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女「人様のお墓に立ちションですか」
Part3


59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/20(火) 07:02:14.82 ID:KNIkfuUnO
男「ぐおお…」
女「ふふ…」
男「息が……」
女「ふぅ…ふぅ…」
男「息が……」
女「はぁ…はぁ…」
男「息ができる」
女「うぅ…よいしょー!」
女「こらしょー!どっこらしょー!!」
男「そっちの方が苦しそうだぞ?」
女「はぁ!はぁ!」
パサッ
女「今日はここくらいまでにしてあげます。死を前にして生のありがたさを実感したでしょう」
男「握力3くらいの実感した沸かなかったんだけど」
女「どうせ卓球部ですもん」
男「それは関係ない」

60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/20(火) 07:19:37.72 ID:KNIkfuUnO
女「丑の刻参りって神社でするものですし、よくテレビで見かけるような白装束や特別な髪型などが必要なんじゃないでしょうか」
女「こんな現代的なぬくぬくのコート着たまま人を呪おうだなんて贅沢ですよ」
男「えっ、でも中は裸体じゃ…」
女「隙あらば露出魔にしようとするのやめてもらえます?」

61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/20(火) 17:13:08.34 ID:O+53KH/4o
まあ、そもそも始末するなら初日にしないとな

62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/20(火) 22:29:23.05 ID:311YCVPP0
男「なんか重大な隠し事があるんじゃないかと中2心がワクワクしていたと言うのに」
女「丑の刻参りを疑われるなんて思ってもみなかったです」
男「なんだか安心したら小便したくなってきた」
女「はいひあ。いってらっしゃい」
男「漏れそうだからもうここでする。見たいならご自由に」
女「私も用事があるのでしたいならご自由に。よく飽きませんね」
男「なんだかマスゲームをしてるみたいな気分になるんだよ。オセロみたいに黒く塗りつぶしていくというか」
女「挟まれたお墓がひっくり返って死者が蘇らなければいいですね」
男「今どき死体の埋まっている墓なんかないだろう」ジー
女「会話しながら平然とチャックを下ろすのもないでしょう」

63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/20(火) 22:33:47.42 ID:311YCVPP0
男「さて、放出するか。ここからだと女が普通に見えるな」
男「音が響くのは恥ずかしいが、それよりも尿音を聞かれる興奮がまさるな」
男「うう、とかいってる間に出る…」
ジャー…
男「ああ…というか大事なこと聞けてなかったじゃないか」
男「あいつ、結局どうしてこんな時間に…」
男「って、お、おい、あいつ、まさか」

64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/20(火) 22:37:05.56 ID:311YCVPP0
女「どうされました?」
女「ズボン、びしょびしょじゃないですか」
男「急いで尿を引っ込めようとして」
女「放尿の途中で我慢するプレイにでも目覚めたのですか?ますます上級者ですね…」
男「そうじゃない。そうじゃなくて…」
女「そうじゃないんですか」
男「本当に、すみませんでした」
女「何がですか?」
男「だって…」
男「あんたがお祈りしているその墓」
男「俺があの時小便をかけてた墓じゃないか」

65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/20(火) 22:44:57.12 ID:311YCVPP0
女「……はぁ」
女「らしくないですね」
男「らしくない?」
女「急に罪悪感に苛まれちゃって。出会った夜の変態度を忘れたんですか」
男「だ、だって……」
女「つまらないですね。まぁ、世界はつまらないと思っている二人ですものね。面白いわけがないですね」
男「は、墓参りに来てただなんて」
女「墓地ですから、普通はその用事くらいしかありません」
男「家族の墓なのか?」
女「私が殺してしまったんです」
男「えっ?」
女「私、殺人者です。陽の光のもとを歩くことはもうありません」

66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/20(火) 22:51:03.85 ID:311YCVPP0
男「…………」
男「やっぱり隠し事をしてる」
男「殺人を犯したなら刑務所にいるはずだろう」
女「逃走中かもしれませんよ?」
男「君が人を殺すわけもない」
女「まさか私だって私が人を殺すだなんて、人を殺すまでは夢にも思いませんでした」
男「煙にまいて…」
女「けれど、たしかにそうですね。あなたの言う通り、あなたに大切なことは話していないし、話すつもりもありません」
男「何故だ?」
女「何故って……」
女「真夜中の墓地に放尿する出会ったばかりの男性に、心を開く女性ってゲームの世界以外にいますか?」
男「多分ゲームでもいない」
女「はい」
男「はい」

