Part7
147 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/30(金) 18:28:49.51 ID:
Eh2UZ+zYO
男「何度かメールを交わしてるうちに、返信がこなくなった」
男「いっそのことバサっと切ってくれればよかったのに」
女「これで片想い終了ですか?未練はありますか?」
男「俺、振られたら死ぬのかなって思ってたんだよ」
男「なのに、長年の片想いに終止符をうつってことが、こんなに清々しい気持ちになれるなんて」
女「よかったですね。墓ニーはしてますけど」
男「墓ニーぐらいさせろよ」
女「寝袋から顔だけ出して、凄くかっこいいことを言ってる姿って、かわいいですね」
男「どっちだよ」
女「どっちもです」
148 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/30(金) 18:33:12.97 ID:
Eh2UZ+zYO
男「ボロンッ」
女「キャッ!!」
女「って、ゲーム機ですか。窮屈にゲームやってたんですか」
男「墓ニーだって言っただろ。お菓子もあるぞ」
女「私はけっこうです。家でしてればよかったのに」
男「家出してあんたを待っていたんだよここで」
女「今行方不明者ですか?」
男「毎日夜中限定でな」
女「捜索願いは出されそうにもありませんね」
男「指名手配の方が出されそうだな。このビール瓶に、ピンときたらヒャクトウ番」
女「一体何の画像なんですかね」
149 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/30(金) 18:40:42.41 ID:
Eh2UZ+zYO
女「こんなに今はふざけてるのに、よくやりましたよ」
男「ほんとだよ。よくやったよ、俺」
男「何年も前に置き去りにした勝率のない戦いによく挑んだよ」
男「携帯電話を1日操作するだけの戦いに、1000日近い俺が避け続けてきたのに。1001日目の俺は、ちゃんと勝負に出れたんだ」
女「本当に凄いです。それはそれとして、寝袋から出ないんですね」
男「一緒に入る?」
女「大きなビール瓶が入ってそうなので遠慮しておきます」
男「そんなことない!本当はピーナッツだよピーナッツ!」
女「あら、そうなんですね」ニヤニヤ
男「いや、うーん、やばいよ俺のビール瓶。寝袋今も裂けそうだよ」
女「ピュアな部分との落差が相変わらず激しいです」
150 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/31(土) 00:18:42.70 ID:WMRFoAu3o
そろそろクライマックスか?
151 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/31(土) 01:20:34.23 ID:
Pk3mqu+F0
明日続きを書きます。
あと次回予告2,3回分くらいの予定です。
152 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/31(土) 03:45:26.96 ID:WMRFoAu3o
待ってます
153 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/31(土) 13:09:17.42 ID:
Pk3mqu+F0
男「今日何の日か知ってる?」
女「あなた風に表現すると、自分が幸せかどうか結果発表される日ですか」
男「俺がいいそうだな。そう、クリスマスイブだ」
女「今幸せですか?」
男「幸せかどうかでいうと地獄」
女「不幸突き抜けましたね」
男「小学生のの時から少年漫画を読んで、ヒロインと青春物語を繰り広げる様々なヒーローに憧れて俺にもこんな冒険が待ってるのかなって思ってたけど」
男「クリスマスイブに寝袋でお墓に寝てる未来はさすがに想像してなかった」
女「クリスマスイブに寝袋でお墓に寝てる主人公の少年漫画があったらぜひ読んでみたいです」
男「ヒロインからは先日振られちゃったけどな」
女「……あーそうですか。残念ですね」
男「痛っ!寝袋踏んでる!」
154 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/31(土) 13:16:43.07 ID:
Pk3mqu+F0
男「なんだか、この前の話を聞いてからクリスマスの意識が変わったな」
女「この前の話?」
男「24日の日没から25日までの日没がクリスマスだってはなし」
男「今は24日の深夜だからまさにクリスマスイブだろ。だとしたらクリスマスはあと18時間くらいで終わっちゃうってことだ」
女「終わったっていいじゃないですか」
男「どうして人はクリスマスになると焦るんだろう」
女「何かやり残した気がするからじゃないですか。とりわけ、美しいイルミネーションに囲われると、この景色に見合う自分でなくてはならないと」
男「ここお墓だから。今の俺にはまさにお似合いだな」
女「お墓はいつもと同じですね」
男「飾り付けでもするか。虹色に光る豆電球でお墓をデコろう」
女「そうしましょっか。あなたが最初に小便かけたお墓にでも」
男「もはやとめないのな」
