お嬢様「お手洗いで食べるご飯がこんなに美味しかったなんて!」
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Part6
242 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/05(日) 11:07:10 ID:
qd.ytklY
大旦那「・・・さっさとしろ。これ以上愚図るようなら、この男には今すぐ帰ってもらう」
お嬢様「・・・・・・わかりました」
大旦那「メイド、娘が変なことをしないか見張っておけ」
メイド「・・・はい」
男「・・・」
大旦那「さて、お前はこっちだ。ついてこい」
243 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/05(日) 11:08:05 ID:
qd.ytklY
男「彼女は、どこへ?」
大旦那「客人がいると言ったろう。それなりの格好をさせなければ、失礼に当たる」
男「客人?」
大旦那「結婚相手だ」
男「・・・は?」
244 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/05(日) 11:08:22 ID:
qd.ytklY
ガチャッ
大旦那「先ほどから何か言いたそうな顔をしていたが・・・」
大旦那「これも巡り合わせだと思えば、話が早くて都合がいい」
大旦那「お前にも紹介しておこう」
?「やあ、はじめまして」
大旦那「娘の許婚の、御曹司殿だ」
245 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/05(日) 11:09:00 ID:
qd.ytklY
男「・・・」
男「い、いいなずけ?」
御曹司「ああ。婚約者っていうことになってる、一応ね」
御曹司「遅かったじゃないですか。 ・・・彼が、例の?」
大旦那「うむ。不肖の娘と結託し、私の顔に泥を塗ってくれた男だ」
御曹司「へえ・・・。どう見ても、普通の高校生って感じだけどなぁ」
246 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/05(日) 11:09:43 ID:
qd.ytklY
御曹司「ねえ、キミ。キミは、何を持っているの?」
男「? なにを・・・?」
御曹司「だって、そうだろう?」
御曹司「およそ凡人が考え得るものは、全て手に入れることができるだろう彼女がだよ?」
御曹司「一般人か、それ以下にしか見えないキミとさ・・・」
御曹司「レアリティの高い・・・そう、何か特別な物で釣ったとしか思えないよ」
大旦那「・・・」
男「レアリティ、って・・・? おれは、何も・・・」
247 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/05(日) 11:10:15 ID:
qd.ytklY
御曹司「じゃあ、何か弱みでも握っていたとか」
男「なッ・・・!?」
御曹司「オレはね、彼女のことなら小さい時から知っているんだ」
御曹司「幼馴染ってヤツさ。 実際に会ったのは、片手で数えるくらいだけどね」
御曹司「金や物で、彼女が動くとは思えないし・・・もしそうだったら、とっくに誰かのモノさ」
男「・・・」
248 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/05(日) 11:10:58 ID:
qd.ytklY
御曹司「だから興味があるんだよ、純粋に」
御曹司「一体なにが、彼女をそうさせたのかってね」
御曹司「考えたかないが、実際こうなってるからには、そうさせるなにかをキミは持っていた」
御曹司「オレにはなくて、キミが持ってるものねえ・・・」
御曹司「そんなモンあるか?」
男「それは・・・」
御曹司「ぜひ、ご教示願いたいもんだ」
249 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/05(日) 11:11:32 ID:
qd.ytklY
大旦那「それは違うな、御曹司殿」
大旦那「その男は、私らの目を惹くものなど、何も持ってはいない」
大旦那「ただの、ペテン師だ」
御曹司「へえ? それって、どういう意味ですか?」
コンコン
メイド「・・・お嬢様をお連れしました」
250 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/05(日) 11:12:01 ID:
qd.ytklY
大旦那「来たか。入ってこい」
メイド「かしこまりました」
ガチャ
お嬢様「・・・失礼いたします」
男「!」
男(ドレスと洋服を折衷したような服に身を包んだお嬢様が・・・)
