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狙撃手「観測手ってレズなの?」 観測手「ふっへっへ」
Part2


19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/08(日) 04:41:33.56 ID:SY3twoiK0
白兎「……」
狙撃手「……」
観測手「……」
狙撃手「……何か喋れ」ボソボソ
観測手「ムリ」
狙撃手「……貴女が主役でしょうが」ボソボソ
観測手「ムリ」
白兎「……けど、少しびっくりしてしまいましたわ」
狙撃手「……え?」
白兎「今回、突然の事でしたので……」
狙撃手「……まあ、そりゃあ知らない人から突然誘われたらびっくりするよね」
白兎「いえ、私の方が、一方的に知っていただけかと思ってましたので」
狙撃手「……ん?」
白兎「正直、少し緊張しております……」

20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/08(日) 04:53:23.09 ID:SY3twoiK0
狙撃手「……ねえちょっと」ツンツン
観測手「ムリムリムリ」
狙撃手「……ひょっとして、団長さんと会った事あるの?」ボソボソ
観測手「ムリダッテバ」
狙撃手「……何か以前から知っていたみたいな話になってるけど」ボソボソ
観測手「アア、モウカエリタイ」
狙撃手「……」ハァ
白兎「あの?」
狙撃手「……ごめん、ちょっと混乱してて」
白兎「はぁ」
狙撃手「……えっと、団長さんはこの子の事を知ってるの?」
白兎「ええ、勿論」
狙撃手「……ごめんね、二人はてっきり初対面だとばかり思ってたんだ」
白兎「ああ、どうりで……何だか少し話がかみ合わないなと思っておりましたわ」ニコリ
白兎「そのお方とは、前線でご一緒した事がありましたの」
狙撃手「……前線で?」
白兎「ええ」

21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/08(日) 05:45:38.03 ID:SY3twoiK0
「あれは、5年前、北の帝国が我が国に侵攻してきた時の話です」
「帝国部隊の奇襲を受けた国境防衛部隊は、短時間で制圧されてしまいました」
「当時は戦争が起こるとは予想されてなかったので兵の数も少なく錬度も低かったのです」
「それでも生き残った兵達は森林地帯まで後退し抗戦してはいましたが……数で勝る帝国に各個撃破されている状態でした」
「私も当時、城で迎撃部隊として召集を受けました」
「けれど、我々がどんなに急いでも国境まで3日はかかってしまうのです」
「その間に、生き残りの兵達は全滅してしまうだろう……そう思われていました」
「けれど、そうはならなかったのです」
「私達迎撃部隊が到着したとき」
「4人の兵が生き残っていました」
「1人は医療兵で失明してしました」
「1人は槍兵で片手を失っていました」
「1人は観測手で保護された直後死亡してしまいました」
「唯一無傷で生き残っていた最後の1人は射撃手で、彼女は我々は見てこう言いました」
『だんがんをください、はやく、はやく、はやく』
『でないとみんなしんでしまう』

22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/08(日) 05:57:28.16 ID:SY3twoiK0
白兎「その3日間で何があったのかは、判りません」
白兎「保護された兵達も、具体的に語ろうとしませんでしたから」
白兎「けれど、彼女達がいなければ、我が国はもっと深くまで帝国に侵攻されていたでしょう」
狙撃手「……」
白兎「……私は、忘れられないのです」
狙撃手「……何を?」
白兎「あの時の、彼女の眼です」
狙撃手「……眼?」
白兎「はい」
白兎「まるで機械仕掛けのような、冷たく恐ろしい……」
白兎「……けれど、美しい眼でした」
白兎「魅入られるかのような」
白兎「……だから」
白兎「……今でも彼女の眼は、まっすぐ見る事ができません」

23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/08(日) 06:02:47.85 ID:SY3twoiK0
狙撃手「……」
観測手「……」
狙撃手「……帰っちゃったね、団長さん」
観測手「うん……」
狙撃手「……尊敬はしてるって言ってたよ」
観測手「うん……」
狙撃手「……良かったじゃん」
観測手「うん……」
狙撃手「……」
観測手「……」
狙撃手「……狙撃手だったんだ、昔は」
観測手「うん……」

