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彡(゜)(゜)「ワイはアドルフ・ヒトラー。将来の大芸術家や」
Part3


86 :名無しさん@おーぷん :2015/08/08(土)19:53:13 ID:Rxq
状況は悪くなっていった
たまたま彼女の機嫌が悪い時に彼女に視線を送った結果、彼女は明らかに煙たそうにそっぽを向いた
彡()()「ファ!?」
この行為はアドルフを絶望の淵へと追いやった
彡(゜)(゜)「もう耐えられへん! 終わりにするで!」
彡(゜)(゜)「橋からドナウ川に飛び込んだる 勿論、ステファニーも一緒に死ななアカン」
(´゜ω゜`)「アドルフ…」
彡(●)(●)
ここ三週間、彼の頭にはその計画しかなかったようで、僕は恐る恐るそれを見守るしかできなかった

87 :名無しさん@おーぷん :2015/08/08(土)19:56:50 ID:VW4
この時、素直に死んでればなぁ。
巻き添え食らうステファニーは可哀想だけど。

88 :名無しさん@おーぷん :2015/08/08(土)20:01:41 ID:Rxq
1906年6月
その日は花馬車行列という催しが行われ、僕とアドルフも教会の前でそれを見ていた
(´・ω・`)「前に君が言ってた通り、自然も芸術の一つに違いないね 花と連隊の音楽がよくマッチしてる」
彡(●)(●)「せやな…」
(´・ω・`)「あっ、花の投げ入れが始まったよ! 君の妹さん位の娘もいるね」
彡(●)(●)「せやな…」
(´゜ω゜`)「あっ……見てアドルフ! ステファニーだよ! ステファニーが花馬車から降りてきたよ」
彡(゜)(●)「ファ!? ほ、ホンマや!!」
その時のステファニーは赤いヒナゲシ、白いマーガレットに囲まれて最高に魅力的だった

89 :名無しさん@おーぷん :2015/08/08(土)20:08:52 ID:Rxq
そのうち馬車が僕達の目の前にやって来た その時、ステファニーの明るい眼差しがアドルフに注がれた
彡(゜)(゜)「」
彼女はお祭り気分にふさわしく無邪気に微笑みかけ、花束から花を一本抜いてアドルフに投げた
(´・ω・`)チラッ
(´゜ω゜`)!!!
その時ほど、幸せそうなアドルフの顔を僕は見たことがない
祭り後
彡(;)(;)「やっぱり……やっぱりそうだったんや! 彼女はワイに気があるんや」
(´;ω;`)「うん…うん…気があるかどうかはともかく良かったねアドルフ…」

90 :名無しさん@おーぷん :2015/08/08(土)20:12:04 ID:w5Y
アドルフくっそこわい
クビツェクくっそ不憫

91 :名無しさん@おーぷん :2015/08/08(土)20:12:55 ID:w5Y
不憫は少し表現が違うな、優しすぎるんだわ

92 :名無しさん@おーぷん :2015/08/08(土)20:23:13 ID:Rxq
若きアドルフは市民社会を何よりも嫌っていたが、好きな人と接する際には誰よりもその社会のルールを厳守した
彡(-)(-)「結局、ワイは未だに自己紹介すらできておらん…」
逆に考えれば、ルールを守ることにより一つの事実から自らを守っていたのかもしれない
彡(゜)(゜)「ワイの片思い…なんやろか…」
結局、長期に渡る状況の無変化とウィーンへの移転という時間的にも空間的にも疎遠となった二人の関係は風化するに至った
彡(゜)(゜)「ワイの努力は全部無駄やったんやろか…ワイが考えた二人で暮らす家も…理想も…」
(´・ω・`)「女の人は逃げても芸術は逃げないよ、アドルフ それはいつだって僕らの手の中さ」
彡(-)(-)「せやな…」
しかし、一つだけその夢は叶う その場にステファニーはいなかったが、後にその夢の家はオーバーザルツベルクで実現した
なんにせよ、ステファニーは彼の生涯で最も美しく純粋で豊かな夢だったことは確かだ

