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お嬢様「お手洗いで食べるご飯がこんなに美味しかったなんて!」
Part7


283 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/06(月) 04:39:17 ID:dITg6Ycw
メイド「・・・・・・」
お嬢様「メイド? わたしべつに・・・」
メイド「どうぞ、お行きください」
お嬢様「・・・え」
メイド「おそらく、大門を出てからタクシーに乗るはずです」
メイド「先に人払いをしておきますから、そこでお待ちになるといいでしょう」
お嬢様「メイド?」

284 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/06(月) 04:40:03 ID:dITg6Ycw
メイド「・・・大旦那様の、おっしゃった通りです」
メイド「全てではありませんが、わたくしはお二人の会話を盗み聞きしておりました」
お嬢様「・・・」
メイド「お嬢様にとって、それがどれだけ許しがたい行為で・・・」
メイド「わたくしが何度地に頭を擦りつけようと、決してお許し戴けないであろうことも、覚悟しております」
お嬢様「そんなこと・・・」

285 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/06(月) 04:40:38 ID:dITg6Ycw
メイド「どんな方なのか・・・。 はじめは、興味と警戒が目的でした」
メイド「しかし、日を追うに連れて・・・」
お嬢様「・・・」
メイド「血は繋がっていなくとも、お嬢様とあの方は、紛れもない家族でした」
メイド「なにより、お嬢様があのように笑ってらしたのは、わたくしにはとんと久しぶりに思えました」
メイド「・・・ああ。この方は、お嬢様を心から笑顔に出来る方なのだと・・・」

286 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/06(月) 04:41:09 ID:dITg6Ycw
メイド「ですからこれは、お嬢様への謝罪と、あの方への感謝の気持ちです」
メイド「わたくしには、この程度が精一杯ですが・・・」
お嬢様「いいえ」
お嬢様「そんなことない、充分だわ。 ありがとうね、メイド・・・」ギュッ
お嬢様「わたし・・・行ってくるわね!」ニコッ
メイド「はい、行ってらっしゃいませ」フカブカ

287 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/06(月) 04:42:02 ID:dITg6Ycw

男「・・・」
黒服A「よそ見してんじゃねえ」
男「あ、すいません」
黒服A「そんなに珍しいか?」
男「そうですね」
男「まず、家の中を車で移動するところが珍しいです」

288 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/06(月) 04:43:12 ID:dITg6Ycw
黒服A「・・・」
男「・・・」
黒服A「おい」
男「なんですか?」
黒服A「おまえ、本当にお嬢様には指一本触れてないんだろうな?」
男「そうですけど・・・」
黒服A「・・・」

289 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/06(月) 04:43:49 ID:dITg6Ycw
男「そういうのは全部、ケジメを付けてからだと誓っていたので」
黒服A「誓った? 何にだ」
男「自分自身です。 彼女を好きになった、自分にです」
黒服A「・・・」
黒服A「俺はな、この屋敷で、お嬢様のことをずぅっと見てきたんだ」
黒服A「だからかね? 大旦那様の前じゃ口が裂けても言えねえが、妹か、娘のように思ってる」
男「はい」

290 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/06(月) 04:44:48 ID:dITg6Ycw
黒服A「これは、俺だけじゃねえ。同じように思ってるヤツはけっこういるんだ」
黒服A「だから、お嬢様を五日間も拉致監禁した、どこぞの腐れた馬の骨を憎む気持ちがないわけじゃねえ」
男「・・・拉致監禁・・・」
黒服A「だが・・・最低最悪の一歩手前のとこで、筋は通してるみてぇだな」
黒服A「次に顔を見たら、変形するくらいブン殴ってやろうと思っていたが・・・」
黒服A「・・・勘弁してやる」フン
男「・・・どうも」

291 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/06(月) 04:46:25 ID:dITg6Ycw
キキッ
黒服A「着いたぞ。降りろ」
黒服A「降りたら、脇に人が出入りするための通用門がある。そこから出ろ」
男「わかりました。わざわざ、ありがとうございます」
黒服A「それから、こいつを」
男「この、封筒は?」
黒服A「大旦那様から、おまえ宛てに預かったもんだ。 必ず渡すようにってな」

292 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/06(月) 04:47:07 ID:dITg6Ycw
男「・・・中身、お金じゃないですか・・・」
黒服A「だろうな。大旦那様が、どういうつもりで用意したかしらねえが・・・」
黒服A「受け取っておけ。 べつにあって困るもんじゃねえだろ?」
男「これ、手切れ金っていうのですか?」
黒服A「・・・・・・かもな」
男「返します」
黒服A「ダメだ。必ず渡せと言い遣ってる」