24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/08(日) 06:17:05.77 ID:SY3twoiK0
観測手「私ね、昔、パートナーを死なせちゃったの」
狙撃手「……うん」
観測手「皆はね、ほめてくれた、英雄だって言う人もいた」
狙撃手「……うん」
観測手「けど、そんなの嘘なの、私はただ怖がりだっただけ」
狙撃手「……うん」
観測手「怖かったから、パートナーの言う通り何も考えずに撃ってただけ」
狙撃手「……うん」
観測手「そうすれば皆助かるって、死ななくて済むって言われたから」
狙撃手「……うん」
観測手「けど私の銃が暴発して医療兵さんが失明した」
狙撃手「……うん」
観測手「私をかばって槍兵さんの腕が斬られた」
狙撃手「……うん」
観測手「私のせいで観測手ちゃんが死んじゃった」
狙撃手「……うん」

25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/08(日) 06:20:25.62 ID:SY3twoiK0
観測手「聞こえてくるの、銃を持つと彼女の声が」
狙撃手「……うん」
観測手「6時方向、距離0、高度0」
観測手「撃たなきゃ、急いで撃たなきゃ、でないと、でないとみんな死んじゃう」
観測手「気がつくと、私は自分の頭に」
狙撃手「……うん」
観測手「銃口を向けて」
狙撃手「……うん」
観測手「怖いけど、怖いけど声が聞こえるから」
観測手「6時方向、距離0、高度0」
観測手「急いで、けど焦らないで、慎重に狙いを定めて」
観測手「これでぜんぶおわる」
観測手「ぜんぶわたしがわるいから」
狙撃手「……ふざけてるの?」

26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/08(日) 06:33:41.46 ID:SY3twoiK0
狙撃手「全部自分が悪いって何?」
狙撃手「自分がしっかりしてたら全部解決してたと思うの?」
狙撃手「どんだけ自信過剰なの貴女」
狙撃手「貴女みたいなドン臭い奴がどんな頑張っても戦況なんて変わるはずないでしょ」
狙撃手「逆に言うとどんだけ失敗しても戦況に影響なんて与えないよ」
狙撃手「貴女はその程度のものよ」
狙撃手「そんな貴女が生き残れたのは周りの子達がよほど優秀だったからね」
狙撃手「その子達が最善の策をとり最善の選択をした最善の結果が今この状況よ」
狙撃手「それ以上の結果は存在しないわ」
狙撃手「もし今その子達が貴女の今の発言を聞いたらきっとこう言うわね」
狙撃手「私達の選択に何か文句あるのかこの処女が!」
狙撃手「ってね」

27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/08(日) 06:39:29.61 ID:SY3twoiK0
観測手「……」パクパク
狙撃手「……何よ、池の鯉みたいに口パクパクして」
観測手「う、うぅ……」グスッ
狙撃手「……泣くな」
観測手「うぅ、ドン臭いって言われた……」グスッ
狙撃手「……事実でしょ」
観測手「うぅぅぅ……ひっく……」グス
狙撃手「……鼻水でてる」
観測手「ふぇ……処女とか、関係なくない、ひっく……」グスッ
狙撃手「……うん、それは言い過ぎたね」
観測手「うぅぅ、狙撃手のばぁかぁぁ……うぐっ……」
狙撃手「……はいはい、私が悪かったよ」
観測手「ぐすっ……ひっく……」ゴシゴシ
狙撃手「……人の服で鼻拭かないで」
観測手「ふ、ふへへ、ざまぁ……」グスッ
狙撃手「……」ハァ

28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/08(日) 06:50:12.32 ID:FoBiJ4I90
はよ

29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/08(日) 06:52:01.09 ID:SY3twoiK0
〜翌日〜
〜櫓〜
ハーピー「おーい、お昼ごはん持ってきたっすよ〜」バッサバッサ
観測手「わあい♪今日の献立は何です?」
ハーピー「からあげサンドっす」
観測手「やったあ♪」
狙撃手「……いただきます」
ハーピー「で、昨日はどうだったっすか?」
観測手「う……」ピタッ
ハーピー「ちゃんと告白できたっすか?」
観測手「そ、そんな大胆な事出来るはずないじゃないですかっ!」
ハーピー「えー、つまんないっすねえ……けど、まあお話くらいは出来たっすよね?」
観測手「おはなし……というか、えっと……」
ハーピー「え?」
狙撃手「……団長さんの話を一方的に聞いてただけだったよ、ほぼ無言で」
ハーピー「え?」
観測手「も、もう!狙撃手さん黙っててって言ったのに!」
ハーピー「えええええ……まじっすか……」
観測手「ごめんね、ハーピーちゃん、折角機会作ってくれたのに……」
ハーピー「……ありえないっすわあ、この人間ありえないっすわあ……」
観測手「ご、ごめんってば……」
ギィィィィィィィィィィィィィ
狙撃手「……あ、城門が開く」

