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死神「あなたは3ヶ月後に死にます」男(長過ぎる)
Part2


23 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/06/15(日) 20:00:03 .sRUrBP.
男「俺は誰にも気にかけられたくないと思ってる」
男「誰にも気をかけられないためには当たり障りなく、目の前のことをこなして、過度に期待されず、失望されないようにするしかない」
男「しかしまあ俺は無能なんだな。他人から見て無能かどうかは知らないが、少なくとも俺は自分のことを無能だと思ってる」
男「だから期待には答えられないし、迷惑をかける」
男「結果として、心配されたり、他人の手を煩わせたりする」
男「だから俺は消えてなくなりたいんだ」
男「最初から産まれてこなかったことになりたい」
男「生きていてしたいことは、ただ誰の目にも留まらず、誰の迷惑にもならずいなくなること。眠っていること」
男「それだけなんだよな」

24 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/06/15(日) 20:01:09 .sRUrBP.
男「そう考えれば、俺が生きている必要なんて全くないから消えてしまいたいんだ」
男「現実には消えるなんてことができないから厄介なわけだが」
男「これまでは今まで言ったのと同じ理由で生きてきたんだ」
男「誰の目にも留まりたくないから、それとなく生きていた」
男「しかしもう限界だ。生きていようが生きていまいが誰かの目に留まる」
男「生きていれば今死ぬよりも長く誰かの目に留まる」
男「であれば、それらを天秤にかければ死んでしまえば良いとなる」
男「それが俺が死にたいと思った理由だな」
男「……」

25 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/06/15(日) 20:02:08 .sRUrBP.
男「…何か言えよ」
死神「まさかあなたが泣くとは思ってなかったです」
男「悪いか」
死神「本当は死にたくないからですか」
男「本当は消えたいからだ」
死神「身勝手ですね」
男「誰だって身勝手だろ」
死神「……そうですね」

26 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/06/15(日) 20:03:13 .sRUrBP.
死神「何か楽しいことをしませんか」
男「どうした薮から棒に」
死神「あなたが気の滅入る話をしてきたせいで雰囲気が重くなりました」
死神「責任を取って場を楽しく盛り上げてください」
男「あー…そりゃ悪かったな」
男「だがお前は不必要な干渉はできないのだろう? できてせいぜいお喋りくらいだろ」
死神「職務上してはいけないというだけの話です」
男「ルールを破ると?」

27 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/06/15(日) 20:03:53 .sRUrBP.
死神「今は勤務時間外です」
男(絶対に嘘だ)
死神「さー何をしますか?」
男(さらっと無視しやがった)
死神「人の好意は素直に受け取るものですよ?」
男「むしろお前が遊びたいだけに見えるんだがな」
死神「それはその通りです」
男「いちいちムカつく」

28 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/06/15(日) 20:04:32 .sRUrBP.
死神「で、楽しいことをしましょうよ」
男「勝手にしろ」
死神「一人でやってたら職務怠慢でしょう」
男「勤務時間外なんだろ」
死神「ぐ」
男「はぁ…」
男「この部屋にある遊べるものなんて64とGCくらいだぞ」
死神「じゃあスマブラしましょう」
男「64の電源付くかね…」

29 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/06/15(日) 20:05:21 .sRUrBP.
死神「あ、ちょっと待って、残機1しかないから…!」
男「ヘタクソすぎる」
死神「や、やったことないんだから仕方がないです」
男「スマブラの存在は知ってたくせに」
死神「対戦は飽きました」
男「勝てないからな」
死神「違います。人々は本来手を取り合うべきであって、争う必要などないからです」
男「はいはい」
死神「なので別のことをしましょう」
男「じゃあFFCCを2人でやるか」
男「正直死神のゲームスキルが低すぎてまともにゲーム進行できない気がするが」
死神「な、舐めてもらっては困ります!」
男「じゃあやるか」

30 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/06/15(日) 20:06:31 .sRUrBP.
男「1年目を終えるまでに何回死ぬんだろうな。このキャラバン」
死神「既プレイ者のあなたがしっかりとフォローしてくれないのが悪いです」
男「はいはい…」
男「まあ死ぬまで3ヶ月あるし、それまでにはクリアできるだろ」
死神「とりあえずゲームはやめましょう」
男「死神が下手すぎるもんな」
死神「だからそういうわけでは…って死神って呼んでる!?」
男「さっきも呼んだけどな」

31 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/06/15(日) 20:07:09 .sRUrBP.
死神「何か心境の変化でもあったんですか?」
男「ニヤニヤするな気持ち悪い。単に今は勤務時間外なのだからプライベートな付き合いをしてるだけだ」
死神「なんか卑猥で気持ち悪いです」
男「いちいちムカつく」
死神「その台詞好きですね」
男「お前相手でなければこんなことは言わない」
死神「愛の告白的な?」
男「されたいのか?」
死神「こんな甲斐性なし、まっぴらゴメンです」
男「ホントにムカつく」

32 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/06/15(日) 20:08:01 .sRUrBP.
死神「にしてもホントに何もしないんですね」
男「悪いかよ」
死神「別に良いですけど、色々と溜まったりしないんですか」
男「お前、人がいるところで俺にしろって言うのか」
死神「誰もそういう意味で言ったつもりはないんですが……」
男「んなっ?!」
死神「なんであなたが恥ずかしそうにしてるんですか、乙女ですか」
男「乙女はお前だろ!」
死神「ちょっと嬉しいです」
男「〜〜〜〜〜〜!!」
死神「ホントに可愛いチキンちゃんですよね」
男「全く嬉しくない」
死神「最近はそういうところも可愛いと思えるようになってきました」
男「いちいちムカつく」

