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侍「道に迷ったらエルフに捕まっちまってござる」
Part4


92 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/08(木) 20:10:09 ID:WIeFTiFI
将軍「どうやら、そなたらにとって真の敵は我らでは無さそうだな」
侍「そうみたいだな。あんた達の話を信じるのならば、だが」
将軍「それを判断するのはそなたらだ」フッ
侍「違いない」フッ
エルフ「男二人でシンパシってる場合じゃありませんわよ!」
侍「変な言葉創るなよ」
将軍「では、今度こそ我らは行くぞ」
侍「ん、ああ。機会があれば、本格的に手合わせ願いたい」
将軍「望むところよ。そなたほどの騎士、最近はとんと見ないでな」
侍「違う」
将軍「む?」
侍「俺は騎士じゃない。武士だ」

93 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/08(木) 20:11:36 ID:WIeFTiFI
数分後
侍「行ったな」
エルフ「…………」
侍「で。お前はどうするんだ?」
エルフ「決まっていますわ。戻って、事の真相を確かめます」
侍「……そう言うと思ったよ」
エルフ「何か問題でも?」
侍「いや。俺が口出し出来る問題でもない。お前がそう決めたのなら従うさ」
エルフ「べ、別にあなたまで危険な橋を渡る必要は」
侍「危険だって自覚してるんじゃないか。なら、護衛は必要だろ」
エルフ「自分の身くらい自分で守れます」
侍「へたしたら騎士団全員を敵に回すことになるぞ」
エルフ「そんなの……慣れっこですわ」
侍「素直じゃないな」

94 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/08(木) 20:12:44 ID:WIeFTiFI
エルフ「と、とにかく、わたくしはもう行きますーーわ……」フラッ ドサッ
エルフ「っ……」
侍「無理するな。さっきのダメージがまだ残ってるだろ」
エルフ「こ、このくらい何でもーー痛っ!」
侍「まったく。よっーーと」ヒョイ
エルフ「!? なっなっなっ……!?!」カァッ
侍「おー。思ったより軽い」
エルフ「ど、どういう意味ですの! ていうか降ろしなさい恥ずかしい!」ジタバタッ
侍「ばか、暴れるな」
エルフ「ば、ばかとは何ですばかとはーー」ビキッ
エルフ「ーーーーつぅ〜〜〜〜!」ナミダメ
侍「言わんこっちゃない。おとなしくしてろ」

95 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/08(木) 20:13:42 ID:WIeFTiFI
ザッ ザッ
侍「どうだ。少しは楽になったか?」
エルフ「え、ええ……まあ……」
エルフ(どうしよう……まともに彼の顔が見られない……)
エルフ「……」チラッ
侍「ん?」
エルフ「い、いいいいえ何でも!」ブンブンブンッ
侍「?」
エルフ(うう……何でこんな……)
ーー一番いい女だというのは認めるーー
エルフ「」ボンッ!
侍「うおっ! 湯気!?」

96 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/08(木) 20:15:03 ID:WIeFTiFI
エルフ(も、もとはと言えば、この人があんなこと言うから!)
エルフ(…………)
エルフ(でも……)
エルフ(嬉しかったな……)
エルフ(それに、この人の腕と胸)
エルフ(温かい……)

97 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/08(木) 20:16:22 ID:WIeFTiFI
エルフ「……ん……」
侍「起きたか?」
エルフ「ーーって、え? あれ、ここは……夜?」
侍「覚えてないのか? 途中で寝ちまったんだよ」
エルフ「ど、どのくらい」
侍「星空見ればわかるだろ」
エルフ「う……」
エルフ(ね、寝顔見られた……///)

98 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/08(木) 20:17:04 ID:WIeFTiFI
エルフ「こ、ここはどこですの? 見たところ森の中みたいですけど」
侍「エルフ軍本陣近くの森だ。さすがに眠ったお前抱えて行くのもどうかと思ってな」
エルフ「そう……」
侍「それに」
エルフ「え?」
侍「……いや、何でもない」
ーーあいつ死んだんだって?
ーー確認はしてないけど。あいつのせいで仲間がたくさん……。死んで当然よ!
  
