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侍「道に迷ったらエルフに捕まっちまってござる」
Part12


388 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/14(土) 05:35:04 ID:99Cmq7qo
エルフ「あの?」
メイドエルフ「まるで知り合いであるかのような口ぶりですね」
男「ん? 何のことかな?」
侍「……」
男「今になって仕掛けてきたということは、あの隠れ家はその鳥にも見つかっていなかったか」
エルフ母「森林でも特に緑が濃い場所を選んだから」
侍「上からでは探しにくかったわけか」
男「よし。知りたかったことは聞けたからいいか」
エルフ「解放するんですの?」
男「どうせすぐにこの国を発つんだ。わざわざトドメを刺す必要もないよね」

389 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/14(土) 05:36:01 ID:99Cmq7qo
エルフ「なら、一つだけ」スッ
刺客「ふん。混血の小娘が何の用ーー」
ーーパンッ!
刺客「ーーっ!」
メイドエルフ「お、お嬢様?」
男「おー、いいビンタだ」
エルフ「……本当ならたくさん、たくさん言いたいことがございますけど」
エルフ「今のは、二度もわたくしの大切な人を傷つけてくれたお礼です。今はそれで勘弁して差し上げます」
メイドエルフ(ご主人様とお侍様のことね……)
刺客「ふん。汚れた混血の一撃など、痛くも痒くもないわ」

390 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/14(土) 05:36:58 ID:99Cmq7qo
メイドエルフ「あなた、このごに及んでーー」
侍「そうか。なら」シャンッーー
刺客「……っえ?」ツー
侍「次は首が飛ぶと思え」チャキッ
刺客「ひっ!?」
メイドエルフ(太刀筋どころか抜く瞬間すら見えなかった!?)
男(ほー。あれが居合というやつか)
侍「貴様らの思想そのものにどうこう言うつもりはない」
侍「だが、不必要に他者を貶めんとする発言は、はっきり言って不愉快だ」
侍「特にあいつに関してはな」
エルフ(侍……さん)
侍「……行こう。もうこいつに構う必要は無い」
男「だね。じゃ、あの洞窟を目指そうか」

391 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/14(土) 05:37:52 ID:99Cmq7qo
洞窟
エルフ「また戻ってきましたわね」
侍「そんなに経っていないはずだが、懐かしい気分だ」
エルフ「本当。それに」
熊「……」
兎「……」
リス「……」
メイドエルフ「な、なんかありそうでない組み合わせの動物たちが共生してますね」
エルフ「そうね。みんな元気だった?」
熊「ヴォウ」
騎士「返事した!」
侍「ていうかいたのかお前」
騎士「定期的に発言する必要がありました」

392 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/14(土) 05:38:53 ID:99Cmq7qo
エルフ「あ」
エルフ母「まぁ。精霊が」
メイドエルフ「お嬢様に挨拶されてますね」
エルフ「ふふ。みんなありがとう」
侍「……」
男「ん? 初めて見る純粋な笑顔に見惚れた?」
侍「別に初めてじゃない。精霊にはいつもあんな感じだった」
男(見惚れたってところは否定しないんだ)
エルフ「ここからどう行きますの?」
男「泉があったのは覚えてるかな? あそこを東回りにぐるっと回ると、奥に続く道があるんだ」
侍「そこから隣国に繋がっているわけか」
男「そういうこと」

393 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/14(土) 05:39:45 ID:99Cmq7qo
エルフ「せっかく再会できたばかりだけど、ごめんね。わたくしたち、もう行かなければなりませんの」
熊・兎・リス「」フリフリ
騎士「手と耳と尻尾で!?」
メイドエルフ「か、かわいい……」
エルフ(お持ち帰りできないかしら)
侍「もの欲しそうな顔してないで、さっさと行くぞ」
エルフ「べ、別にそんな顔してませんわよ!」カァッ

394 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/14(土) 05:40:43 ID:99Cmq7qo
一時間後
エルフ母「あれは」
エルフ「外からの光……ということは」
男「そういうこと」
騎士「では、私は先行して将軍に報告してきます!」ダッ
男「あ、こら待ちたまえ……って、行ってしまったか」
エルフ「何か問題でもありまして?」
男「問題というほどでもないんだけどね。もう僕たちの行動バレてるわけだし」
エルフ「は?」

