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侍「道に迷ったらエルフに捕まっちまってござる」
Part13


439 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/04(金) 21:02:33 ID:tBYukHLU
エルフ「……」
国王「でもまあ、それはそうか。君たちをずっと放っておいたのは事実だし」
エルフ「……わたくしとて、あなたの立場というものは理解しています。でも、だからといって」
国王「簡単には割り切れない、か」
エルフ「……」
国王「その点については何も言えない、というか言えた立場じゃないから好きに恨んでくれていい」
国王「ただ僕にも彼女にも、当時ではどうにもできない事情があったことだけは理解してほしい。言い訳にしかならないのはわかっているけどね」
エルフ「……」
国王「ま、納得しろとまでは言わないさ。言いたかったことはそれだけ。邪魔したね」

440 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/04(金) 21:03:35 ID:tBYukHLU
エルフ「……戦況はどうなんですの」
国王「幸い優勢さ。将軍ももちろんだが、侍くんも負けずに活躍してくれてるおかげでね」
エルフ「そう」
国王「そういうわけだから、ゆっくり自分の気持ちと向き合うといい」
エルフ「……」
国王「じゃ、また後で」バサッ
国王(侍くんが活躍してるってことを当然のように受け止めたか)
国王(……ま、彼なら申し分ないか。あの子らがどういう道を選ぼうともね)
国王「さておき、せっかく優勢なんだし……ここいらで因縁とケリをつけるのも悪くないかな」

441 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/04(金) 21:04:45 ID:tBYukHLU
砦 軍議室
将軍「攻勢に転ずる、と?」
国王「うん。向こうの中を直に見て解ったけど、白黒はっきりさせないともうこの戦は終わらない」
国王「前は牽制で十分かと思ったけど、甘かった。故にこちらも態度をはっきりさせよう」
侍「つまら、こちらからエルフの国の領土へ攻めこむと」
国王「そういうことさ」
騎士「しかし、何故侍殿がさも当然のようにこの場にいるのでしょう。別に異論は無いのですが」
将軍「客将とはいえ、十分な戦果を上げておるからな」
国王「そういうこと。君たちのおかげで戦術的勝利が積み重なったから、戦略的勝利を得るための決断も容易だったよ」

442 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/04(金) 21:05:58 ID:tBYukHLU
騎士「将軍と肩を並べて一騎当千を体現してましたからね」
侍「というより、エルフ族ってのはどうも白兵戦があまり得意じゃないように感じたが」
将軍「あの娘のような例外もおるがな。基本的に、エルフ族の主力は弓兵だ」
侍(あの娘、ね。知らないだけか、知っていてわざとそう言っているか)
国王「攻めるに当たって注意すべきはそこだ。侍くんが受けた毒矢のこともある。自然の民だけあって、地の利だけじゃなくそこらの知識も向こうが上をいく」
国王「もっとも、僕自身あの国を少し調べたから、地の利に関してはさほど心配はない。伏兵にだけ気を付ければいい」
国王「弓矢の方は、重装部隊を中心に編制して被害を抑えよう」
将軍「白兵戦はわしと小僧がおれば問題はなかろう」
侍(そう簡単にいけばいいがな)
国王「ま、大雑把にはそれでいいでしょ。細かいことは後で詰めるとして。ときに侍くん」
侍「ん?」
国王「あの子のことで一つ頼みがあるんだけど、いいかな」
侍「あいつのこと?」

443 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/04(金) 21:08:28 ID:tBYukHLU
毎度短くてすみませんが、今回はここまでです。
ゴールデンウィークフル出勤\(^^)/

444 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/04(金) 21:11:41 ID:xUT34HxI
さらに気になるところでえええええええええ

445 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/04(金) 21:56:44 ID:F2mw5RmA
仕事頑張ってください(^-^ゞ
待ってます