侍(あんな場面、こいつに教えても仕方がない)

99 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/08(木) 20:19:10 ID:WIeFTiFI
」侍「さて」
エルフ「ちょっと」
侍「何だ?」
エルフ「何で木の陰に隠れながらコソコソと近づいていくんですの?」
侍「どこに敵がいるのかわからないんだから仕方ないだろ」
エルフ「敵って……ここは」
侍「味方の陣か?」
エルフ「……」

100 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/08(木) 20:20:15 ID:WIeFTiFI
侍「悪い。今のは意地悪だった」
エルフ「いえ……」
侍「で、お偉いさんがふんぞり返ってるテントはどれだ?」
エルフ「中央の一番大きなテントですわ」
侍「あれか。少し距離があるな」
エルフ「ええ。ただ、距離よりも問題なのは」
侍「あの二人の見張りか? 妙に重装備だな」
エルフ「王室親衛隊ですわ」
侍「親衛隊? じゃああの中には」
エルフ「おそらく、陛下がいらっしゃるはず」

101 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/08(木) 20:21:11 ID:WIeFTiFI
エルフ「事の真相を確かめるには、これ以上ない方ですわ」
侍「しかし、いきなり押しかけても話なんか聞いてくれないだろ」
エルフ「それは、確かに……」
侍「どっちにしろ、あの見張りをどうにかしないとな」
エルフ「一人を遠くにおびき寄せて、その間にもう一人を黙らせれば」
侍「だが、親衛隊以外の歩哨もいるだろ」
エルフ「そいつらは見つかっても問題ありませんわ」
エルフ「別に敵軍というわけでなし、元々わたくしに好んで近寄る者はおりません」
侍(開き直ったな)
エルフ「問題があるとすれば、親衛隊を黙らせる瞬間を見られた場合だけです」
侍「ついでに言えば、気絶した親衛隊を見つけられた場合もだな」

102 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/08(木) 20:22:26 ID:WIeFTiFI
侍「そういえば、誘き寄せるのを精霊に頼むことは出来ないのか?」
エルフ「無理ですわ。会話が出来るといっても、常時無制限に、というわけではありません」
エルフ「彼らの機嫌がいいときか、精霊の方から伝えたいことがあって語りかけてきたときだけですの」
侍「不便だな」
エルフ「精霊はシャイなんだから仕方ありませんわ」
侍「いや知らんよ。しかし、だとすればどうする」
エルフ「そうですわね……。ひとまず、もう少し時間を置きましょう」
侍「見張り以外が眠りにつくまで待つのか」
エルフ「ええ。その方が動きやすいでしょ?」
侍「そうだな。王も一人になって話しやすいだろう」
エルフ「では、ひとまずさっきの場所まで戻りますわよ。見つかっても面倒ですし」

103 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/08(木) 20:23:28 ID:WIeFTiFI
森の中
パチッパチッパチッ
侍「体はもう大丈夫か?」
エルフ「ええ。もう痛みはほとんどありませんわ。ただ」
侍「どうした?」
エルフ「あ、いえ。そんな真剣になることでは。その……」
エルフ「ちょっと、汚れが気になるかなって……」
侍「汚れ? ああ、すっ転んでたもんな」
エルフ「もうちょっと言い方を考えてくださいませんこと!?」
侍「ははは。悪い」
エルフ「もう……」
侍「まだ時間はある。なんだったら、向こうで水浴びでもしてきたらどうだ」
エルフ「水浴びって、川でもあるんですの?」

104 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/08(木) 20:24:13 ID:WIeFTiFI
侍「ああ。お前が寝てる間に身を休める場所を探してたら見つけた」
エルフ「そう」
侍「軍の陣とは離れてるし、見つかる心配もないだろ」
エルフ「じゃ、じゃあ、ちょっとだけ」スクッ
侍「ああ。ゆっくりしてこい」
エルフ「その……覗いたらヒドイですわよ?」カァッ
侍「お、おう。わかってる」
エルフ「では、少しの間失礼しますわ」スタスタスタ
侍「……」
侍「それは卑怯だろ……」

105 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/08(木) 20:24:57 ID:WIeFTiFI
また書き溜め開始してきま

107 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/08(木) 20:57:26 ID:aSlFTUnA

頑張ってくれ

115 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/08(木) 23:39:48 ID:pPnToBB.
短いけど投下
川原
エルフ「ここですわね」キョロキョロ
エルフ「人影は無し、と」
エルフ(あまり待たせても悪いですし、手早く済ませましょう)ヌギヌギ
エルフ(……)キョロキョロ
エルフ(外で裸になるのって、人目が無くても恥ずかしいですわね)
エルフ(さて……)チャプン
エルフ(冷たっ!)ブルッ
チャプン ジャブジャブジャブ
エルフ「ふぅ……」
エルフ(冷たいけど、気持いい)

116 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/08(木) 23:41:03 ID:pPnToBB.