女「いいじゃないですか。今日は最高の不謹慎日和って感じがしません?」
155 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/31(土) 13:27:00.99 ID:
Pk3mqu+F0
男「お墓からあんたと出るの初めてだな」
女「そうですね」
男「この3日間何してたんだ」
女「お墓から出ていました」
男「どこにいってたの?」
女「尾行していました」
男「誰の?」
女「お墓に花を供えてくれる人」
男「例の墓か。てっきりあんたが供えてたのかと」
女「私は逆ですよ。あの花を撤去していました」
男「恨んでるやつに墓が供えられてるのが気に入らないからか」
女「そうです」
男「あんた俺より不謹慎かもな」
女「そんな誉めなくても」
男「そういう風には見えないんだけどなぁ」
女「見えるかどうかと実際どうかは違いますからね」
156 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/31(土) 13:30:10.34 ID:
Pk3mqu+F0
男「コンビニついた。何か食べたいものある?」
女「食欲は全然ないです」
男「夜にケーキ食べるとふとっちゃう〜、みたいな乙女心とか?」
女「食欲の前に、お金を持ってないんです」
男「今日は俺の奢りだ」
女「いつもわるいですよ。ここで待ってますから、好きなものを買って下さい」
男「外で待ってたら寒いだろ。中に入れよ」
女「えっ、でも」
男「いいからいいから」グイッ
女「わ、わかりましたわかりました」
157 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/31(土) 13:33:15.60 ID:
Pk3mqu+F0
店員「いらっしゃいませー」
男「ケーキと、シャンパンと、ろうそくと、デコレーションを買おう。火はこの間花火で使ったライター持ってる」
女「豪華ですね」
男「でもデコレーションはパット見売ってなさそう」
女「しょうがないから食べ物だけにしましょうか」
158 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/31(土) 13:44:28.71 ID:
Pk3mqu+F0
男「これで全部だな。じゃあちょっと買ってくるから待ってて」
女「はい」
女「…………」
女「少し立ち読みでもしてましょうか」
女「あっ、この漫画最新巻出てる」
女「懐かしいな。へー。やっと舞台が新しい街に移ったんですね」
女「へー。へー」
男「買う?」
女「わっ。びっくりした」
男「買う?人生救ってもらったお礼に」
女「いつも漫画は、古くなった巻の立ち読みを古本屋でしてるので」
男「それじゃあ最新巻読むのずっと先になっちゃうよ?」
女「そ、そうですけど」
男「はい。お金は出世払いでいいから」
女「払えませんよいつまでたっても」
男「墓ニートじゃあるまいし。はい」
女「…………」
159 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/31(土) 13:46:34.17 ID:
Pk3mqu+F0
男「グルメ漫画?」
女「そうです」
男「食べ物は食べないのに」
女「まぁ、今は…」
男「夜中だもんな。ほら、買ってきな」
女「あの、男さん」
男「どうした?」
女「私の代わりに…」
女「いや、失礼ですよね。はい、買ってきます」
男「ん?」
女「買ってきます!」
男「おう、買ってらっしゃい」
160 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/31(土) 13:53:34.22 ID:
Pk3mqu+F0
男「意外な趣味を知れたな」
男「というか、かっこよく奢ってるけど、全部お母さんから貰ってるお小遣いなんだよなぁ」
男「そのお小遣いもお父さんの給料からだし」
男「今思えば、お父さんってすごいよな。家ではあんなんだけど」
男「あいつの家族ってどんな感じなんだろ」
男「深夜に女の子が一人でお墓に来れるってことは、やっぱりあまり心配されてないんだろうか」
男「うちの親はそもそも俺が外出してることに気づいてないみたいだけど。でなけりゃあの母さんが俺に説教してくるはずだもんな」
男「さりげなく聞いてみようかな。単にあいつもこっそり抜けてるだけかもしんないし」
男「どんな性格のお父さんとお母さんなのか…」
店員「うわぁああああああああ!!!!」
男「何だ!?」
161 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/31(土) 14:00:56.89 ID:
Pk3mqu+F0
女「!」
タッタッタ…
男「ちょ、ちょっと待てって!一体何が!」
店員「て、て、……!!」
男「どうしたんですか!?」
店員「て、てが、てがすり……」
男「手が?」
店員「お、お釣りわたそうとしたら…」
店員「手が、すり抜けて……」
男「手がすり抜けた!?」
店員「か、監視カメラ。店長にも電話しないと」
男「監視カメラの画像俺にも見せて下さい」
店員「き、君にはみせらんないよ。それと、け、警察も…」ブルブル…
店員「君は…あの子の知り合いなのか…だとしたら君も…」
男「おらっ!」バチ!