446 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/05(土) 00:41:07 ID:dvi/64kQ
なんという!アニメのような終わり方!
気になって仕方ないぞおおおおおおおおおおおお

447 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/05(土) 05:51:25 ID:..abJTHU
引っ張るのうまいなコノヤロウ!
CCC

448 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/09(水) 20:42:47 ID:LPZzb17k
支援でゴザル

450 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/12(土) 21:10:30 ID:LmiEquMg
一週間後
国王「んじゃ、進軍開始といこうか」
将軍「全軍、前進!」
ザッ ザッ ザッ ザッ
メイドエルフ「間近で見ると中々壮観ですねー。軍団の進軍風景って」
エルフ「そうね」
侍「お前たち、本当についてきて良かったのか?」
メイドエルフ「お嬢様が行くと仰るのなら、メイドとしてお供するのがわたしの勤めですから」
エルフ「……」
侍「私怨で戦うなとは言わない。だがーー」
エルフ「大丈夫よ」
侍「?」

451 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/12(土) 21:11:31 ID:LmiEquMg
エルフ「恨みが無いと言えば、確かに嘘。でも、その原因が誰なのかははっきりしてるから」
侍「……そうか」
メイドエルフ(いつの間にかお侍様にも素で話すようになってるし)
メイドエルフ「恨みと言えば、わたしもたっぷりありますからねぇ。同胞相手とはいえ、容赦無しでいきますよ」
侍「わかった。ならもう何も言うまい」
エルフ「ありがとう」
侍「……」

452 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/12(土) 21:12:46 ID:LmiEquMg
国境付近 エルフ領内
騎士「案外あっさりエルフの国の領土内に入れましたね」
将軍「ふむ」
国王「こういう場合、むやみに進軍せず慎重に行動するのが罠の被害を抑えるための定石だけど」
エルフ「正解ですわ」
メイドエルフ「精霊が教えてくれてます。前方の森の中に、多数の弓兵が配置されていると」
国王「なるほど。行軍停止しようか」
将軍「全軍、止まれ!」
騎士「全軍、止まれ!」
ザッ ザッ ピタ
国王「さて。このまま進めば弓矢の餌食」

453 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/12(土) 21:13:45 ID:LmiEquMg
侍「さりとてこのまま止まっていても、向こうから出てきて狙い撃ちということも考えられる」
将軍「以前陛下が通られたという抜け道は越えられないので?」
国王「いやー、さすがにもうばれちゃってるでしょ。ばれちゃってること前提で、昨日までにこちら側の出口を封鎖させたし」
侍「どっちみち使えんか」
騎士「どうしましょう。強攻突破しますか?」
将軍「いくら重装歩兵が主力とはいえ、それはさすがに無謀だな」
エルフ「……」
メイドエルフ「お嬢様?」
エルフ「……一つ、考えがあります」
侍「考え?」

454 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/12(土) 21:15:11 ID:LmiEquMg
森 エルフ軍
エルフ隊長「むっ。人間共め、こちらの存在を察したのか」
エルフ兵「さっきから森の手前で止まったままですね。如何しましょう」
エルフ隊長「しばらくこのまま待機。進んでくれば予定通り、あのまま動かなければこちらから仕掛け、森の中へと誘いこむ」
エルフ兵「はっーーて、ん?」
エルフ隊長「どうした?」

459 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/12(土) 21:48:02 ID:LmiEquMg
ーーチガウヨ
エルフ隊長「む、精霊か?」
ーーアッチハ、マワリコムツモリ
エルフ兵「回りこむ?」
エルフ隊長「つまり、森を迂回して進むつもりか」
ーーヒガシニムカウミタイ
エルフ隊長「東か。感謝するぞ精霊よ。総員を東に向かわせよ。側面から奴らを射抜く」
エルフ兵「しかし」
エルフ隊長「どうした?」
エルフ兵「これまでこちらに協力的ではなかった精霊が、何故急に」
エルフ隊長「精霊は気分屋だ。これまでも今も、たんにそういう気分だっただけだろう」
エルフ兵「そうでしょうか」
エルフ隊長「とにかく、移動だ!」