395 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/14(土) 05:41:37 ID:99Cmq7qo
侍「……おい」
男「まぁ君は気づくよねー」
メイドエルフ「どういうことですか?」
男「ま、行ってしばらくすればわかるよ」
外 隣国領内
エルフ「ここが……」
男「そういうこと。ようこそ、僕たちの国へ」

396 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/14(土) 05:42:36 ID:99Cmq7qo
メイドエルフ「エルフの国を出たのは初めてです」
エルフ「わたくしも……」
ーーワー!!
エルフ「あら、遠くから何か声が」
侍「……はぁ」
エルフ「どうなさいましたの?」
侍「到着して早々、戦の気配が濃いからついな」
エルフ「戦?」
男「そりゃーそうでしょうよ」
メイドエルフ「それはそうってーーあ」
男「言ったでしょ? 僕たちの行動はバレてるって。エルフの司令は、報告を受けてこれ幸いと、ついに戦を仕掛けてきたんだよ。君たちのことを口実にしてね」

397 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/14(土) 05:43:59 ID:99Cmq7qo
今回は以上です。次も時間がかかると思いますが、何卒ご容赦を。

401 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/14(土) 09:55:57 ID:YnbM7BRE
乙です!

402 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/14(土) 22:33:35 ID:yS.82KQ2
侍カッコヨス

413 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/22(日) 21:41:01 ID:CxP7fLzo
短いけど投下します。
ワー!
エルフ「結構近いですわね」
侍「迂回路は無いのか?」
男「ふーむ。確かに、レディを背負ったまま戦場に出るのは紳士的とは言えないな」
メイドエルフ「それに、人間とエルフ族が一緒にノコノコと出ていったら、両軍から狙われかねません」
男「あ、それは大丈夫。僕がいれば、少なくとも隣国ーーいや、もうこの国か。ともかくこっちから狙われることはないよ」
エルフ「何故言い切れますの?」
エルフ母「それはーー」
男「もうすぐ分かるよ。そのときまでのお楽しみさ」
侍(……まさかとは思うが)

414 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/22(日) 21:42:17 ID:CxP7fLzo
男「さておき、ひとまず目前の森を西に迂回しようか」
男「そのまま進めば、国境の砦の裏手に回れるからね」
メイドエルフ「お味方の中に出られるというわけですね」
男「そういうこと」
エルフ「彼もそちらへ向かったのかしら」
男「どうだろうね。少し迂濶なところが彼の短所だからなぁ」

415 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/22(日) 21:43:49 ID:CxP7fLzo
そのころ
兵士「はあああ!」
エルフ兵「やあああ!」
キン キン ギンーー
騎士「……戦場の真っ只中に出てしまったどうしよう今軽装なのに」
エルフ兵「そこの人間、そんな軽装でこの場にいるとは愚かなり! 覚悟!」
騎士「やっぱ狙われるよねちくしょー」

416 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/22(日) 21:45:01 ID:CxP7fLzo
砦 門
男「着いた着いた、と」
メイドエルフ「い、いきなり攻撃されたりしませんよね?」
男「だーいじょぶだーいじょぶ。おーい、見張りやーい」
エルフ「いきなりなんて軽さですの」
見張り「む、何奴か……って、あ、あなたは!」
男「おー、今帰ったよー。門を開けておくれー」
見張り「は、は……しかし、その者たちは」
男「だーいじょぶだーいじょぶ。僕の客人だからみんな」
見張り「はっ! 陛下のお帰りである! 開門! 開もーん!」
エルフ「……は?」

417 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/22(日) 21:46:24 ID:CxP7fLzo
メイドエルフ「今なんて?」
男「ん? 僕が帰ったぞーって伝えただけだよ?」
エルフ「いえそれはわかってますわ。そうではなく」
メイドエルフ「あの見張りさん、今確か、陛下、と言いませんでした?」
男「言ってたね」
エルフ「……ええっと。つまりそれは、あなたが」
国王「うん。僕がこの国の現国王ってことになるね」
エルフ・メイドエルフ「」

418 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/22(日) 21:48:28 ID:CxP7fLzo
国王「ところで、君はあんまり驚かないね」
侍「薄々は感づいていた。ついさっきのことだがな」
国王「さすがと言ったところかな」
エルフ「お、お母様はそのことを?」
エルフ母「ええ。黙っていてごめんなさい」
国王「君が謝ることじゃないさ。僕が言わさずにきたんだから」
エルフ母「でもあなた」
エルフ「……あなた?」

