Part3
46 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/17(日) 23:56:06.51 ID:
mET3pBoz0
パカァン!【ライト前ヒット】
野口(スローカーブも……やっぱり緩い球に張ってたか)
かよ子「ひええ〜……出番ないと思った途端に打たれ出したよ〜!」
城ヶ崎「山田さん、早く、早く!」
かよ子「ええいっ」ポイッ
かよちゃんの送球ミスにより城ヶ崎さん捕球できず、
ランナーはランニングホームラン。
男子達「よっしゃ! 外野大穴狙ってけ!」
野口「……」
かよ子「ご、ごめ〜ん! つつつ次はちゃんとするから!」
47 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/17(日) 23:57:51.42 ID:
mET3pBoz0
男子達「いけいけ! いったれ!」
バコォン!!【ライト前ヒット】
かよ子「ひえええぇぇ……」
野口(なるほどね)
少々の失点覚悟で敢えて配球を単純化し、意図的に打たせて検証を重ねた結果、野口さんは違和感の正体をほぼ看破した。
男子軍はこちらのサインではなく、恐らくはまる子の挙動(癖)から球種を判別しているのだろう、と。
“利き手は後ろに据えときな。ファールチップで大怪我するよ”
野口さんの助言を受け、まる子は利き手を後ろに据えるようにしたわけだが、
速い球が来るとなれば無意識に各部位が強張り、身構える際に握り拳をつくったりと、外部に微妙な反応を示してしまっていたのだ。
球審はその差異に気が付いた。そうしてサインを以てベンチに伝えては、ベンチの仲間達が掛け声で球種を告げるという仕組みだ。
野口(「いけ」は速球で、「打て」が緩い球か……クックックッ)
48 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/17(日) 23:59:22.52 ID:
mET3pBoz0
野口(いきなり特定の掛け声使い出したら不審に思われても無理ないよ。
あたしならワードを複雑化してキーを設定したり、発声の順番とか色々工夫するけどね)
野口(ま、何にせよ対処法はいくらでもあるんだけど……)
野口(さくらさんには酷だけど、慣れてもらうしかないね)
男子達「おっしゃ打てよぉ!」
スパァーン!!【空振り三振】
まる子「!?」
男子C「なっ……」
男子E(球審)「何ぃ!?」
男子達「ス、ストレートじゃねえか……」
野口「無駄なあがき御苦労さん」
49 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/18(月) 00:00:24.80 ID:
uZZDdnDw0
五回表。
スコア【女】20対6【男】
かよ子「ていっ!」ペコッ【投ゴロ併殺】
たまえ「かよちゃん、まだ一回もヒット打ててないね……」
城ヶ崎「さっきからダブルプレーばっかりよ」
笹山「守りでも大穴呼ばわりされて……」
野口「すくえないね。ザルだけに」
キートン「酷い言われようである」
かよ子(私だけ結果残せてないなんて……勝ってるのに複雑だなぁ。
こんなていたらく、杉山君に見られたらきっと呆れられちゃうよね)
冬田「山田さん、気を落とさないで」
かよ子「冬田さん……」
冬田「恋する者同士、一つ教えてあげる」
50 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/18(月) 00:01:59.42 ID:
uZZDdnDw0
五回裏
男子D(スイングスピード0のバッティングならどうだ。嫌でも当たるぜ!)
野口(バスターかと思いきやプッシュバントかい……小物らしく良いかもね)
ブラッシュボールで内角を抉った直後に、
同じ軌道から鋭く落ちるチェンジアップで泳がせる。
仕上げに高めの釣り球で打ち上げさせ、スリーバント失敗となって1アウト。
男子A(速球速球で一つ挟んで外にカーブ……最後はインハイ直球か?)
野口「フッ……!」ピシュッ
【空振り三振】
男子A(外一杯の真っスラ(カットボール)……)
まる子「2アウト、2アウト〜!」
城ヶ崎「打球が来ないからって緩んじゃダメよ! 締まっていきましょ!」
内野陣「おー!」
51 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/18(月) 00:04:02.54 ID:
uZZDdnDw0
かよ子(まるちゃんも城ヶ崎さんも、みんな、様になってるなぁ……)
本当、私だけ良いとこないな。完全に足手まといだ。
……私、何であのとき倒れたまま諦めちゃったんだろう?