460 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/12(土) 21:50:02 ID:LmiEquMg
しばらくして
エルフ隊長「……遅い」
エルフ兵「そろそろ敵の姿が見えてもいい頃ですが……」
エルフ隊長「どういうことだ精霊よ」
ーークスクス
エルフ兵「な、なんか笑ってますよ?」
エルフ隊長「真面目に答えてくれ。人間共は今どこにいる」
ーーオシエテホシイ?
エルフ隊長「ああ。教えてほしい」
ーーキミタチノウシロニイルヨ
エルフ兵「は?」
エルフ隊長「なっ」
将軍「かかれー!」
ーーワー!

461 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/12(土) 21:51:38 ID:LmiEquMg
エルフ兵「は、背後から敵襲ー!」
エルフ隊長「偽情報だと!? ばかな! 何故精霊が我々ではなく、人間共に味方するのだ!?」
ーーチガウヨ
エルフ隊長「なに!?」
ーーニンゲンノミカタジャナクテ、トモダチノミカタダヨ
エルフ隊長「と、友達!?」
ワー!
侍「うまくいったようだな」

462 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/12(土) 21:52:52 ID:LmiEquMg
メイドエルフ「後退したと見せかけると同時に精霊に偽の情報を流してもらって敵を動かし、背後を取る。お見事ですお嬢様!」
エルフ「ありがと。みんなも、ありがとうね」
ーーフリフリ
侍「精霊がお前に味方してくれたからこその策だな。確かに見事だ」
エルフ「たまたまよ。それに、まだ完全じゃない」チャキ
メイドエルフ「ですね。わたしたちの役目は」ジャキン
侍「敵の伝令を」シャー
エルフ伝令「ーーな、待ち伏せだと!?」
侍「ーー殲滅する!」ダッ
エルフ「そういうこと!」ダッ

463 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/12(土) 21:53:56 ID:LmiEquMg
侍「おおおお!」ザンッ
エルフ「はあああ!」ザシュッ
エルフ伝令「くそ、数では上なんだ! 突破しろ!」
メイドエルフ「行かせません。逝かせますが」ビュンッ
ドスドスドス
エルフ伝令「く、くそー!」
国王「やー、みんなご苦労さん」
将軍「はっ。しかし、こうもあっさりと引っ掛かってくれるとは思いませんでしたな」

464 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/12(土) 21:55:01 ID:LmiEquMg
騎士「こちらの被害はほとんど無し。対して敵はほぼ壊滅状態」
侍「伝令も殲滅した。このことが後続の敵に知られることもないだろう」
国王「いい感じだ。とはいえ、次もそううまく行くとは限らない。変わらず慎重に行こうか」
将軍「はっ」

465 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/12(土) 21:56:43 ID:LmiEquMg
途中寝落ちしてましたすみませんorz
相変わらず短いですが、今回はここまでです。

468 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/13(日) 00:08:44 ID:GJ8b0Uok
待ってるぞー

470 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/17(木) 21:44:52 ID:PVe1ri.w
わくわく

471 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/17(木) 22:45:45 ID:fFZ/xYKw
だいたい一週置きの投下か。明後日を楽しみにしよう。

477 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/20(日) 06:05:25 ID:EI9YR00U
戦場
侍「おおおお!」ザン ザシュ ブシュ
エルフ「はっ!」ギン ザン
将軍「ぬぅん!」ブォン ドガァッ
メイドエルフ「は〜。あの三名だけ別格の強さですねー」
国王「弓兵隊を騎士くんの部隊がうまいこと引き付けてくれてるからね。白兵戦ならこちらの、とりわけあの三人の独壇場さ」
メイドエルフ「戦で一番恐いのは飛び道具ですしね。そこを抑えてしまえばあとは物量と質の差ですか」
国王「今のところ、両方ともこちらが上回っている。精霊も協力してくれているし、あとは飛び道具を使える君が加われば」
メイドエルフ「いえ、まあ、隠密作戦などには参加しますが、表立って戦場に出るとお嬢様の立場が」
国王「あー、君集団相手にはめっぽう強いからねー。将軍や侍くんならいざ知らず、二人には少々劣るあの子は存在感を君に食われるのか」

