リンク「ゼルダ姫…マスターソード入れるよ…」
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Part5
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/17(月) 22:33:14.92 ID:
qh9U3G+HO
リンク「ただいま。」
サリア「リンク…?」
夢じゃない、リンクがいるんだよね。彼女はリンクに飛び付いた。
サリア「リンクぅぅぅ…。」
リンク「よしよし。」
リンクは子供のように頑固に泣きじゃくる彼女を父のように優しく撫でた。
なんだか今までのリンクと違う。懐かしい感じがする。
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/17(月) 22:35:04.91 ID:
qh9U3G+HO
サリア「うぅぅ…良かった…良かったよぉ…。」
リンクは何も言わずに彼女を抱き締めた。深く深く力強く寛大に。
何よりも近くで彼女を感じようと彼女を引き寄せたのだ。
彼の服には涙の染みが出来ていた。
リンク「ごめんよ。心配かけて。」
サリア「うん…もう大丈夫だから。」
サリアは真っ赤な顔で必至に笑顔を作った。
彼は彼女のグシャグシャの髪をそっと直して笑顔のお返しをした。
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/17(月) 22:40:05.05 ID:
qh9U3G+HO
ガノンドロフはゼルダの家を訪れていた。
ゼルダ「ガノンドロフ、どうしたのその傷!?」
ガノン「ああ…ちょっと怪我しただけだ。なんでもない。」
ゼルダ「無理してない?」
ガノン「無理はしていないつもりだ。
明日の夜までには治りそうだ、怪我が治り次第森に行く。
密猟者を捕まえなくちゃならない。」
ゼルダ「貴方はいつも無茶するんだから…。」
ガノン「心配するな。信じてくれ。」
ゼルダ「いつになっても前向きなのね。」
ガノン「当然だ。」
ガノンは今日はゼルダの家に泊る約束をした。
彼女と同じ屋根の下で一日を過ごすのも二年振りになる。
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/17(月) 22:53:55.88 ID:
qh9U3G+HO
ダルニア「そいやぁああああ!!!」
ゴロン「イワーーーク!!!!」
ドカーン!
ダルニア「ふう…。良い汗かいたぜ。」
ゴロン「ゴロスコ〜カシュウ…カシュウ…。」
ダルニア「それにしても昨日から火山の音がすげえなぁ。
五月蠅くて俺の大好きな曲が聞けねえじゃねえか。」
ゴロン「兄貴のプレイも相当五月蠅いっす…。」
ダルニア「ああん?なんか言ったか?」
ゴロン「い、いえ、何も。」
ダルニア「全く、下手な口聞いたら掘り殺すぞばっきゃろう。」
ゴロン「ひいい、お助け〜。」
ダルニア「こいつにゃあ冗談も通じねえのか。」
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/17(月) 23:07:46.32 ID:
qh9U3G+HO
ダルニア「にしても、それそろ噴火すんじゃねえか。早けりゃ明日の夜頃だな。」
ゴロン「今回のはデカそうっす。決して性的な意味ではなく。」
ダルニア「ま、俺のは火山レベルだけどな。」
ゴロン「はあ…ダメだこりゃ。」
ダルニア「あん?何かいったかガバガバ野郎。」
ゴロン「いいえ、何も。」
ダルニア「雲行きから見ても明日は雨だ。まあなんとかなるだろう。」
ゴロン「大丈夫だといいっすね。いろんな意味で。」
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/17(月) 23:52:42.92 ID:
qh9U3G+HO
マロン「ついに明日ね…。」
タロン「どうしたんだ心配そうな顔して。」
マロン「明日の夜にリンクに会うのよ。」
タロン「良かったじゃないか。」
マロン「けど…。」
彼女がリンクを特別扱いしているのは公然たる事実なのだ。
それは彼女の口が語らずとも表情や様子から滲み出ていた。
タロン「心配するな。彼は誠実だ。ワシはあいつの目をよく知っている。
何処までも澄んだ大きな瞳だ。」
マロンの頭に浮かんでくるリンクはいつもあの一枚の写真のリンクだ。
実際今の彼がどうなってるかは知らないが、
あの日のままであって欲しいと願うばかりである。
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 00:06:44.90 ID:
3FOhpsIPO
マロン「あたし頑張ってみますね。」
タロン「あいつのハートを奪っちまえ!ははは。」
マロン「ふふ、そんな難しいことできないわ。」
彼女は笑った。
そしてその後も着々と仕事を続けた。
家族をいたわりながらの生活に彼が居たらどんなに楽しい事だろう。きっと素敵よね。
あたしが教えた歌、ちゃんと覚えてるかな。
