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リンク「ゼルダ姫…マスターソード入れるよ…」
Part6


143 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 22:58:18.20 ID:3FOhpsIPO
ガノン「もう一度言う、やつを追え。まだ助かる。」
リンク「ああっ!」
半ば納得のいかない様子でリンクは雨の中を駆け出した。
ゼニノコ「おっと、いかせまへんでえ。」
ガノン「お前の相手はこっちだデカブツ。」
ガノンドロフの渾身の拳がゼニノコの顔面に直撃した。
ゼニノコ「ぬぁあ…!」
ガノン「いけえ!!!」
リンクは全力で走った。
飛び散る雫の一つ一つに過去の思いが重なって弾けていく。

148 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 23:12:56.01 ID:3FOhpsIPO
クリボー「ひい!来やがった!踏まれる踏まれるう!」
ノコノコ緑「二手に別れましょう!!」
クリボー「おう!」
クリボーは森の暗がりに消えた。
そしてノコノコ2匹はスタルキッドを連れたままゾーラの里へと繋がる穴へ逃げ込んだ。
リンク「待て!!」
リンクは迷わずスタルキッドを連れたノコノコ達を追った。
泳ぎに泳いでゾーラの里に着き、リンクが体中の水を払ったその時。
ノコノコ緑「おっと、動かないでくださいよ。」
ルト「すまぬリンク…。」
ルトが銃口を突き付けられていた。
リンク「卑屈な手を…。」
リンクの剣を持つ手が震えていた。
今の彼の正義と勇気は彼等の悪意が許せなかった。

149 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 23:16:10.47 ID:3FOhpsIPO
リンク「彼女を離せ。」
ノコノコ緑「嫌です。」
リンク「離せえ!!!」
ノコノコ青「ひいい!」
リンクは殺気に満ち溢れた目でノコノコを睨んだ。
ノコノコ緑「いいでしょう。その変わり、私たちは逃がしてもらいますよ。
      剣を捨ててください。」
リンクは言われるがままに剣を地面に落とした。
ノコノコ緑「さよならです。」
ノコノコ達はスタルキッドを担いで逃げている。
リンク「…逃がすか!」
リンクはすかさずブーメランを投げてスタルキッドだけは助ける事に成功した。
ノコノコ緑「卑怯な…!嘘つきはいけませんよ!」
ノコノコ青「覚えてやがれ糞野郎!!!」

150 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 23:22:55.35 ID:3FOhpsIPO
ルト「すまない。余は足手纏いだな…。」
リンク「いや、君は勇敢だったさ。」
ルト「リンク…お前はいつも優しいな…。」
リンク「そうでありたいものだ。待ってる人がいる、また会おう!」
リンクは急いであの穴へ走った。
ルトはこの心を打ち明ける時は今しかないと思った。
今言わなくては二度と言えない気がした。
ルト「余はそなたを愛しておる!!大好きだ!!!」
リンク「ああ、僕もだ。」
リンクは優しい顔でそう言って森へ帰った。しかしルトは泣き崩れた。
ルト「馬鹿者…顔が引きつっておったぞ…。」
いつもそうだった、そなたは優しい顔で嘘を付く。
夢みたいな嘘でよを幸せにしてくれる。
そなたの嘘などとうに見抜いておった、それでもそなたが好きなのだ。

151 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 23:30:54.74 ID:wSZpnp0EO
相変わらず女泣かせな奴だなwwww

152 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 23:34:26.21 ID:3FOhpsIPO
ガノン「のあああ!!!」
ゼニノコ「へぼいへぼい。話になりませんわ。
     ほおれ、両手あけてやるさかいどっからでもかかってきいや。」
リンク「そこだぁあ!!!」
ゼニノコが油断したその時、林から突然リンクが帰って来た。
ガノン「リンク!!」
不意を突いたリンクはメガトンハンマーをゼニノコの腹に叩き込んだ。
ゼニノコの硬い殻の腹の部分が砕けて夥しい血が流れている。
ゼニノコ「ぜに…ぜに…おいおいやってくれたなあ。許しまへんで。」
ゼニノコがズカズカとリンクに向かってくる。

