Part4
82 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/25(日) 23:24:04.67 ID:
yzWGHcpm0
女「自分が思ってることを相手もそうだと思い込むことはよくないことですね」
男「どういうこと?」
女「世界は簡単に裏切るということです」
男「なるほどなるほど」
女「本当にわかったんですか」
男「世界って言葉不思議だよな」
女「どんなところがでしょう」
男「よく使うじゃん。世界が広がった、とか、世界が悪い、とか、世界を救う、とか。どの範囲までを指してるんだろうって」
男「曖昧で、漠然とした言葉の割には、みんなちゃんと同じ範囲を想定して使えてる気がしてさ」
女「たしかにそうかもしれませんね」
男「日本なのか、六大陸なのか、地球なのか、宇宙まで含むのか。死後の世界まで含むのか」
男「よくわかんなくなってさ、結局最後は"自分"って言葉に置き換えるとしっくりくるんだよ」
男「"自分が広がった""自分が悪い""自分を救う"」
男「周囲に目を向けなくたって、自分の喜怒哀楽の原因は、やっぱり半径1m以内の自分の中にあるんだよ」
女「よく考えてますね、世界のこと」
男「自分のこと、だな。おかげで、社会のなかじゃめちゃめちゃ孤独な存在だ」
83 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/25(日) 23:35:04.78 ID:
yzWGHcpm0
女「孤独っていうのも不思議な言葉ですね」
男「今日は国語の授業をするのか」
女「あなたが5教科にすぐ飽きないか心配ですが」
男「一人で何ができるかで、その人の孤独具合が決まると思う」
女「一人でご飯を食べてるから、友達がいないということですか?」
男「そういう場合もあるだろうけどさ」
男「一人でボーリング行ったことある?」
女「友達ともないです」
男「一人で焼肉行ったことある?」
女「友達ともないです」
男「一人でカラオケ行ったことある?」
女「友達とも……」
男「えっ、ないの!?」
女「あ、あるんですか!?」
男「え、う、うん…どうだったかな…」
女「いいですよ気を遣わなくて……で、何の話でしたっけ」
男「孤独から遠ければ遠い人ほど、これらのことができるというわけさ」
男「自分を認めてくれる恋人がいる人や、周囲が羨むような容姿を持って生まれた人は、独りで行動しても平気なんだよ」
女「すみませんねいつも自分の殻に閉じこもってばかりで」
男「べ、べつにあんたがどうだと言ったわけじゃないさ」
女「深夜のお墓で一人だって平気な人はどうなんですか」
男「それは、うーん」
女「モテますか?」
男「モテるモテる」
女「あなたと一緒だから説得力無いです」
男「ちくしょお慰めようとしたのに」
女「うふふ」
84 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/25(日) 23:43:29.21 ID:
yzWGHcpm0
男「そういえばさ」
女「はい」
男「どうして敬語なの?」
女「最初そうだったので」
男「俺は最初からタメ口じゃなかったっけ」
女「普通初対面の人とは敬語で話すものですよ」
男「でも今初対面じゃないじゃん」
女「たしかに、そうだわ」
男「えっ」
女「ほら、違和感あるでしょ」
男「別にいいけど」
女「まぁ敬語だと距離感も置けますしね」
男「ちょっとちょっと、俺ら連れションの中じゃん」
女「その様なことは決してございません」
男「うわ、さらに距離感開いた」
85 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/25(日) 23:58:06.36 ID:
yzWGHcpm0
女「でも、話している限り私の方が年齢高い感じはしますね」
男「そんなこたぁない」
女「まぁまぁ、女性の方が精神年齢が5才高いとも言うじゃないですか」
男「その考えってどうなの」
女「どうなんでしょうね」
男「あんた何歳なんだろう」
女「これで私があなたより年上だったら、あなたはもう次のターンから微妙に敬語を使い始める気まずい展開になるかもしれません」
男「うわ部活で同じ新入部員だと思って話しかけたら先輩だった時にあるパターンだ……」
女「別に私は言うのは構いませんよ。年齢にかかわらずそのままタメ口で話されることも」
男「うーん、服装はコートにズボンかぁ……女子大生なのかなぁ」
女「不登校のJCかJKかも」
男「ああ!たしかに!」
女「いやそこは納得した表情しないでください」
男「この時間に起きてるようだから、昼間勤務のOLではないよな。でも夜勤のナースかも」
男「うーん……もしかしたら……たしかに……」
女「絞り込めそうですか?」
男「寝込んでいるところを夜通し世話してくれるメイドの服装をした妹がいいな」
女「いつの間にあなたの願望の話になったのでしょう」
86 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/26(月) 00:08:13.69 ID:
6Dk0M66v0
男「あんたは俺の年齢わかる?」
女「高校3年生が受験勉強もせずに、大事な冬の時期にこんなところで油を売ってていいのかなとおもっています」
男「あれ!?話したっけ!?」
女「あなたのズボンは学校の制服でしょう。カバンに校章も入っているし」
男「どうして三年生だって」
女「女性は色んなものを見ていますよ」