御曹司「おお!」
251 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/05(日) 11:13:36 ID:
qd.ytklY
お嬢様「・・・御曹司様、ご機嫌麗しゅう・・・お久し振りでございます」
お嬢様「はるばる遠い国から、海をお渡りし、おいで頂いたにも関わらず・・・」
お嬢様「このたびは、わたしの浅慮な取り行いによって、多大なご迷惑をおかけしたこと、深く――」
御曹司「まあまあ。そんなに、気にすることないさ」
御曹司「向こうは、いまは情勢や景気も大分落ち着いていてね」
御曹司「多少の時間なら、オレがその場にいなくても回せる程度には、軌道に乗せてきたつもりだ」
お嬢様「ですが・・・」
252 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/05(日) 11:14:48 ID:
qd.ytklY
御曹司「この数日は、いろいろな観光名所に足を運ばせてもらってね」
御曹司「ネズミーランドに、アースツリーに・・・むしろ、退屈しないで済んだくらいさ」
御曹司「そして現に、こうして無事あなたに会えた」
御曹司「今ならば、あなたの言うことも瑣末なことだと思える」
お嬢様「・・・寛大なご深慮に、感謝いたします」
お嬢様「それで、ですね・・・。 あの・・・今回、ご来日頂いた件ですけれど・・・」
253 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/05(日) 11:15:23 ID:
qd.ytklY
大旦那「空とぼけるのはやめないか。縁談交渉だろう?」
お嬢様「! お父様!」
大旦那「彼に気を遣っているのか? だとしたら、もう遅いな」
大旦那「ここへ入る前に、お前と御曹司殿の関係は話してある」
お嬢様「そんな!?」
お嬢様「あ・・・っ」チラ
男「・・・本当、なんだ・・・」ポツリ
お嬢様「ちが、違うのよ・・・! あ、いえ・・・そういう話があるのは、本当のことなんだけど・・・」
男「・・・」
254 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/05(日) 11:17:04 ID:
qd.ytklY
お嬢様「っ・・・お父様に・・・」
お嬢様「お父様に聞く気がなくても、聞いていただきます!」
お嬢様「御曹司様も、恥知らずな女と謗っていただいて構いません、どうか聞いて下さいませ!」
お嬢様「わたしは・・・お嬢様は、彼に・・・そこに居る男性に心惹かれております!」
大旦那「何を言いだす! よさないか、馬鹿馬鹿しい!」
大旦那「曲がりなりにも婚約者がいる前で、別の男に惹かれているだと・・・?」
大旦那「そのような、はしたない女に育てた覚えはない!」
御曹司「はは、そんなに怒鳴ることありませんよ。 確かにいい気分はしませんが・・・」
255 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/05(日) 11:17:38 ID:
qd.ytklY
大旦那「そうはいかん。この際だ、お前にも教えておいてやろう」
大旦那「そこの男はな、お前を騙して拐した、ペテン師だ」
大旦那「いや、ペテン師どころではないな。もっとタチが悪い・・・」
大旦那「――親に棄てられた、欠陥人間だ」
お嬢様「お父様ッ!!!」
大旦那「・・・ここ数日の、おまえたちのやり取りはほぼ全て把握している」
男・お嬢様「!?」
256 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/05(日) 11:21:28 ID:
qd.ytklY
大旦那「お前の制服にはな、マイクが仕込んであったのだ」
お嬢様「な、なんですって・・・? そんなこと・・・」
大旦那「それで常に監視させるよう、メイドにいい付けていたのだ」
大旦那「そうして、別の人間には、その男とやらの徹底した身辺調査を行わせた」
男「・・・!」
大旦那「漫画やドラマの世界だけの話かと思ったか? ふふ、ありがちな話だ」
大旦那「不思議に思ったろう? 何もしてこないのは何故だ、と」
257 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/05(日) 11:24:17 ID:
qd.ytklY
大旦那「敢えてしなかっただけだ。 そう、いつでも『何かする』のはできた」
大旦那「それが、たまたま今日になっただけだ」
お嬢様「・・・・・・さい」
大旦那「なんだ?」
お嬢様「・・・取り消してください」
大旦那「なにをだ」
お嬢様「彼は欠陥じゃないわ!」