93 :名無しさん@おーぷん :2015/08/08(土)20:23:25 ID:Rxq
続く

94 :名無しさん@おーぷん :2015/08/08(土)20:27:00 ID:zNL
面白杉内俊哉
おつやで。またな。

95 :名無しさん@おーぷん :2015/08/08(土)20:40:49 ID:oQb
「女の人は逃げても芸術は逃げないよ、アドルフ それはいつだって僕らの手の中さ」
ぐう名言
どっかで引用したい

114 :名無しさん@おーぷん :2015/08/09(日)22:06:33 ID:tuu
彡(゜)(゜)「お前はそれについて全く理解しておらん!」
彡(゜)(゜)「それについてお前に話すことはできん!」
彡(゜)(゜)「政治に関してはクビツェク、お前はマヌケやな!」
彡(゜)(゜)「全く、マッマといいお前といい皆政治に無関心過ぎるで!」
(´・ω・`)(僕達の友情にとって政治はいつも難点だった)
(´・ω・`)(僕は政治のことで自分の意見を全ど持たなかった)
(´・ω・`)(そんな僕を、彼は「ヒトラー教」に改宗させたがっていた)
(´・ω・`)(つまり、この若き民族主義者と同じ意見をもって欲しかったんだ 芸術についての考えと同じように)

117 :名無しさん@おーぷん :2015/08/09(日)22:14:50 ID:tuu
彡()()「全く、政治に興味がないなんてしんじられんなぁ。情熱が足らんのか?」
彡(゜)(゜)「だったらワイが政治というものを教えたるで! よし、今日は国会議事堂に行くで!」
(´・ω・`)「ええ〜。僕帰ってピアノの練習したいんだけど…」
彡(゜)(゜)「このままお前を野放しにしてたら将来どうなるかわからん! ええからついてこいや!」
(´・ω・`)「おばさん、アドルフはなんで政治に興味を?」
(*^◯^*)「亡くなったお父さんも政治談義が好きだったんだ!」
(*^◯^*)「いつも居酒屋でゲルマン人についてやらオーストリアの多民族性についてやら話して煙たがられてたそうなんだ!」
(*^◯^*)「でもそれをアドルフに直接言ってる所は見たことがないんだ! きっと似た者同士だったなんだ!」

118 :名無しさん@おーぷん :2015/08/09(日)22:29:57 ID:tuu
(*^◯^*)「ま、最近の若者はみんな自分をドイツ人だと思いたいみたいなんだ! アドルフもそんなニュアンスのことを言ってたんだ」
(*^◯^*)「クビツェク君みたい歳でノンポリはむしろ少数派なんだ!だからアドルフもほっとけばじきになおると思うん!」
(´・ω・`)「うーん、そうでしょうか」
(´・ω・`)「でさ、最近ヴィオラの先生に言われたんだけど、音楽の時代はイタリアに移り変わってるらしいよ」
彡(゜)(゜)「イタリアぁ〜? イタリアはないで」
(´・ω・`)「ホントドイツ以外の外国に興味がないんだねアドルフは」
彡(゜)(゜)「ワイは死ぬまでドイツ帝国人やからな! 芸術的才能もドイツの為に使うで」
(´・ω・`)「へー、僕は楽器が弾ければどこだっていいや ピアノの先生にこう言ったらユダヤ人みたいだなって言われちゃったよ」

119 :名無しさん@おーぷん :2015/08/09(日)22:40:51 ID:tuu
(´・ω・`)「ユダヤ人って言われても僕はあんまりピンと明るいこないんだけど、アドルフはどう思う?」
彡(゜)(゜)「ワイは別になんとも思ってへんで」
(´・ω・`)「あ、そうなんだ」
彡(゜)(゜)「そういえば学校の教師がユダヤ人についてあれこれ言っとったなぁ ワイは寝てたんやけど」
彡(゜)(゜)「ま、不満があるとすればベツレヘム通りのシナゴーグやな あれはリンツにいらん」
この頃、アドルフはそれほど反ユダヤ主義者ではなかった
彡(゜)(゜)「おっ、国会やんけ! チェコ人は消えろや!」
(´・ω・`)「ちょ…」
結局、彼は民族主義者だった 彼は愛した民族のために無条件で献身的に打ち込んだ
彼はただこの民族の中にだけ生きており、他の事は何も知ろうとしなかった

