Part10
812:
1 ◆wivGPSoRoE:2008/11/09(日) 17:01:05.55 ID:
ZRoJmPc0
バサッ
杉田「あちぃー……バンダナなんかで覆面するんじゃなかったぜ……………………あっ、つかさちゃん久しぶり!驚いた?」
ゴットゥーザ「文句言ってんじゃないわよ?……あんたが救出作戦はバンダナでキメたいって言い出した癖に」
あきら「後藤、前向いて運転しなよ、危ない」スパー…
つかさ「うそ……杉田さん……ゴットゥーザさん……あきちゃん」
つかさ「…………あ…………あ………………………」
つかさ「………………そっか……私の留守電聞いてくれたんだ」
つかさ「……………………………………助けに来てくれたんだ」
813:
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2008/11/09(日) 17:01:27.10 ID:n39JU/co
救出きたあああああああああああ
814:
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2008/11/09(日) 17:01:50.51 ID:q6nGZwDO
ゴットゥーザ様ぁぁぁぁぁ!!
819:
1 ◆wivGPSoRoE:2008/11/09(日) 17:03:18.62 ID:
ZRoJmPc0
杉田「でもよぉ、せっかくギャングみたいな格好するなら黒塗りのキャデラックが良かったなぁ……ハイエースとか正直無いぜ?」
ゴットゥーザ「救出するのにそんな目立つ車乗ってどうするのよ?あんた映画の観すぎなんじゃないの?」
杉田「ハァ…夢がねーよお前、なぁ?つかさちゃん、こんな車より格好いいキャデラックの方が良かったよなぁ?」
つかさ「……………うっ…………ぐすっ…………………かっこいいよ…………ハイエース…………えっぐ…………」
杉田「……お、そうか…………つかさちゃんがそう言うならまあいいか、がはははは!」
あきら「泣くのはまだ早いよ? あんたのうちで家族が待ってる、それまで涙とっときな」
つかさ「………………えっぐ…………ひっぐ…………私…………帰ってもいいの?…………おうちに……?」
あきら「さぁ?いいんじゃない? 今回うちらもあんたの家族から泣きつかれてやったことだし」
あきら「まぁ、その代わり報酬はたっぷりいただいたけどね?」
つかさ「…………………………えっぐ…………ひっく………………ひっく……………………ありがとう」
杉田「俺は逆に感謝してるぜ? あんたの親父さんのおかげで新しい車のパーツが買そうだ」
こなた「……この人達だぁれ?……つかさのお友達?」
つかさ「…………えっぐ…………えへへ、そうだよぉ、…………みんな私の大切な友達だよぉ」
こなた「……そっかぁ……よかったねぇ、つかさ」
つかさ「…………うんっ………………よかった…………ほんとに…………よかったっ…………」
822:
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2008/11/09(日) 17:05:20.23 ID:thTt0k.o
こなた・・・
823:
1 ◆wivGPSoRoE:2008/11/09(日) 17:05:32.09 ID:
ZRoJmPc0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
その後、私達は無事、家族との合流を果たしました。
お母さんやお父さん、お姉ちゃん達が泣きながら私のことを抱きしめてくれました。
私は何度も何度も謝りました。
そうじろうさんは変わり果てたこなちゃんを見てその場で泣き崩れ、気がふれてしまいました。
後で聞いた話ですが、私達が救出されてから数ヶ月後に、例のお店は摘発されてしまったそうです。
車で私を送迎してくれた店員さん……彼も捕まってしまったのでしょうか?