258 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/05(日) 11:27:09 ID:
qd.ytklY
大旦那「満足に食事もできん人間だろう? そういった者の末路は想像ができる」
大旦那「いずれ、他者といるだけで苦痛を覚えるようになる。 ・・・その男自身、言っていた通りな」
男「・・・っ」
大旦那「断絶された世界で、独りきりでいる人間が、正常なわけもなかろう?」
お嬢様「望んでそうなったわけではないわ!」
大旦那「過程は問題ではない。 勉学も、仕事も、芸術も、評価されるのは結果であり現状だ」
259 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/05(日) 11:32:54 ID:
qd.ytklY
御曹司「・・・その通りだね」
御曹司「仮にあなたが彼と一緒になったとして・・・」
御曹司「オレには、それが上手くいくとは到底思えない」
お嬢様「そんなことない! わたしは、そんな風には思いません!」
お嬢様「第一、親が居ないと言うのなら、わたしだって同じでしょう!?」
大旦那「病気で死ぬのと、棄てられるのでは、まるで意味合いが違うだろう」
お嬢様「それで心が傷つくのは一緒よ! お父様の言う通り、大事なのは過去じゃない」
お嬢様「わたしの今の、この気持ちよ!」
260 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/05(日) 11:36:04 ID:
qd.ytklY
大旦那「おまえがそこまで惹かれるのは、この男の何に対してだ?」
大旦那「金がないのは勿論、特別な才能の一つも持ち合わせていない、平凡な人間ではないか」
御曹司「少なくともオレなら・・・名誉も地位も、権力も、あなたのために用意できる」
御曹司「誰よりも裕福で、満たされた暮らしが約束できる」
大旦那「もちろん、ただ普通であるだけの男におまえをやるつもりなど毛頭ないが」
大旦那「その相手が、精神的弱者であるのなら尚更許し難い」
大旦那「娘を持つ一人の親としては、これは当然のことだと思うがな?」
261 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/05(日) 11:39:40 ID:
qd.ytklY
お嬢様「・・・それは、でも・・・っ」
大旦那「なんであろうと、お前をその男にはやれん」
大旦那「・・・信用できんのだ」
大旦那「おまえが無知なのをいいことに、さんざ下卑た真似をしたのではとな」
お嬢様「彼は・・・! わたしは、彼と五日間、寝食を共にしましたけど」
お嬢様「彼が、お父様が心配なさるような、破廉恥な気持ちで・・・わたしに触れてくるようなことはなかったわ!」
262 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/05(日) 11:42:07 ID:
qd.ytklY
大旦那「・・・それは僥倖」
大旦那「娘が傷モノにされる前に解決できてなによりだ」
お嬢様「っ・・・こんな・・・お、お母様がいれば、きっと!」
大旦那「! 生きている人間の話に、死んだ人間を持ち出すんじゃない!」
お嬢様「・・・じゃあ、わたしの、わたしの気持ちはどうすればいいの?」
大旦那「そんなもの、初めからこうなると、わかっていただろう?」
大旦那「それに・・・今更どうしようもない話だ」
お嬢様「・・・?」
263 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/05(日) 11:42:31 ID:
qd.ytklY
大旦那「お前は明後日、御曹司殿と一緒に海外へ渡るのだ」
男「!?」
お嬢様「? な、何を言ってるの、お父様・・・冗談はやめて・・・」
大旦那「冗談ではない、既に学籍は除籍済みだ」
お嬢様「うそ・・・」
男(そうか。だから学校じゃあ、なにも・・・)
264 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/05(日) 11:43:17 ID:
qd.ytklY
大旦那「航空便も手配してある」
大旦那「できれば専属輸送を用意したかったが、なにぶん急に用意する必要があったからな」
大旦那「申し訳ないな、御曹司殿。少々窮屈な思いをさせてしまうかもしれん」
御曹司「とんでもない。一般の航空機というのも、それはそれで興味があります」
大旦那「私も鬼ではない。学友や教諭らにお別れを言う時間くらいは用意してやろう」
大旦那「明日、メイドに身辺整理も含めて送迎させよう。 メイド、いいな?」
メイド「はい。委細、かしこまりました」
