Part4
731 名前:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:[] 投稿日2008/12/15(月) 22:51:57.61 ID:
goTjjm+k0
サブ「ねえったら・・・いくよ・・・折るよ・・中々難しそうだけど」
波平は強く歯を噛み締めた。
その様子を見たサブは物置から持ち出してきた工具用のハンマーを下ろすと溜め息をついた
サブ「なあ・・つまんないんだけど・・・もっと叫べよ」
波平「ば・・・っかもん・・・どうせ死ぬんじゃ・・・一緒・・・」
サブ「あっそう、さっきから誰に気を使ってんのか知んないけど皆殺すから・・・
今のトコ墓に埋めてねえのはサザエとワカメと・・・タラちゃんか・・・
何処行っても殺すから・・・警察だとか民家に逃げ込むだとか関係ないんだよね」
波平「何で・・・何でなんだ・・・?わしら一家がいったい何をしたっていうんじゃ」
サブ「単なる生贄さ・・・基本的にペットセメタリーに関わった者は全て死ななきゃならない」
波平「ペット・・・なんじゃそれは・・・」
サブ「知らないの? ハハハハハご愁傷様
自分がどうして死ぬのかも分からないままサヨナラだ」
サブのハンマーが波平の頭目掛けて振り下ろされようとした時
「や・・・やめろーーーーーーーーーっっ」
それは声を振り絞ったタラオの叫びだった。
733 名前:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:[] 投稿日2008/12/15(月) 22:53:21.15 ID:FCG+3V/8O
燃え展開
734 名前:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:[] 投稿日2008/12/15(月) 22:53:50.32 ID:v1KMBlkH0
ついにタラオが立ち上がった!
735 名前:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:[] 投稿日2008/12/15(月) 22:54:16.49 ID:Trt+1vyP0
がんばれタラオ!
753 名前:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:[] 投稿日2008/12/15(月) 23:04:19.72 ID:
goTjjm+k0
タラオ「や・・・やめろ・・・・おじいちゃんにそれ以上何かしてみろ・・・殺す・・・殺してやるです・・」
サブ「おいおいガキがおもちゃ持って粋がっても全く怖くないぞ」
タラオ「これは・・・これはおもちゃじゃないです・・・」
タラオは引き金をひいた。
波平「な・・何をしとるんじゃ・・タラちゃん逃げろ・・・」
タラオ「嫌です・・・・」
波平「何を言っておる・・・タラ・・」
タラオ「嫌ですーーーーっっ」
タラオは顔を振り、激しく泣き叫んだ。
サブ「へっおもしれえ・・ジジイはほっといても死ぬんだ
行くぞガキ・・・・」
757 名前:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:[] 投稿日2008/12/15(月) 23:05:45.08 ID:t9M8zUEsO
タラオ、気を解放しろ!!!
780 名前:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:[] 投稿日2008/12/15(月) 23:16:10.49 ID:
goTjjm+k0
引き金はずっしりと重かった。
手の甲で押し込んでどうにか下りたその拳銃を初めから上手く使いこなせる訳が無い。
化け物にヒトの造った武器は効かん・・・
波平「タラちゃん・・タラちゃん・・・」
波平はタラオに希望を持たせてしまったことを後悔していた。
一般人なら怖がることもあったかもしれない
しかし、相手は化け物だったのだ。
そして当たらない・・・
弾が一つしか入っていないあの銃じゃあ・・・どうやっても・・・
波平の後悔は深く、黒い波に飲まれた。
785 名前:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:[] 投稿日2008/12/15(月) 23:19:07.45 ID:Trt+1vyP0
始めから一発なのか
787 名前:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:[] 投稿日2008/12/15(月) 23:21:04.05 ID:
goTjjm+k0
サブ「さあ撃てよ・・・なあ殺したいんだろ・・・」
タラオ(弾は一発しか入ってないです・・・もし外したら・・・・)
サブ「ほら、撃てよ近いぞ」
タラオ「う・・・う・・・」
タラオは一歩、二歩と後ずさり、背中を向けて逃げ出した。
サブ「おおい何処行くんだよかくれんぼの次はオニごっこか?おじいちゃんどうすんだーー?