お父さんが言うには、警察沙汰にしないという約束であきちゃんは私達の救出に協力してくれたそうです。
どうしてもお礼がしたいとお父さん達は何度もあきちゃんに説得したそうですが、
金を貰えただけで満足だし、近いうちに海外へ高飛びする予定だからヘタな気を使わないで欲しいと断られたそうです。
私はなんどもあきちゃんと連絡をとる約束をしました。
けれどその後、あきちゃんから連絡が来ることはありませんでした。
827:
1 ◆wivGPSoRoE:2008/11/09(日) 17:06:40.79 ID:
ZRoJmPc0
私達ふたりはその後、すぐさま総合病院で治療を受けることになりました。
度重なる薬物摂取と長期間の性交渉がたたり……私達の身体は見た目以上に消耗していたようです。
主治医の一人が他の先生との会話中に小さな声で『これはないわ』『肝臓がフォアグラ状態だ』と言っているのが聞こえました。
同時に、病院の検査で…………私は妊娠していることが判明しました。
性交渉の後、毎回ピルを渡されていましたが、どうやら100%避妊できる薬ではなかったようです。
お父さんやお母さん、お姉ちゃん達は私のことを不憫に感じたのかワアワアと大きな声で泣き崩れました。
でも、私は赤ちゃんをおろす気は無かった……だってお腹の子には罪はないもの。
産まれ出てくる子は憎いレイプ犯の子供かもしれないと初めは散々反対されましたが
私がこの子をわが子として育てたいという強い意思を伝えたところ……最後にはみんな納得してくれました。
そして、私の検査結果が出た少し後にこなちゃんの検査結果を聞かされました。
こなちゃんの検査結果…………覚醒剤の長期使用による眼底出血が原因で左目は失明、右目の視力も現在低下傾向。
同じく覚醒剤の長期使用による大脳皮質下部の機能障害。
限度を超えた性交渉による内臓裂傷…………そして、HIVの感染。
832:
1 ◆wivGPSoRoE:2008/11/09(日) 17:08:19.18 ID:
ZRoJmPc0
私は薬物依存の入院治療も受けることになりました。
治療を受けていた病室はまるで野戦病院のような古い建物でした、もう30年以上も改築されていないらしく
白かったであろう壁紙は茶色く薄汚れ、ところどころにヒビや何かをこぼしたようなシミがついていました。
シャブの副作用のせいか、そのシミをジッと見ているとだんだん膨らんできて毛むくじゃらの動物みたいになって
私のお腹の上まで伸びてきそうな気がしたので、あまり長く見つめないようにしていました。
そう、そうなんです、私、最近、何もかもに敏感になっていて、それもすべてシャブをやめてから。
毎日のようにシャブを決めていた頃にはそれこそ気がつかなかったのに。
だって、少しでも身体が疲れたらシャブをいれてたんだよ、禁断症状なんて感じる間もなかったよ。
でも、今は違う、こんなシャブともっとも離れた場所にある病院のベッドで、
コーヒーすら与えてもらえない生活を何日もつづけているんです。
本当に些細なこと、そう、さっき言ったような壁のシミなんてのもそう、もっと些細なもので言えば
このシーツのシワ……そう、ああ、気づいちゃった、シーツのシワの事を見ちゃった……
だめだ、このシーツのシワが気になりだすといつもフラッシュバックに引き込まれるんだ……
ああ、助けて、シーツが、そう、たぶんみんなに言ってもわからないよ、凄く怖くて苦しいの、
まるで、このシーツのシワがどんどん大きくなって切り立った渓谷みたいにせり上がって私の体をズタズタに引き裂こうとするの
やめてやめて、私のお腹には赤ちゃんがいるの!お願い、私から離れて!!助けてええええええええええええ!!!!
835:
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2008/11/09(日) 17:09:36.48 ID:4h/MWnco
薬なんてやるもんじゃないな…
836:
1 ◆wivGPSoRoE:2008/11/09(日) 17:09:43.13 ID:
ZRoJmPc0
私は手足を拘束されて安定剤を打たれました。
ナースの人たちは『あなたのためよ』『あなたのためよ』といいながら私の手足にカチャカチャと拘束具をつけました。
先生の話によると、私の禁断症状や幻覚は覚醒剤以外のものも原因になっているといっていました。
おそらくPCPという薬物がシャブの混ぜ物に使われていたのだと教えてもらいました。幻覚が強いのもきっとこれが原因だろうって。
PCP?なんだろうそれ、そんなの聞いたこと無いよ。
…ああ、でもよかった、仰向けのこの姿勢なら、シーツに目をやらなくてすむ。
私は病室の壁にある排気口を見つめていました。ファンが回転しているのかな? 中からプロペラが回転するような音がしてる。
ファンファンファンファンファンファン……
つかさ「(ああ、駄目だ、気分が悪くなってきた、プロペラの音がだんだん耳鳴りのように大きくなってくる)」
ファンファンファンファンファンファンファンファンファン…………
つかさ「(いや、いや、嫌、嫌、嫌、怖いよ、おねがい、止まって)」
グァアン!!!!グァアン!!!!グァアン!!!!グァアン!!!!グァアン!!!!グァアン!!!!グァアン!!!!グァアン!!!!