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 00:18:05.37 ID:
3FOhpsIPO
そして夜が来て、皆それぞれの思いを胸に眠りについた。
風の音がガタガタ窓を揺らす度に、
誰かが呼んでいる気がする程の不安と期待が彼等の中に在った。
世界を知ってるつもりでも、それはやはり自分の見て来た世界に過ぎなくて。
他人の見て来た世界を見る事なんて誰にも出来なくて。
その小さな世界ハイラルのそのまた小さな一人一人の夢なんて解る筈は無いけれど。
今日だけは全員が同じ夢を見ている気がした。
あの日以来決して交わらなかった夢の足跡が動き始めた静かな夜だった。
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 00:31:50.93 ID:
3FOhpsIPO
昨日ずっと家に居たリンクは今日はカカリコの大工連中と共に仕事をしていた。
実に久し振りの仕事である。
リンク「この木材どこに置いたらいいですか?」
大工1「ああ、あそこの上に積んどいてくれ。」
リンク「はい。」
彼はせっせと仕事を続けた。
大工2「しっかしバイトにしちゃすげえ良い態度だな。」
大工1「若いのに珍しい。」
大工2「いつか正社員になったら酒でも奢ってやりてえくれえだ。」
大工1「ば〜か、ああいう男は酒なんか飲まねえよ。」
大工2「それもそうだな、ははは。」
彼の誠実な態度は職場の雰囲気までをも良くしていた。
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 00:40:20.15 ID:
3FOhpsIPO
大工1「おい飯だ飯!」
リンク「わかりましたあ!」
彼は駆け足で大工仲間の元へ向かった。
大工1「ほら、カカリコ産風車ブロイラー丼だ。」
リンク「風車ブロイラー丼!?」
大工1「おうよ。今日は運が良かったな。きっとこの村一番のおご馳走だぜ。
ほら、遠慮せずに食え。」
リンク「はい。」
リンクはスプーンを片手に食事を口へ運んだ。
その影響はまず鼻に現われた。
近付くに連れて濃くなる香ばしい香り、鋭さと柔らかさの絶妙なバランスを保っている。
そして口に入れた瞬間に広がる魅惑のカカリコ風味は
全味覚を刺激するかのような勢いで、その味を僕に伝えた。
料理はこれほどまでに人を感動させるのかと心底驚いた。
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 00:50:26.73 ID:
3FOhpsIPO
大工1「どうだ。冬の汗流した後の飯はうめえだろ。」
リンク「はい。こんなに美味しいお弁当をありがとうございます。」
大工2「なあに、働いてるから美味いんだ。」
大工1「働いてると辛い事もあるし、逃げたくなるかもしれんが、
働いているうちが一番幸せだ。」
ルピーよりずっと綺麗な輝きの目って、彼等みたいな人を指すんだろうか。
本当に綺麗だ。
リンク「これからも宜しくお願いします。」
大工1「何改まってんだ。もう仲間だろ。」
リンクは何か救われた気分だった。重苦しい心に微かな寛ぎを感じたのだ。
彼の心身にはかつての熱く燃え上がるような勇気と力が漲っていた。
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 00:54:16.76 ID:
3FOhpsIPO
ゼルダ「ガノンドロフ、傷は大丈夫?」
ガノン「ああ、だいぶ楽になった。予定通り今日の夜には仕事に行けそうだ。」
ゼルダ「そう…。」
彼女は目を細めて下を向いた。
ガノン「どうした?」
ゼルダ「嫌な予感がするの。」
ガノン「いつからそんなに心配性になった。俺は大丈夫だといってるではないか。」
ゼルダ「そ…そうよね。信じてるわ。」
やはり嫌な予感は消える事が無かった。
机の上の小さな額に入れてある写真を眺めると、何故か泣きそうになるのだ。
その意味にこの時はまだ気付かなかった。
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 01:01:38.76 ID:
3FOhpsIPO
遂に夜がやって来た。
リンクは仕事も終わり家で出かける準備をしていた。
小鳥が囀るようにサリアの歌を口ずさんでいる。
彼は気分が良いといつもこの歌を口ずさんでいた。
しかしかなり久し振りに聞いた為サリアにかえって不安に感じられたのだ。
リンク「それじゃあ行ってくるよ。」
リンクは扉を開けた。
サリア「待って。」
口から自然に言葉が漏れてしまった。
サリア「ごめん…。」
リンク「大丈夫だ。心配するな。」
サリア「分かった…。行ってらっしゃい。」
言うまでも無く、サリアは彼に居て欲しかった。
片時も離れたくは無いのだ。
彼女は彼の出て行った扉が風でパタパタ揺れているのを暫く眺めていた。
それがえも言えぬ虚しさのリズムとなって彼女に押し寄せて来た。
とうとう辛くなった彼女は扉を締め、冷たい窓の霜に指を当てて縦に線を引いた。
リンクはロンロン牧場へ向かった。