154 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 23:44:49.39 ID:3FOhpsIPO
ガノン「行かさん!」
ガノンのフックショットがゼニノコの腕に巻き付いた。
ゼニノコ「やめんかい!」
ガノン「絶対に離さん。」
ゼニノコは鎖をガシャガシャと揺らして暴れている。
雨で腹の血が止まらない。
ガノンドロフは全力で巨体を押えている、今にも腕がはち切れそうだ。
ガノン「いまだリンク!!」
ガノンドロフはリンクに自分の剣を投げつけた。
リンクはそれを掴み取り、両手を広げてゼニノコの方へ走っていった。
雨の雫を巻き込みながら、あの一点を目指した。

155 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 23:47:58.69 ID:jrrVqygxO
ゼニノコのせいでピーチは…
リンクやっちまえ

156 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 23:55:29.67 ID:3FOhpsIPO
雷の音とリンクの走る音が重なって響く。
ゼニノコ「離せいよるやろがあああ!!!」
ガノン「ぬぁあああ!!!」
ガノンは壁にたたき付けられた。
―行け、リンク、勇気のトライフォースはお前の証しだ。
リンク「せやぁあああああ!!!!」
リンクはガノンドロフの剣をゼニノコの腹に突き刺した。
―諦めない者に、幸せは与えられる。
リンク「さぁああああああ!!!」
そしてマスターソードは決して貫けないと思われていた分厚い甲羅を背中まで貫いた。

157 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 23:59:06.45 ID:agRy+i460
そいやさぁあああああああああ!!!!!

158 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 00:03:12.69 ID:zaBCCrQP0
えんやさあぁぁぁぁぁぁ

159 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 00:06:18.00 ID:ezgLoP900
どっこいしょぉぉぉぉ

160 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 00:09:09.49 ID:KgoSMR6DO
ゼニノコ「わてが…やられたゆうんか…。ありえん…ありえ…へん。」
ゼニノコは倒れた。二本の剣が空に向かって聳え立っている。
剣芯に炎を写して雨の中で交差する剣には神々しささえ感じる。
そして同時に今の僕たちに似た物を感じた。
リンク「すまないガノンドロフ、まだ少し用がある。
    全てが落ち着いたらまたゆっくり話をしよう。」
ガノン「ああ。しばしさらばだ。また会おう。」
二人は雨の雫を弾くような勢いで硬い握手をした。
リンクはスタルキッドを置いた雨も火も無い静かな林に戻った。
「大丈夫…鉄の玉の一発や二発この体ならすぐ治る筈だよ…。」
リンク「今は動くな。」
「うん。また…あえるかな?」
リンク「ああ、会えるさ。必ずだ。」
リンクは走った。とにかく心配だったのだ。彼女を探さなくては。

162 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 00:17:11.10 ID:KgoSMR6DO
リンクはだいぶ炎の治まった森を走り回った。
リンク「サリアー!サリアー!」
何度名前を呼んでも雨の音に書き消されてしまう。
彼はあらゆる場所を手探りで進んで行った。
そしてその辿り着いた先に黒く染まった扉を見つけた。
リンクは感覚的にそれが何かを理解して勢いよく開いた。
ああ、帰って来たんだ。
半日に過ぎない出来事だが、まるで何年も此所へ来てなかった気さえする。

163 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 00:24:19.76 ID:KgoSMR6DO
リンク「サリア!」
サリア「…リンク!」
二人は抱き締めあった。
リンク「良かった…無事で良かった…。」
ふとリンクが顔を上げる。
リンク「…他の皆は?」
サリア「他のみんなはデクの樹様の中に逃げたわ。あたし、ちゃんと待ってたよ。」
リンク「馬鹿、こういう時はちゃんと逃げろよ。」
サリア「約束したから。」
刹那、リンクはもう一度彼女を抱き締めた。

164 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 00:26:37.17 ID:KgoSMR6DO
サリア「一つ…お願いがあるの。」
リンク「なんだい言ってごらん?」
サリア「あたしを森の外へ連れて行って。一度でいいから外の世界が見てみたいの。」
外に出たら彼女は消える。
伝説には時々"本物"があるとあいつは言っていた。
彼女を失いたくない。
サリア「大丈夫よ。最期のシーンの撮影の時森から出てたじゃない。」
リンク「あれは森の近くだったかr…。」
サリア「お願い。」
サリアがこんなにも僕に物を頼む姿を初めてみた。
僕は決意を固め彼女をおぶって森の入口へ向かった。
いつも通る道が全く違って見えるのは火災のせいばかりでは無いのだろう。

