幼女「こんにちは!引きこもり対策センターです!」男「…は?」
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Part9
374 :
いち◆mYvSV9JQsw :2015/02/11(水)14:42:12 ID:T6n
ーーー夜
男「お、ま、え、さあ!!!」バンッ
幼女「……なんです?そんな怒り心頭で…」アセ
男「なんです?じゃねえよ。なんか変だぞ?どうしたんだよ?」
幼女「え?そ、そうですか?わかんないなあなんでしょう…」
ガッ
男「しらばっくれんなよ…。明らかに今日、おかしいぞ。なんかあるんだろ?」
幼女「…そんな」
男「言ってくれよ。信頼できるって、電車の中で言ってくれたじゃねえか…」
ガクン
幼女「…」
375 :
いち◆mYvSV9JQsw :2015/02/11(水)14:46:31 ID:T6n
男「明らかに今日のお前、普通じゃない」
男「……どうしたんだよ?風邪でもひいたのか?疲れてんだったらベッドで休んでもいいんだぞ?」ジイィ
幼女「…」
男「……俺は、」
男「俺は、お前に頼ってばっかで情けねえかもしれない。でも、お前がもし、なにか困ってんなら」
男「そんときは俺が、力になりたい」ギュウ
男「今日のお前は、普通じゃないよ。どうしたんだ?」
ジィイ
幼女「……」ギュ
幼女「…時間が、ありません」ボソ
376 :
いち◆mYvSV9JQsw :2015/02/11(水)14:50:46 ID:T6n
男「…」
幼女「実は、」キッ
幼女「男さんの算段外の更生の速さにより、プロジェクトの予定が繰り上げられて、予定より早期に終了することになりました」ググッ
幼女「なので、時間がないのです。残された時間は……」チラ、
チッ、チッ、チッ、
幼女「………あと22時間」
男「……っ」
377 :
いち◆mYvSV9JQsw :2015/02/11(水)14:55:48 ID:T6n
幼女「……今まで、言わなくてごめんなさい」グッ
幼女「本当は、もっとやるべきことがたくさんあります。これからのことを詳しく考えなくちゃいけないし、あなたとご両親のサポートも必要だとおもうし。……それに、」
チラ、
幼女「………まだ、宝箱はからのままです」
男「………」
男「…知ってたよ」
幼女「え、?」
男「知ってたよ、詳しい時間まではわからなかったけど、でも、君といれる日がもう限られてることは、知ってた」
男(全てを、話そう)
378 :
いち◆mYvSV9JQsw :2015/02/11(水)15:08:55 ID:T6n
男「幼女が来てからすぐに、俺はHTSCについて調べたんだ。なんかうさんくせえって思ってたから」
男「政府が運営する、国際団体。目的は、国が定めた「引きこもり」に値する人の社会的復帰と、更生だよね」
男「被験者の重度により、期間もプランもさまざま。まず二週間は、通常の生活の取り戻し、それから躍進を経て、被験者の更生が確認されたらプロジェクトは終了する」
幼女「……ええ、その通りです」
男「……で、最後」
ドクン
男「俺が読んだ文章は、確かこうだった」
『最終目標は、対象者様の完全なる社会復帰になります。そのため、サポート職員のこれまでの手助けやサポートを思い出すことにより引っかかり、今後の支障になる場合がございますのでーーー』
男「……多くの体験や力になった記憶"だけ"は、そのまま継続として残ります」
幼女「……」
379 :
いち◆mYvSV9JQsw :2015/02/11(水)15:13:25 ID:T6n
男「……だけは、って」
男「最初はまあ、特に気にしなかったんだ。ちょっと引っかかりはしたけど、別に俺には関係ねえしって思ってた」
男「……でも、今は違う」
ドクン、ドクン
男「その意味が、俺にはなんとなくわかる。でも、なんとなくでしかわからない」
男「君の口から、真実が聞きたい。俺が、この先どうなるのか。そして、」
ギュ
男「幼女が、この先どうなるのか」
380 :
いち◆mYvSV9JQsw :2015/02/11(水)15:20:05 ID:T6n
幼女「……」
幼女「……HTSCは、何度も言うように国際団体です。ほぼ非営利で国のために動き、国民をサポートしてより良い国づくりをめざします」
幼女「なので、これから未来に向けて歩み出す男さんたちに、私どもがなんらかの形でつまづかせてはならないのです」
ギュウゥ
幼女「人間は、どんな理由で転ぶかわかりません。実際に、過去には何度も私どもが原因でつまずき、せっかく更生したのに挫折してしまった人もいます」
幼女「……国のために、いる人間は、爪痕を残してはならないのです」
男「……」