ロンロン牧場の入口には冬の風に棚引く赤い髪の美しい女性が立っている。
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 01:03:50.90 ID:
3FOhpsIPO
読んでくれてありがとうございます。
今日はなんか腰が痛いです。
明日には治ると思うから今日は寝ます。
そろそろ終盤です。
おやすみなさい。
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 01:04:51.82 ID:BkNopPfi0
腰はきをつけれ
乙
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 01:05:17.06 ID:u5NKsu7l0
乙カレー
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 15:06:02.07 ID:wSZpnp0EO
ほっしゅっしゅっ
103 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 19:10:27.09 ID:
3FOhpsIPO
いつも保守ありがとう。再開する。
今日は一日病室からの投稿になりそうだ。頑張る。
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 19:24:23.39 ID:HOx/iEdO0
病院って…
大丈夫か?無理すんなよ?
>>107
キノ五郎さんみたいにTVもって暴れたりしないから大丈夫だ。ありがとう。
104 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 19:11:43.33 ID:
3FOhpsIPO
マロン「リンク。こんばんは。」
リンク「こんばんは。久し振りだねマロン。」
愛しい者の変わらぬ姿を見てなにより安心した。
マロン「会えて嬉しいわ。何にも変わって無くて良かった。」
リンク「すまないな。今まで会いに来てあげられなくて。
今更君の家にお世話になるのもどうかと思ってね…。」
マロン「あたしはいつだって歓迎したわよ。」
リンク「はは、じゃあ毎日行ってあげれば良かったな。」
マロン「毎日だなんて…。」
月に照らされたマロンの顔が赤く染まっている。
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 19:23:32.18 ID:
3FOhpsIPO
リンク「マロンは照れ屋さんだね。そろそろ行こうか。」
そう言ってリンクは彼女をエポナの元へ連れて行った。
マロン「エポナ。」
マロンはエポナを撫でた。
リンク「こいつもおっきくなっただろ。」
マロン「うん。ちゃんと育ててくれたんだね。」
リンク「ああ。今では僕が頼りっ放しさ。」
マロン「あの歌覚えてる?」
リンク「もちろんさ。」
リンクはエポナの歌を口ずさんだ。
マロン「良かったぁ…。」
マロンは安心した顔をしてリンクと共にエポナに乗り城下町へ向かった。
110 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 19:36:41.47 ID:
3FOhpsIPO
リンク「この店さ。」
二人は木製のテーブルを跨いで座った。
マスター「いらっしゃい。」
マスター直々に注文を聞きに来るなんて、気前の良い事この上ない。
リンク「今日の特製ディナーお願いします。」
マスター「かしこまりました。」
マロンは慣れない雰囲気に圧倒されている様子だ。
リンク「何硬い顔してるんだい、楽しもうよ。」
マロン「こういう店来るの初めてだから。」
何もかもが初めてだったのだ。
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 19:44:39.56 ID:
3FOhpsIPO
やがて二人の机に円い皿に飾られた大きな料理が出て来た。
牛肉をふんだんに盛り付けた料理だった。
リンク「こりゃ凄いや。」
マロン「牛さん…。」
リンク「どうしたんだい?」
マロン「ううん。美味しそうね。」
二人はまるで真新しいカップルのように料理あまり目を合わせずに料理を食べた。
時々目が合う度に二人はクスっと笑った。
リンク「君がこんなに元気でなによりさ。」
マロン「元気だけが取り柄だから。」
リンク「いやいや、君には素敵な所がいっぱいあるよ。」
手を口に当てて照れているマロンは無垢な子供のようだ。
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 20:03:02.40 ID:
3FOhpsIPO
二人は沢山の話をしている。
リンクが彼女の仕事を手伝っていた日の事。
彼女に写真を渡した日の事。他愛も無い昔の事。
洗いざらい全ての思い出を噛み締めるように話した。
料理も残り少なくなった頃についにマロンはあの件を持ち掛けようと決心した。