ハハハ・・・別に構わないけどな
付き合ってやるよ・・・」
794 名前:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:[] 投稿日2008/12/15(月) 23:26:11.07 ID:
goTjjm+k0
タラオは後ろを振り返りながら必死に頭を回転させていた。
どうすれば良いのか。どうすれば倒せるのか。
サブはワカメとサザエは無事だというようなことを言っていた。
サザエは外に出て行ったまま行方が知れない
・・ワカメは学校の帰りに友達と寄る所があると昨晩言っていた。
二人はまだ帰っては来ない筈・・・・
タラオは身を潜め、息を整えた。
タラオ「おじいちゃんから譲り受けたこの銃でこの悪夢を・・・・終わらせるです」
サブ「あれえーおっかしいなあ・・・たらちゃーん・・・何処にいるのかなぁ・・・参っちゃうなあもう・・・
出て来いよっっっこのクソガキッッ!!」
796 名前:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:[sage] 投稿日2008/12/15(月) 23:27:13.60 ID:9P5qgZ4j0
本当につながった━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
797 名前:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:[] 投稿日2008/12/15(月) 23:30:25.11 ID:gKecvj9cO
やっと>>1と繋がった
802 名前:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:[] 投稿日2008/12/15(月) 23:31:11.14 ID:
goTjjm+k0
サブは家の構造には詳しくなかった。いつも勝手口からの景色だった為だ。
サブ「クソっ案外広いなこの家・・」
ワカメ「あっこんにちはサブロウさん・・・」
サブ「やあ・・・・ワカメちゃん・・・・」
サブは狐のように目を細め、歯を剥き出して笑うといつもの調子でそう言った。
803 名前:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:[] 投稿日2008/12/15(月) 23:31:55.70 ID:VRzOojEOO
そういえばワカメ…
809 名前:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:[] 投稿日2008/12/15(月) 23:32:43.50 ID:v1KMBlkH0
ワ,ワカメ…何故帰ってきたんだ…
813 名前:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:[] 投稿日2008/12/15(月) 23:34:00.08 ID:
goTjjm+k0
数分後・・・・・
サブの大きな胴間声が部屋の中まで届いた。
サブ「良いのかなあタラちゃーん
出て来ないとワカメちゃん死んじゃうよーーーー?」
その一言がタラオの決意を揺さぶる
大好きなお姉ちゃんが友達の家から帰って来てしまったのだ
タラ(サブロウに捕まってしまったですか?)
カツオの机の下からするりと出て、タラオは襖に近寄りそっと開いて
三郎の声のする台所を見た
814 名前:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:[] 投稿日2008/12/15(月) 23:34:17.77 ID:WDPdzmWZ0
ついにこの時が・・・・
827 名前:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:[] 投稿日2008/12/15(月) 23:39:20.75 ID:
goTjjm+k0
ワカメ「あっあっあっ」
サブ「良い声で泣くねえほらほらー頑張らないと首と胴体が離れちゃうよワカメちゃん」
ワカメ「いや・・・・いやあああああああああああ」
サブ「駄目、アウトー」
力任せにねじ切られたワカメの顔は胴体の上で
踊るようにクルクルとまわった。
サブ「良いのかなあタラちゃーん
早く出てこないからーーーーもう死ぬよーーーー」
タラオが覗き見た時、既にワカメは事切れていた。
三郎が頭を掴んでいる。
おかっぱ頭の女の子、見紛うはずも無く、磯野家次女のワカメだった。
血をボタボタと垂れ流すその球体がクルリと此方へ振り向いた時
