Part9
137 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/04/04(月) 22:02:24.08 ID:
zIeYhUUDO
おそ松「じゃ、じゃあ警察とか弁護士に相談したってのは…?」
カラ松「する訳ないだろう?」
おそ松「さんざん俺が悪いみたいになったのに!?」
カラ松「それも作戦の内さ?」
おそ松「えぇ〜…もうなに?分かんないんだけど…?」
カラ松「まず弟たちを担保にして売った…そこから食い違ってるんだよ?」
おそ松「な、なんだってー」
カラ松「一人一人を完璧に真似てなりすまし、相互保証する条件付きで直接借金したのさ」
おそ松「お、俺だけじゃなかったってこと?」
カラ松「あぁ、あいつらは担保に出されたんじゃなく期限を過ぎて膨らんだ借金を回収する為に拐われただけだ」
おそ松「で、でもお前だって借金してんだろ?」
カラ松「俺名義の借金はすでに返済してある。残る債務者はお前で最後だ」
おそ松「そ、それって…?」ドキドキ
カラ松「お前も弟たちと同じ末路を辿る…ふっふっふ」
おそ松「ふ、ふざ…ふざけんなぁ!?」
138 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/04/04(月) 22:03:11.60 ID:
zIeYhUUDO
おそ松「なんだよ、お前!一人だけいいとこ就職して憧れのヒロインと結婚してガキ生んで安定してるクセに…なんでこんなことすんだよぉ!?」
カラ松「金が要るからだ」
おそ松「嘘つけ!?トト子ちゃん家なんか超金持ちなんだから……」
カラ松「俺が養わなきゃ意味がないんだ」
おそ松「は…?」
カラ松「…大手販売会社の営業部に勤務していたが重要な会議で寝坊した上にズル休みしたのがバレて元いた部署から外された」
おそ松「しょ、しょーもない…」
カラ松「すぐさま異動を命じられ、人事部臨時特務課に配属されたが…実際はなんの仕事も与えられない追い出し部屋に左遷されたんだ」
おそ松「そりゃね。そうなるよね」
カラ松「年収は600万から200万にまで激減し、半年以内に辞職しなかったら北〇鮮支店に転勤させると言い渡された」
おそ松「なんでそんなヤバい国に支店があるの?つか寝坊とズル休みくらいでそこまで重いペナルティ受けるとかひどくない?」
カラ松「ついでにハニートラップに引っ掛かってうっかり社内の機密情報を他社に漏らしてしまったんだ」
おそ松「あ、よかった。バカだ。俺たち六つ子にまともな奴なんていなかったんだ」
139 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/04/04(月) 22:07:49.17 ID:
zIeYhUUDO
カラ松「俺には後がなかった…。このままではマイスウィートハニーとの幸せな結婚生活が崩れ去ってしまう」
おそ松「兄弟の人生、崩壊させといてなに言ってんだ」
カラ松「…いや、どっちにしたって時間の問題だったんじゃないか?」
おそ松「ひ、否定はできないけども……」
カラ松「ふっ…悪いな。ブラザー?覚悟はいいか?」
おそ松「え?なんの?」
カラ松「借金返済の宛てになるんだよ。お前自身が?」
おそ松「あ、そうだったじゃん。やっべ?」
カラ松「……天才的なバカだな」
おそ松「あ、あのさ…」
カラ松「んぅ〜?」
おそ松「俺だけ助かる方法ってない?」
カラ松「…徹底してクズだな」
140 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/04/04(月) 22:08:35.10 ID:
zIeYhUUDO
おそ松「やだやだやだよ〜!まだまだ楽しくボケーッとしながらパチンコ打って暮らしたいんだもーん!?」ジタバタ
カラ松「やれやれ…駄々をこねても状況は変わらないぜ?」
おそ松「なんとかしろよー!こんだけ金あんだから俺の借金も返せるだろー!?」
カラ松「これは愛しいファミリーとニュージーランドで牧場経営しながら牛や羊やワイフの乳絞りをする為の資金だ。びた一文譲れない」
おそ松「あ〜搾りたい!俺もトト子ちゃんの乳絞りたい!!」ジタバタ
カラ松「…話が変わってるぞ」
おそ松「なんでだよ〜!こんなことがなかったらさぁ〜!!俺、更正したかもしんないのにさぁ〜!!」
おそ松「キッツいアルバイトしてさぁ〜!!一人暮らしの金貯めてさぁ〜!!もう誰にも迷惑かけないようにしようって思ってたのにさぁ〜!!」
おそ松「パチンコだって競馬だって我慢して…頑張ってたんだよぉ。俺…頑張ったじゃんかぁ〜!?」ポロポロ
カラ松「おそ松……」
おそ松「エグッ…グスッ……それなのにさぁ…父さんも母さんも信じてくんないしさぁ…」
おそ松「俺ばっかりのけ者にされてさぁ…。みんな好き勝手言ってさぁ…。そりゃ信用ないだろうけど……ひどすぎない!?」
おそ松「お前らに置いてかれて…俺がどんだけ寂しがってたか分かってんの!?」
おそ松「ダメ人間でもパチンカスでもクズでもいいよ!!だけど…ほんのちょっとは認めてくれたっていいだろ!?長男は俺なんだぞ!?」
カラ松「…すまなかった」
おそ松「……」
カラ松「兄貴をそこまで追い詰めていたとはな…」
おそ松「い、いや…今はもっと追い詰められてんだけど……」
カラ松「…俺たち六つ子、俺はお前でお前は俺、いつだって一心同体だ」
おそ松「か、カラ松……」
カラ松「…お前の分まで生きてやる。だから安心して逝ってくれ」
おそ松「え?あ、なに?見捨てる流れだったの、これ?」