165 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 00:38:00.42 ID:KgoSMR6DO
どの道、雨では治まらないくらいの火が迫って来ていたんだ。
あのまま家にいても焼かれるだけだろう。行くしかない。
狭い世界のその果てを超える時なんだ。
リンク「行くよ。」
サリア「うん。」
頭上にはまだ夜の暗さの残る空がどこまでも広がっていた。
冷たい初冬の風が二人の体を吹き抜ける。
しかし風が吹く度に心はかえって熱を増していったのだ。
僕は彼女をおぶったまま森の外へと踏み出した。
背中越しに彼女の小さくて早い鼓動が伝わってくる。
彼女はここに生きているんだなと、僕は彼女の息吹を感じ取った。
少し歩く度に彼女の姿を確認したがその度に彼女は小さく微笑む。
やがて目前に広がるハイラルが僕らを迎えた。
広大な平原が全身で二人を歓迎するかのように、草達がサラサラと揺れている。
長い時を経て、僕等は今まさにハイラルの大地に立ったのだ。

153 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 23:40:21.65 ID:C5qSN/pC0
今更だがなんで病院なんだ?

166 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 00:40:31.89 ID:KgoSMR6DO
今日は寝ます。読んでいただきありがとうございます。
病院について質問がありましたが、腰に腫瘍が出来てたみたいです。明後日手術します。
皆様が幸せである事を誰より願います。
それではおやすみなさい。

167 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 00:41:28.90 ID:DZwz2lS90
とりあえず乙
カラダに気をつけてww

171 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 01:03:56.41 ID:ty9fKEQ+0
お大事に乙

172 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 01:05:04.06 ID:KS72vjyRO
腰が痛いと言ってたのはその事だったのか…
無理するなってガノンが言ってるぞ!
お大事に

212 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 19:05:51.42 ID:KgoSMR6DO
エポナの首輪を引きながら二人はハイラル平原に降っている雨の雫を
空へ微かに巻き上げながら歩いた。初めて歩く道、誰も知らない二人の世界。
サリアは辺り一面を見回してはリンクにあれはなに?と何度も聞いて来る。
真新しい世界の新鮮味を瞳に焼き付けて、
彼女は生まれたばかりの赤ん坊のように僕に物を尋ねる。
僕が答える度に、彼女は驚きとも感動とも似つかない表情で頷くのであった。
強い風の中を決して折れる事なく、僕たちは淡々と歩く事を続けた。

213 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 19:09:43.82 ID:KgoSMR6DO
リンク「まだ雨が降ってるな…。寒いだろ、上着貸すよ。」
サリア「ううん、いいの。それに、雨なんてとっくに止んでるよ。」
僕は漸く、自分が泣いていた事に気付いた。
サリア「勇者様が泣かないの。
    みんなが見たら悲しくなるでしょ。
    あたしは大丈夫だから。」
サリアは背伸びしてボロボロのハンカチで彼の涙を拭ってみせた。
僕がありがとうと笑顔を作り彼女に報いると、いつものようにあの笑顔が返って来た。
僕は幸せ者だ。彼女の笑顔は新鮮な世界に懐旧の情をもたらした。

216 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 19:15:06.44 ID:KgoSMR6DO
僕らは誰もいないハイラルの夜がずっと続いているような錯覚に目眩をすることもなく、
ただひたすらその果てへ向かった。
辿り着く所。冬の始まり、恋の終わり。
得体の知れない大きな感情の塊がのしかかってくるのからは目を背け、
ただひたむきに彼女を見つめようと努めた。
ようやく僕の中にあるそれは、愛では無く、恋、なのだという確信に至った。
これ程までに自分の心を信頼した事があっただろうか。ありはしないさ。

217 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 19:24:22.47 ID:KgoSMR6DO
長らく歩いた所で、僕らは広い空間に出た。
まるでそこは地上に舞い降りたエデンの園のように、暗い空に輝く星達を写し出している。
リンクはエポナに此所で待っていてくれと言うと、空を見上げて彼女の肩に手を当てた。
リンク「ここがハイリア湖、綺麗だろ。」
サリアはコクッと頷いたてリンクの手に手を引かれて歩いた。
向かうのは泉の真中にある小さな島。僕らの終点。
明日の始まる所。

218 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 19:34:03.16 ID:KgoSMR6DO
そこには一本の木、ただそれだけがあった。
水面は静かに揺れ二人をこの世界に引き込み、
星は二人に今此所で生きている事を伝えた。
二人は寄り添うようにして座っている。
華奢な彼女の体を通して、世界に一つの温もりが、僕の体の涙腺から奥底までを暖めた。
何かを悟るように目を閉じてゆっくり彼女の方を振り向いて瞼を開いてみると、
彼女の体がうっすらとしているのに気付いた。
リンク「サリア…。」
サリアは涙を流し唇をかみ締めながらもリンクにほほ笑み掛けたのだ。
彼女に出来る精一杯の笑顔が、
湖の水を満たさんばかりの有りっ丈の愛情が、
彼の心を満たし切った。