パチッパチッパチッ
侍「ふむ。キノコはもう焼けたか」
侍「あとは何か吸い物でも欲しいところだが……」
侍(水を汲むには、川にいかなきゃならん)
侍「……近くまで行って、戻るときに汲んでくるよう頼むか」

117 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/08(木) 23:42:09 ID:MhDwyOs6
面白い。C

118 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/08(木) 23:42:18 ID:pPnToBB.
川原
エルフ「……」ボーッ
エルフ(俺が肩入れするのは一人だけ……か)
ーー真に誇り高いと思える、後ろの女一人だけだ。
ーーこれまで会った女の中では、一番いい女だというのは認める。
エルフ「///」カァッ
エルフ(あの状況であのセリフは反則ですわよ!)
エルフ(ち、ちょっとだけ、その……クラッといきかけましたわ)
エルフ(……)
エルフ(……格好よかったのは認めますけど)

119 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/08(木) 23:44:13 ID:pPnToBB.
エルフ(格好いい、か)
エルフ(よくよく考えたら、自分より強い男に出会ったのは彼が初めてでしたわね)
エルフ(隣国の将軍もわたくしより強かったですけど)
エルフ(騎士団に入ってからというもの、稽古に打ち込んでばかりで腕前だけは上がっていって)
エルフ(それで剣術大会で優勝しても、拍手なんか無かった……)
エルフ(だから、余計に)
ーー真っ直ぐでひたむきで、理不尽な仕打ちにも決して負けない。
ーー絶対に腐らずへこたれない。真に誇り高いと思える、後ろの女一人だけだ。
エルフ(あの一言が、嬉しかった……)

120 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/08(木) 23:45:31 ID:pPnToBB.
エルフ(今まで誰からも認められなかったことを、全部……全部認めてもらえた気がして)ポロッ
エルフ(こんなに……こんなに嬉しくて……)ポロッポロッ
エルフ「なのに、何で……涙が、出て……!」ポロッ ポロッ
エルフ「うっ……くぅ……!」ボロ ボロ ボロ
侍「おーい、エルフー。いるかー?」
エルフ「!」
侍「? 返事が無いな……気配はあるのに」
ザバァッ
侍「お、上がったのか? 済まん、服着てからで構わないから、戻ってくる前に水……を……」
エルフ「……」ゼンラ
侍「」

121 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/08(木) 23:47:31 ID:pPnToBB.
侍「ーー!?!?」ハッ
侍「お、おま、バカ! 何で裸のまま!?」クルリッ
エルフ「〜〜〜〜!」ダキッ
侍「ちょっ!?」
エルフ「少しだけ!」
侍「?」
エルフ「少しだけでいいから……うぅ……このまま……ひっく……このままでいさせて……うぅ……!」
侍「……風邪引いても知らないからな」
エルフ「う……うああああ! ぐすっ……うああああああ!!」

122 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/08(木) 23:48:45 ID:pPnToBB.

エルフ「ーーくしゅん!」
侍「ほれみろ。あんな格好でぐずってるから」
エルフ「だ、だってさっきは……その、堪えきれなくて……」
侍「……泣いてすっきりするんだったらいくらでも泣け」
侍「他の連中はともかく、俺やお前の母君、それにメイドエルフの前くらいではな」
侍「二人とも、お前のことえらく心配してたからな」
エルフ「……うん」
侍(何か妙にしおらしくなったな)

123 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/08(木) 23:50:40 ID:pPnToBB.
今日は以上ですもうダメ眠い。

124 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/09(金) 00:01:28 ID:sSPtdfBs
一旦乙。おやすみ

129 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/09(金) 21:21:32 ID:qU7WtFlo
なんか予想以上に長くなりそうな予感。
エルフ実家
エルフメイド「ご主人様、お食事の用意が整いました」
エルフ母「そう……」
エルフメイド「今日はお粥にしてみたんですが、食欲はありますか?」
エルフ母「……そうね。せっかく作ってくれたのに、最近残してばかりだものね」
エルフメイド「それは大丈夫なのですが……お嬢様がご心配なのはわたしもよくわかります」
エルフメイド「ですが、それでご主人様がお体を悪くされては、お嬢様も安心してお帰りになれません」
エルフ母「……ええ。そうね。あの子が無事に帰ってきたとき、私が倒れていたら心配させた挙句叱られてしまうわね」
エルフメイド「その通りですよ! ですからたくさん食べて、お元気な体でお嬢様のお帰りを待ちましょう!」
エルフメイド「お侍様もお嬢様を助けに行ってくださいましたし、絶対ご無事ですから!」
エルフ母「ふふ。その通りね」

130 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/09(金) 21:23:01 ID:qU7WtFlo
エルフメイド「はい! あ、ところでご主人様」
エルフ母「なに?」
エルフメイド「お食事の前に、軽い運動をしたくなってしまったのですが、よろしいでしょうか?」
エルフ母「! ええ。許可します」
エルフメイド「ありがとうございます。それでは」チャキッ
エルフメイド「ーーはっ!」シュッ ドスッ
男声「がっ!?」ドサッ