67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/20(火) 23:01:48.26 ID:311YCVPP0
男「俺はさ」
女「はい」
男「実は、これといった悩みがないんだよ」
男「お父さんも、お母さんも、必要なものは買ってくれるし、時には厳しく叱ってくれるし、それでもいつでも愛情を感じるし」
男「学校での友達だって、お腹がよじれるくらいに笑わせ合う関係だし」
男「墓で放尿をしても同情されるような苦しみなんて抱えていないんだ。ただ」
女「…………」
男「ずっと好きな人がいて、その恋が叶わなかった」
男「その恋の代わりになるような女性からも好かれるような自分ではなかった」
男「それだけ」
女「…………」
男「風が吹くと桶屋が儲かるってのと似てる。もてなくて墓標に尿をかける」
男「いや、なんだろうな。本当に。まして、女性に言うことじゃ……」
女「赤くなってますよ」

68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/20(火) 23:09:57.55 ID:311YCVPP0
男「え、え?」
女「あなたの顔、とても赤くなってます」
女「尿だの小便だの散々言って立ちションしてた人が、どうしてこんなに綺麗な話をする時が1番恥ずかしそうなんでしょうか」
男「うるさいな」
女「全然同情なんかしませんけどね。思い通りにいかない腹いせに罰当たりな行為をするような人だから、思い通りにいかなかったんでしょう」
女「運とかツキって存在すると思いますよ。それは周囲の『なぜだかこの人を応援したい』っていう気持ちのようなものだと思いますが」
女「私とあなたにはまるで存在していないようですが」

69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/20(火) 23:17:00.72 ID:311YCVPP0
女「お互い用もすみました。そろそろお開きとしましょう」
女「あなたの過去を聞かせてくださってありがとうございます」
女「今が汚ければ汚いほどに、思い出は綺麗だったという証に思います。裏切られた人は全て、信じた人であったのと同じように」
女「私も今を呪い続けます。まぁ、綺麗な思い出なんてろくになかったんですけどね」
女「それではお元気で。元気にならなくとも、心配はしませんけど」

70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/20(火) 23:22:46.61 ID:311YCVPP0
男「俺は」
男「俺は!」
女「もう謝らなくてもいいです…」
男「世界で1番、不謹慎な存在になってやる!!!!」
女「はい?」
男「そばにいるだけで、こんなことしたら先生に怒られるんじゃないかって恐怖の100倍の気持ちを味わわせられるくらいに」
男「不謹慎なぁあああ!!!存在にぃぃいいい!!!!」
男「のわぁああああああ!!!!!!!」
タッタッタッタ……
女「…………」
女「そばにいる存在が、私じゃないことを願いますが…」

71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/20(火) 23:27:35.67 ID:311YCVPP0
女「今日も寒いです」
カン カン
女「…………」
ポン カン
女「何の音でしょうか」
スパン!
女「痛っ!」
男「よう!おまたせ!」
女「待ってないです。何しにきたんですか」
男「俺と、卓球しようぜ!!!」

72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/20(火) 23:32:11.52 ID:311YCVPP0
男「ラケットも2つ分持ってきた」
女「…………」
女「鳥肌が立ちました」
男「そんなに感動することかよ」
女「いや、気持ち悪さで」
男「いいから。運動して身体をあたためないと」
女「あの、どこでやるんですか?」
男「ここでに決まってるだろ。ほら、ラケット」
女「あの、何を開き直ったふりをしているかは知りませんが、私はあなたの不謹慎に付き合うつもりなど…」
男「ほい!」ポン
女「わっ、いきなり、やっ!」ポン
男「ほい」ポン
女「ちょっと、こんなこと、あっ」ポン
男「上手上手。俺よりうまかったりして」

73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/20(火) 23:40:41.33 ID:311YCVPP0
男「はい。アウト。この暗さだと見失ったら大変だな」
女「あの、やめましょう。気が乗りません」
男「こっちのサーブね。はい」
女「きゃっ!だからやらないって」
男「口ではそういいつつ身体は反応しちゃってるぜ?」
女「罰当たりですよ!こんなところで!んっ……でも、見かけによらずに……ああっ…」
男「これでもレギュラーに選ばれてたからな。今じゃ幽霊部員だけど」
女「一体どうして」
男「3サイズと引き換えに教えてやろう」
女「自分の3サイズなんて知りませんよ」
男「男はちゃんと測ってるんだけどな」
女「3サイズを?」
男「14cmだった。大きいときで」
女「なにが?」
男「ナニが。あっ、またアウトだぞ」

