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侍「道に迷ったらエルフに捕まっちまってござる」
Part11


319 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/18(日) 20:18:54 ID:QsQ9L7Uc
侍「ここまで来たら一蓮托生。俺の命は貸してやるから、好きに使え」
エルフ母「侍さん……」
メイドエルフ「お侍様……」
男「ははは。自分の命運をそうもあっさり預けるなんてね。姫君に仕えるナイトのようだ」
侍「ナイトじゃなくてもののふだ。そこ間違えるな」
男「姫君に仕えるってところは否定しないのかい?」
侍「本当の主君は故郷にいるが、まあ、こんなときだからいいだろ」
エルフ(姫と、騎士……じゃなくて、武士?)
エルフ(あたしと、侍さんが……)ドキッ
メイドエルフ「お嬢様、お顔が赤いですよ」
エルフ「そ、そんなことありませんわよ!」
侍「?」
男「で、どうする?」
エルフ「……」

320 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/18(日) 20:20:14 ID:QsQ9L7Uc
亀の歩みで申し訳ない。今日はこれでまた休みます。

321 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/18(日) 21:09:06 ID:givv9h4U
乙乙

323 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/19(月) 01:20:11 ID:AdCdBu9c
支援じゃー!みなのもの!支援をせい!

326 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/19(月) 22:31:37 ID:6VrND/Ok
   C  EEEEEE  NN N
  CC  E     N N N
 C C  EEEEEE  N NN N
CCCCC E     N N N
   C  EEEEEE  N NN

327 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/19(月) 22:32:36 ID:6VrND/Ok
へただった(´;ω;`)

328 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/20(火) 01:08:16 ID:QwJzVZyM
>>327
お前最高にかわいな

329 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/20(火) 09:23:32 ID:De5CxQpk
>>327
可愛すぎ吹いた

346 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/31(土) 19:56:03 ID:m03QaMX6
二日後
エルフ「まさかとは思うのですが」
男「うん?」
エルフ「騎士団の警戒網の穴って、このルートのことですの?」
男「ああそうさ。意外だろ」
侍「意外というか、そういえばというか」
エルフ「まさか、あの動物たちの洞窟が隣国にまで繋がっていたなんて……」
男「僕たちあそこであったんだよ? 少し考えたら、僕の国とエルフの国とが繋がっていることは簡単にわかったはずさ」

347 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/31(土) 19:56:30 ID:m03QaMX6
侍「確かに」
エルフ「不覚ですわ」
侍「しかし、お前はよく隠れ家からここまでの道を一晩で往復できたな」
騎士「誰かのせいで、足腰を妙に鍛えられたおかげですかね」
男「はっはっはっ」
騎士「だからあなたが笑わないでください」
メイドエルフ「それはさておき」
騎士「さておかれた」

348 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/31(土) 19:57:46 ID:m03QaMX6
メイドエルフ「何故、男様がご主人様をおぶっておられるのです? それは本来わたしの役目なのですが」
エルフ「娘であるわたくしの役目でもあるのですが」
男「何を言う。レディをエスコートするのが紳士のたしなみだよ?」
メイドエルフ「うーん……ですが」
エルフ母「いいのよ。あなたたちはいざというときに両手が塞がっていたら困るでしょう?」
エルフ「それは、まあそうですけれど」
男「その点、僕は足さえ動けばいいんだからね。少数精鋭は適材適所が鉄則だよ」
侍「道理と言えば道理だな」
エルフ「あなたがそう言うのでしたら……」
メイドエルフ(すっかり従順になっちゃって。一理あるのは確かだけど)

349 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/31(土) 19:58:58 ID:m03QaMX6
男「じゃ、決まり。というわけで、あの洞窟までもう少しだから、厄介払いは任せたよ若人たち」
侍「やれやれ」キンッ
エルフ「え?」
メイドエルフ「お嬢様、囲まれています」ボソッ
エルフ「!」チャキッ