つかさ「あああああああ!!!!!!!怖い怖い怖い!!!やめてええええええ!!!!!誰かとめてええええええええ!!!!!!!!」
840:
1 ◆wivGPSoRoE:2008/11/09(日) 17:12:13.19 ID:
ZRoJmPc0
そう、そのプロペラ音は次第に大きくなってどんどん大きくなって、しまいには人の怒鳴る声や泣き叫ぶ声、
助けを求める声に聞こえてきました、声の大きさはそれこそ耳をつかまれて大声で叫ばれているようなものもあれば
静かに耳元でボソボソボソ……と語りかけてくるようなものもありました。
私は必死に音を消そうともがき、頭を右へ左へ動かしましたが、その声は消えるどころか次第に鮮明になり
そのうち私の大好きな友達や家族、知っている人たちとなって語りかけてきました。
こなた『つかさぁ〜、目が見えないよぉ〜、ねぇ、どうしてぇ〜?、ねぇ、どうしてぇ〜?、ねぇ、どうしてぇ〜?』
つかさ「いやあああああああああ!!ごめんなさい!!!ごめんなさい!!!ごめんなさい!!!」
そうじろう『こなたが壊れてしまった、きみのせいだ、おかげで僕も精神病院に入る羽目になったよ、ははは、君のせいだ』
あきら『どうして・・・あたしのこと・・・売ったんだよぉ・・・? あんたの事・・・助けてあげたのに・・・・』
赤ちゃん『ママ……僕をここから出して……ママのお腹の中……すごく苦しいんだ……お願い……ここから出して』
つかさ「もうやめてええええええええええええ!!!!!!!!ゆるしてええええええええええええええええ!!!!!!!」
つかさ「いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」
つかさ「もう殺してえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!」
852:
1 ◆wivGPSoRoE:2008/11/09(日) 17:14:55.10 ID:
ZRoJmPc0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あれから数ヶ月が過ぎ、入院治療が終わり、私は外来治療を受けるようになりました。
禁断症状も以前に比べると少し落ち着いた気がします……といっても、未だに幻覚幻聴には悩まされていて、
踏み切りの音やパチンコ店の音、テレビの画面などでフラッシュバックを起こしてしまいます。
お医者様は禁断症状が完全になくなることは……おそらく死ぬまで無いだろうと言っていました。
これが後遺症なのだ…………普通に生活しているだけで幻覚や幻聴の恐怖が襲う…………
また、禁断症状が強く出れば出るほど…………身体中がシャブを求める。
…………もう一度だけ…………もう一度だけ…………
でも…………次に手を出してしまったら…………今度こそ絶対に抜け出せない。
お腹の赤ちゃんも……大きくなってきました……この子の為にも、私は二度と薬物には手を出さないと決めました。
結局…………自分を救うことが出来るのは…………他でもない自分自身なのだ。
かがみ「つかさー、こなたのお見舞い行くわよ〜?」
つかさ「まって、すぐ用意する」
856:
1 ◆wivGPSoRoE:2008/11/09(日) 17:16:24.29 ID:
ZRoJmPc0
かがみ・つかさ「お邪魔します〜」
こなた「…………お見舞いに来てくれたの?」
かがみ「そうよ、つかさのお腹見せてやろうと思ってね!見てやってよ、こんなに大きくなっちゃって!」
つかさ「えへへ、さいきんお腹の中で動いてるのが分かるんだよ〜」
こなた「…………そっかぁ、よかったねぇつかさ」
つかさ「えへへ〜」
こなた「…………でもごめんねつかさ、私、目が良く見えないんだ」
こなた「…………もっと近くで見てもいい?」
つかさ「…………こなちゃん」
つかさ「……………………えっぐ………………ひっぐ…………………」
つかさ「(…………ごめんね…………こなちゃん…………ごめんね)」
859:
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2008/11/09(日) 17:17:27.68 ID:y.MI34so