419 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/22(日) 21:49:34 ID:CxP7fLzo
メイドエルフ「あの、またもやもしかして嫌な予感ですか?」
国王「嫌な予感はひどいなぁ」
エルフ「もしかして、初めて会ったときにわたくしの剣のことを大切にしろと言ったのは……」
国王「ああ、そうさ」
エルフ母「その剣はこの人が昔使っていたもの。つまりこの人が……あなたの父親よ」
エルフ「っ!?」

420 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/22(日) 21:50:43 ID:CxP7fLzo
短いですが、今回は以上ですすみません。

421 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/22(日) 22:15:07 ID:y/k6cewk
やっときたか!
待ってたよ
C

422 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/22(日) 23:10:36 ID:Jw7sYfPY
急展開ワロス

423 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/23(月) 00:00:41 ID:nY9goMAQ
支援

424 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/23(月) 00:20:09 ID:kME21G86
実は俺も薄々感づいてたんだ

425 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/23(月) 00:29:28 ID:pxzQTUAI
俺も…

426 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/23(月) 03:44:34 ID:Ic7wjVmI
ついさっきだが俺も……

427 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/23(月) 06:45:57 ID:KO7KWNTM
まじで?おれはきづかなかったわー

428 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/23(月) 14:35:26 ID:wz8ALNkA
お、俺?
ももも、もちろん気づいてたよ!

435 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/04(金) 20:58:54 ID:tBYukHLU
三日後 砦後方陣地
エルフ母「あの子はまだ?」
メイドエルフ「はい。テントに篭られたままです」
エルフ母「そう……」
メイドエルフ「その……正直無理もないかと。いきなり父親が現れて、しかも隣国の王だなんて」
エルフ母「やっぱり、最初から全部話しておくべきだったのかしら……」
メイドエルフ「難しいですね。その場合、お嬢様の境遇に対する恨みの対象がはっきりしてしまうわけですから、性格に問題を生じた可能性が」
エルフ母「……」
メイドエルフ「やめましょう、こんな話」
エルフ母「そうね。侍さんは?」
メイドエルフ「前線に出て戦っています。ただ飯は食べないと」
エルフ母「わかってはいたけど、律儀な方なのね」
メイドエルフ「ご自分を武士だと仰っていましたけど、義即人生って感じです」

436 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/04(金) 20:59:50 ID:tBYukHLU
戦場
ズバッ バシュッ ザスッ
エルフ兵「ぐわあああ!」
バタバタバタ
侍「弱い」
エルフ兵「くっ、あいつを取り囲め!」
将軍「ふっ。無駄よーーぬぅん!」ブオーン
エルフ兵「うわ!」
将軍「この程度で怯む者が奴に挑もうとはな」
エルフ兵「くそ、なんだこの二人!?」
将軍「まさかこうして肩を並べることになるとはな」
侍「あの時は想像すらしなかったが」

437 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/04(金) 21:00:41 ID:tBYukHLU
将軍「それはわしとて同じこと。さて」
将軍「当国髄一たるこの老将と、東国髄一たるこの若武者に挑まんとする者誰ぞある!」
侍「ふっ。覚悟決まりし者からかかってこい!」
エルフ兵「ええい、あの二人を討て! 奴らさえ倒せば我々の勝利だ!」
ワー!
将軍「ぬるいわ!」ブオン
エルフ兵たち「うわああ!」バタバタバタ
侍「遅い!」ザンッ
エルフ兵たち「ぐわああ!」バタバタバタ
侍「まだまだ!」
将軍「次の命知らずは誰か!」

438 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/05/04(金) 21:01:34 ID:tBYukHLU
後方テント
エルフ「……」
ーー出ていけ! 混血!
ーーうちの子に近付かないで。汚らわしい。
ーー混血とケガれた女なんかどれだけ金を積まれても診るつもりはないよ。
エルフ「……」
バサッ
国王「少しいいかい?」
エルフ「……」
国王「うーん、まだご機嫌ナナメかな」
エルフ「……別に」
国王「すぐに言わなかったことは、もう何度も謝ったでしょ? そろそろ顔ぐらい見てくれたってーー」
エルフ「いつまでわたくしやお母様にそんな顔を見せるつもりですの?」
国王「……手厳しいね、こいつは」