タラオはワカメと目が合った。
信じられない物を見た顔・・・・恐怖というよりかは驚きの表情
タラオ「わ・わかめ・・・」
サブ「そこかいタラちゃん・・・・」
840 名前:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:[] 投稿日2008/12/15(月) 23:42:46.80 ID:
goTjjm+k0
三郎はゆらゆらと体を揺らしながらゆっくりとした動きで近付いてくる
タラオ「う・・・・ううう」
叫び声を上げながら逃げ出すタラオ、
その時うっかり、手に掴んでいた銃を落としてしまった
おじいちゃんから託された大切な銃は・・・サブロウに拾われてしまった。
サブ「プレゼントかい気がきくね」
タラオは息を上げながらサザエ達の寝室の押入れに逃げ込んだ。
(もう駄目です、全部僕のせいです。銃も取られたです僕も皆の後を追うです)
タラオはついさきほどまで幸せだった家庭を想い涙ぐんだ。
後を・・・・追うです・・・・全てのケリをつけたその後に・・・・
978 名前:
ちゃぴぃ ◆jse.PorBNE :[] 投稿日2008/12/16(火) 00:14:27.22 ID:uvFmIGTf0
サブ「ここかな・・・? いや・・・こっちかなあ・・・」
サブはもうタラオのいる場所が分かっていた。
寝室の押入れ・・・隠れる所はここにしかない・・・
サブ「うーーん・・・何処かなあ・・・」
しかし敢えて気づかない振りをし、サブは口笛を吹いて辺りを見回した。
(突然開けて奴の驚いた顔拝んでやる)
サブは下品な笑いを浮かべ、ナンブを握り締めた。
サブ「ええとお・・・・・もしかして・・・・・
此処か?」
53 名前:
ちゃぴぃ ◆jse.PorBNE :[] 投稿日2008/12/16(火) 00:27:14.05 ID:uvFmIGTf0
しかし、押入れには誰も居なかった。
タラオ「たああああーーー」
サブが振り返るよりも早く
タラオの渾身の力を込めた出刃包丁がサブの脇腹に突き刺さった。
サブ「お・・・お前・・・何処に・・・・」
タラオ「桐箪笥の上です・・・」
サブ「ち・・・ちくしょう・・・俺がこんな・・・こんなガキに・・・」
57 名前:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:[] 投稿日2008/12/16(火) 00:28:37.47 ID:3YNQi2lS0
タラオやった!
76 名前:
ちゃぴぃ ◆jse.PorBNE :[] 投稿日2008/12/16(火) 00:34:43.14 ID:uvFmIGTf0
サブ「こんなガキにーーーーーーふ・・・ふふ・・・アハハははははははあははl
タラオ「あ・・・え・・・」
サブは柄を握ると勢い良く引き抜いた。
サブ「だから・・・・だからどうしたんだよガキ」
サブは腸を握り締めてタラオに見せ付けた
サブ「俺もうこんなになってんだぜ?何コレ?何なの?」
タラオ「う・・・ううああああ」
サブ「気持ち悪い擬音発してんじゃねえよ・・・まあ面白かったぜ・・・・お前のジジイの銃で
ア バ ヨ ーーーーーーー」
サブはトリガーにゆっくりと指をかけた
タラオはもう打つ手がないことを悟り・・・悔しさと・・・恐怖から小便を垂れ流した。
--------------------------------------------------------------
ここで話は少し遡る。
ペットセメタリーの墓守達は知らなかった。
そう、タマを埋めた時に居た中嶋の存在を・・・・・。
80 名前:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:[] 投稿日2008/12/16(火) 00:36:41.40 ID:3YNQi2lS0
中島のスピンオフくる!!
89 名前:
ちゃぴぃ ◆jse.PorBNE :[] 投稿日2008/12/16(火) 00:39:11.98 ID:uvFmIGTf0
中島はタマを埋めた翌日、朝から嫌な気分だった。
胸を覆う霧のような疑問がどうしても晴れないのだ。
あの時、自分は本当に親友を思って――
「ペットセメタリー」を勧めたのだろうか・・・・?
僕はもしかして・・・好奇心から友人を実験台にしたのでは・・・
中島は学校で開口一番にそのことを磯野に謝ろうと
そう心に決めていた。
99 名前:
ちゃぴぃ ◆jse.PorBNE :[] 投稿日2008/12/16(火) 00:44:01.90 ID:uvFmIGTf0
中島は登校中、磯野を探したが見つからなかった。
(先に着いているのか?)