ゲームできなくなってこなた可哀想
863:
1 ◆wivGPSoRoE:2008/11/09(日) 17:18:15.26 ID:
ZRoJmPc0
こなた「…………わぁ、大っきいねぇ……生命の神秘を感じるねぇ」ナデナデ
つかさ「……えへへ…………ぐすっ…………男の子なんだぁ」
かがみ「あんたもだいぶ顔色良くなってきたわね、はやく退院しなさいよ?」
こなた「…………かがみん私がいないと寂しいんでしょ〜?」
かがみ「……なっ、…………そ……そりゃあ……………………少しくらいは///」
こなた「…………ありがとう、うれしいよ」
こなた「…………つかさも良いお母さんになってね」
つかさ「……うん、こなちゃんも早く良くなってね」
かがみ「つかさの出産には絶対立ち会うこと!いいわね、それまでには良くなりなさいよ」
こなた「…………うん、わかった」
こなた「…………ありがとう、二人とも」
871:
1 ◆wivGPSoRoE:2008/11/09(日) 17:20:17.05 ID:
ZRoJmPc0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あれからどれくらいの月日が経ったのだろう……
私のおなかがもうすぐ臨月を迎えるという頃には季節は一周し、冬の始まりを迎えていました。
そうそう、私最近お母さん雑誌にはまっているんです。……今日も近所の本屋さんで購入した育児雑誌を読みながら、
葉の落ちた街路樹が並ぶ通りを歩み、帰路へと向かっていました。風は冷たかったけれどお日様が照っていたので寒くはありませんでした。
通りに人はほとんどいませんでしたが、手をつなぎあって歩く恋人達や買い物袋をさげたおばさん、そして子供連れの家族がいました。
私はその子供連れの家族……お父さんとお母さんの間に入り両親の手を握りながら幸せそうに微笑むその女の子に未来のわが子を重ねました。
少し切なくて、私の胸を締め付けたけど……私の心の中に何か暖かいものが宿るのを感じました。
……きっとこれが幸せなんだ。
874:
1 ◆wivGPSoRoE:2008/11/09(日) 17:20:54.71 ID:
ZRoJmPc0
私は持っていた雑誌を胸に抱き、その微笑ましい親子を眺めていました。
……しかしそこで私を襲った違和感、記憶、そわそわさせる何か。
私はその親子の…父親の男性を知っている気がするのです。
いや、きっと知っている……覚えている。
そう、ハッキリと思い出した……遠い遠い昔の古いお友達。
私の物語はすべてこの人が始まりだったんだ。
最後に彼と決着をつけなきゃ、いまここで。
これから産まれてくる子と、これからの私の物語のためにも。
私は勇気をふりしぼって、その男性に声をかけました。
881:
1 ◆wivGPSoRoE:2008/11/09(日) 17:22:42.67 ID:
ZRoJmPc0
つかさ「小野だいすけ……さん、ですよね?」
小野「…ん?」
小野「えっ!?つかさちゃんかい?」
彼は一瞬おどろいて見せましたが、私の顔とおなかへ2、3度チラチラと目をやり終えると
全てわかったよといった表情で微笑み返してきました。
……昔から変わらないだいちゃんの笑顔でした。
883:
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2008/11/09(日) 17:22:45.16 ID:lLC3u0U0
だいちゃんktkr
884:
1 ◆wivGPSoRoE:2008/11/09(日) 17:23:32.67 ID:
ZRoJmPc0
小野「やあやあやあやあ、これは、ずいぶんと長い間会わなかったね。」
小野「元気にしていたかい? 風邪をひいたりしていなかったかい?」
つかさ「……」
妻「あなたの知り合い?」
小野「そうだよ、この子はね、僕の昔の友人なんだ、名はつかさ、柊つかさちゃん」
娘「パパのお友達〜?」
小野「そうだよ、パパのお友達だよ〜」
小野「そうだ、良い子だからママと先にお家に帰ってようか、パパはこのお友達と少しばかりお話がしたいんだ」
娘「わかった〜!」