120 :名無しさん@おーぷん :2015/08/09(日)22:48:45 ID:5JH
意外やな
若くして民族主義者って言うならユダヤも閣下時代レベルで嫌ってるかと思った

121 :名無しさん@おーぷん :2015/08/09(日)23:02:03 ID:tuu
彡(゜)(゜)「あれ、今日やっとらんやんけ!」
(´・ω・`)「ホッ…じゃ帰ろうか」
彡(゜)(゜)「チッ…しゃあないな…ん!?」
(´・ω・`)「今度はなんだよもう…」
彡(゜)(゜)「おっ、宝くじやんけ! 買ったろ!」
彡(゜)(゜)「あら…金がないやんけ…クビツェク!お前半分出せや!」
(´・ω・`)「ええ〜! 只でさえ小遣い少ないのに…」
彡(^)(^)「当たった金でワイらが民族記念館の改修するで! クゥ〜! 夢が広がってきたで!」
(´・ω・`)「国営宝くじなんて初めて買ったよ」
彡(゜)(゜)「邸宅も作るで! 二階にワイのアトリエを作って地下にはクビツェクの音楽室や!」
(´^ω^`)「あっ…いいねぇそれ」

122 :名無しさん@おーぷん :2015/08/09(日)23:02:37 ID:ZN5
ここから何故ユダヤ嫌いになったのか不思議なくらいやな

123 :名無しさん@おーぷん :2015/08/09(日)23:12:01 ID:tuu
(´・ω・`)(当選発表までの期間は、僕達の友情にとっては最も美しい一時だった)
(´・ω・`)(愛、熱狂、偉大な考え、大胆なアイデア、僕達には何でもあった)
(´・ω・`)(ただこれまでは、お金がなかった それが手に入るなら、もう他に何を望むというのだろう)
彡(゜)(゜)「うーんこの邸宅の案はええが費用がかかり過ぎるで」
(´・ω・`)「確かに、これでお金を使いきったらいつものみすぼらしい服で豪邸に住むことになるね」
彡(゜)(゜)「せや! 借家のワンフロアを貸しきって改造するのはどうや!?」
(´・ω・`)「あっ、それ名案だね!」
彡(^)(^)「よっしゃ、場所決めに行くで!」
(´^ω^`)「行こう行こう!」

124 :名無しさん@おーぷん :2015/08/09(日)23:20:29 ID:tuu
ーーーーー
(´・ω・`)「うーんこの辺りは周りが家ばかりだね」
彡(゜)(゜)「次や次!」
ーーーーー
(´・ω・`)「ここいいんじゃない? 程よく町を見渡せるよ!」
彡(゜)(゜)「……」
(´・ω・`)「あっ……(察し)」
(´・ω・`)(近所に学校があった…)
(´・ω・`)「ここは学校の通学路があるから芸術活動に支障が生じるね」
彡(゜)(゜)「せやな」

125 :名無しさん@おーぷん :2015/08/09(日)23:31:16 ID:tuu
(´・ω・`)「結局…たどり着いたのは…」
彡(゜)(゜)「ここか」
ウアファール地区キルヒェン通り4番にあった33号室
(´・ω・`)「いい場所だね ドナウ川の近郊にこんな家があったなんて」
彡(゜)(゜)「反対側はミュールフィアケル地域の緑の丘陵…ペストリンクベルの眺め…」
彡(^)(^)「最高や!ここに決定やな!」
彡(゜)(゜)「早速忍び込むで!」
(´゜ω゜`)「忍び込むなら最も静かにね…」
彡(゜)(゜)「はえ〜!予想以上の眺めや」
(´・ω・`)「うわぁー壁も厚いからピアノ位大丈夫そうだ」
彡(゜)(゜)「早速平面図づくりや!」