293 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/06(月) 04:48:36 ID:dITg6Ycw
男「彼女と会わないということに、いまさら異論を挟むつもりはないです」
男「けれど、縁まで切って失くすつもりはありません」
男「だから返します。 もしあなたが返せないのなら、歩いて戻ってでも、自分で返します」
黒服A「・・・ちっ。 返せ、俺の方から上手く言っておく」
男「お願いします」

294 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/06(月) 04:49:31 ID:dITg6Ycw
黒服A「・・・おい」
男「はい?」
黒服A「・・・お嬢様のこと・・・」
黒服A「もう、諦めんのか?」
男「・・・」
黒服A「べつにお前個人がどうのこうのってわけじゃねえぞ?」
黒服A「ただな、御曹司みたいな男に、お嬢様を預けるくらいなら・・・」

295 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/06(月) 04:51:23 ID:dITg6Ycw
男「・・・ありがとうございます」
男「でも、もう決まったことみたいですから」
黒服A「そうか・・・そうだな」
黒服A「じゃあな。もう、会うこともないだろうが」
男「はい」バタン

296 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/06(月) 04:51:45 ID:dITg6Ycw
ブロロロロ
男「・・・ふう」
男「・・・・・・」クルリ
男「大きいなぁ。・・・僕には大きすぎるや」
男「・・・言いたかったこと、まだまだあったんだけどなぁ・・・」
男「また、泣いてないかなぁ・・・」
お嬢様「泣いてないわよ」

297 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/06(月) 04:54:45 ID:dITg6Ycw
男「!」
お嬢様「なによ、そんな驚いた顔して・・・」
男「・・・なんで、ここに?」
お嬢様「自分の家だもの、散歩くらいするわよ・・・」
男「そっか・・・」

298 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/06(月) 04:55:11 ID:dITg6Ycw
お嬢様「・・・なんで」
お嬢様「なんで、そのまま帰ってしまおうとするの?」
男「・・・」
お嬢様「わたしに・・・! もう一度、どうにかして会いたいとか、おもっ・・・!」ポロッ
男「ごめん・・・」

299 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/06(月) 04:56:21 ID:dITg6Ycw
お嬢様「・・・どうして・・・?」
お嬢様「どうして、何も言わなかったの?」
お嬢様「お父様や御曹司様に、あんな風に言われて・・・ぜんぜん、悔しくないの?」
男「は・・・」
お嬢様「あんな風に言われて、どうして何も言い返さないの?」
男「それは・・・」

300 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/06(月) 04:57:48 ID:dITg6Ycw
お嬢様「わたしは悔しかったわ」
お嬢様「・・・あなたはダメじゃないもの」
お嬢様「わたしが知ってるあなたは、欠陥人間なんかじゃ、ないもの・・・っ」ポロポロ
男「・・・」
お嬢様「過去の自分がどうだったとしても」
お嬢様「人は、変われるわ。変われるのよ・・・」
お嬢様「あなたがそう、わたしに教えてくれたんじゃない!」
男「・・・」

301 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/06(月) 05:03:03 ID:dITg6Ycw
お嬢様「なんで黙っているの?」
お嬢様「言いたかったこと、あったんでしょう? 言いなさいよ・・・」
男「僕は」ギュッ
お嬢様「・・・」
男(僕が、静かに涙を流す彼女の手を握ると、彼女もそっと指を絡めてきた・・・)
男「僕はずっと、自分のことが好きじゃなかった」
男「でも、キミのおかげで・・・。キミと出会って、キミの言葉で、キミがくれた温もりで・・・」

302 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/06(月) 05:04:08 ID:dITg6Ycw
男「ほんの少しだけど、僕は僕で。 ・・・これでもいいのかなって、思えるようになった」
男「それが、僕にとっては変わったってことなんだとしたらさ」
男「僕にはもう、それで十分だよ」
お嬢様「・・・それで十分? もう・・・?」
お嬢様「・・・わたしたち、これで終わりでもいいの・・・?」
お嬢様「こんな風に、もう会えなくなって、お別れしてしまってもいいの?」

303 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/06(月) 05:06:31 ID:dITg6Ycw
男「キミは、たくさんの人を幸せにできる人だよ」
男「僕一人じゃ、とても釣り合わない・・・勿体無い、女の子だ」
お嬢様「他の人なんて・・・! わたし考えられないし、考えたくないわ・・・っ」
お嬢様「だから、もう一度わたしと一緒に、お父様と話しましょう?」
お嬢様「わかってもらえるまで、何度も」
お嬢様「どうしてもダメだと言われたら、あなたと二人、どこか遠くへ・・・!」