杉山君だって優しく投げてくれてたのに……。
1球すら続かないで何がキャッチボールよ。
なに一端の経験者面して惚けてたのよ。
私、ドジを免罪符にずっと逃げてるだけじゃないの?
かよ子「杉山君……」
コーンッ
笹山「山田さん、行ったわよ!」
男子達「凡フライだけど、あいつなら1点確定だ。ラッキー!」
52 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/18(月) 00:05:12.20 ID:WNpWRZhy0
女の子に野球で負けたら学校に行けなくなるわ
53 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/18(月) 00:06:12.79 ID:r1XoYamX0
小学校だと女子のがでかくて運動できる
54 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/18(月) 00:06:22.30 ID:
uZZDdnDw0
“ボールは友達って言うでしょ?
私、飛んできたボールを捕る時に大野君の物だと思って向き合うの。
そうする事で不思議と怖くなくなったわ”
かよ子(冬田さん……この際やってみるよ)
かよ子(ここで……ここで行動すら出来ないようじゃ、
杉山君に会うたび後ろめたさが付きまとう気がする)
かよ子(今度は……消しゴムなんかじゃなくて、ちゃんとしたボール!)
男子達「回れ、回れ!」
かよ子(今度こそ、捕ってみせるからっ!)
かよ子「とぉりゃああああああああああ」
かよちゃん、落ち込む寸前のボールに勢いよくダイブする。
ドザザザッ……
一同「かよちゃん!」
55 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/18(月) 00:07:26.24 ID:
uZZDdnDw0
かよ子「あたたた……」
城ヶ崎「ボールは!?」
かよ子「と、捕った!!」
野口「……やるじゃん」
56 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/18(月) 00:08:15.52 ID:
uZZDdnDw0
冬田「山田さん、手当てしないと」
かよ子「痛っ……これくらい大丈夫だよ」
たまえ「でも、所々擦り剥いてるよ」
かよ子「えへへっ、今すごくスッキリしてるんだ! だから平気!」
一同「???」
まる子「さあ六回表は1番からだよ! 終盤だしトドメ刺そうかね!」
野口「あ〜あ……」
笹山さん「野口さん?」
野口「あたし帰るよ」
57 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/18(月) 00:09:50.87 ID:
uZZDdnDw0
一同「ええぇーーっ!?」
まる子「ちょ、ちょいとあんた! ここまできて、そりゃないよ!」
野口「ラジオが始まるから。録音しなきゃいけないよ」
まる子「野口さん抜けたら誰が投げりゃいいのさ!?」
たまえ「それに守備の人数だって……!」
野口「ま、最後は自分らでケリつけな」
58 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/18(月) 00:11:43.89 ID:
uZZDdnDw0
野口「この中でまともな球投げられるのは、城ヶ崎さんだね」
城ヶ崎「わ、私!?」
笹山「……うん、適任かも」
冬田「ドッヂの時すごいボール投げてたものね」
まる子「うんうん、確かに! 城ヶ崎さんの球威に関しては、
あたしが顔面で受けたからよく分かるよ!」
城ヶ崎「さ、さくらさん、その話は止してってば!///」
野口「テニスの要領で振り下ろしゃ形になるよ」
野口「それと、アルミホイルを思い出しな」
城ヶ崎「……」
野口「教えたはずだよ」
一同「城ヶ崎さん、お願い」
城ヶ崎「わ、分かったわよ……やるわ。やってやるわよ!」
59 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/18(月) 00:13:39.61 ID:
uZZDdnDw0
男子A「あの女、どっか行っちまったぞ」
男子B「揉めてたし帰ったんだろうぜ」
男子C「何にせよ、これで戦力ガタ落ちだな!」
六回表、女子チームの攻撃。
一同「城ヶ崎さーん! 頑張ってー!」
先頭の強打者・城ヶ崎さんが打席に入ると同時に、男子キャッチャーがおもむろに立ち上がった。
ピッチャーから放たれるスローボールがミットに収まりノーワン。
そう、敬遠策をとったのである。
ボールカウント
【S0‐B1】
城ヶ崎(もっと追加点が欲しいって時に……!)