店員「痛いっ!」
男「んなわけあるか!」
店員「ご、強盗…!幽霊と強盗!」
男「これはまずい…」
162 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/31(土) 14:09:40.63 ID:
Pk3mqu+F0
男「…………」
女「…………」
男「それ、俺の寝袋なんだけど」
女「…………」
男「お金、落としてたから置いとくね」
女「いりません。返せません」
男「出世払いでいいから」
女「…………」
男「あ、いまのはこの世から出るって意味ではなくて!」
男「募金ってこと!!」
男「あ、墓にお金じゃないよ!墓金って言ってるんじゃないよ!」
女「ゲームのデータ全部消してもいいですか」
男「それはダメ!!!!それは絶対ダメ!!!!」
女「あなたはいつもと変わりませんね」
男「あのさ、店員の人が驚いてたこと、本当なの?」
女「何が本当なのでしょう」
男「君の手がすり抜けたってこと。あのさ」
男「君って、幽霊なの?」
163 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/31(土) 14:18:21.31 ID:
Pk3mqu+F0
女「どう思います?」
男「どう思うって」
女「釣り銭渡す時に手しっかりつけてくる店員の人」
男「あっ、そっち?」
男「俺はさ、気にし過ぎかもしんないけど、店員が女性でお釣り渡してくる時に一切手を触れないように返されるとちょっと傷つくかも」
男「自分が女で、男の店員が手を触れさせてきたらちょっと嫌かもなぁ」
女「女の人は全然気にしてませんよ。店員の立場でも客の立場でもたいてい気にしてません。友達もそう言ってました」
男「じゃあニギニギしてもいい?」
女「そういう人がたまにいて気持ち悪いという話題でした」
男「ごめんなさい」
女「反省して下さい」
男「…………」
女「やっぱり、そうなんですかね」
男「ん?」
女「私、幽霊なんですかね…」
男「あ、自覚症状そんな感じなんだ」
女「いつも真夜中の墓地から一日が始まるんですもの」
女「しかも手も擦り抜けますし」
男「どれ」ピタ
女「ちょ、ちょっと」
男「触れるぞ」
女「触れてますね」
男「…………」
女「…………」
男「…………」
女「…………」
男「…………」
女「…………」
男「さ、触れるぞ」
女「さ、触れてますね」
男「は、はなすぞ」
女「は、はい。女だから全然気にしませんけどね」
164 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/31(土) 14:23:48.73 ID:
Pk3mqu+F0
男「姿は店員からも見れる」
女「はい」
男「漫画も持てるし線香花火もできる」
女「できます」
男「俺以外の人に触れる?」
女「さわれません。あなたにも会う以前に、人にうっかり触れてしまったことがあるんです。というより、触れそうになったのに擦り抜けてしまいました」
男「だから最初俺のこと殴った時にあんなに驚いていたのか」
女「触れたことに対する驚きもありますが、あなたの頭の硬さに驚きました」
男「誰が石頭だ」
女「痛かったですよ」
男「頭と手は触れるみたいだな。ふともも付近はどうなんだろう。へその下らへんとか」
女「触ってみますか?」
男「そうだな。ためにし触ってみてくれ」
女「グーで叩いてみますね」
男「ごめん。セクハラごめん」
165 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/31(土) 14:29:56.08 ID:
Pk3mqu+F0
女「私、死んじゃったんですね」
男「だけどこうして話してる」
女「あなたも死んでるんじゃないですか」
男「ははは。まさか」
男「…………」
男「えっ!!?」
男「だ、大丈夫だよ!店員も殴れたし!」
女「なんてことしたんですか」
男「監視カメラにもばっちりとられた」
女「暴行の容疑で捕まっちゃいますよ」
男「何が膀胱だ!俺が立ちションしたことは誰にも知られないはず…」
女「ぼうこう違いです」