304 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/06(月) 05:08:06 ID:dITg6Ycw
男「それはダメだよ」
男「それじゃ、僕もキミも、幸せにはなれない」
男「キミだって、それは分かるでしょ?」
お嬢様「でも、それじゃあ本当に、お別れなの・・・?」
お嬢様「イヤよ、イヤ・・・あなたと離れたくない・・・ずっとあなたといたい・・・」
お嬢様「あなたは、そうじゃないの? ・・・わたしのこと・・・」
男「好きだよ」

305 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/06(月) 05:08:37 ID:dITg6Ycw
お嬢様「・・・っ、ぅ・・・」ポロポロ
男「・・・」
お嬢様「っく・・・ぐす、ひっく・・・」ポロポロ
男「・・・やっぱり、キミのお父さんだね」
男「細かい仕草とか、照れたり泣きそうなると、背を向けるところとかソックリだ」
お嬢様「ぅ・・・っく・・・」ポロポロ

306 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/06(月) 05:10:31 ID:dITg6Ycw
男「お父さんのこと、大切にね」
男「もっと、怖がらずに、自分のことをたくさん話して上げなよ」
男「直接話すのが難しいなら、メールでもなんでもいいから、ね?」
男「やっぱり『家族』はさ・・・一緒に居なきゃダメだよ」
お嬢様「・・・」
男「・・・」

307 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/06(月) 05:11:53 ID:dITg6Ycw
お嬢様「・・・さいごのわがまま」
男「?」
お嬢様「デートには、行けなかったから・・・」
お嬢様「・・・まだ、有効でしょう?」
男「・・・うん。今ここで、僕ができることなら、なんでもするよ」
お嬢様「・・・目を瞑って?」
男「わかった」

308 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/06(月) 05:22:24 ID:dITg6Ycw
お嬢様「・・・ん・・・」
男「・・・」
お嬢様「・・・」
お嬢様「ファースト・キスよ」
お嬢様「男さん・・・名前を呼ぶのは、初めてね。 なんだか不思議な感じ・・・」
お嬢様「あなたと過ごした時間は、わたしの人生の中で、一番安らぎに満ちたものだったわ」

309 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/06(月) 05:22:37 ID:dITg6Ycw
お嬢様「男さん・・・・・・男様」
お嬢様「男様がそうであるように、わたしも、男様にどれだけ救っていただいたか・・・言葉にできません」
お嬢様「わたしの人生に、夢のような日々を、ありがとうございました」
お嬢様「・・・わたしは・・・お嬢様は、これから先もずっと、男様だけを想っております」
お嬢様「ずっと・・・ずっと、愛しております」
男「・・・」
お嬢様「さようなら」

310 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/06(月) 08:31:54 ID:unu0uJxc
バッドエンドはダメ。ゼッタイ

311 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/06(月) 10:51:36 ID:S/wI6L1s
面白い!終わりが見たいと思える作品だわさ

317 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/08(水) 09:55:47 ID:2BTS5C7k

タクシーの運転手「着いたぞ、兄ちゃん」
男「ん・・・ぅ」
タクシーの運転手「住所、ここで合ってるよな?」
男「・・・あ、・・・はい」キョロキョロ
タクシーの運転手「はっは、寝ぼけてるな? すっかり寝入ってたもんなぁ」
タクシーの運転手「悲しい夢でも見てたのか?」
男「え?」

318 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/08(水) 09:56:45 ID:2BTS5C7k
タクシーの運転手「いや、頬に涙の跡がよ」
男「・・・」コシコシ
男「・・・いくらですか?」
タクシーの運転手「ああ、お代ならもう貰ってんだ」
タクシーの運転手「だから、そのまま降りちゃってくれや」
男「・・・そうですか」ガチャ

319 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/08(水) 09:57:49 ID:2BTS5C7k
タクシーの運転手「・・・兄ちゃん、何があったかしらんけど、元気出せよ?」
タクシーの運転手「俺もよぅ、去年、二十年勤めた会社をリストラされちまってな」
タクシーの運転手「こんな時代だろ? 資格もキャリアもない中年オヤジには、再就職なんてホトホトなぁ・・・」
タクシーの運転手「でもよぅ。ウチに帰っと、笑顔の嫁が、泣き言一つ零さずに迎えてくれんだよ」
タクシーの運転手「毎日毎日よ。そしたらだんだん、自分が惨めに、情けなくなっちまってよ」
タクシーの運転手「俺と別れてくれ、自分の人生を歩いてくれやって・・・折れちまったんだなぁ」