マロン「あのねリンク。とっても大事なお話があるの…。」
リンク「なんだい?」
マロン「ここじゃ恥ずかしいから、後でもいいかしら?」
リンク「…構わないよ。」
リンクにはその意味が何となく分かった。
無性に高まる鼓動を押さえるのに必至で意識が料理からそれてしまっていた。
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 20:10:22.14 ID:
3FOhpsIPO
暫く店の空気を堪能し勘定をすませて外へ出て来た。
リンク「寒いねえ…。」
マロン「うん…。」
リンク「話ってなんだい?」
マロン「二つあるの。一つはこれ。」
マロンは小さなポシェットからあの手紙を取り出した。
リンク「それは!?」
マロン「ゼルダさんの家の中で拾ったわ。
ゼルダさんに聞いても何にも喋ってくれないし、どうしたのかと思って。」
リンク「あ、ああ…彼女に届け物をした時に落としたみたいだ。」
自分の嘘に嘘を重ねることは楽じゃない。心が折れそうだ。
マロン「そう…。」
マロンは暗い顔をした。しかしゼルダと大爆弾については一切喋らなかった。
それを喋った時に二人の間の何かが終わる気がする。それが怖かった。
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 20:16:37.99 ID:
3FOhpsIPO
マロン「もう一つは、貴方との結婚の話。」
リンク「僕と!?」
リンクは彼女のあまりに直線的な発言に予想の上を行かれて驚いていた。
矢が体を突き抜けたような気分だった。
マロン「リンクと結婚するなら、タロンやインゴー達も反対しないってさ。」
僕にはサリアがいる。もう離したくないんだ。それに僕にとって君は素敵すぎる。
二人の気持ちが交わらない交差線を描いて突進んでいた。
リンク「嬉しいさ、僕だって君と居たいって気持ちはある、だから手紙を送ったんだ。
けどもう少し時間をくれないか?」
マロン「そうよね…。いつまでも待ってるわ。」
リンク「すまない。」
マロン「そんな顔しないで。」
マロンはリンクの為に笑顔を作ったが、
あまりに見え透いた作り笑顔はかえって彼を悲しくした。
117 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 20:19:02.30 ID:
3FOhpsIPO
二人は暗い夜道を歩いて帰った。
リンク「今日は楽しかったよ。また必ず手紙を送る。その時まで待っててくれ。」
マロン「待ってる。」
リンクは彼女を撫でた。彼女はこれでもかと言うくらいに顔を赤くした。
冷たい空気は彼女の頬の温度を一層高く感じさせている。
リンク「それじゃあ。」
マロン「またね。」
手紙…ずっと待ってる。
小さくなって行く彼を、少しだけ熱くなった目頭をなんとか堪えて見つめた。
そうしてリンクは冷えきった夜道を戻り、再び城下町へ向かったのである。
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 20:20:57.89 ID:
3FOhpsIPO
リンクはゼルダの家の戸を叩いた。
リンク「僕だよ。開けてくれゼルダ。君に謝りたい。」
あまりに無神経だったのかもしれない。
ゼルダは戸を開いてリンクを睨んだ。
ゼルダ「今更何言ってるのよ…あたしの事何にも解らないくせに…帰って!帰ってよ!」
ああ、こうなることは分かってたつもりだ。だけど。
彼女は声を裏返してリンクに向かって破れたマフラーや額入りの写真を投げ付けた。
リンク「すまない…本当にすまない。」
ゼルダ「来ないで!!!」
彼女は強く戸を締めた。
彼は今町に一人取り残されたようにポツンと突っ立って冬の風に打たれていた。
家屋の隙間を吹き抜ける風の音がやたらと耳にこびりつく。
今日も星の無い静かな夜だ。
彼は無意識にマフラーと写真をしまって、城下町を後にした。もう来る事はないだろう。
121 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 20:28:44.25 ID:
3FOhpsIPO
帰り道、彼は何度も後ろを振り返った。
名残惜しい冬の城下町を眺めては、小さくなる町の灯が自分の姿と重なって見えた。
ただ、町の灯は確かに明るくて、消える事だけは無かった。
最初から光に生まれてきたらどれ程楽だっただろうか。
どんなに沢山の人を余念なく照らし続けれただろうか。
今更余韻に浸る意味は無いのかもしれない。
空は暗く町は明るく、僕は…。
いや、自分の事はもういい。
彼の中で現実の時計は一旦息を潜めたが、
その針は今まさに動き始めようとしていた。
131 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 21:55:06.64 ID:
3FOhpsIPO
その物語りの最後は大きな大きな音と共に始まりを告げた。
リンク「噴火!?こんな時に!!!」
火山弾が飛び散りコキリからも煙があがっている。
まずい!サリア!