265 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/05(日) 11:43:49 ID:
qd.ytklY
大旦那「だが、その男はダメだ。 お前が発つその瞬間まで、一切の接触を禁じる」
お嬢様「いや・・・そんなの! お父様・・・お願い、やめて・・・」
大旦那「やめるもなにもない。 もう、決まったことだ」
お嬢様「やだ・・・こんなの、こんなのあんまりよ・・・!」
大旦那「理不尽に思えるだろうが、いずれお前にも分かる時が来る」
大旦那「私は失敗したことがない。いつだって、正しかったのは私だ」
266 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/05(日) 11:44:05 ID:
qd.ytklY
大旦那「だからお前は、わたしの言うことを聞いていればいいのだ」
大旦那「そうすれば、お前は幸せになれる」
お嬢様「・・・」フルフル
大旦那「聞き分けろ」
お嬢様「彼と・・・話をさせて、二人で・・・」
大旦那「ダメだ」
お嬢様「・・・っ!!」
267 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/05(日) 11:44:41 ID:
qd.ytklY
大旦那「お間がいま持っている気持ちは、一過性のものだ」
大旦那「普通ではない出会い、普通ではない状況、普通ではない環境・・・」
大旦那「そういったものが、たまたまお前の感情回路に作用して生まれただけのものだ」
大旦那「いずれ冷静になった時に後悔する」
大旦那「その時傷付くのは、お前だけではない。彼も傷付くだろう。それでもいいのか?」
お嬢様「・・・・・・」
大旦那「理解したのなら、部屋へ行って、荷物をまとめろ」
お嬢様「・・・」フルフル
268 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/05(日) 11:45:19 ID:
qd.ytklY
大旦那「メイド、娘を連れて行ってくれ」
メイド「しかし・・・」
大旦那「もう話は終わりだ」
大旦那「御曹司殿、すまないが、一緒に行って見てやってくれないか」
御曹司「そうですね。まあ、あっちで物に困ることはないでしょうが・・・」
御曹司「思い入れがあるものは、手元に残しておいたほうがいいでしょう」
269 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/05(日) 11:45:44 ID:
qd.ytklY
御曹司「さあ、行こうか」
メイド「・・・お嬢様・・・」
お嬢様「・・・」フルフル
大旦那「いいから連れて行け!」
メイド「お嬢様、行きましょう・・・」
バタン……
270 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/05(日) 11:46:24 ID:
qd.ytklY
男「あ・・・」
大旦那「いま、タクシーを呼ばせる。それで帰ってもらおう」
大旦那「私は、仕事が溜まっているのでな。これで失礼する」
男「・・・・・・待ってください」
大旦那「なんだ? まだなにかあるのか?」
大旦那「おまえが何を言っても、もう――」
男「それは、いいです」
271 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/05(日) 11:46:52 ID:
qd.ytklY
男「あなたの言ったことはいちいち正論でしたし」
男「おれがあなたの言う通り、人間として欠陥なんだというのも自覚しています」
男「でも、彼女という存在を、ないがしろに扱うのは止めてあげて下さい」
大旦那「親が自分の子をどう扱おうと、他人に口出しされる謂れはないな」
男「おれは親が居ません。父は蒸発して、母は自殺しましたから」
男「だからもちろん、親の気持ちなんて分かりません」
男「けど、親が子を思うように、子も親を思います」
272 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/05(日) 11:47:18 ID:
qd.ytklY
大旦那「なにが言いたい?」
男「おれたちの会話、聞いていたんじゃないですか?」
男「彼女、あなたのことをとても気に掛けていました」
男「胃潰瘍に罹ってるんですよね? ・・・薬、欠かさず飲んでますか?」
大旦那「・・・」
男「あなたの言うこと、おれ、分かりますよ」
273 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/05(日) 11:48:07 ID:
qd.ytklY
