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侍「道に迷ったらエルフに捕まっちまってござる」
Part14


483 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/20(日) 06:11:04 ID:EI9YR00U
エルフ兵「射て射てー! 人間共を残さず射ぬくのだ!」
侍「させん!」ザシュ
エルフ兵「ぎゃっ!」ドサッ
エルフ「エルフ族が森を焼くなど……恥を知りなさい!」ザンッ
エルフ兵「ぐあ!?」ドサッ
エルフ兵「くそ、まずあいつらを排除するんだ!」
メイドエルフ「それもさぜません!」ヒュヒュヒュヒュヒュンッ
ドスドスドスドスドス
エルフ兵「があああ!」
国王「今のうちだ! 順次離脱を!」

484 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/20(日) 06:12:06 ID:EI9YR00U
数時間後
国王「なんとか撤退は出来たが……いかんねこれは」
騎士「味方の被害、甚大です……」
将軍「よもや、エルフ族が火を放つとはな。完全に虚を衝かれたわ」
侍「どうする? まだ戦えるだけの戦力は残っているが、今の士気では戦闘継続は厳しいぞ」
将軍「森林ではなく平野部に進軍すれば、火計の心配は無くなるが」
メイドエルフ「そこで守りを固めて、増援を待った方がいいんじゃないですか?」
国王「戦力を整えるにはそれでいいけどね。ただ、首都に行くにはどうしても森を通らなければならないよ」
侍「そう言えば、確か周囲を森に囲まれていたな」
騎士「さすがにそんなところで火計を実行したら、首都にも被害が及ぶのでは?」
メイドエルフ「いえ、首都の端とは距離がありますので、敵にその心配は無いはずです」

485 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/20(日) 06:13:04 ID:EI9YR00U
将軍「森を通れば焼き討ち、軽装備にすれば遠くから弓矢で射抜かれる、か」
国王「ここに来て厄介なことになったもんだね、こりゃ」
エルフ「……」
侍「……どうした?」
エルフ「精霊が怒っていますの」
侍「精霊が?」
メイドエルフ「精霊は森に住んでますから。自分の家を焼かれたとあれば怒りもしますよね」
エルフ「待って。まだ何か教えてくれてる……そう」
将軍「何と言っておるのだ?」
エルフ「敵はこの機に乗じて、全戦力をこちらに向け出陣させたそうですわ」
メイドエルフ「すっごいたくさんいるそうです」
国王「一気に決着を着けにきたか」

486 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/20(日) 06:13:58 ID:EI9YR00U
騎士「まずいですよ。今の士気と戦力では、いくら重装部隊が主力とはいえ」
将軍「増援も到底間に合わんな」
国王「ふむ……」
侍「……」
国王「侍くん、何か考えでも?」
侍「そういうあんたにも、何か考えがあるんじゃないか?」
国王「そうだね。たぶん、君と同じことを考えていたよ」
メイドエルフ「同じこと、ですか?」
侍「全軍を出陣させたということは、今首都の守備は薄くなっているはずだ」
エルフ「確かに……まさか」
国王「そのまさかさ。本隊は平野部で敵軍を引き付けて、その隙に精鋭を秘密裏に首都に送り込む。狙うはもちろん、敵司令の首だ」

487 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/20(日) 06:14:48 ID:EI9YR00U
騎士「なるほど……。でも気付かれないようにするためには、少数じゃなければなりませんね」
国王「人選はもう済んでいるよ」
将軍「では、誰が乗り込みますかな」
国王「君と騎士くんは本隊に残って指揮を執ってもらう。君たちがいなくなったら、敵が怪しむだろうからね」
エルフ「と、いうことは」
国王「そ。乗り込むのは、侍くんと君、メイドちゃんと、それに僕の四人さ」

488 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/20(日) 06:15:43 ID:EI9YR00U
今回はここまでです。やっと終わりが見えてきた……。

490 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/20(日) 07:30:39 ID:Z5jbCZOI
ふぁいとでござる!