350 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/31(土) 20:00:14 ID:m03QaMX6
侍「……ざっと三十五人か」
メイドエルフ「でしたら、そちらが正しいと見るべきですね。わたしは三十人までしか読めませんでした」
エルフ「……何ですの、この敗北感」
騎士「ご安心を。読めなかったのは私も一緒です」
エルフ「嬉しくありません」
騎士「あれ、もしかして最後までこんな扱い?」
メイドエルフ「隠れていても無駄です。いるのはわかっていますよ」ジャキジャキッ
刺客たち「……」ザザザザザッ
エルフ「……三人足りない?」

351 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/31(土) 20:01:25 ID:m03QaMX6
侍「ーーエルフ!」バッ
エルフ「きゃっ!」ドサッ
ヒュンーー
騎士「矢が!」
男「エルフ族の狙撃兵か。こいつは厄介な奴が出てきたもんだ」
侍「噂に聞いた。エルフ族は、本来剣より弓の腕に秀でると」
メイドエルフ「わたしやお嬢様のような例外も多いですけれどね」
エルフ「どこから射てきましたの?」
侍「今のは後ろからだったが、もう移動しただろうな。そいつ以外にもあと二人潜んでる」

352 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/31(土) 20:02:38 ID:m03QaMX6
騎士「そいつらは私に任せてください! 隠れている相手を見つけるのは得意なんです!」
男「へー、そーなんだー」
騎士「何で棒読みなんですかあなたは! まったく……」ダッ ガサガサガサ
侍「で、姿を現したるは三十二人」
刺客たち「……」
エルフ「前の二人と比べてずいぶんと無口ね」
メイドエルフ「顔を隠していないのは、確実に仕留める自信があるか、正式な命令で動いているーーか!」シュッ
ヒュンーーカンッ!
エルフ(木々の陰から飛んできた矢をナイフで……)

353 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/31(土) 20:03:49 ID:m03QaMX6
メイドエルフ「さもなくば、余裕と迂濶の区別も出来ないただの雑魚か、ですね」
刺客たち「……!」
侍(殺気立った)
メイドエルフ(こんな挑発にあっさり乗る程度)
エルフ(ということは)
エルフ「メイドエルフ、何人いける?」
メイドエルフ「ご所望とあらば、全員きれいにお方付けしておきますが」ジャキンッ
侍「なら半分頼む。俺はまださすがに本調子とはいかん」
メイドエルフ「かしこまりました。半分片付けておきます」
エルフ「残り十六人。十人はわたくしが引き受けますわ」

354 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/31(土) 20:05:15 ID:m03QaMX6
侍「平気か? お前だって足の傷はまだ」
エルフ「さすがにあなたよりは動けましてよ」
侍「そうか。なら任せる」
刺客「……相談は終わりか? ならばそろーー」
メイドエルフ「逝ってらっしゃいませ♪」シュバババババッ
刺客「いやちょっ早っ!?」ザスザスザスザスザスザスッ
ギャー! グワー! アベシ!
刺客「二秒……わずか二秒で十六人の精鋭が全滅だと!?」

355 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/31(土) 20:06:28 ID:m03QaMX6
エルフ「そんなどこかで聞いたような事言ってると!」ダッ
刺客「ぬおっ!?」
エルフ「はぁっ!」ズバ ザシュッ
ウオワー! ギエー!
刺客「ぬう。落ち着け、焦らずに取り囲んでーー」
侍「予想済みなんだよ」
刺客「え?」
ザン ブシュ ザシュ ドサドサドサ
刺客「ば、ばかな! いつの間に仲間たちを!」
侍「戦ですらない小競り合いで、指示を逐一大声で出すリーダーがいるか阿呆」
エルフ「しかも弱すぎです。白眼視は結構ですけど、見くびられるのは心外ですわね」
メイドエルフ「わたしやお侍様はともかく、お嬢様の実力は有名なはずなんですけどねー(評価は不当だけど)」