幼女「……22時間後、私はあなたの記憶を一部抹消します」
381 :
いち◆mYvSV9JQsw :2015/02/11(水)15:26:25 ID:T6n
幼女「この一ヶ月間であなたが楽しいと感じたことや、ためになったと思うことは全て記憶にのこります」
幼女「ただ」
幼女「ただ、そこに私がいないだけで」
ググッ…
ブルルッ
幼女「……っ」ぶわわっ
ポタポタ、ポタ
幼女「男さあん!!!」ガバッ
男「っ、」
幼女「この一ヶ月、あなたは本当に素晴らしい躍進を遂げました!他人に同じことをしろと言っても絶対にできない、見事な成長を見せてくれました!!!」グスッ
幼女「あなたは希望があります!!未来があります!!そしてそれはとても輝いていて、誰かのために、いいえ!あなたと繋がるこれからの人全てのひとのためになるでしょう!!!」
382 :
いち◆mYvSV9JQsw :2015/02/11(水)15:31:25 ID:T6n
幼女「絶対に成長できないなんてことは絶対にない!!あなたはその事実を身を以て実現してくれました!!!人間は常に成長しているということを!!あなたは私に教えてくれました!!」グスッ
幼女「この経験と希望は、明日の足跡となり、時に人にささえられながら、あなたは自分の道を歩きます!!どこまでも!!」
幼女「支えてくれる人と!!歩くのです!!!」ガッ
男「っ…」
幼女「うっ……ふぅ…」ずず
ふるふる、
幼女「………」
男「…」
幼女「…なので、」にこ
383 :
いち◆mYvSV9JQsw :2015/02/11(水)15:35:54 ID:T6n
幼女「私との記憶はなくなります。ですが、"私と経験したこと"は、これからもずっと、あなたの中で生き続けます」
幼女「忘れないでください、」
男「…」ボタ、ボタ
幼女「その勇気を、優しさを。これだけ忘れなければ、あなたはきっと、きっと」
幼女「厳しい世の中を耐え抜き、笑って生きることができます」ニコ
ボロボロ、
ぴちゃ
男「…ぐすっ………ああ、」
男「ありがとう、幼女」ズズッ
ーー!
385 :
いち◆mYvSV9JQsw :2015/02/11(水)15:41:28 ID:T6n
ーーー22時
モゾ、モゾ
男「……なあ?」
幼女「はい?」
男「あのさ……うで、」
幼女「うで?」ガササ
男「腕のタンク…見せてくれねえか?」モゾ
幼女「…」
男「へー、チタン?でできてんのこれ」
ボオン…
幼女「はい。ここから貯蓄して、それでこう突き抜けて、この管に通ります」なでなで
男「すっげえな。この透明のが栄養?」
幼女「そうです。750ミリリットル入ります」
386 :
いち◆mYvSV9JQsw :2015/02/11(水)15:46:01 ID:T6n
男「………なあ」
幼女「なんでしょう?」
男「この栄養って、どこで売ってるんだ?」
幼女「政府から直接もらってるんです」さわっ
男「政府から?」
幼女「はい。かなり特殊なものですので、2リットルでウン千万の高値になります」
幼女「なので私は、お金を払えないので代わりに国のために働いているのです」ジィ
男「そうか……どうしても、」
387 :
いち◆mYvSV9JQsw :2015/02/11(水)15:50:01 ID:T6n
男「どうしても、国に逆らうことはできないんだな」モゾ、
幼女「…?、どういうことですか?」
男「いや、こういう仕事してるじゃん?お前。たとえ辛くなったり感情的になったりしても、お前は国に逆らうことができないんだなって…」
幼女「…ぷっ、ふふふ」
男「な、なんだよ」
幼女「違いますよ、男さん」
幼女「私は、私の限られた要領の中でどれだけ自分の力を発揮できるか挑戦しているんです」
幼女「なので、苦しくても辛くても、次どうすればいいかってことを常に思ってます」
388 :
いち◆mYvSV9JQsw :2015/02/11(水)15:53:43 ID:T6n
幼女「何事も挑戦です。人生、どの人間にも限られた枠がありますから、その中で最大限に自分を発揮できればいいと思いませんか?」
幼女「私はぜんぜん、辛くなんかありませんよ」ニコッ
男「……おー、そうか」
男「やっぱお前、すごいよ。見た目幼いくせに!」ニカッ
幼女「あなたは一言余計なんです!さあ、寝ますよ」がさっ
男「おー。」
カチャカチャ、
カチン
ーーー
390 :
いち◆mYvSV9JQsw :2015/02/11(水)15:59:28 ID:T6n
プロジェクト最終日
ーーーー
幼女「ケータイ」
男「持った」
幼女「お財布は?あ、あと予備の靴下も」
男「予備の靴下ってなんだよ。なんで必要なんだよ」ジリッ
幼女「この間ふざけて川に落ちたじゃないですか」