妻「さき行ってるけど、はやく帰ってきてよ、部屋の飾りつけ手伝ってもらわなきゃいけないんだから」
小野「ああ、すぐにもどるよ……ほんの少し話をしたらね」
つかさ「……」
895:
1 ◆wivGPSoRoE:2008/11/09(日) 17:25:32.82 ID:
ZRoJmPc0
小野「いやいやすまないつかさちゃん、今日は娘の3歳の誕生日でね、妻と街まで買出しに来ていたんだ」
つかさ「……だいちゃん、奥さんいたんだ」
小野「ああ、言ってなかったかな? 結婚してもう5年になるよ」
小野「結婚当初は優しくて可愛らしかったんだけどね、今じゃすっかり僕のほうが尻にひかれてるよ、ははは」
つかさ「……」
つかさ「……こなちゃんをお店に送ったのはだいちゃんなの?」
つかさ「……だいちゃんとあきちゃんはどんな関係なの?」
つかさ「私、もう嘘は聞きたくない、本当の事を教えて」
小野「まいったな」
897:
1 ◆wivGPSoRoE:2008/11/09(日) 17:26:21.03 ID:
ZRoJmPc0
小野「彼女はね、自分から希望したんだよ、そう、彼女は君よりずっと好奇心が強かった」
小野「学校を休んでまで僕の店へ来るようになってね……お金も無いのにさ」
小野「心配になって知り合いに相談したんだよ、僕のため、そして彼女のために」
つかさ「ごまかさないでよ……本当はどうなるかわかってたくせに」
つかさ「私達があの後どんな目に遭ったか知ってるの??」
つかさ「私のおなか見てわからない??何とも思わない??」
つかさ「それに、こなちゃんなんて……こなちゃんなんて…………ぐすっ……えっぐ」
小野「……」
900:
1 ◆wivGPSoRoE:2008/11/09(日) 17:27:02.20 ID:
ZRoJmPc0
小野「いやすまない、たしかに君達には悪いことをしたとは思っているよ」
小野「少女期という光のような一瞬の時代を奪ってしまったわけだからね」
小野「でもしかたなかったんだ、僕たちも……商売だから、辛いけどしかたなかった」
つかさ「……」
小野「でもさ、君も一時の夢を見ることが出来たじゃないか?そうだろう?」
つかさ「……何をいってるの?」
小野「なんなら今ここで打ってあげようか?気持ちが楽になるよ?」
つかさ「えっ」
だいちゃんは私の目をまっすぐ見すえてニコッと笑いながら、ポンプを打つ仕草をして見せました。
一瞬……身体中にあの感覚が走りました。
905:
1 ◆wivGPSoRoE:2008/11/09(日) 17:28:32.59 ID:
ZRoJmPc0
つかさ「……ゃ…ぁ…だ、だめだよ」
つかさ「私は……もう、やらない……って」
小野「……ぷっ」
小野「あははははははは」
つかさ「……?」ハァハァ…
小野「冗談だよ、冗談、家族連れてショッピング行ってたんだよ? そんなモノ持って歩けるわけないじゃないか」
小野「にしてもつかさちゃん、君はもう相当だね……僕がまだ商売していた頃はそれほどでもなかったのに」
つかさ「……どういうこと?」
小野「僕、あの商売から足を洗ったんだ、そうだな、もう半年以上前になるよ」
小野「今は完全に安全無害さ……そう、全て君のおかげだ」
つかさ「えっ?」
910:
1 ◆wivGPSoRoE:2008/11/09(日) 17:30:21.52 ID:
ZRoJmPc0
小野「僕はねつかさちゃん、君にとても感謝しているんだ、そう、君のおかげで僕は自由になったんだよ」
小野「君があきらさんを僕に紹介してくれた、何年も探していたんだ、彼女が僕の事務所を抜けてからもね」
小野「やっと会えたんだ、彼女がどこで何をしているのかもすぐに調べることが出来た、そう、君のおかげなんだよ」
つかさ「…………まさか」
つかさ「…………まさか、そんな」
つかさ「…………うそだよね、嘘でしょ?」
つかさ「…………あきちゃんとずっと連絡が取れないの、かならず連絡するって言ってたのに」
つかさ「…………ねぇ、だいちゃん、あきちゃんをどうしたの?どこへやったの!?答えてよ!!!!」
小野「それ以上知ってどうなるんだい?」
っつかさ「答えて!!!!」