男「自分が親になるなんて、想像もつきませんけど・・・」
男「おれがあなたなら、やっぱり納得行かないし、許せないと思います」
男「どんなに自分の子供が理想や感情を翳しても、相手が障害者だったりしたら躊躇います」
男「・・・それが当たり前です。好きだという感情一つで生きていけるほど、世の中簡単じゃないですから」
大旦那「見た目に反して現実主義だな」
男「ずっと戦ってきましたから。・・・現実と」
274 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/05(日) 11:48:24 ID:
qd.ytklY
男「お金があって、物に溢れてて・・・それで、幸せなんでしょうか?」
大旦那「ないよりは、あったほうがいいのは間違いなかろう」
男「彼女、寂しいって言ってましたよ。父親が、自分を見てくれなくなったと・・・」
大旦那「・・・」
男「彼女に、別れを告げるような学友は居ませんよ」
大旦那「なんだと?」
男「知りませんでしたか?」
大旦那「・・・」
275 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/05(日) 11:48:56 ID:
qd.ytklY
男「もう少し、時間をあげることはできませんか?」
男「おれと彼女の、ではなくて・・・」
男「彼女がもう一度好きだという相手が現れた時、それが、おれのような欠陥人間じゃなかったら・・・」
男「彼女とその男を・・・しっかり見てやって欲しいんです」
大旦那「・・・おまえは・・・」
大旦那「私がこんなことを言うのもなんだが、娘に未練はないのか?」
大旦那「なぜそのようなことを、笑って言える・・・?」
276 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/05(日) 11:49:23 ID:
qd.ytklY
男「未練はありますよ。お嬢様さんのこと、一生忘れられないと思います」
男「彼女のおかげで、おれは救われました。誇張じゃありません」
男「だから、彼女にはうんと幸せになって欲しいんです」
大旦那「なら・・・なぜだ?」
大旦那「駆け落ちでも何でも・・・方法はあったろう」
男「おれは・・・おれが世界で一番、彼女を幸せにできるんだって」
男「そんな風に思い上がること、できませんから」
277 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/05(日) 11:49:51 ID:
qd.ytklY
男「・・・それに、駆け落ちじゃあ、ダメなんです」
男「おれだけじゃダメなんです。あなたもいないと」
大旦那「私も?」
男「あなたにも、きっと祝福して欲しいんです。 だって、あなたは・・・」
男「あの子のたった一人、・・・血の繋がった『家族』なんですから」
大旦那「!」
男「・・・彼女のこと、よろしくお願いします」ペコリ
278 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/05(日) 11:50:44 ID:
qd.ytklY
大旦那「・・・待て」
男「?」
大旦那「・・・・・・」
大旦那「欠陥と言ったことは、取り消す・・・」
男「え・・・」
大旦那「それと数日間とはいえ、娘の面倒を見てくれたことには・・・感謝する」フイッ
大旦那「屋敷の門前まで、黒服に送らせよう」
男「・・・はい」クス
279 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/05(日) 12:02:26 ID:g2BicYcM
乙
父親も御曹司もそこまで悪いやつでは無さそうだな
続きに期待
281 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/06(月) 04:37:51 ID:
dITg6Ycw
□
お嬢様「・・・・・・」
メイド「・・・」
メイド「御曹司様、少しよろしいでしょうか?」
御曹司「なんだい?」
メイド「申し訳ありませんが、お嬢様は少し寄るところがあります」
お嬢様「・・・?」
282 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/06(月) 04:38:47 ID:
dITg6Ycw
御曹司「寄るところ?」
メイド「お察しください」
御曹司「・・・ああ」
メイド「ですので、先に、お嬢様の部屋の前でお待ちいただけますか?」
御曹司「そういうことなら、仕方ないな」
御曹司「了解だ。だけど、あまり待たせないでくれよ?」
御曹司「べつに待つのは嫌いじゃないが、今回は散々待たされたからね」
メイド「かしこまりました」ペコリ