リンクはエポナに飛び乗り一目散に駆け出した。
風を切り裂き、愛する彼女の元へと向かった。
ブロンドの髪を棚引かせ馬を鞭打ち走ったのだ。
待っててくれ!待っててくれ!
132 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 21:59:33.85 ID:
3FOhpsIPO
火で道が解らない。どこを通ったら良い。
リンクはエポナを置いて進める道を慎重に歩いていった。
サリアの居場所は全く解らなくなっていたのだ。
彼は迷いの森についた途端にスタルキッドの事が心配になった。
彼はスタルキッドの元へ向かった。
リンク「良かった無事だったか!!」
「うん。火はここへはまだ来てないみたいなんだ。」
リンク「森が…。」
「大丈夫。雨が降るはずだから。それにまた来てくれて僕嬉s…」
その瞬間、リンクは背後に大きな気配を感じた。銃を構えた亀達がいる。
リンク「危ないっ!!!!」
雷の落ちたような音が燃え上がる森の空に響いた。
133 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 22:03:13.84 ID:
3FOhpsIPO
「お…お兄…ちゃん…。」
リンク「あぁああああああ"!!!」
リンクの声がするのと同時に雨が降って来た。
クリボー「よっしゃあ。ナイスショット!」
ノコノコ緑「よし。獲物を捕獲しますよ。」
ノコノコ青「チョロイチョロイ。」
ゼニノコ「はよ捕まえやアホ。」
リンク「来るな…来るなぁああああ!」
リンクは雨を裂くように目茶苦茶に剣を振り回した。
ゼニノコ「兄ちゃんよお、仕事の邪魔や。」
凄まじい力にリンクは剣ものとも投げ飛ばされた。
134 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 22:05:41.28 ID:JzqBVj43O
ああああああ…
135 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 22:10:04.88 ID:FxIIE7aZO
そんな……
136 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 22:17:30.56 ID:
3FOhpsIPO
ゼニノコ「はよ、獲物持って逃げや。」
ガノン「やっとみつけたぞ逃がさん!」
森の炎の中から飛び出て来て彼はゼニノコに切りかかった。
ガノン「らああ!」
ゼニノコ「邪魔やおっさん。」
ガノン「!」
ガノンの剣は全く刃が立たず弾き返された。
リンク「ガノンドロフ!?なんで君がここにいる!!!」
ガノン「それはこっちの台詞だっ!!!」
リンク「あのスタルキッドはあいつなんだ、あいつが撃たれた!
僕はあいつを守れなかった…。」
ガノン「守れないだと?守るんだろ!!!諦めるな、あいつらを追え!!!」
―最後まで諦めなかった者に幸せは与えられる。―
雨と炎の中を吹き抜ける風のようにルイージのあの言葉が頭を過ぎった。
138 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 22:31:32.76 ID:
3FOhpsIPO
リンク「ガノンドロフ…僕は本当に全部無くして自分の失敗に気付いたんだ。
けど、解らない事がある。諦めないってなんなんだ…。」
ガノン「…。」
リンク「諦めなかったら報われると、ある知人が言った。
僕は心のどこかで信じていた。だけどあいつは…。僕は失敗だらけの人間だ。」
ノコノコ達はどんどん遠くなる。
ガノンは何も喋らない、降り注ぐ冷たい雨の雫が二人を打つ。
リンク「なぁ…諦めないって、どうしたらいいんだい。どうしたらいんだよ。」
リンク「答えろよ!!!」
リンクが声を裂いて裏返して叫んだのと同時に雷の音が響いた。
二人の顔が青白い光に照らされてはまた火の赤に照らされた。
ガノン「人生に失敗は無い。何かを諦めた時が、失敗だ。」
ガノン「本当に最後まで諦めないと言うのなら、答えは自分で見つけろ。」
ガノン「そこまでやり抜いてもいない者が他人に甘えるな。
そんな者に幸せは訪れない。」
139 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 22:36:07.47 ID:T0MY49VC0
惚れた。俺このガノンになら掘られてもいい。
140 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 22:39:29.68 ID:wSZpnp0EO
ガノン…パネェいい男だな…
141 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 22:49:06.53 ID:sRu15B8FO
こういうガノンドロフも十分アリ
142 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/18(火) 22:50:56.99 ID:CRnsQpiZ0
このガノンにならハイラル支配してもらってもいい