小野「はぁ、そうだね、あきらさんか、……彼女は遠い国へいったよ、ここではないずっと遠い場所へね」
つかさ「…………外国?」
小野「どうだろうね、僕も詳しくは知らないよ、きっともっといいところじゃないかな?」
つかさ「…………」
919:
1 ◆wivGPSoRoE:2008/11/09(日) 17:32:22.57 ID:
ZRoJmPc0
小野「それにね、僕はもう組の人間じゃないんだから、そんな話を聞かれても答えられないよ」
小野「今ね、僕、声優の仕事をしているんだ、知り合いの伝でね」
小野「手取りは半分以下になっちゃったし、安定もしていないけど、何より安全で安心で満足しているんだ」
つかさ「…………」
小野「つかさちゃん、僕を恨むかい?」
つかさ「…………………グスッ…………グスッ……………」
小野「すまない、本当に悪いことをしたね」
つかさ「…………グスッ、……恨んでないよ、全部私の責任だし」
つかさ「…………巻き込んだみんなの分まで背負って生きてくよ」
小野「そうか、恨まれているほうが気が楽なんだけどね」
925:
1 ◆wivGPSoRoE:2008/11/09(日) 17:34:05.66 ID:
ZRoJmPc0
小野「そろそろ行ってもいいかな、妻と、娘を待たせているんだ」
つかさ「…………」
つかさ「……私ももう行くよ」
小野「そうか、それじゃあこれでさようならだね、つかさちゃん」
小野「良いお母さんになってね」
そういって彼はゆっくりと私の前から姿を消しました。
私のことなんてきっと、取るに足らない、まるでもいだリンゴの一つ程度にしか、彼の目には映っていないんだ。
もういこう、私も帰らなきゃ……頭の悪い私には難しいことはわからない。
ならもう難しいことなんて考えないでおこう。
私のせいで涙を流した全ての人たちを背負って生きていこう。
こなちゃん、あきちゃん、ゆきちゃん、そうじろうさん、お母さん、お父さん、お姉ちゃん達、そしてこれから産まれてくる赤ちゃん。
そうだ、私は赤ちゃんが生まれてきたらうんと幸せにしてあげよう、あと何年生きられるかわからないけど
愛情いっぱいに育てて、かっこいいも着せて、そして、わかる年頃になったら全て話してあげよう。
頑張らなきゃ、私も、良いお母さんになるために。失敗ばかりしちゃったけど、これから少しでも頑張って生きよう。
930:
1 ◆wivGPSoRoE:2008/11/09(日) 17:35:36.83 ID:
ZRoJmPc0
この話を聞いてくれたみなさん、そろそろこの物語も終わりに近づいてきたみたいです。
みんなは私とどこへでも一緒にいたよね、一緒に笑って、一緒に元気になって、優しい人は一緒に泣いてくれたね。
ごめんね、こんな話を聞かせて、頭いたくなっちゃったよね。でも、みんなに聞いてもらえて少し気が楽になったよ。
これが私の懺悔です。私の犯した罪をたくさんの人に知ってもらえてよかった、えへへ
これから私が生きてゆく物語は、ごめんなさい、みんなを一緒に連れて行くことはできないんだ。
それは私だけの新しい物語だから。
そろそろ行かなきゃ、みんな、私はみんなのこと絶対に忘れないよ。
だから、みんなも、みんなのバカでドジなつかさがいたってことを時々思い出してもらえるとうれしいな。
それじゃあ、さようなら、お元気で。
Fin
965:
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2008/11/09(日) 17:39:11.92 ID:/AW3DuYo
乙
因果応報というものが本当にあるなら
小野も幸せに人生を終えることはできないだろうな
966:
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2008/11/09(日) 17:39:22.91 ID:n39JU/co
>>1乙!
おもしろかった!
996:
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2008/11/09(日) 17:45:57.07 ID:umX5zfoo
こんな長編SS久しぶりに見た
しかも最後はそこそこいい終わり方でよかった
1乙