男「うう、参った……」
男「あんた、やっぱり年上?」
女「教えましょうか?」
男「うーーーん……」
男「じゃあ、精神年齢を」
女「そうですねぇ」
女「じゃあ、23歳で」
男「なら、高3?」
女「肉体も23歳かもしれません」
男「23歳のJKってこと?それはそれで興奮……」
女「どうしてそうなるんですか…性への執着度合いは中学生と変わらないですね…」
87 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/26(月) 00:32:22.58 ID:
6Dk0M66v0
女「受験勉強、しなくていいんですか?」
男「しないとまずい」
女「でもしてないんですか?」
男「そうだな」
女「不思議ですよね。受験勉強なんて、絶対にしたほうがいいに決まってるじゃないですか。なのに、ただめんどくさいという理由でやりたくないんですよね」
男「あんたは勉強好き?」
女「まぁ、運動よりは」
男「体育の授業、男子生徒で嫌いなの俺だけだったろうな」
男「『体育の授業だけを楽しみに学校来てる』みたいな友達も多いよ」
男「バレーボールのサーブもろくに入らない、敵のアタックも打ち返せない、俺からしたらプチ地獄だったよ」
女「でも卓球は得意だったんでしょう?」
男「玉遊びには自信がある。今はピンポン玉2つで毎晩遊んでるぜ」
女「下ネタ中にすみませんが、自分が褒められそうな話題になったから、恥ずかしくて誤魔化したでしょう?」
男「え、いや、別に…」
女「あなたには得意なこともたくさんあるのに、あなたの性格がそれを押し隠そうとしてる、みたいなことがとても多いと思いますよ。あなたには人より優れた能力や感性があると思います」
男「う、ええ…うーん……」
女「おやおや、やはりレシーブは苦手なようですね?」
88 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/26(月) 00:38:09.44 ID:
6Dk0M66v0
>>80
寝ちゃおうか迷ってましたが、嬉しくて書きました。
読んでくれている人、ありがとう。
完結するまで書きます。
今日はおやすみなさい。
89 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/26(月) 00:59:29.21 ID:z9wufMlmO
期待
90 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/26(月) 02:10:23.44 ID:SifoYGfao
乙
91 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/26(月) 07:09:58.59 ID:
L4TgtrZTO
男「そういえば、もうお墓参りしなくていいのか?」
女「こうやって今日もお墓に来てるじゃないですか」
男「あの、あんたの家族のお墓に祈らなくていいのかってこと」
女「家族かどうかはさておき、しばらく放置しておくことにしたんです」
男「そっか」
女「墓標に対して波阿弥陀仏を唱えることを、やはり祈ると表現するのですかね」
男「拝む、だと少し違う感じもするよな」
女「そうですね」
男「それにしても、ちょっと眠くなってきたな」
女「今日はもう帰りましょうか」
92 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/26(月) 07:18:33.15 ID:
L4TgtrZTO
女「おやすみなさい」
男「おやすみ」
女「…………」
男「かえる、かぁ」
女「どうしました?」
男「俺は今からお家に帰る」
女「はい」
男「死者の魂が、帰宅の帰るだと現世へ戻ってくるイメージなのに」
男「生還や帰還の還るだと、常世へ行くイメージ」
女「つまり…?」
男「俺は今、寝ぼけているということだ」
女「そうかもしれませんね。今度こそおやすみなさい」
男「おやすみ」
93 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/26(月) 07:39:49.02 ID:
L4TgtrZTO
女「…………」
女「やっぱり何もないなんてこと、ないと思いますよ」
女「今のあなたをここまで絶望させるくらいに、あなたの中にある美しい思い出のヒロインは素敵な人なのでしょうか」
女「ずっと遠くで見ていたのでしょうか。それとも、ずっとそばにいて手を出さずにいたのでしょうか」
女「ふふっ、こんなんじゃ嫉妬深き宇治の橋姫みたいになってしまいますね」
女「もしもあなたが結ばれるようなことがあったら、もう真夜中に立ちションするような迷惑行為は終わるのでしょうか」
女「それとも、やはり立ちションは単なる性癖で、これからまた再開するのでしょうか」
女「まったく。あなたのせいで、1人の時間に考えることがまともではなくなってしまいましたよ」
女「はぁ。いずれにしても」
私はわかっています。
これは、終わりのある物語だということを。
絶望が終わらない苦しみよりは、希望が終わってしまう悲しみを私は選ぶでしょう。
あなたが、同情なのか、哀れみなのか、些細な好奇心なのかはわかりませんが、私にかまってくれることの恩返しとして。
私も、気まぐれを動機にして、残りの時間にあなたの役に少しでも立てたらと思います。
次回「な、何してるって……墓ニーだよ…」
さて、今日は、どんな不謹慎なことをするんですか?