30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/08(日) 06:59:01.94 ID:SY3twoiK0
ハーピー「ああ、そう言えばまた獣人兵団が出撃するらしいっすよ」
狙撃兵「……また?」
ハーピー「ほんと、意味が判んないっすよねぇ、北の動き」
観測手「……」
ハーピー「おーっと、観測手さん、ほら見てください団長さんいますよ」
観測手「え、ああ、そうですね、今日もいらっしゃいますね」
ハーピー「……あれ、何か反応が淡白になってないっすか?」
観測手「そ、そんな事ないですよ、い、いやあ、今日も可愛いなあ団長さん」
ハーピー「なーんか変っすねえ……」
狙撃手「……まあ昨日の今日だしね、気恥ずかしさがあるんだと……」
観測手「9時方向、距離400、高度60」
狙撃手「……確認」
観測手「撃って下さい」
ズドンッ

31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/08(日) 07:07:14.89 ID:SY3twoiK0
ハーピー「うわあっ!び、びっくりした……突然撃つのやめて欲しいっす……」
観測手「着弾確認、地面に落ちました」
狙撃手「……今のって」
観測手「すみません、ハーピーさん、あれ拾って来てもらえます?」
ハーピー「いいっすけど……うう、耳がキーンとする……」バッサバッサ
ハーピー「拾ってきたッすけど、これただの鳥っすよ?」バッサバッサ
狙撃手「……うん、やっぱり鳥だね」
観測手「……」
ハーピー「けど、何か臭いっすね、この鳥」
観測手「腐敗がもう始まってますね」
狙撃手「……今撃ち落としたばかりなのに?」
観測手「……」

32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/08(日) 07:14:22.64 ID:SY3twoiK0
カキカキカキ
観測手「ハーピーさん」
ハーピー「はいっす」
観測手「この鳥を魔術兵団の団長さんに渡して来てください」
観測手「あとこの手紙も」
ハーピー「わ、判ったっす」
狙撃手「……腐敗の呪いか何かかな?」
観測手「それくらいなら……いいんですけど」
観測手「何か……良くない予感がします……」

33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/08(日) 07:26:42.49 ID:SY3twoiK0
〜数日後〜
〜櫓〜
観測手「14時方向、距離350、高度0」
狙撃手「確認」
観測手「誤差調整、右に0.5、撃て」
ドシュッ
観測手「10時方向、距離400、高度35、2体」
狙撃手「確認」
観測手「誤差調整、右に0.3、撃て」
ドシュッ
ドシュッ
観測手「着弾確認」
狙撃手「……猫と鳥だったね」
観測手「はい……」
狙撃手「……アレも前のと同じなのかな」
観測手「動きが……おかしかったですから……」

34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/08(日) 07:32:44.34 ID:SY3twoiK0
狙撃手「……あの小動物達は、何なのかな」
狙撃手「……ここ数日、森からフラフラと出てくる」
狙撃手「……確認してみると、身体が腐敗している」
狙撃手「……骨が露出しているヤツもいた」
狙撃手「……奇病が森の中に蔓延しているとか?」
観測手「12時方向、距離500、高度0」
狙撃手「……確認」
観測手「あれは……」
狙撃手「……あれは、うちの獣人兵団?」
観測手「けど、けど変です、あんなに少ないなんて……」
開門!開門!
早くあけてくれ!
観測手「……」
狙撃手「……観測手?」
観測手「……血の、匂いが」

35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/08(日) 07:46:40.37 ID:SY3twoiK0
「わ、私達獣人兵団は小隊ごとに分かれて森林地帯を進んでいました」
「何時もと同じだと、思ったんです」
「森林地帯を進む敵に奇襲を仕掛けて戦線をかき回す」
「陣形を崩して敵を孤立させ撃破する」
「何時もと同じようにそうしたんです」
「けど、けど、森が何時もと様子が違っていて」
「こ、声が、声が聞こえてきたんです、森から」
「違います、森の奥からじゃありません、森のそこらじゅうから」
「悲鳴が、うめき声が、這いずる音が」
「あれは、あいつらは帝国の鎧を着ていました、けれど、けれど」
「ああ、そうです、あいつらは、あいつらは、もう死んで」
「死んでたんです、だって首が半分千切れかけて」
「生きているはずがない、そう、私達が今まで殺した、殺してきた」
「殺したはずの帝国兵が、森の中に置き去りにされた死体が、死体が動いて」
「私達はあいつらに囲まれて、切り裂いても殴っても立ちあがってきて」
「ひ、ひひひ、何体も、何十体も、何百体も、何千体も、あいつらが、あいつらが」