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妹「お兄ちゃん、私のご飯ちょっとあげる♪」
Part5


68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/08(金) 00:16:26.07 ID:n5BjxINq0
兄「…いらないのか?」
妹「いらないから…!!だから、行っちゃやだ…警察行っちゃいやだ…!」ぽろぽろ
兄「…」
妹「言ったのに…なんにもいらないから、ずっと一緒に居てねって言ったのにぃ…!」ぽろぽろ
兄「…ごめんな」
妹「言ったのに…!」
兄「……」ふら…
どさっ…
妹「お兄ちゃん…?」

81:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/08(金) 00:22:11.32 ID:n5BjxINq0
妹「お兄ちゃん!」
兄「…ごめんな、妹。ごめんな…」ぽろぽろ
妹「なんで…お兄ちゃん頑張って働いてくれたのに…」
兄「……なんで…だろうな?俺にもわかんない…」
妹「警察行っちゃやだ…いやだぁ…!」ぽろぽろ
兄「もう、泣かないでくれ…俺が悪かった。ごめんな」
妹「お兄ちゃん、どこ見てるの…?ねぇ!」
兄「う…うぅ…」ぽろぽろ
妹「お医者さん!おねがい、お兄ちゃんも…お兄ちゃんも助けてあげて!」
医者「……警察が来るまでの点滴くらいしかできんが…」

90:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/08(金) 00:26:49.16 ID:n5BjxINq0
妹「いいから…お願いだから、お兄ちゃんも…」
兄「……う、う…うぐ…うぅぅ…!!」ぽろぽろ
ガチャ…
妹「!」
兄「あ……」
警官「○○警察です。…通報された少年は、この子で間違いありませんか」
医者「…そうです」
警官「…君は、先日の窃盗の子か…」
兄「う、う…!」ぽろぽろ

97:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/08(金) 00:30:04.44 ID:n5BjxINq0
警官「近くのコンビニの強盗も、君か…」
妹「え…?」
警官「…細身で、やつれた高校生くらいの少年」
警官「服装は古くて破れたジャンパーにジーンズ。間違いなさそうだな」
妹「ごうとう…?」
警官「…今回は、取り返しの付かないことをしてしまったな」
妹「お兄ちゃん…?」

117:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/08(金) 00:35:20.60 ID:n5BjxINq0
警官「行こうか。自分で立てるか…?」
兄「う…うわぁぁ…!!」ぽろぽろ
兄「ごめんなさい……ごめんなさい…!!」ぽろぽろ
兄「うわぁぁん…!!」
警官「…行くぞ」
妹「待って!警察さん!」
警察「君が妹か…」
妹「お兄ちゃんを許してあげて…!おねがい…!」
妹「お兄ちゃんもうこんな事しないから…!私のせいなの…!」
妹「もう、どこにも連れて行かないで…」
警察「…行くぞ」
兄「…」
妹「待ってよ!待ってぇ…!」

126:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/08(金) 00:38:33.77 ID:n5BjxINq0
兄「…う…じ、自分で立てます……」
妹「お兄ちゃん……!!行かないでよ…」
兄「妹…」
妹「約束したもんね?一緒に居るって約束したもんね?」
兄「…ごめんな」
妹「いやだ…いやだぁ…」
兄「……行きます。すいません…」
警官「ふらついているな…大丈夫か?」
兄「…はい」

132:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/08(金) 00:42:16.05 ID:n5BjxINq0
ガチャ…
妹「うわぁあああん!!お兄ちゃん!!待ってぇ!!」ぽろぽろ
兄「妹…」
妹「うぇぇぇん!!」ぽろぽろ
兄「今までありがとう…こんなバカな兄貴でごめんな」
妹「……!」
兄「…元気でな」
妹「お兄ちゃん…!!」
バタン…

142: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/08(金) 00:47:49.53 ID:n5BjxINq0
【数日後・ニュース番組】
「先日、○○市の少年(15)がコンビニに強盗に入るという事件が起こりました」
「通報内容は『虚ろな目をした少年が鉄パイプを持って強盗に入った』ということです」
「後日取調べで、別の事件との関与も認めています」
「路中にて30代の男性から財布を盗み、危害を加え逃亡」
「その他にも、数週間以内における万引き・窃盗が数件」
「さらに関与している事件がないか、詳しく聴取する方針です」