320 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/08(水) 09:59:45 ID:2BTS5C7k
男「・・・」
タクシーの運転手「でもよ、そしたら・・・はっは。『絶対に嫌です』って」
タクシーの運転手「『貴方がどんなに貧しくても・・・どれだけの不幸に見舞われようと、私は貴方に寄り添って歩いてゆきます』」
タクシーの運転手「『ですから貴方も、私の手を引いて歩き続けて下さい。前に、進み続けてください』」
タクシーの運転手「『そしてどうか、生きてるうちは、前に進むことを諦めないで下さい』」
タクシーの運転手「・・・それが、生きてる人間の唯一の義務です・・・ってよ」

321 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/08(水) 10:01:26 ID:2BTS5C7k
男「・・・いい話ですね」
タクシーの運転手「ん、なんかノロケたみたいになっちまったか?」
タクシーの運転手「はっは、年甲斐もなくマジに語っちまって、恥ずかしいったらねぇな!」
タクシーの運転手「・・・なんだか、兄ちゃんの顔が・・・その頃の俺と、同じ顔してたように見えたからよ」
タクシーの運転手「見当違いなら、中年の戯言と思って、聞き流してくれや」
男「・・・はい・・・」
タクシーの運転手「それじゃあな、兄ちゃん」
男「ありがとうございました」バタン

322 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/08(水) 10:08:11 ID:2BTS5C7k
ブロロ・・・
男「・・・」
男「いつの間にか、日がこんなに傾いて・・・」
男「・・・」
男「・・・なんだか、あっという間だったなぁ・・・」
ガチャ
男「ただいま」
男(そういえば、もう誰もいないんだったなぁ・・・)

323 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/08(水) 10:09:52 ID:2BTS5C7k
友「おかえり」
男「! と、友!?」
友「鍵、かかってなかったぞ? 無用心だな」
男「あ・・・。 出る時、バタバタしてたから」
友「ウチの妹が、車に乗ってくところを見てたみたいでさ」
友「とにかく泣きつかれて、様子を見に来てみれば、こんな状態だろ?」

324 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/08(水) 10:10:40 ID:2BTS5C7k
友「男・・・」
友「・・・ひとりか」
男「うん・・・」
友「お嬢様ちゃんは?」
男「帰ったよ、自分の家に」
友「そうか・・・」
友「まあ、気を落とすなよ。明日になれば、また学校で会えるさ」

325 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/08(水) 10:11:26 ID:2BTS5C7k
男「学校は辞めたよ、彼女」
友「はあ?」
男「実は婚約者がいて、その人と、外国へ行くんだって」
男「いつこっちへ帰ってくるかは分からないし、僕はもう、彼女とは会えない」
男「会うな、って言われた」
友「・・・・・・は、」
友「話が急すぎて、把握しきれないんだが・・・」
友「それで、そのまま帰ってきたのか」

326 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/08(水) 10:12:20 ID:2BTS5C7k
男「うん」
友「うん、って・・・! 男は、それでいいのか?」
男「そんなの、良いも悪いもないじゃないか」
男「土台、こんな状態長続きしっこなかったのは、友だってわかってたでしょ?」
男「彼女にはちゃんと本当の家族がいて、その父親が、彼女のためにそうすることを決めたんだ」
友「・・・お嬢様ちゃんが承諾するとは思えない」
男「そうだね・・・嫌がってたよ」

327 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/08(水) 10:15:13 ID:2BTS5C7k
友「横暴じゃないか!」
男「僕といるよりはいい」
友「それは、お嬢様ちゃんがそう言ったのか?」
男「・・・」
男「彼女ってさ、ほら、お嬢様でしょ?」
男「僕とは、身分違いにすぎるって」
友「やめろよ! なんだよそれ・・・?」
友「人を好きになる気持ちに、貴賎なんてあるか!」

328 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/08(水) 10:16:44 ID:2BTS5C7k
男「・・・もう、どうしようもないことなんだよ」
男「飛行機、取ったって。 ・・・明後日出発するみたい」
友「よし、俺が車を出す。 今すぐお嬢様ちゃんの所へ行こう!」
男「いいよ・・・。お別れなら、済ませてきたから・・・」
友「なんでそんなに淡白なんだよ・・・もう会えないんだろ?」
友「なんとも思わないのか? なんにも感じないのか?」
友「悲しくないのかよ!?」

329 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/08(水) 10:17:51 ID:2BTS5C7k
男「――悲しいよ!」
友「!」
男「彼女にもう、会えないんだって・・・声が聞けないんだって思うと・・・」
男「寂しいし、辛いし・・・苦しいよ!」
男「でも、彼女はホントにいい子で、友みたいになんでもできて」
男「だから・・・僕なんかといるよりも、きっと」
友「・・・またそれか」