74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/20(火) 23:46:09.60 ID:311YCVPP0
女「はぁ…はぁ…」
女「疲れました…寒くて息がすぐあがります」
男「不謹慎なことをした気分はどうだ?」
女「うーん、あまり実感がわかないものですね」
男「卓球をした気分はどうだ?」
女「実力差があって悔しいです」
男「精進したまえ」
女「幽霊部員に言われたくないです」
男「幽霊部員に言っても仕方ないか」
女「なんですと」

75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/21(水) 00:06:01.34 ID:ZCTSW+/m0
女「…………」
男「…………」
女「…………」
男「よっこらセック」
女「好きな異性の話などはないのですが、好きな先生がいました」
男「(危ねぇ大事な話をしはじめる雰囲気を壊すところだった)」
女「中学時代の女性の担任です。明るくて、やさしくて、快活で、なにより容貌が美しいひとでした」
女「たまたま二人きりになったことがあるんです。私は憧れている女性といるのが気まずくて、部屋から出ようとしたのですが、先生から話してくれたんです」
女「学校の先生は、学校が嫌いだった人がなるべきなのに、学校が好きだった人しか先生になろうとしないと」
女「その先生も学校が昔嫌いだった時期があったそうです。だからこそ、理想の先生像を思い浮かべたり、学校が嫌いそうな生徒の気持ちにもよりそうことだげきるとおっしゃっていました」

76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/21(水) 00:13:41.34 ID:ZCTSW+/m0
女「私は先生がますます好きになりました。私もいつか、学校の先生になろうとしました」
女「しかし、先生の受け持つクラスでいじめがおこってしまいました。被害者は誰だと思いますか?」
男「もしかして、あんたか?」
女「その答えを期待していましたが、不正解なんです。被害者は、先生でした」
女「先生は、日に日に疲れていく様子が見えました。そして卑屈に馴染もうとしたり、無理やり笑う回数も増えていきました」
女「学校が大嫌いだった頃の先生に戻ったかのようにみえました」
女「そして、私の夢から学校の先生はなくなりました」
女「以上です」
男「後味悪っ」
女「そうでしょう」
男「でも話してくれてありがとう」
女「あら、こちらこそ」

77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/21(水) 00:19:39.68 ID:ZCTSW+/m0
女「今日はもう帰りましょうか」
男「ああ、そうしよう。もう遅いしな」
女「それをいうなら会った時点で丑三つ時でしたけどね」
男「そろそろひきこもりが眠りにつく時間だ。じゃあ、また明日」
女「明日もここに来るんですか?」
男「来るよそりゃ」
女「何をしに?」
男「何もしない」
女「それは、いいですね」
男「いいだろ」
女「私も明日、ここにきて何もしない予定です」
男「うん。じゃあまた」
女「また」

78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/21(水) 00:21:42.79 ID:ZCTSW+/m0
今日は寝ます。おやすみなさい。

79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/21(水) 01:14:17.67 ID:yhZrlQW+o
起きろ

80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/25(日) 10:02:54.57 ID:AMxskmx8o
物凄く気になる
はよ

81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/25(日) 23:11:44.89 ID:yzWGHcpm0
男「こんばんわ」
女「こんばんわ」
男「あっ、髪型少し変わったな」
女「変えてないです。というか、こんなに暗いのにわかるわけないじゃないですか」
男「今日は曇り気味だからな。夜の天気なんて、ろくに気にしたことなかったけど」
女「なんで髪型変えたなんて言ったんですか」
男「見てるってことを伝えることに意味があると思って」
男「床屋に行った帰り道、前髪が切られすぎたことを気に病んでしまうんだけど、翌日学校に行ってみると自分が髪を切ったことにすら気づかないやつさえいる」
女「女同士ならそんなことないですけどね」
男「自分にとってだけは自分の変化というのはとても大きいものだ。だから、たとえ髪を切って無くても毎日全く同じ髪型というのは自分ではないと思うものじゃないか」
女「そうですね。たしかに、変えたって言われると今日は髪の調子がいいのかななんて思っちゃいますね」
女「あなたがそんな恋愛テクニックを使うとは思いませんでしたけど」
男「でも、なんか昨日までとは違う感じに思ったんだけどな」
女「もしかしたら、あなたの私を見る目が変わったんじゃないでしょうか」
男「ん、どういう意味だ?」
女「さ、さぁ、そのくらい自分で考えて下さい。せっかく昨日爪も切ったようですし」
男「……うぉっ!よく気づいたな!俺でさえ忘れてた!」