356 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/31(土) 20:07:39 ID:m03QaMX6
刺客「え、ええい! 安心するのはまだ早い! こちらにはまだ弓兵がーー」ガサッ
騎士「あ、もう倒してきました」
刺客「なんだと!? ていうか誰だ貴様!」
騎士「敵の雑魚からまでそんな扱いですか」
メイドエルフ「あら、意外と良い仕事をなさるのですね」
男「あれでうちの将軍の腹心だからね。実力はそれなりにあるんだよ」
刺客「く、くそ……」
侍「で、お前はどうする。まだ戦うというのなら相手になるが」

357 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/31(土) 20:08:40 ID:m03QaMX6
男「いや、いくつか聞きたいこともある。ここは生け捕りにしよう」
メイドエルフ「かしこまりました」
刺客「そうはいくか!」ダッ
メイドエルフ「無駄なあがきは見苦しいだけですよー」シュッ ドス
刺客「ぐあ!」ドサ
メイドエルフ「足に当てました。これでもう逃げられませんよ」
男「さすがメイドちゃん。いい腕してるねー」
エルフ母「……」
エルフ「お母様……」
エルフ母「大丈夫よ。心配しないで」
侍(母君は片足が悪いようだが、その原因を想起させる事だったのか?)

358 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/31(土) 20:09:48 ID:m03QaMX6
男「さて、メイドちゃん。尋問は僕がするから、君は一応手当てしてあげて」
メイドエルフ「よろしいのですか?」
刺客「く……絶対に何も喋らんぞ!」
男「あ、今みたいに反抗的になったらまた刺しちゃっていいから。同じ箇所をね」
刺客「っ!?」ゾワッ
メイドエルフ「は、はい……」
エルフ(え、エグイことを平然と……)
侍(はったり、にしては言葉が不自然に軽い……本気だ)
男「さって。何から聞くとしようか」

359 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/31(土) 20:11:22 ID:m03QaMX6
毎度短くて申し訳ありませんが、今回はここまでにします。明日も仕事だー\(^^)/

360 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/31(土) 20:22:16 ID:P05.KKeU
支援
仕事頑張ってください

361 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/31(土) 20:43:16 ID:WnBid0FE
な、生殺しだw

362 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/31(土) 22:30:43 ID:2ISD3JP6
いいよー
ゆっくりでも完結してくれればー

380 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/14(土) 05:27:35 ID:99Cmq7qo
男「さしあたって聞きたいことは二つ。一つはどうやってこちらの居場所を突き止めたか」
男「もう一つは、誰が今のエルフの国を牛耳っているか。ま、こっちは確認の意味合いが強いけどね」
刺客「い、言ったはずだ。何も話したりはしないと」
男「おや、声が震えているよ? さっき言ったことがよっぽど恐いのかな」
刺客「だ、誰が貴様ら人間如きに……!」
男「そうかいそうかい。なかなかいい度胸をしているね。メイドちゃん、ナイフ貸して」
メイドエルフ「え?」
男「さっきはああ言ったけど、やっぱりこういうことを女の子にやらせるのは気が引けてね」
メイドエルフ「あ、あの、本気で……?」
男「もちろんさ。あ、もしかして自分のナイフが使われるのは嫌かな?」
メイドエルフ「嫌と言いますか……」

381 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/14(土) 05:28:31 ID:99Cmq7qo
男「なら仕方ない。護身用だけど、自分のを使うかな」スラリ
侍「……おい、今抜いた時刃が紫色に光ってたぞ」
男「あ、やっぱり君は気がついたね。うん、毒を塗ってあるから」
エルフ「ど……!?」
侍「護身用どころか、相手殺る気満々じゃないか」
男「なーに。毒とはいえ、命を奪うほどのものじゃない。精々一ヶ月程度、眠ることすら出来ない高熱と頭痛、嘔吐感と下痢にさいなまれ続けるくらいさ」
エルフ「どんな毒ですの!?」
メイドエルフ「いっそ一思いに殺っちゃった方がまだ気楽ですね……」

