見た彼女の顔は枯れ果て、弱りきっていた
195 :
名無しさん@おーぷん :2015/08/13(木)09:21:41 ID:
bHU
(* ◯ *)「アドルフは、ウィーンの生活、生活はとてもじじじじゅうじつしてるらしいんだ…」
(´・ω・`)「へ、返事を書くのが大変なら僕が代わりに書きますよ!」
(* ◯ *)「それは駄目なんだ…」
(* ◯ *)「アドルフは母親の体調を知ったらきっとここに戻ってくるんだ…」
(* ◯ *)「猛勉強しているアドルフに途中で中断を強いることはできないんだ…」
(´・ω・`)(一体どうすれば…)
(´・ω・`)(小さな妹さんは毎日学校、確かアドルフの義理の姉さんは妊娠中 その夫のラウバルもアドルフのウィーン行きの件で不機嫌らしいし…)
(´・ω・`)「入院…」
(* ◯ *)「お医者さんにもそう薦められたんだ…」
結局、様々な理由が重なりアドルフへ手紙が送られることとなった
196 :
名無しさん@おーぷん :2015/08/13(木)09:22:50 ID:y8X
確かヒトラーの絵は人物が一人もいないんやっけ
風景画ばっかり
197 :
名無しさん@おーぷん :2015/08/13(木)09:28:27 ID:PGS
なんでヒトラーがトップになれたんやろねぇ
198 :
名無しさん@おーぷん :2015/08/13(木)09:32:21 ID:
bHU
(´・ω・`)「ってことなんだよ…どうにかならないかな?」
母はクララおばさんとは面識がなかったが時々おばさんの様子を見に行くことを進んで引き受けてくれた しかし、父が反対した
父「頼まれてもないのに援助をするのは無作法にあたる」
(´・ω・`)「…」
翌日
(´・ω・`)(よし、次はマットレスに詰め物をして…)
彡(゜)(゜)ガチャ
(´・ω・`)「アドルフ、帰っ」
彡(゜)(゜)「医者は不治の病や言うとった」
アドルフの口から出たのはこれだけだった
彼の顔は透き通りそうなほど青白く、目はくもり、声はしわがれていた
199 :
名無しさん@おーぷん :2015/08/13(木)09:41:19 ID:
bHU
彡(゜)(゜)「不治の病てなんや? 不治やない、医者に治す能力がないだけや マッマはまだ47やぞ」
彡()()「医者はどうしていいかわからないから不治の病なんて言い出すんや」
(´・ω・`)(身近に起こったことを何でも問題視するのは、彼のいつもの癖だ)
(´-ω-`)(でも、こんな風に話したのは初めてだな…)
(´・ω・`)「僕に何かできることはある?」
彡(-)(-)「……」
彡(゜)(゜)「マッマの面倒を見るために、ワイは暫くリンツにいる」
(´・ω・`)「大学はいいの?」
彡()()「……」
彡(゜)(゜)「だ、大学は毎日行かなくてもええんやで それに、今はマッマの方を優先せな」
(´-ω-`)「そうだよね…無粋なこと聞いてごめん」
201 :
名無しさん@おーぷん :2015/08/13(木)09:51:37 ID:
bHU
(´・ω・`)「そういえば、君に家事なんてできるの?」
彡(゜)(゜)「必要になれば、何でもできるもんや」
翌週
(´・ω・`)(アドルフはああ言ってたけど、家事を単調で退屈な作業だって見下していたアドルフにできるのかな…?)
(´-ω-`)「無理だろうなぁ きっと三日坊主…」
ヒトラー家
(´・ω・`)「お邪魔します」
(´・ω・`)「あれ、誰もいない」キョロキョロ
「クビツェク、下や」
(´゜ω゜`)「ア、アドルフ…床にひざ立ててなにしてるの…?」
彡(゜)(゜)「ファ? 掃除に決まっとるやろ 見てわからんか」
(´゜ω゜`)(嘘…あの、あのアドルフがエプロン着けて床を磨いてる)