しかし、学校に着いた時家に迎えに行くべきだったとすぐに後悔をした。
磯野カツオは学校にきていなかった。
花沢「なーにをキョロキョロしてのよっっ」
後ろから肩を強打され、中島は咳き込んだ。
花沢「あーらごめんなさい。ちょっとやり過ぎちゃったかしらん」
104 名前:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:[] 投稿日2008/12/16(火) 00:45:29.97 ID:ZkZqTVpt0
花沢参戦!!
112 名前:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:[] 投稿日2008/12/16(火) 00:47:15.03 ID:nBYFANyk0
それでも花沢さんなら、きっと・・・
120 名前:
ちゃぴぃ ◆jse.PorBNE :[] 投稿日2008/12/16(火) 00:54:22.67 ID:uvFmIGTf0
中島「あのさ・・・花沢さん・・・磯野・・・・今日来てないよね」
花沢「あら?そーみたいね
おかしいわね、馬鹿は風邪引かないっていうじゃない?ガハハ」
中島「ああ、そうだね」
中島は冷めた口調でそう言い返すと、席に着き、机の上に肘を着いた。
中島は今日ばかりは花沢の真っ直ぐな明るさに付き合うのが
面倒でたまらなかった。
花沢「なーーーーによーーーー中島君何か暗いんじゃない?ねえかおりちゃん?」
かおり「そうね・・・・もしかして喧嘩とかしたのかもしれないわ・・・」
花沢「でもそれで休むのはおかしいわよ、
多分磯野さん家風邪が流行っちゃったんじゃないかな。ワカメちゃんも今日見なかったし・・」
その何気ない花沢の一言が中島の耳に突き刺さった。
中島「な・・・・・・何だって・・・おい・・・」
花沢「何よいきなり擦り寄ってきて気持ち悪い。今日来てないんじゃないのワカメちゃん」
中島「そんな・・・ちょっと見てくるよ」
かおり「どうしたのかな中島君?」
花沢「ロリコンにでも目覚めたのかしら」
花沢は焦り教室を出る中島を豚のような声を上げて笑い飛ばした。
131 名前:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:[] 投稿日2008/12/16(火) 00:57:53.30 ID:zrpqJSySO
花沢さんうぜえwww
134 名前:
ちゃぴぃ ◆jse.PorBNE :[] 投稿日2008/12/16(火) 00:59:04.75 ID:uvFmIGTf0
中島はワカメのクラスを覗き、隈なく彼女を探したが
やはり何処にも彼女は居なかった。
そうこうしている内に始業のチャイムが鳴り響いた。
144 名前:
ちゃぴぃ ◆jse.PorBNE :[] 投稿日2008/12/16(火) 01:06:12.75 ID:uvFmIGTf0
担任の名前ググッたけど出て来ないから勝手につけるわ
森にしよう
147 名前:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:[] 投稿日2008/12/16(火) 01:09:46.02 ID:/yTH9ceEO
>>144
先生の名前は非公開ですね
151 名前:
ちゃぴぃ ◆jse.PorBNE :[] 投稿日2008/12/16(火) 01:12:09.86 ID:uvFmIGTf0
森「よーし授業始めるぞーーん?磯野は居ないのか?」
中島「先生、磯野が何で休んでいるのか聞いていないんですか?」
中島は立ち上がって担任に問い掛けた。
森「いや、聞いていないが?」
中島の疑惑は既に確信の域にまで達していた。
所有者と同じ魂が帰ってくるとは限らない。
中島はそのフレーズを小さく口の中で繰り返した。
154 名前:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:[] 投稿日2008/12/16(火) 01:13:34.57 ID:3YNQi2lS0
さすが中島頭キレるな
166 名前:
ちゃぴぃ ◆jse.PorBNE :[] 投稿日2008/12/16(火) 01:28:02.12 ID:uvFmIGTf0
中島「せ・・・先生」
森「どうした中島」
中島「ちょっとお腹が痛くて・・・」
森「そうか・・・じゃあ保険委員・・」
中島「大丈夫です、自分で・・・自分で行きますっっ」
森「そ、そうか大事にな・・」
中島は帰宅の途につきながら、もう一度あの本を詳しく調べてみようと思った。
(磯野・・・ごめん・・・本当は俺・・・・あの墓に埋めたら何かが起こるだろうって
少し・・・思っていたんだ・・・・)
中島には隠れた趣味があった。
その師こそ・・・浪人生でいざという時に頼り無いが・・・
人一倍民俗学、郷土研究を愛する男
そう・・・中島の実の兄である
そして・・・これはカツオには言うまいとしていたことがあった・・・
中島にはその自分が確実に犯したであろう過ちが胸に一つ楔となって残っていた。
中島はあの時・・・・
裏山のペットセメタリーにカツオに気づかれないようにそれとなく誘導していたのだ・・・。
338 名前:
ちゃぴぃ ◆jse.PorBNE :[] 投稿日2008/12/16(火) 17:54:35.74 ID:uvFmIGTf0
この度は保守まことに有難う御座いました
少し文体が違ったりすることがありますが、特に内容には不都合はありません
因みに真相編ですから
グロはもう、もうあまりありません、グロ目当てのかた御免なさい
342 名前:
ちゃぴぃ ◆jse.PorBNE :[] 投稿日2008/12/16(火) 17:57:14.74 ID:uvFmIGTf0
ペットセメタリーの正確な場所を中島は把握していた。
何せ、以前兄と二人で訪れたことがあるのだから。
実際その現場に行ってみるまで半身半疑だった中島も、
そこに立てかけられていた朽ちかけの木の看板。
英語でペットセメタリーと書かれたその看板を見て、兄の話を信じるに至ったのだ。
喜んで学校中の奴らに話したら、あれでもない、これでもないと勝手な尾ひれがついて、
最早中島の手の届かないところでその物語は、
まるで昔から存在したかのような真実味を帯びていった。
(そうさ、兄貴だ。兄貴に聞けば何かが分かる)
345 名前:
ちゃぴぃ ◆jse.PorBNE :[] 投稿日2008/12/16(火) 17:58:47.38 ID:uvFmIGTf0
話を詳しく聞かなければいけない。
中島はそれがカツオの為になるのかは分からなかったが、
今となってはこれは自分の義務だと感じていた。
磯野とワカメちゃんが何故休んだのか僕には分かる。
タマが死んで、良く分からない墓地なんかに埋めたのがバレタんだきっと。
ショックだっただろうな……。
僕だけ、のほほんと学校の授業なんて受けていられない。
全てを調べた上で磯野の家にお見舞いと称して行こう。
プリンでも持って行けば、少しは悲しむあいつの心も癒されるさ。
346 名前:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:[] 投稿日2008/12/16(火) 18:01:24.53 ID:zrpqJSySO
いくのかあああああああああああああ
348 名前:
ちゃぴぃ ◆jse.PorBNE :[] 投稿日2008/12/16(火) 18:02:30.71 ID:uvFmIGTf0
ここで一旦話は切れる。忘れられたエピソード4。
前日、晩、サザエ。
「ったくもう何処まで行ったのかしら」
サザエは肩にかけた毛布を引き寄せ、足から立ち上る寒気に身震いした。
しかし、深夜の桜新町は静まりかえり、人の気配は何処まで行っても無さそうだった。
(入れ違いになったのかしら)
欠伸を一つしてサザエが帰ろうとしたその時だった。
突然闇が動いたかと思えば、眼前にその姿を現したのは異形の化け物だった。
「何よこれ……?」
化け物は唸り声をあげて今にも飛びかかろうとその態勢を整えていた。
「ふんっっ喧嘩を売ってるの?やったろうじゃないの」
サザエがそれを死んだタマだと気づくことはなかった。