94 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/26(月) 07:46:28.38 ID:AGyw4bWhO
くそ、なんでこんなくだらないのに変にシリアスで続きが気になるんだ
乙
95 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/26(月) 08:58:28.07 ID:feWwmmloo
終わったらもう1回読む必要ありそうだなこれ
96 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/26(月) 21:08:40.47 ID:
+MhWFBSFO
男「今夜も冷えるな」パチ
女「そうですね」パチ
男「マッチを擦ったら温かいご飯の夢を見れないかな」パチ
女「マッチを買うお金でおにぎりでも買ったらどうでしょう」パチ
男「夢がないなぁ。うう、それにしても冷える」パチ
女「家に帰ったらどうですか」パチ
男「勝ったら帰ろうかな」パチ
女「それじゃあ一生帰れないかもしれませんね」パチ
男「うわっ、また角取られた」
97 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/26(月) 21:17:45.72 ID:
+MhWFBSFO
女「それにしてもよくオセロなんて持ってきましたね」
男「折りたたみ式だからな、案ずるな」
女「いや、墓地にそぐわないという意味なのですが」
男「じゃあ墓地にそぐうボードゲームってなんだよ!!」
女「何故ボードゲームにこだわるのでしょうか。何故半ギレなのでしょうか」
男「あーあ。負けたから仕方ない。罰ゲームを甘んじて受け入れよう」
女「そんな話ありましたっけ」
男「何したい?」
女「えー、じゃあ…でこぴんとか?」
男「手繋ぐとかじゃなくていいの?髪に触れさせてくださいとか。ほらほら、照れてないで…痛っ!!」
女「セクハラです」
男「いててて…」
女「それに、これは罰ゲームですから…」ゴニョゴニョ…
98 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/26(月) 21:21:44.22 ID:
+MhWFBSFO
男「人狼ってゲームしってる?」
女「そういうのが流行ってたということだけは」
男「人狼、村人、占い師とか色んな役割があるんだ」
女「やったことあるんですか?」
男「それが一度もない。世間であれだけ流行ってたのに、ちっともやったことない」
女「それなりに面白いんでしょうね」
男「悔しくないか?」
女「別に。今更ルール覚えるのもめんどうですし」
男「だから、イメージでやってみようではないか」
女「イメージで?」
99 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/26(月) 21:30:48.50 ID:
+MhWFBSFO
男「じゃーんけーん」
女「わっ、ポン!」
男「俺の勝ち。俺人狼ね」
女「それじゃあ、私は占い師で…」
男「グルルル…」
女「あれ、これって最初に正体明かしていいんでしたっk」
男「アオーーーン!!!!!!!!」
女「ひぇっ!?なにっ!?」
男「アオーーン!!キャンッ!キャンッ!」
男「ガルルル……ワァゥウ……」
女「きょ、今日満月じゃありませんよ!!」
女「というか、犬の鳴き真似とてもお上手なんですね…」
男「バウッ!!バウバウッ!!!」
女「やめて、くださ…恥ずかしい…」
女「お腹いたい…んふふっ…」
男「バウッ!!!」
100 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/26(月) 21:40:27.26 ID:
+MhWFBSFO
女「ひい…ひい…
女「んふっ……ふぅふぅ……」
女「……久しぶりにこんなに笑って?が筋肉痛になりそうです」
男「くぅーん♪」
女「別に撫でたりしてあげませんからね」
男「なんだい」チッ
女「あっ、元に戻ってしまいました」
男「俺の勝ちだな」
女「今回は完全敗北でした」
男「占い師はどうした」
女「未来を視ようとする前に狼が襲ってきましたから」
男「いつか来る時のことばかり考えてたら、今に足元をすくわれるっていう教訓を学んだな」
女「はい、そうかもしれませんね」
男「でだ」
女「はい?」
男「罰ゲームは何をしようかなぁ…」ニタァ…