33 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/06/15(日) 20:08:49 .sRUrBP.
死神「FFCCの続きをしましょう」
男「勤務時間外か」
死神「そうです」
男「不定期なんだな」
死神「煽ってるのか探ってるのか知りませんが、あまり無意味なことを言うと怒りますよ?」
男(勤務時間外なんて概念がそもそもないんではないかと思ってる)
死神「勤務時間外なのであなたの考えなんて分かりませんよ」
男「そういうことにしといてやるよ」

34 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/06/15(日) 20:09:22 .sRUrBP.
死神「ようやくミルラの雫を村に持って帰れます……」
男「お前がゲージを持ったまま自爆に巻き込まれるから無駄に死んだわ」
死神「これでクリアですか」
男「このゲームのクリアは瘴気の元を取っ払うことだったと思うが」
死神「…まだまだってことですか」
男「そうだな」

35 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/06/15(日) 20:10:21 .sRUrBP.
死神「あと2ヶ月ですね」
男「なにもしないで1ヶ月は長いな」
死神「FFCCやってたじゃないですか」
男「1ヶ月も経ったのにまだヴェオ・ル水門だけどな」
死神「わ、わりと順調じゃないですか?」
男「何度ティダの村を作ったか分からないわけだが」
死神「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
男「ティダの村がトラウマになってるな」
死神「自分を信じた人たちがあんな形で死ぬなんて耐えられないです…」
男「まあそうだな」

36 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/06/15(日) 20:11:12 .sRUrBP.
死神「どこかに出かけましょう」
男「唐突だな」
死神「あなたは人と関わらなさすぎです」
男「これから死ぬ人間が人と関わってどうということもないだろ」
死神「これまで死期を宣告した人たちはみんな必死に最期まで生きていました」
男「よそはよそ、うちはうちだ」
死神「それでもあなたは生きてるんですか」
男「だから死にたいって言ってるだろ」
死神「そんなに人を傷つけるのが怖いんですか」
男「まるで俺が過去に人を傷つけてきた悪い人間みたいな言い方やめろ」
死神「人の期待に答えられなくても良いじゃないですか」
男「社会の歯車なのにその役割を果たせないのが良いことなわけあるか」

37 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/06/15(日) 20:12:23 .sRUrBP.
死神「歯車である以前に一人の人間です」
男「人間じゃない奴に言われたかねーよ」
死神「わたしにだって感情はあるし、楽しいことをしたい、辛いことをしたくないって思いはあります」
男「なんでお前がムキになってるんだよ…」
死神「五体満足で、両親も健在で、収入も仕事を辞めさえしなければ人並み以上にあって、何がそんなに不満なんですか」
死神「楽しく生きるために必要なものは全部もってるじゃないですか」
死神「なのになんでそんなにもつまらなさそうにしているのか理解できません」

38 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/06/15(日) 20:13:19 .sRUrBP.
男「楽しく生きるために必要なものってたくさんあるとは思うけれど」
男「とりあえずお前が言ったのでは足りないわ」
死神「何が足りないんですか」
男「楽しみだとか期待だとか高揚感」
男「楽しいから生きていられるんじゃなくて、楽しみだから生きていられるんだ。きっと普通の人たちってのは」
男「俺はどこかでおかしくなってたんだろうなぁ。期待だとか楽しみだとかってのが肩すかしになるのが怖くて、期待することができないんだ」
男「だから何もしたくない」
男「だからいなくなりたい」
死神「そうですか」
男「納得したか?」
死神「しません」
男「そうかい」

39 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/06/15(日) 20:14:35 .sRUrBP.
死神「男さん」
男「なんだその呼び方」
死神「そろそろ新しい刺激が欲しい頃かと思いまして」
男「気持ち悪い」
死神「そんなことを言ってるから彼女も出来ないし童貞も卒業できないんです」
男「今は女と同棲してる」
死神「この1ヶ月であなた以外がこの部屋に来た記憶がないですが、その人はどこにいるんですか」
男「……」
死神「言っておきますが、わたしはあなたの恋人ではありません」
男「知ってるよ」
男「というか、俺の考え方を踏まえれば彼女がいなくて問題ないだろ」
死神「その考えに納得してないと言いましたよね」
男「だから俺の考えを変えようと?」
死神「そうです」

40 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/06/15(日) 20:15:53 .sRUrBP.
男「人が生きる希望を持って死ぬのを見るのが趣味なのか?」
死神「そんな悪い趣味は持ってません」
男「そうとしか思えない」
死神「ただ死んだように生きる人が嫌いなんです」
男「なら俺を嫌いになればいいだけだろ」
死神「見ないふりも嫌です」
男「生きづらい性格だな」
死神「自由人なんです」
男「人じゃねーだろ」
死神「で改めまして、男さん」
男「スルーか」
死神「デートしましょう」
男「死に際に花を添えてやろうと?」
死神「ホントに卑屈ですね」
男「お褒め頂きどうも」

41 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/06/15(日) 20:16:59 .sRUrBP.
死神「でもまあそうですね。実際にそう考えてもらって構わないです」
死神「わたしはあなたが生きていて良かったと思いながら死ぬことを望みます」
死神「死んでいく人には須らくそう思ってもらいたいのです」
男「エゴだよな?」
死神「エゴです」
男「分かってるんだな」
死神「あなたと違って大人ですから」
男(どの口が)
死神「そういう考えが子供なんです」
男「泣きそうな顔して言われてもなぁ」
死神「完全に泣いたあなたよりマシです」
男「悪かったよ。俺が子供だった」