Part2
22 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2014/02/21(金) 16:05:26 ID:
fzwNRwhc
***
男「はぁ……結局行けなくてさ」
友「おいおい……流石にひどいな」
友「一回ガツンと言った方がいいかもしれないな」
男「うーん、それはちょっとできないかなあ」
友「シスコン」
男「ははは……」
男「あ、そうそうこれこれ。死守した本」スッ
友「おう、どうだった?」
男「女だとばかり思っていたけど実は男だったってわかったときなんて……も
う絶望すら覚えたね」
友「ああ、でもちゃんと読み返してみたらちゃんと男なんだよな」
男「今度は別の貸してよ」
友「いいぜー」
23 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2014/02/21(金) 16:15:15 ID:
fzwNRwhc
***
数週間後
ホテル
男「さて……今日は遠くの山だったけど頂上は気持ちよかったなあ」
男「車飛ばしてまで来た価値はあったよ」
男「この前の山に登ろうと思ったのに、『マナーの悪い人が増えたため登山禁止』になってたし」
男「あの時登れてたらなあ……」
24 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2014/02/21(金) 16:16:11 ID:
fzwNRwhc
男「……今日は早く寝て明日はお土産買って帰ろう」
prrrr
男「あれ……?」
男「また妹ちゃんか……嫌な予感しかしない」
男「…………はい」
妹「……あの」
男「うん」
妹「ケガしたから、病院に連れて行ってほしいの」
男「……っ!?」
男「大丈夫!?すぐいくから、どこ?」
妹「家……階段から落ちちゃって」
男「母さんは!?」
妹「遊びに行ってる……」
男「わかった、すぐに行くから!じっとしてて!」
男「でもお母さんには電話して!あ、あと本当にだめだと思ったら救急車呼んで!」
25 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2014/02/21(金) 16:17:04 ID:
fzwNRwhc
***
男「大丈夫!?どこ?」
妹「足……ここ」
男「青くなってる……!」
妹「ちょっと痛い」
男「車に乗せるから……その」
妹「何?」
男「触ってもいい?」
妹「ああ……うん」
26 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2014/02/21(金) 16:19:12 ID:
fzwNRwhc
***
数か月後
男「妹ちゃん、治って良かった」
友「おお、そっかそっかもうそんな時期か」
男「何故か入院をかたくなに拒んで困ったよ」
友「なんか勉強のことになるとやたらと妹ちゃんは譲らないよなあ」
男「うん……入院すればひと月程度で治ったと思うんだけど」
友「俺が高校の時は何とかして学校休みたがったもんだがね」
27 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2014/02/21(金) 16:19:52 ID:
fzwNRwhc
***
男「ただいまー……ってあれ?」
男「……誰もいない」
男「おなかすいたー」
男「?」
男「1人分の食材はあるのか、ふむふむ、今日はカレーだね」
男「よーし、そんじゃまあ自分で作るかなあっと」
28 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2014/02/21(金) 16:21:13 ID:
fzwNRwhc
***
男「あとはルー入れるだけだなー」
妹「……」ガチャ
男「あ、おかえりなさい、妹ちゃん」
妹「……っ!」
男「何?」
妹「……」ガサゴソ
男「え?それって部活の絵具だよね?それをどうするつも……」
妹「……」ポチャン
男「あああああ!!!なんでカレーに入れてんの!?!?!」
29 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2014/02/21(金) 16:22:30 ID:
fzwNRwhc
妹「お……お…お前のカレーなんか食べないから!!」ザッパア
妹「……」タッタッタ
男「…………え」
男「これ僕の……」
男「とどめにカレー全部捨てられてしまった……」
男「………………」
男「今日はもう寝よう………………」
男「はあ…………」
30 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2014/02/21(金) 20:12:54 ID:3eszq7bk
面白い
期待
男「妹は殺人罪で刑務所にいるよ」女「えっ」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1393031880/
2 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2014/02/22(土) 10:18:45 ID:
rKNUGvRM
***
友「おつかれー!」
男「うん、そんじゃみんなまたねー!」
男「あちゃー、結構時間立ってるよ」
男「飲み会はついつい遊んじゃうから困るねー……」
男「家に連絡入れたかったけど携帯の充電が切れちゃって困ったな」
男「まあ急いで帰ればいいかな……」
3 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2014/02/22(土) 10:19:59 ID:
rKNUGvRM
***
まだ人のにぎわう最寄駅に着いた時、
なんだか最近開発の進んでいる駅前を歩いている時、
ギリギリ最後のバスに乗った時、独りで降りた時、
静かで冷たい地元の夜道を歩いている時、
僕は何か嫌な予感を感じていた。
鍵を閉め忘れたかもしれない、とかガス栓忘れたかも、とか。