城ヶ崎「ちょっと! 恥ずかしくないの!?」
男子達「……!!」
城ヶ崎「あれだけ大口叩いといて、女相手にノーアウトから敬遠だなんて!!」
60 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/18(月) 00:15:57.10 ID:
uZZDdnDw0
まる子「まったく、情けないったらありゃしないよ!!」
男子A(何とでも言え。おまえは避けるに値するバッター……。
女を認めるのは癪だが、あのコケシ女といい事実は事実だ)
ヒョイッ パシッ
【S0‐B2】
ヒョイッ パシッ
【S0‐B3】
ヒョイッ
城ヶ崎「……」ブンッ!
【S1‐B3】
男子達「なっ……!?」
61 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/18(月) 00:17:30.68 ID:
uZZDdnDw0
ブンッ!
【S2‐B3】
男子C「な、情けねえのはそっちだクソコロネ!」
男子D「あからさまなボール球をわざとらしく振りやがって……!
黙って一塁に歩くほうがよっぽど潔くて格好いいだろうがよ!」
まる子「男子の口ぶりは腹立つけど、城ヶ崎さんも城ヶ崎さんだよ。何で振るかねぇ?」
笹山「違うわ」
まる子「えっ?」
笹山「城ヶ崎さんは先を見据えているのよ」
一同「???」
笹山「もし、少しでも打てそうな敬遠球が来たら……?
その為に打つ構えは捨てない……多分、その延長としての空振りなのよ!」
62 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/18(月) 00:18:26.03 ID:
uZZDdnDw0
城ヶ崎「……」
男子A(こいつを歩かせた後はあのミカン女か……。
安パイを仕留めれば無駄な失点は回避できる。それに……)ヒョイッ
【投手たるもの
一旦 投球動作に入ったら 全ての思考を停止し
キャッチャーミットめがけて投げることだけに専念せよ】
男子B「バカッ、どこ投げt」
グワァラゴワガキーン!!
63 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/18(月) 00:19:08.17 ID:wSljhq840
これだけの内容よく30分で終わったな。
64 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/18(月) 00:20:26.16 ID:
uZZDdnDw0
真ん中高めに抜けてしまった弱々しい絶好球ーー。
最後まで全神経を集中させていた城ヶ崎さんが見逃すはずもなく、
一同「やったやった城ヶ崎さん! ソロホームラン(左中間)よ!」
女子、21点目。
男子B「どこ投げてんだよバカヤロー……」
男子A「ククククッ」
男子B「な、何がおかしいんだよ?」
男子A(フンッ、むしろ打たれてホッとしてやがる)
まる子「さあ、今の一撃でピッチャー動揺してるよ!」
笹山「うん、私も続くね!」
男子A(コロネ以外は内角一本に絞ってる感じだから……
落ち着いて、自分のリズムで、外中心に組み立てれば強打はねえ!)
城ヶ崎さんの一発によって崩れたかに思われた男子A……。
そう都合よくはいかず、女子打線は三者凡退に終わってしまう。
65 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/18(月) 00:22:59.87 ID:
uZZDdnDw0
六回裏、男子チームの攻撃。
[
写真を見る]
男子C「あのコロネ女が継投するみたいだぜ」
男子E「今さら先発以上のピッチングが出来るとは思えないな」
男子A「まずは早打ち禁止で、右狙いで繋げてくぞ」
まる子「しまっていくよー!」
城ヶ崎「テニスの要領で……アルミ、アルミ……」ブツブツ
男子B「来い、ゴリラ女」
城ヶ崎さんはテニスのサーブトスをイメージしながら大きく振り被った。
城ヶ崎「やぁぁあ!」ドシュッ
シュバーーンッ!
男子達「コ、ココ、コケシ女より速いんじゃねーか……?」
まる子(くぅ〜、強烈だね……)
67 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/18(月) 00:26:41.05 ID:wSljhq840
>>65
外野の守備範囲広いなw
68 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/18(月) 00:28:08.22 ID:
uZZDdnDw0
>>67
冬田と笹山で全力サポート
66 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/18(月) 00:26:25.59 ID:
uZZDdnDw0
ドパンッ!
【数球ファールの末、空振り三振】
男子達「ど、どうだった?」
男子B「とんでもねえ癖球だ……」
男子A「ゴクリッ……」
城ヶ崎「そーぉれッ!」ドシュッ
バシンッ
男子A「……!!」
男子A(間違いない、シュートだ)
『シュート』……
右投手の場合、右打者の内角へ食い込むように曲がっていく変化球である。