349 名前:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:[] 投稿日2008/12/16(火) 18:03:13.00 ID:ThMEUq/SO
きたきたきたきたああああああああああああああああ
350 名前:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:[] 投稿日2008/12/16(火) 18:03:31.31 ID:cpyA+2YP0
サザエ豪胆すぎんだろw
351 名前:
ちゃぴぃ ◆jse.PorBNE :[] 投稿日2008/12/16(火) 18:03:38.85 ID:uvFmIGTf0
エピソード5
「ああめんどくせえ」
サブは家に帰る途中だった。こんなにも遅くなってしまった。これじゃあ、もうすぐ朝になってしまう。
注文を聞き間違え大将にこってりと絞られた後、付き合いで深夜遅くまで飲まされていたのだ。
「ったくあの酔っ払い、残業代も出ねーってのに引き止めた挙句に、飲酒でバイクは不味いだの、
今日は泊まっていけだのと、馬鹿野郎ふざけるなってんだ」
ふらふらと蛇行で運転するそのバイクに突然飛び出してきた何かがぶつかった。
「何だあ?」
吹き飛んだそれはコンクリート塀にぶつかり、地面に倒れ伏した。
暗闇の中に照らされるその奇妙な姿。
良く目を凝らして見ると、それは猫ぐらいの大きさだったが、動物というよりかは肉塊のようだった。
ヒクヒクと蠢くそれを見てサブは気味が悪くなった。
「わ、わりいな。じゃ、お休み」
この時、獣塚の鍵をサブが殺したことを、誰も知らない。
354 名前:
ちゃぴぃ ◆jse.PorBNE :[] 投稿日2008/12/16(火) 18:05:34.40 ID:uvFmIGTf0
中島の兄は初めて学校をサボり、自室に突然やってきた弟に驚きながらも、
それを激しく咎めることは無くテーブルに入れてあった温かいジャスミン茶を可愛い弟に勧めた。
「んで、わざわざ学校サボって俺の部屋に来た理由が世田谷の歴史について知りたい?
なんだいそりゃ、何かの冗談かい?」
「いいから、お願いだよほら、以前言っていたじゃないか」
「戦国時代で良いのか」
「そうそう、兄貴頼む」
中島の兄は頭を掻いた。
我が弟はこんなにも勤勉だっただろうか、磯野君と野球に打ち込むいつもの彼とは少し違っていた。
「ああ、まあちょっと休憩をしようと思っていた所だ。
別に構わないよ、でもお前、俺から聞きかじるだけで充分、
こんな難しい本読みたくもないって言ってたじゃないか?」
「少しだけ、興味が出てきたんだよ」
兄はふうんと言って手近にあった本を取り出し弟に渡した。
タイトルは戦国時代の世田谷。まんまである。
中島は紫色に金の箔押しがしてあるハードカバーの本を受け取ると、
緊張した面持ちでその最初のページを捲り始めた――
356 名前:
ちゃぴぃ ◆jse.PorBNE :[] 投稿日2008/12/16(火) 18:10:37.38 ID:uvFmIGTf0
戦国時代。世田谷付近の支配者は世田谷城を本拠地とする吉良氏だった。
吉良氏は室町幕府将軍足利氏に縁続きの家柄で、三河・遠江守護などを兼ね、
東海一の弓取りと賞賛された大大名今川氏とも縁続きの家柄。
(吉良氏と言えば、真っ先に思い起こされる、いわゆる「忠臣蔵事件」で赤穂藩主浅野長矩に
刃傷に及ばれた高家筆頭吉良上野介義央とは遠縁だが、直接の祖先ではない。
吉良氏は鎌倉時代中期に足利義氏の子義継が三河国吉良荘の地を与えられて吉良氏を名乗ったのが始まりで、こちらが「忠臣蔵事件」の吉良氏の祖先で、三河吉良氏と呼ばれる。
一方今回話になっている世田谷吉良氏は足利義氏の子で義継の弟にあたる長氏の長男で
満氏が吉良氏を名乗ったのがその始まりである。
ちなみに、
満氏 の弟国氏が三河国今川荘を与えられて今川氏を名乗ったのが今川氏の始まりである)
357 名前:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:[] 投稿日2008/12/16(火) 18:12:21.81 ID:ThMEUq/SO
なんかすげえ話になってきたな