491 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/20(日) 17:56:45 ID:amuylMiM
ファイトー!

492 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/21(月) 00:52:09 ID:kpn/wMes
いっぱーつ!

494 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/24(木) 07:14:27 ID:Ntmj0kNU
翌日
騎士「来ました! 敵軍です!」
将軍「さすがに全軍となるとかなりの数よな。こちらの援軍は」
騎士「後詰めの部隊は合流していますが、本国からの援軍は到着までまだ時間がかかります」
将軍「だろうな。現状のまま戦うしかないか」
騎士「苦戦は必至ですね」
将軍「だが、やるしかない。それが我等の任務よ」
騎士「はっ!」
将軍「仮にも戦上手と讃えられるこの老将、これしきの差では怖じ気付かぬ」
将軍(とはいえ、末端の者たちにこの状況は厳しい。なるべく早めにお頼みしますぞ、陛下)

495 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/24(木) 07:15:45 ID:Ntmj0kNU
首都 王宮前
メイドエルフ「ーーこちらです」
侍「すごいな。まさかここまで誰にも見つからずに来られるとは」
メイドエルフ「まあ、元々兵士の巡回ルートは把握してましたしねー。加えて今は守備が手薄ですから」
国王「ここまで忍び込むくらいわけはない、か」
エルフ「ていうか、なんであなたが警備の巡回ルートなんか知っていますの?」
メイドエルフ「え? いやそれはまあ、メイドのたしなみと言いますか」
侍「今はそんなことはいいだろ。それよりも、ここからどうやって潜入するかだ」

496 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/24(木) 07:16:42 ID:Ntmj0kNU
エルフ「精霊からの情報では、司令は今もここにいるということですが」
国王「そいつは好都合。なら、本隊の被害が少ないうちにさっさと決めてしまおうか」
侍「さっさと、ね。何かいい手でもあるのか」
国王「ああ。正面から堂々と行けばいい」
エルフ「は?」
メイドエルフ「正面からって……」
国王「つまり、こういうことさ」スタスタスタスタ
メイドエルフ「ちょっ、ちょっと!?」
侍「本当に行きやがった……」

497 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/24(木) 07:17:47 ID:Ntmj0kNU
王宮 正門
門番A「ん? な、何故人間がここに!?」
国王「何故って、そりゃー決着を着けるために決まってるでしょ」
門番B「な……て、敵しゅーー」
国王「おーっと」ダッ ザシュッ
門番B「があ!!」ドサッ
門番A「な、はやーー」
国王「よっ」ピョン ザンッ
門番A「ぎゃあっ!」ドサッ
国王「ふう」キンッ
タタタタタタッ
メイドエルフ「は、はや……もう倒して」
侍「爪を隠していやがったな」

498 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/24(木) 07:18:48 ID:Ntmj0kNU
国王「いやー、一撃で倒せたのはこの剣のおかげだよ。軽くて扱い易く、切味もいい」
侍「あんたが扱うには少し小さくないか」
国王「ま、元々僕用に造らせたものじゃないからね」
メイドエルフ「え? じゃあ本来は誰用の剣なんです?」
エルフ「そんな話は後でいいですわ。今は……」
国王「だね」
侍「仕方ない。それじゃあ正面から堂々と乗り込むとしよう」
メイドエルフ「けど、どうします? この巨大な正門を突破するのは」
エルフ「この鉄扉、力押しだけでは到底破れませんわよ」

499 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/24(木) 07:20:29 ID:Ntmj0kNU
国王「ん、そうかい?」
侍「この程度ならなんとかなるだろ」
エルフ「なんとかって……」
侍「ーーふっ!」シャッ
国王「ほっ」ブンッ
ーーギン ギン
メイドエルフ「……あの?」
エルフ「一体何をーー」
ーーズズズ
エルフ「え……」
メイドエルフ「な……」
ズズズズズーーズゥゥゥンッ!
メイドエルフ「て、鉄扉を……」
エルフ「斬った!?」