478 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/20(日) 06:06:22 ID:EI9YR00U
メイドエルフ「お嬢様のお顔を立てるのもメイドの勤めですので」
国王「うちのメイドたちよりよっぽど出来たメイドだ。よければ」
メイドエルフ「お断りします♪」
国王「……本当に出来たメイドだね」
メイドエルフ「そんなこと言ってるうちに、終わりそうですよ」
国王「敵が退却していくか。連戦連勝、いい流れだ……だからこそ、そろそろ恐くもあるけどね」
エルフの国 王宮
参謀「……そうですか。また敗北ですか」
エルフ兵「申し訳ございません! よもや、精霊が人間に協力するとは夢にも思わずーー」
参謀「人間にというより、彼女に協力しているというのが正しい」
エルフ兵「は?」
参謀「なんでも。ここいらで流れを変える必要がありますね」
エルフ兵「いかがいたしましょう」
参謀「あなたは、禁忌を犯せますか?」
エルフ兵「……え?」

479 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/20(日) 06:07:11 ID:EI9YR00U
二日後
エルフ「このペースなら、首都まであと丸一日といったところですわ」
メイドエルフ「順調ですね。まさかこんな形であそこに戻ることになるとは思いませんでしたけど」
侍「……」
将軍「……」
騎士「あれ、お二人ともどうしました? 恐い顔して」
将軍「陛下」
国王「うん。この森……なーんか嫌な空気だね」
侍「動物の気配が無いのも気になる」
将軍「かといって敵の姿も見えん。あるいは何か仕掛けてくるやも」
騎士「そう言われれば、確かに変に静かなような……」

480 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/20(日) 06:08:10 ID:EI9YR00U
エルフ「……」
メイドエルフ「……え?」
侍「どうした?」
メイドエルフ「精霊たちが慌ただしい……?」
エルフ「……」
侍「何か言ってないか?」
メイドエルフ「ーーなっ!」
エルフ「なんてこと!?」
侍「おい、精霊はなんてーー」
エルフ「すぐに森から撤退して! 早く!」
国王「理由は?」
メイドエルフ「敵が……火計の準備をしていると」
侍「!」

481 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/20(日) 06:09:05 ID:EI9YR00U
将軍「エルフ族が森で火計だと!?」
国王「……全軍反転!」
騎士「は、は! 全軍反てーー」
エルフ兵「逃がさん! 放てー!」
侍「伏兵か!」
ヒュンヒュンヒュン ボッ
メイドエルフ「火矢!?」
エルフ「愚かなことを!」
パチパチパチパチ
騎士「いけません! 周囲を火で囲まれました!」
国王「重装歩兵は鎧を棄てろ! 蒸し焼きになるぞ!」
将軍「他の部隊はわしに続け! 退路を確保する!」
ヒュンヒュンヒュン ドスドスドス
歩兵「ぐあっ!」
将軍「ぬっ!? 追い討ちをかける気か!」

482 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/20(日) 06:10:33 ID:EI9YR00U
侍「敵は俺が引き受ける! お前たちは早く退路を!」
エルフ「わたくしも行きますわ!」
メイドエルフ「お供します!」ジャキン
国王「すまないけど頼むよ! 全軍撤退急げ!」
ヒュンヒュン ドスドス
歩兵「ぐげっ!?」
将軍「周囲は火の海、頭上からは矢の雨か」
国王「重装歩兵を中心に編成したのがここにきて仇になったか」