162: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/08(金) 00:55:28.68 ID:n5BjxINq0
【ワイドショー】
司会者「しかし、この事件どう思います…?」
ゲスト「怖いですねぇー。相次ぐ若者の犯罪」
司会者「強盗ですよ、強盗?まともな精神状態とは思えませんね」
ゲスト「ですねぇ。しかし、この少年は妹と二人暮らしだったみたいですね」
司会者「はぁ…」
ゲスト「しかも妹は栄養失調。いったいどんな状況だったんでしょうねぇ…」
司会者「…しかしまぁ…一般市民に危害を加えてしまっていますからねぇ」
プツン
ーーーーーーーーーーーーーーーー
妹「…」

170:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/08(金) 01:00:19.75 ID:n5BjxINq0
看護士「○○ちゃん。ご飯の時間ですよ」
妹「あ、はぁい」
看護士「またテレビ?…最近、ずっとあの事ばっかりね」
妹「うん。ねぇお姉ちゃん。お兄ちゃん、いつ帰ってくるかな?」
看護士「…どうかしら。ちょっとわからないわ」
妹「寂しい…」
看護士「…そうね。今は待つしかできないけど、○○ちゃんは早く元気にならなくちゃ」
妹「うん。お兄ちゃんも、ちゃんとご飯食べれてるかなぁ」
看護士「きっと大丈夫よ。…○○ちゃんも、もうすぐ流動食もおしまいだからね」
妹「もうすぐ?もう普通のごはんになるの?」
看護士「ええ。だから、早く元気になりましょうね」
妹「うん!」

177:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/08(金) 01:05:12.35 ID:n5BjxINq0
妹「えへへ、お兄ちゃんが帰ってくる頃には歩けるようになりたいな…」
看護士「そうね。頑張らないとね、リハビリも」
妹「頑張る!今日も頑張ったよ!」
看護士「ふふ、見てたわよ。でも歩行練習まではしばらくかかりそうね」
妹「えー…早く治りたいのに」
看護士「まずは痛くなくなってから。まだ傷口も塞がってないんだから」
妹「うー。早く治して、お家に帰りたいなぁ」
看護士「お家?○○ちゃん、施設に入るんじゃなかったの?」
妹「んーん。やめたの」
看護士「まぁ、どうして?」
妹「だって…お兄ちゃんが帰ってきたとき、おうちがなかったらかわいそうでしょ?」ニコ

187:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/08(金) 01:11:01.01 ID:n5BjxINq0
看護士「お兄ちゃんが帰ってくるの、楽しみね」
妹「うん!」
看護士「帰ってきたら、何するの?なんて言ってあげる?」
妹「え?うーん…おかえり、かなぁ?」
看護士「そう。…うん、それがいいんじゃないかしら」
妹「えへへ。だよねぇ」
看護士「お兄ちゃんも、いい妹をもって幸せね」
妹「私も、お兄ちゃんがお兄ちゃんで幸せだよ」
看護士「ふふ…あなた達みたいに仲良しな兄妹も珍しいわね」
妹「うん!仲良しだよ!」
妹「だから、お兄ちゃんが帰ってくるまで、頑張って待つの!」
妹「もうわがまま言ってお兄ちゃんを困らせないように、大人になるんだよー」
看護士「そう。頑張らなきゃね」
妹「うん!」ニコ

197:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/08(金) 01:15:37.05 ID:n5BjxINq0
【数ヵ月後】
友達「なぁなぁ、お前の兄貴って強盗なんだろ?」
妹「えっ…?」
友達「犯罪者の妹だもんなー」
妹「違うもん!!」
友達「うわっ!ビックリした、急に怒鳴るなよ…!」
妹「それ、テレビ見て言ってるんでしょ?」
友達「そ、そうだけど…あと話聞いたりとか…」

201:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/08(金) 01:21:39.86 ID:n5BjxINq0
妹「お兄ちゃんは確かに間違ったことしたけど、優しい人なんだよ?」
友達「…」
妹「盗んじゃったのだって、私を病院に連れてってくれるために仕方なかったの…!」
友達「だ、だけど…だからって盗んでいいってことにはならないじゃん」
妹「だから、今ちゃんと罪を償ってるでしょ?」
友達「…う」
妹「きっとすごく反省してると思うよ。だから、もう二度としないと思う」
妹「でも、そのおかげで私は助かったんだよ?私、死ぬかも知れないっていわれたんだもん」
妹「そのお兄ちゃんを、そんな酷い言い方しないで」
友達「……うん。ごめん」
妹「えへへ…わかってくれたらいいの。ごめんね、怒鳴っちゃって」
友達「…俺こそ、酷いこと言ってごめん」
妹「いいよー。ほら、早く遊びにいこっ!」
友達「お、おう」
トテトテ

208:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/08(金) 01:26:51.00 ID:n5BjxINq0
【数年後】
兄「…今まで、ありがとうございました」
刑務官「これから、しっかり頑張りなさい」
兄「はい。反省する時間はたっぷりありましたから」
兄「もう、過ちは犯しません」
兄「それでは、失礼します」ペコ
すた…
すた…

219:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/08(金) 01:30:31.07 ID:n5BjxINq0
【病院】
ガー…
すたすた
すたすた
兄「○○先生はいらっしゃいますか?」
受付「はい、おりますが…。どちら様でしょうか?」
兄「昔お世話になったものです。少しお時間いただけないでしょうか?」
受付「少々お待ちください…あ、ちょうど今空いてますね。お呼びいたしますね」
兄「すみません。ありがとうございます」

224:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/08(金) 01:33:59.73 ID:n5BjxINq0
医者「君は…!」
兄「お久しぶりです、先生」
医者「そうか。もう釈放になったのかね」
兄「はい」
医者「ふむ……長かったな。今日は何の御用かな?」
兄「先生…」
医者「…」
兄「あの時、俺はきちんとお礼も言えないままだったので…」
兄「今日は改めて、お礼を言いにきました」
医者「!」
兄「先生。あの時、妹を助けていただいて…本当にありがとうございました」ペコ

228:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/08(金) 01:36:36.23 ID:n5BjxINq0
先生「…私を恨んでいないのかね」
兄「もちろんです。…あの時、先生のおかげで俺も妹も、救われましたから」
先生「変わったね、君は」
兄「はは、反省する時間はありましたから」
先生「それもそうだね。これから、しっかり頑張ってな…!」
兄「はい。ありがとうございます」
看護士「!」
兄「あ…」
看護士「○○ちゃんの、お兄ちゃん…?!」
兄「はい。妹がお世話になっております」

236:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/08(金) 01:40:25.18 ID:n5BjxINq0
看護士「そう…釈放されたのね」
兄「はい。妹の具合はどうですか…?」
看護士「ふふ、もうすっかり元気よ。今もリハビリには通ってるけどね」
兄「そうですか」
看護士「早くお兄ちゃんに会いたいって、毎日みたいに言ってるわよ」
兄「はは、本当ですか?」
看護士「そうよ。早く会いに行ってあげて?」
兄「あ、すいません。先生も、看護士さんも。ひとつお願いがあるんです」
看護士「?」
医者「なんだね?」
兄「今日、俺がここに来たことは…妹には内緒にしてもらえませんか?」

247:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/08(金) 01:44:05.60 ID:n5BjxINq0
看護士「え…?」
医者「なぜだね?いずれわかることだと思うが」
兄「ええ。実は、俺はもう妹に会うつもりはありません」
看護士「そんな!どうして…」
兄「俺も色々考えた末でのことなんです。だから、今日ここに来たことはどうか…」
看護士「ちょっと待ってよ…妹さんは、あなたに会うのを楽しみに今まで頑張ってきたのよ?」
看護士「リハビリだって、学校だって…ほかにも辛いことはたくさんあったわ」
看護士「それなのに会わないなんて…!」
兄「…あいつが、辛い目にあってるからこそなんです」

257:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/08(金) 01:49:30.35 ID:n5BjxINq0
兄「妹には、本当に色々苦労をかけてきました」
兄「…我慢してもらうこともたくさんあったし、挙句の果てには死なせてしまうところだった」
看護士「それはあなたが悪いんじゃないわよ…?」
兄「それでも…俺のせいで、あいつは今日まできっと差別や偏見に苦しんでたはずです」
看護士「!それは…」
兄「あいつは、犯罪者の妹として生きていかなくちゃいけない…俺はまだあいつに迷惑をかけ続けてるんです」
看護士「そのことで、あの子はすごく悩んでたわ。でも、それをあの子は…!」
看護士「お兄ちゃんはそんな人じゃない!って、ずっと言い続けて…乗り越えてきてるのに…」
兄「…だから、俺がひょっこり現れたら、あいつに迷惑かけちゃうから…もう会いません」
看護士「そんな…!!」
兄「俺はどっか地方で仕事を見つけて、もう一度やり直します」
兄「これ以上あいつの重荷になるわけにはいかないので…」

268:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/08(金) 01:54:50.48 ID:n5BjxINq0
兄「本当に、今までお世話になりました」
兄「これからも、妹をよろしくお願いします…」ペコ
看護士「…今日ね」
兄「?」
看護士「あの子の、高校の入学式なのよ」
兄「!そうなんですか」
看護士「…あなたが『高校に行け』って言ってくれたからって、あの子は言ってたの」
兄「そうですか…あいつが高校に…!はは、そうかぁ…」
兄「俺が味わえなかった青春を、目一杯楽しんでくれよ、妹…」
看護士「入学式くらい、見に行ってあげてくれない?会わなくてもいいから…」
兄「……どこの高校ですか?」
看護士「○○高校。あなたが行ってた学校と同じよ」
兄「そうですか。わかりました…ありがとうございます」

280:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/08(金) 02:00:38.97 ID:n5BjxINq0
【○○高校】
がやがや
兄「なつかしいなぁ…俺が入学したのはもう何年前だ…?」
兄「…妹、どこに居るんだろうな」
兄「こう多いと見つからないかもなぁ、さすがに…」
がやがや
先生『それでは式を始めます。新入生は体育館に集合してください』
兄「!」

286:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/08(金) 02:03:52.54 ID:n5BjxINq0



兄「…これは、見つからないかもな」
兄「…でもまぁ…妹が高校に入学したってわかっただけでも…」
兄「今日は来てよかった。妹、元気でな」
くるっ
先生『次に、新入生の挨拶。新入生代表、1年1組、○○さん』
妹「はい!」
兄「!」

302:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/08(金) 02:11:15.71 ID:n5BjxINq0
妹「よいしょ…ちょっとごめんね、前通してー」
ひょこっ ひょこっ
兄「妹…」
妹「新入生の挨拶。1年1組、○○!」
妹「桜も満開の入学日和!私達は、無事この日を迎えることができました」
妹「今日から私達は、○○高校の一年生となります!」
妹「いよいよ、私達の青春がスタートしました!」
妹「希望と、喜びで一杯です。不安な気持ちはありません!」

311:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/08(金) 02:16:18.80 ID:n5BjxINq0
妹「これから私達を待っているさまざまな出来事を思うと、本当に楽しみです」
妹「困難なこと、苦しいこともあるでしょうが、頑張って乗り越えて見せます!」
妹「わからないことばかりですが、先輩方、そして先生方、よろしくおねがいします!」
妹「そして…」
妹「私が今日、この日を迎えられたのは、ここまで育ててくれた家族のおかげです」
妹「残念ながら、ここに来ることはできませんでしたが…本当に、ありがとう」
妹「これから私が生きる青春を、ずっと見ていてください!」
妹「以上!新入生代表、○○!」ペコ

321:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/08(金) 02:23:12.16 ID:n5BjxINq0
パチパチパチパチ!!!
妹(お兄ちゃん、私、高校生になっちゃった)
妹(お兄ちゃんに聞いてもらいたかったなぁ…)
妹(えへへ、代表だよ、代表)
妹(…もし帰ってきたら、もう一回聞かせてあげよう。ふふ、泣いちゃったりして)
妹(早く帰ってきてね、お兄ちゃん)
妹「……」ぽろぽろ
兄「はは…なんだよその挨拶」
兄「なんで…お前が代表なんだ…?」
兄「……」じわ
兄「立派になったな…妹」
兄「…」ぽろぽろ

322:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/08(金) 02:24:04.79 ID:n5BjxINq0
ひょこ…ひょこ…
ひょこ…ひょこ…
すた… すた…
すた… すた…
【おわり】

336:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/08(金) 02:26:01.26 ID:n5BjxINq0
保守・支援thxでした。
長くなってしまい申し訳ありません。
妹SSは初めての試みでしたが、書いてて面白かったです。
最後まで読んでくれてありがとうございました。