500 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/24(木) 07:21:37 ID:Ntmj0kNU
国王「やっぱり君も出来たんだ。斬鉄」
侍「あんたもな。つくづくただ者じゃない」
国王「僕に言わせれば、君こそその若さでその腕前は末恐ろしく感じるよ」
メイドエルフ(あんな大技決めておいて、この会話の軽さですか)
エルフ(侍さんはともかく。悔しいけど、この人もあたしよりずっと強い)
エルフ兵「ーーな、正門が破られて!? て、敵襲! 敵襲ー!」
国王「おっと。のんびり話してる場合じゃなかったね」
侍「だな。先頭は俺が行く。道案内は頼むぞ、エルフ」
エルフ「わかりましたわ」
メイドエルフ「お嬢様の背中はわたしがお守りいたします」
国王「じゃ、殿は僕が引き受けようか」

501 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/24(木) 07:22:39 ID:Ntmj0kNU
エルフ兵「あそこだー! なんとしても討ち取れ! 王宮の中には絶対に入れるな!」
ワー!
エルフ「さすがに王宮にはそれなりに残ってましたわね」
侍「だがあの程度ならなんとかなるーー行くぞ!」ダッ
エルフ「ひとまず三階を目指しますわ!」ダッ
メイドエルフ「三階ですね! 援護はおまかせください!」ジャキン ダッ
国王「で、討ち漏らしは僕の役目と。若人が率先してくれると楽できていいね、うん」ダッ
エルフ兵隊長「なんとしてもここで食い止めろ! 囲んで押し潰せ!」
侍「そうは!」
エルフ「させません!」
ザン ザシュ ズバ ブシュ
エルフ兵たち「ぐわあああ!」

502 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/24(木) 07:23:37 ID:Ntmj0kNU
エルフ兵隊長「く、なんたる強さ……。ならば弓兵隊でーー」
メイドエルフ「お見通しです!」ヒュヒュヒュヒュヒュン
ドスドスドスドスドス
弓兵隊「ぐわっ!」
エルフ兵隊長「おのれたかが人間と混血とメイド如きに!」
国王「それが君の限界だよ」
エルフ兵隊長「!? いつの間にーー」
国王「じゃーね」ザシュッ
エルフ兵隊長「がはぁ!」ドサッ
エルフ兵「な、隊長が!?」
侍「隙が出来た! 一気に突破する!」
エルフ「このまま駆け抜けますわ!」
メイドエルフ「はい!」
国王「りょーかいりょーかい」

503 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/24(木) 07:24:39 ID:Ntmj0kNU
王宮 三階通路
エルフ「はあっ!」ザン
エルフ兵「ぐえっ!」ドサッ
エルフ「はぁ、はぁ、はぁ……ひとまず今ので最後みたいですわね」
侍「そのようだな。で、この後はどうするんだ?」
メイドエルフ「一階や二階と違って、真っ直ぐな一本道ですね」
エルフ「玉座の間に繋がる通路ですわ。そして玉座の間の奥に陛下の私室がありますの」
国王「ということは、今司令はそこにいる可能性が高いと」
エルフ「というよりいます。精霊が教えてくれてますので」

504 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/24(木) 07:25:38 ID:Ntmj0kNU
メイドエルフ「ならあともう一息ですね。このまま一気にーー」
侍「いきたい所だが、さすがにそうはさせたくないようだ」
エルフ「え?」
声「その通りです」
カツ カツ カツ
エルフ「目深に被ったフードの女……参謀ですわね」
参謀「私のことをご存知でしたか」
エルフ「普段からそんな格好をしていれば当然です」
参謀「それもそうですね。さておき」スッ
侍「ーー!」シャッ キン
エルフ「きゃっ!?」
メイドエルフ「今のは……!」
国王「投げナイフか。ここに来てメイドちゃんと被るとはね」
メイドエルフ(確かに戦闘スタイルは被ってますが……ちょっとわたしより速いかも)