そんなときの心境に似ていた。
運悪く携帯の充電が切れていたなんてことはよくあるし、
今までだって家に帰るのが少しくらい遅くなるなんてことはあったけど。
でも、それとは別の何か……シックスセンスなんてモノがあるとすればこういうのを言うのかもしれない。
その違和感は、坂道の途中にある少し大きな自分の家の近くまで来た頃に、確信へと変わることとなる。
4 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2014/02/22(土) 10:20:46 ID:
rKNUGvRM
男「…………なんだこれ……」
家の周りには3台のパトカーが付けられ、人だかりができていた。
深夜の11時だ。
普通、パトカーが来ていてもこんな寒い日には面倒くさがって野次馬なんてしようとも思わない人が多いだろうに。
しかもそれが自分の家の目の前にあるのだから、不安に駆られるわけで。
男「……あ、あの」
警察A「はい?」
男「こ、この家の者なんですが……」
警察A「本当ですか!?ちょっと逃げないで待ってくださいね」
警察A「お兄さん見つかりました!」
警察B「本当か!?よし、すぐに連れていけ!」
男「あの、何があったんですか!」
警察B「何も知らないんだな……」
警察A「……ひとまず署に行こうね」
***
5 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2014/02/22(土) 10:21:53 ID:
rKNUGvRM
***
男「………………」
警察C「もう一度言おうか」
警察C「妹さんが、君のお母さんを……殺害した」
6 :
◆HVzqEIcQBs:2014/02/22(土) 10:23:20 ID:
rKNUGvRM
男「……………………」
男「……いや、いやいや……いくらなんでも……」
警察C「今は信じられないと思うけど……本当なんだ」
警察C「だから、色々聞かせてほしい」
男「…………はぁ……」
男「(いくらなんでも、妹ちゃんが人を殺すなんて……)」
男「(わからない、何が起こってるのか、わからない……)」
男「い、妹に会わせてください」
警察C「……うむ、……今は厳しいんだが……いいでしょう」
7 :
◆HVzqEIcQBs:2014/02/22(土) 10:24:02 ID:
rKNUGvRM
***
男「……」
妹「……」
男「……妹ちゃん」
・・・・・
妹「…………お兄ちゃん」
男「……?」
9 :
◆HVzqEIcQBs:2014/02/22(土) 10:26:06 ID:
rKNUGvRM
>>7 なんかミスってる恥ずかしい
8 :
◆HVzqEIcQBs:2014/02/22(土) 10:24:53 ID:
rKNUGvRM
妹「本当は兄さんを殺すつもりだったんだけどね」
男「!」
妹「…………」
妹「兄さんを殺そうとしているのがお母さんにバレちゃったからさあ」
男「そんなっ……!」
妹「あ、あとで警察の人に見せてもらうと思うけど、毒とか入ってた瓶をお兄ちゃんの机に入れて、自殺に見せかけて殺そうとかもしてたの」
男「嘘……だ……」
妹「お母さんがいる時間、もっと念入りにチェックすればよかったわあ」
男「…………ッ」ダッ
妹「…………」
10 :
◆HVzqEIcQBs:2014/02/22(土) 10:27:51 ID:
rKNUGvRM
***
****
*****
女「そんなことが……」
女「じゃあ、その瓶はその時の」
男「後からわかったことなんだけど、僕には変な保険がいっぱいかけられてたらしくて」
男「僕を殺して保険金を全部自分のものにしようとしたんじゃないかな……」
女「……」
11 :
◆HVzqEIcQBs:2014/02/22(土) 10:28:48 ID:
rKNUGvRM
男「今まで大好きだった妹が、突然僕を殺そうとするなんてさ」
男「そんなの聞いたら女の人を信じるのも難しくなっちゃって」
女「私は……」
女「私は、それでもあなたが好きです」
女「男さんの家族のことは気にしてない……から」
男「……そっか、ありがとう」
12 :
◆HVzqEIcQBs:2014/02/22(土) 10:29:29 ID:
rKNUGvRM
***
10年前
母「いいわね?妹ちゃん」
妹「うん」
母「あなた学費のためなのよ」
妹「(私、お兄ちゃんが死んじゃうくらいなら学校なんか行かなくていいよ)」
妹「わかってる……」
13 :
◆HVzqEIcQBs:2014/02/22(土) 10:31:21 ID:
rKNUGvRM
母「とにかく、あなたは電車でこの荷物を男の上の棚に乗せるだけでいいから」
母「荷物の配置的に絶対上に置いたら落ちるようになってるわ」
母「あ、たまに忘れてるみたいだけど男には冷たく接すのよ」
妹「うん……」
14 :
◆HVzqEIcQBs:2014/02/22(土) 10:31:53 ID:
rKNUGvRM
***
妹「(これで、障害保健が下りるから……って……そんな)」
妹「(……やっぱりお兄ちゃんを傷つけるなんてできない……)」
妹「ねえ」
男「荷物、持とうか!」
妹「そうじゃなくて」
男「あ、あ……あー……うん」
妹「同じ空間にいると気持ち悪くなるから私より後の電車に乗って」
妹「(ごめん、お兄ちゃん……)」
15 :
◆HVzqEIcQBs:2014/02/22(土) 10:38:34 ID:
rKNUGvRM
***
男「ただいま!」
母「っ!」
母「(平然と帰ってきた……!?)」
妹「…………(これでいい……)」
16 :
◆HVzqEIcQBs:2014/02/22(土) 10:39:09 ID:
rKNUGvRM
***
妹「何?」
母「あのね、悪いんだけどこの瓶を男の引き出しの奥の方に入れるのを頼みたいのよ」
妹「なんで?」
母「それに睡眠薬入れてるから、机に大事そうに入ってたら何かで死んでも警察は自殺だと思うでしょ」
妹「!!!」
妹「そ、それ……て」
母「うん……そろそろあの人の遺産も残り少なくなってきたからねえ」
母「殺そうと思うのよね」