219 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 19:38:24.17 ID:KgoSMR6DO
リンク「…大丈夫。君は消えない。これからも一緒だ、二人で生きよう。」
サリア「嘘が、上手いのね。」
その一言は僕の中の一番弱い部分に嵐が吹き抜けたような痛みを与えた。
全ての過ちの償いが、とうとう音を起てながら降り懸かって来た。
リンク「どうして…。」
サリア「ずっと気になってた。外の世界の貴方、どんなんだろうって。
    それはそれは素敵なんだろうってお星様を見たら分かったの。
    だけど、素敵過ぎた。」
サリア「貴方は皆のものよ。」
リンク「…僕が不甲斐ないばかりに、君だけのものにはなりきれなかった。
    なれなかった。すまない…すまない。」
―もう嘘は付けなかった。
サリア「もう良いの、それでも良いの。だけど今日だけはあたしの夫でいて欲しいの。」
リンクは彼女の体を包む込みように抱き締めた。
サリアはクシャクシャになった彼の頭を撫でている。

221 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 19:53:01.38 ID:KgoSMR6DO
そうして、限り無く永遠に近い幸せの時間が流れた後でようやく太陽が僕らを照らした。
灰色の世界が淵から鮮やかに染まって行く。
彼女が初めて見る、外の世界の太陽。
しばし耽美に浸り、静寂の時が流れたその時、彼女はあの歌を歌い始めた。
僕が気分の良い日はいつも歌っていた、サリアの歌。今度は彼女が歌っている。
少し表情が和らいだ僕も釣られるようにその懐かしいリズムに合わせて歌を口ずさんだ。
二人の過ごした森の唄。
この世に二つと無い音色が重なった時、
ハイリア湖の水面が太陽を写し出して黄金の光を放った。

223 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 20:01:59.13 ID:KgoSMR6DO
サリアの歌が一通り終わった後、微かに笑った彼女の方を振り向いたら、
もうどうにもならないくらいに透き通った体があった。
僕は逃げずに彼女を包み、瞳を合わした。
彼女の目は僕の目を、僕の目は彼女越しに見える金の水を見つめていた。
サリアの体温が太陽の温度と徐々に入れ替わって行こうとしたその時、
サリアの愛しい顔が僕の間近に接近した。
それがまさに予期していたその時だった。
僕は瞼を閉じて近付いてくる彼女を瞬き一つせずにそっと見据えた。
僕の心が壊れそうなくらいにそっと決意をして満面の笑顔を作ったその瞬間、
彼女と僕の体がすれ違った。

224 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 20:08:58.81 ID:KgoSMR6DO
 
―ありがとう。
 

225 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 20:18:48.76 ID:KgoSMR6DO
水面はキラキラ揺れている。
彼女が光に戻って行くのと同時に、僕の頭上を木に止まってい鳥達が飛び立っていった。
僕は最後の温もり一つを残して、
その全てを全身に受け止め、
最後の温もりはこのハイラルに返した。
夢が目覚め
恋は終わり
新しい一日が始まった。
覚悟はあったつもりだ。ほら、今だって笑っているさ。
こんなに上手に、君を見て笑っているよ。
そうしてリンクは微かに瞳を閉じた。
何が勇者だ、何がトライフォースだ。
愛する人一人でさえ、最後までいてやれなかった。
ただ…最後まで諦めなかった、これだけは僕の誇りだ。
彼女は確かに此所にいる。
彼はただ一つの木を見据えて、
思い出と哀愁のその全てを此所に置いき、
朝日を背にエポナに飛び乗りハイラルを駆け抜けた。

226 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 20:26:18.50 ID:C1IKTqy40
サリアああああああ

227 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 20:26:18.84 ID:KgoSMR6DO
日もある程度高くなり、ガノンドロフがゼルダの家を訪ねようとしたところ、
彼女の家の前に綺麗な額に入れられた写真と、
不器用な縫い目が目立つマフラーが置いてあった。
ガノンドロフは全てを悟り、ゼルダの家に上がった。
ガノン「おはようゼルダ。」
ゼルダ「おはよう。それは!?」
ガノン「家の入口に置いてあった。」
ゼルダ「リンクっ!!!」
彼女は今になって彼の真意に気付き家を飛び出そうとした。
ガノン「行くな!!!」
ガノンドロフは後ろを向いたまま彼女を引き止めた。