男「あ、あれはあの…あれだよ…」
カチャン、
幼女「さ、行きましょう。今日は河原すいてますかね?」
男「さあなー。祝日だからガキいっぱいいるかもな」
幼女「水遊び、気持ち良さそうですよねえ」
男「お前ガキに交じっても違和感ないから行ってくれば?」ニヤニヤ
幼女「さいてーですっ!」
ーーー
391 :
名無しさん@おーぷん :2015/02/11(水)16:00:27 ID:5Xp
映画化しろよマジで
392 :
いち◆mYvSV9JQsw :2015/02/11(水)16:05:40 ID:T6n
スタスタ、スタスタ
チュンチュン、
ピーチチチチチ…
男「…あ」
幼女「はい?」
男「なあ、あの鳥なんていうんだっけ?」ビ
幼女「……ヒヨドリですね」
ピピ、チチチ…
男「ふーん」
幼女「どうしてですか?」
男「いや、ガキの頃よく追いかけててさ、なつかしいなってこないだ思って」
幼女「そうでしたか」
スタスタ…
男「…俺さ」
393 :
いち◆mYvSV9JQsw :2015/02/11(水)16:09:10 ID:T6n
男「あの宝箱、これからゆっくり敷き詰めていくよ」
幼女「…そうですねえ。これからいろんな経験を重ねるにつれ、大切なものも増えていくでしょうからね」
男「ああ。ゆっくり、それこそ人生を通して大事なもん見つけていく」
スタスタ、スタスタ
……ガサ、
幼女「さて、ここでいいですかね」
男「ああ。人気もないしな」
幼女「…」
男「…」
395 :
いち◆mYvSV9JQsw :2015/02/11(水)16:13:59 ID:T6n
幼女「……男さん」
男「はい」
幼女「今まで、ありがとうございました。私も、多くの経験と大切な気持ちをいただきました」
幼女「私も、このことは一生忘れないでしょう。あなたのご健勝を、心から祈っています」
男「おう」
男「じゃあ、俺からも一言」
幼女「はい」
男「……君のおかげで、人生が変わったと言っても過言ではない、本当に。君との記憶はなくなるけど、でも君と歩いた足跡はいつまでも俺の中に残る」
男「ありがとう。君が好きだ、これからも」
幼女「……はい、わたしもです」
396 :
名無しさん@おーぷん :2015/02/11(水)16:17:19 ID:rI7
うわああああああああああああああだめだおっお( ;ω;)
397 :
いち◆mYvSV9JQsw :2015/02/11(水)16:20:12 ID:T6n
チッチッチッ…
幼女「……」
男「……」
幼女「……では、そろそろ時間です」
男「ああ」
幼女「目を閉じてください。時間が来たら、あなたはもう、立派な普通の人です」
男「……手の震えがとまんねえや」ガタガタ
幼女「かっこ悪いですねえ」
男「…なあ、幼女」
男「あの日、うちに来てくれてありがとう。ともに歩いてくれてありがとう。君の全てに、」
男、幼女「ありがとう」
チッチッチッ…
男「……さよなら」
幼女「ええ。さよなら」
スッ
……………
男「……」
398 :
名無しさん@おーぷん :2015/02/11(水)16:21:53 ID:rI7
だめだってばよおおおおおおおおおおおおおおお( ;ω;)
399 :
いち◆mYvSV9JQsw :2015/02/11(水)16:21:58 ID:T6n
男「……?」
ピー、チュンチュン、
ヒロロロロ…
男「っ…頭いてえ……」グワン
男「あれ、俺なんで…ここ公園…?」
ガサ、
男「……ん?」
男「ポケットになんか入ってる」ガサゴソ
404 :
いち◆mYvSV9JQsw :2015/02/11(水)16:25:02 ID:T6n
男「紙と……ネジ?」
ガササッ
『お疲れ!さっさと元の極楽生活に戻ろうぜ!』
男「……あんだこれ?俺が書いて入れたのか?」
ぐしゃぐしゃ
男「……ふぁあ、」
男「……さて、帰って資格の勉強しなきゃ」
スタスタスタ…
ダッ
おわり。
405 :
いち◆mYvSV9JQsw :2015/02/11(水)16:25:26 ID:T6n
ご閲覧ありがとうございました。
ここまで伸ばせるとは思っていなかったので、ひとえに見てくださった方のおかげだと思ってます。
>>149が言ってましたが、このお話、マジで思いつきの行き当たりばったりで始めたので終了できたのがほんとに自分でもびっくりしてます。
穴だらけ矛盾だらけの作品でしたが、少しでもあなたの糧になってればそれは嬉しいです。
無事読了、ありがとうございました。
作者。
407 :
名無しさん@おーぷん :2015/02/11(水)16:25:35 ID:jNK
うわぁーーー!!!
408 :
名無しさん@おーぷん :2015/02/11(水)16:26:27 ID:Nzn
乙