505 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/24(木) 07:26:47 ID:Ntmj0kNU
参謀「ふむ。やはりこの程度の不意打ちは通用しませんね。それとも、そんなに彼女が大切ですか?」
侍「……たとえ狙われたのがこいつじゃなくとも同じ反応をしたさ」
参謀「でしょうね。ならば」ジャキンッ
メイドエルフ「!」
エルフ「なっ!」
参謀「全員同時でも、同じ反応が出来ますか?」
侍「……俺には無理だな」
参謀「意外と素直に認めましたね。ですがだからといってーー手加減はいたしません!」シュババババッ
メイドエルフ「ーーはっ!」シュババババッ
キンキンキンキンキン
参謀「ほう? 空中で全て……」
メイドエルフ「投げナイフが十八番なのはわたしも一緒です」ジャキン
参謀「ふふ」

506 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/24(木) 07:28:26 ID:Ntmj0kNU
メイドエルフ「……ここはわたしにお任せを。皆様は先にお行き下さい」
エルフ「先にって、あなた……」
メイドエルフ「時間がありません。早くしなければ、後方のお味方が危ないんですから」
侍「……行くぞ」
国王「こっちは大丈夫だから、君は後からゆっくり来るといいよ」
エルフ「……後でね」
メイドエルフ「ええ。後で」
タッ タッ タッ タッ……
メイドエルフ「……わざと行かせましたね?」
参謀「ええ。後から来たのがあなたではなく私だったら、三人の意気は十分にくじけるでしょう」

507 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/24(木) 07:28:50 ID:Ntmj0kNU
メイドエルフ「せこい考えです」
参謀「何とでも。せこかろうが何だろうが、私は負けるわけにはいきませんので」
メイドエルフ「それはこちらのセリフです」スッ
参謀(……目付きが変わった?)
メイドエルフ「お侍様が防いでくれたとはいえ、お嬢様が狙われたことは事実」
メイドエルフ「つまり、その時点でわたしの逆鱗に触れているんですよ、あなた」
参謀「だとしたらどうします?」
メイドエルフ「知れたこと。わたしの目の前でお嬢様を狙ったその罪ーー死んで償いやがりませ!」

508 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/24(木) 07:30:08 ID:Ntmj0kNU
今回はここまでです。

510 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/24(木) 08:03:02 ID:TxScwyps
>>508
お疲れ
続き待ってるぞ

517 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/26(土) 22:29:12 ID:o60g6hFU
参謀「罪、ですか。それを言うなら、あなたや彼女の方が今まさに国家反逆の罪に問われているのですがね」
メイドエルフ「ではお嬢様やお侍様に濡衣を着せた挙句、森を焼くという暴挙に出たあなたたちは、一体何の罪に問われているのです?」
参謀「……」
メイドエルフ「答えられませんか。それも当然ですよね」
参謀「どう答えても、あなたは納得されないでしょう?」
メイドエルフ「当たり前です」
参謀「ならば、余計な問答は無用です」
メイドエルフ「そうですか。ならばすぐにーー逝きなさい!」シュバババババッ
参謀「……」シュバババババッ
ーーキンキンキンキンキン
メイドエルフ「まだまだ!」ジャキジャキンッ
参謀「ふむ」ジャキジャキンッ
ヒュンヒュンヒュン キンキンキン

518 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/26(土) 22:30:07 ID:o60g6hFU
メイドエルフ「もっと!」ジャキジャキンッ
参謀「こちらも」ジャキジャキンッ
メイドエルフ(くっ! こっちは最初から全力で殺しにかかっているのに、向こうにはまだ余裕がある!)
メイドエルフ「はぁっ!」シュバババババッ
参謀「ふっ」シュバババババッ
ギンギンギンギンギン
参謀「……ふふ」
メイドエルフ(互いにに弾かれてはいるけれど今のは、わずかにこちらが圧された……)
メイドエルフ「ーーええい!」ジャキジャキンッ
参謀「……」ジャキジャキンッ