228 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 20:29:05.39 ID:KgoSMR6DO
ゼルダ「リンクが!!彼は!!!」
ガノン「あいつが自分で決めた事だ、手を貸してはならない。」
ガノン「あいつはようやく自分一人で答えを探そうとしているんだ。」
ゼルダ「あの日彼を追い出したりなんかしなかったら。」
ガノン「今更仕方の無い事だ。」
ガノン「今は祈ろう、そして勇気を信じよう。今日があいつの門出の時だ。」
ゼルダ「ええ。…分かってるわ。」
冬の朝日が二人を窓に写している。
二人は後に再び生活を共にする事になる。
彼等にとっても今日が始まりだったのかもしれない。

229 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 20:31:46.58 ID:KgoSMR6DO
ルト「父上、どしたのだ?」
キングゾーラ「いやぁ…朝早くにリンクが来てな。お前に伝言をもらっておる。」
ルト「早く教えるのだ。」
キングゾーラ「もう当分は会えないそうだ。」
ルト「…分かったのだ。」
こうなる事は分かっていた為、驚きはしなかったが、やはり悲しかった。
彼女はゆっくり部屋に帰り、朝にもかかわらずもう一眠りした。
夢でもいいのだ、もう一度好きと言わせてくれ。

230 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 20:33:54.92 ID:KgoSMR6DO
マロン「手紙が来てるわ。」
彼女はポストから手紙を取り出した。
マロン「リンク!!!」
―親愛なるマロンへ
僕は暫く旅に出る事にしたよ。
結婚の話があったけど、僕にその資格は無い。
良い人見つけるんだよ、大丈夫世界はずっと広いさ。
本当はもっとしっかりした手紙が書きたかったけど時間が無いんだ。
一段落付いたらまた連絡するよ、待っててくれ。
最後に、君の幸せを誰より願っている。
リンク―
マロンの手が小刻みに震えている。
マロン「確かに世界は広いけれど、貴方は一人しかいないのよ。」
彼女は手紙をそっと折り畳み顔を拭って馬小屋へ向かった。
今日は太陽が一際綺麗だ。
貴方の手紙ずっと待ってるから。

234 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 20:46:02.35 ID:KgoSMR6DO
「もう、行っちゃうの?」
リンク「ああ、もう夕方だし、出発は早い方が良いだろう。」
リンク「本当に皆を待たせてしまう事になっちゃったな。
    君も、ルトも、マロンも、そしてサリアも。みんなを待たせてしまっている。」
リンク「今から出た方がその分早く帰って来れるだろ。必ず帰ってくるさ。」
「うん。約束だよ。あと…これ返すよ。」
古びたオカリナがリンクの手に添えられた。
リンク「いいのかい?」
「良いんだ。これが僕の代わりさ。」
リンク「ありがとう。」
彼はスタルキッドと深く握手をして森を後にした。長旅への出発の時間だ。

235 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 20:56:32.71 ID:KgoSMR6DO
その後彼の姿を見た者は居ない。
その勇者は未だ覚めない多くの夢と情熱を胸に、広大な世界へと巣立って行ったのだ。
何か守る事は自分に負けない勇気を持つ事。
最後まで諦めなかった者はいつか必ず幸せになれる。
また会おう、そして待っててくれ、僕らがまたいつか此所に集うその日まで。
新しい勇気の芽生えが彼を迎えている
星の綺麗な静かな夜だった。
〜リンク「ゼルダ姫…」・完〜
エンディングテーマ

236 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 20:58:12.22 ID:KgoSMR6DO
今まで読んでいただきありがとうございました。無事終了いたしました。
余談ですが、今日の早朝に隣りのベットで寝ていたお婆ちゃんが
突然看護婦さん達に運ばれて帰ってこなくなりました。
その時の気持ちで病室から見た外の朝日が
あまりに哀愁を漂わせていたのでサリアの下りに使う事にしたんです。
また一つ、皆様と一緒に作品が作れて幸せです。
明日の手術頑張ります。お幸せに。

239 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 21:00:41.26 ID:tmD1JMwr0
>>1乙
感動をありがとう

246 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 21:16:11.53 ID:wZU9vrhGO
乙!
手術頑張ってな!