382 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/14(土) 05:29:24 ID:99Cmq7qo
刺客「ふ、ふん! そんなデタラメな毒があるか!」
男「じゃあ試してみようか」ドスッ
刺客「えーーがあああっ!!」ブシュッ
エルフ母「っ!」
エルフ「く……」
メイドエルフ「ほ、本当に刺した……」
侍(さすがにメイドエルフがやった傷は避けたか)
刺客「ぐっ……くそ! 何度刺されようと俺は何もーー(グラリ)」
刺客「!?」
男「ほーら、もう効いてきた」

383 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/14(土) 05:30:19 ID:99Cmq7qo
刺客「ぐっ……か……う、げぇっ……!」
男「嘔吐感が先にきたか。よかったねー、麗しき乙女たちの前でいきなり汚物を垂れ流さずに済んで」
刺客「きさーーうげっ……ぐおぇぇぇっ!!」
エルフ「!」
侍(紫……)
メイドエルフ「う……」
侍「お前たちは母君と離れてろ」
エルフ「……そうさせてもらうわ」
メイドエルフ「さすがにキツイです……」

384 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/14(土) 05:31:16 ID:99Cmq7qo
刺客「ぐか……げぇ……」
男「さて、どうする? 正直に話すと約束すれば、すぐにでも解毒と手当てをしてあげるけど」
男「ちなみにこの毒、すぐに解毒薬を飲めば一時間くらいで症状は全快するけど、遅くなると飲んでも一週間は症状が持続するよ」
男「あ、その前に刺した傷が化膿してえらいことになるかもしれないねぇ」
刺客「ぐ……あぇ……」
侍(顔色一つ変えずにえげつないことを平然と。これが……いや、これもこいつの偽らざる顔か)
侍(しかし、これはもう尋問じゃなく拷問だな)
男「さ、どうする? 答えられなきゃ、首を縦に振るだけでもいいよ」
刺客「……ぐがっ」コクコク
侍(選択肢を一つしか提示していなかった。それ以外は許さないということか)

385 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/14(土) 05:32:09 ID:99Cmq7qo
男「わかってくれたようだね。じゃ、これを飲むといい。すさまじくまずいけど、効き目は保障しよう」
刺客「っ」ガバッ グビッ
刺客「ぅごふっ!」
男「まっずいよねそれ。でも苦しみたくなかったら全部飲まなきゃ」
刺客「く……!」グビグビグビ
刺客「うげぇ……!」
男「今度はあまりの不味さに吐き気がするだろうけど我慢だね。戻したら意味ないから」
侍(どちらにしろエグい奴だな)

386 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/14(土) 05:33:06 ID:99Cmq7qo
数時間後
刺客「はぁ……はぁ……」
男「うん。だいぶ落ち着いたようだ。刺した傷も手当てしてあげたし、もうそろそろ話せるかな?」
刺客「あ、ああ」
エルフ(すっかり素直に……)
メイドエルフ(この方の認識、改める必要がありそうだわ)
侍(必要とあらば、どこまでも非情に徹することもできる人間か)
エルフ母(相変わらず厳しい人。他人にも、何より自分にも)
男「さて、まずは最初の質問だ。君たちはどうやってこちらの動向を掴んでいたのかな?」
刺客「……鳥報だ」
エルフ「鳥報?」

387 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/04/14(土) 05:34:07 ID:99Cmq7qo
刺客「貴様は教えられていなかったな。文字通り、調教した小型の鳥に対象の人相を記憶させ、空から偵察させるのだ」
メイドエルフ「そんなことが?」
侍(やはり、あの時エルフの肩に止まったあの鳥か)
男「鳥も種類によっては、その知能はバカにできないしね。嘘を言っている風でもないし、信用してあげよう」
侍「で、次がある意味本題か」
男「そうだね。今君たちエルフの国を事実上導いているのは誰かな?」
刺客「陛下が貴様らにより崩御なされて後、騎士団司令が総指揮を執られている。もう話すことはないぞ」
男「エルフ王を殺す動機はあの子らには無いんだけどなぁ。まあともかく、やっぱりあの司令が率いているんだね」