126 :名無しさん@おーぷん :2015/08/09(日)23:41:55 ID:tuu
彡(゜)(゜)「おっ!ここのフロアにワイの作図机置くで!」
(´・ω・`)「じゃあ僕はこっちの狭い方で こっちの方が音響よさそう」
彡(゜)(゜)「カーテンとその飾りは任せるで! ワイは設置する家具や!」
(´・ω・`)「伊達に家具職人見習いやってないからね、張り切らせて貰うよ!」
(´・ω・`)(僕達は夢中になって作業した)
(´・ω・`)(一等賞の宝くじに当選することを僕達は疑わなかった)
(´・ω・`)(アドルフのおかげで、僕も当選への無条件の確信に目が眩んでもうすぐキルヒェン通りに引っ越す予定でいた)
(´・ω・`)「できた どうだいアドルフ」
彡(゜)(゜)「おお、ええな! 堅実で妥当や! よっ、大将!」

127 :名無しさん@おーぷん :2015/08/09(日)23:53:54 ID:tuu
(´・ω・`)「僕は宝くじが当たったら家の手伝いをやめるよ! 音楽の仕事に全力を注ぐんだ」
彡(゜)(゜)「せやな!やめて止めてまえ止めてまえ」
彡(゜)(゜)「たまにウィーンへ行くで! んで劇場に行ったり講義を聴いたりするで!」
彡(゜)(゜)「でも生活スタイルは今と同じや! 上品かつ堅実にいくで! 家政はどっかのバッバでも雇うで」
しかし、そう上手くはいかないものだ
当選日
父「クビツェク、椅子の脚をとっておくれ」
(´・ω・`)「はい父さん」
ガラガラ
父さん「ん、だれだ? 納品日は明後日の筈だが…」
彡(。)(●)「クゥー! ク、ク、クビツェクーーー!!!」
(´゜ω゜`)「ア、アドルフ!!?」

128 :名無しさん@おーぷん :2015/08/10(月)00:04:02 ID:200
アドルフの手には紙切れとなったくじが握られていた
彡(●)(●)「ンゴォォォォォォォォ!!!!」
彡(。)(●)「人間の騙されやすさにつけ込む国家主導の投機!」
(´;ω;`)(ああ…そうか駄目だったんだね…)
彡()()「善良な市民を食い物にする公然の詐欺!!!」
彡(●)(●)「10!?いや20!?民族の寄せ集めの糞国家が〜〜!!〜〜!!」
実際には、二人の哀れな若者がなけなしの金を騙しとられた、というだけの話だった
彡(●)(●)「ハプスブルク家の婚姻政策から生まれた怪物!!」
アドルフは、自分に非がある、などとは思いもしなかった。一等を得るのは当然の欲求である、と思っていた

129 :名無しさん@おーぷん :2015/08/10(月)00:04:04 ID:QhM
めっちゃ青春してるやん。ええやつやな二人とも
こんな青春送ってたら、きっと将来は立派な聖人になるんやろうなぁ

130 :名無しさん@おーぷん :2015/08/10(月)00:12:16 ID:QhM
>ウアファール地区キルヒェン通り4番にあった33号室
収束してて草

131 :名無しさん@おーぷん :2015/08/10(月)00:13:19 ID:200
(´・ω・`)(アドルフは、国営宝くじなどの国家組織を騙されやすさ当てにするよりも自分自身とその将来を信頼するほうが賢明だと思うようになった)
彡()()「くそ…オーストリアなんて信じたワイが馬鹿だったんや…」
彡()()「はえ〜つっかえ〜 くそ、気分直しに橋のスケッチにでもいくでクビツェク!」
(´・ω・`)「うん、付き合うよ」
父「なんだこいつ…」
(´・ω・`)(それから、彼は橋を好むようになった)
(´・ω・`)(ドナウ川を流れる水の上には、何か自由で前に進みたくなる雰囲気があった)
まるで自分がそうでありたいと思うように、自らの国を嫌うこの若き民族主義者は熱心に橋をスケッチしていた

132 :名無しさん@おーぷん :2015/08/10(月)00:13:51 ID:200
続く

133 :名無しさん@おーぷん :2015/08/10(月)00:27:21 ID:3Rq
パッパドン引きで草

134 :名無しさん@おーぷん :2015/08/10(月)12:21:54 ID:Bpa
だからヒトラーはハプスブルク嫌いだったんか