141 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/04/04(月) 22:09:25.47 ID:
zIeYhUUDO
カラ松「末期の酒を存分に飲み干せ」ゴトン
おそ松「いや、酔えないよね。飲む気にもならないよね、普通に」
カラ松「そう言うなよ。せめてもの餞だ?」
おそ松「だったらさ…トト子ちゃんと一発ヤらしてくんない?その方が思い残しないんだけど?」
カラ松「俺がよくてもあいつがイヤだろう…」
おそ松「…だよな。ま、分かってるけどさ」
ピロリロリン
カラ松「おっと…妻からだ」ピッ
おそ松「」ピクッ
カラ松「これで…やっと安心させてやれる」ニコッ
おそ松「……」
142 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/04/04(月) 22:09:56.21 ID:
zIeYhUUDO
おそ松「…なぁ、俺どうなんの?」
カラ松「…臓器ブローカーを紹介すると言ってた」
おそ松「へー…こわいこわい。やっぱり飲もっかな」
カラ松「そうした方がいい…」
おそ松「つまみが欲しいな。キッチン借りていい?」
カラ松「料理なんか出来るのか?」
おそ松「適当、適当」ガサゴソ
カラ松「…最後の晩餐ってわけか。好きにしろ」
おそ松「あ!あとさー」
カラ松「ん?」
おそ松「助かる方法、見つけちゃったわ?」ギランッ
カラ松「えっ」
143 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/04/04(月) 22:10:24.47 ID:
zIeYhUUDO
団地
ブロロロロロ………
ガラッ
金貸し「さて、回収といきますか」バタンッ
おそ松「おっまたせー!」スタスタ
金貸し「……?」
おそ松「どうしたの?固まっちゃって?」
金貸し「……」
おそ松「はい、これ」バサッ
金貸し「は…?」パシッ
おそ松「1千万だったっけ?それでいいっしょ?」
金貸し「…利息が付いてますのであと100万の支払いが残ってます」
おそ松「あっそ!じゃあ上がってよ!」
金貸し「松野さん…この金はどうやって……」
おそ松「うちの兄弟が世話んなったってね?ま、お礼もしたいから部屋に……」
金貸し「遠慮しておきます」
おそ松「?」
144 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/04/04(月) 22:11:10.52 ID:
zIeYhUUDO
金貸し「暗がりでよく見えませんが…この札束にこびりついたヌメリはなんですか?」
おそ松「…あ、ソースこぼしちゃったんだ!ごめん、ごめん?」
金貸し「では先ほどから強く匂う異臭は…?」
おそ松「借金返す為に水道代節約してたから風呂入ってないんだよね。くさかった?」
金貸し「ほう?そのわりには髪が濡れてるように見えますが?」
おそ松「…なになに!どーしたの?ご機嫌ななめだったりする?」
金貸し「この金はお返しします」スッ
おそ松「…いいの?」パシッ
金貸し「面倒はごめんですよ…。もう一切、ウチとは関わらないでください」
おそ松「冷たっ!」
金貸し「まったく…とんでもない事をしてくれましたねぇ。このケジメは金貸しの領分じゃない」
おそ松「なんの話?」
金貸し「せいぜい遠くへお逃げなさい。では失礼……」クルッ
ズンッ
金貸し「かっ……!?」ビクンッ
おそ松「」グリッグリィッ
金貸し「ッッッ!!!」ブバァッ
ドシャッ
おそ松「……」
「なに…してるの?」
おそ松「」ビクッ
145 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/04/04(月) 22:11:40.21 ID:
zIeYhUUDO
おそ松「トト子ちゃん……」
トト子「ねぇ、なにしてんのっ!?」
おそ松「そっちこそ何しに来たの?」
トト子「わ、私は……あの人から…メール…返ってこなくて……それで…」ガタガタ
おそ松「ふーん…」
トト子「誰なの…この人?なんで……」
おそ松「んなのどうだっていいっしょ」
トト子「え?」
おそ松「海外好き?」
トト子「な、なに…?」ブルッ
おそ松「ニュージーランド行こうよ。おしゃれな感じだしさ、女の子ってだいたい欧米好きでしょ?」ガシッ
トト子「ひっ!?」ビクッ
おそ松「俺、トト子ちゃんとだったら、どこでもいいよ。な?いいだろ?」ユサユサ
トト子「や、やめて…!?」グッグッ
おそ松「好きなんだよ!ずっと!今でも!」ユサユサ
トト子「お、おそ松くんったら…!?」アセアセ
おそ松「金ならあるから!もうカラ松だっていないし誰も邪魔しないよ!」
トト子「……え?」
おそ松「なんなら証拠、見してあげよーか?ウケるよ。あいつズタズタ!」
トト子「……!」
おそ松「やったね?俺たち、やっと結ばれるんだ!」ニカッ
トト子「…それ…本気?」プルプル
おそ松「あ、分かってる!カラ松がよかったんでしょ?でも心配しないで?」
トト子「……?」
おそ松「俺たち六つ子、あいつが俺で俺はあいつ!あいつも言ってた!だから俺はあいつなんだよ!」
トト子「なに言ってんの…?」
おそ松「俺があいつならトト子ちゃんは俺の嫁だし、これって両思いだよね!?」
バチンッ
146 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/04/04(月) 22:12:42.21 ID:
zIeYhUUDO
おそ松「……?」ヒリヒリ
トト子「あんたなんて…だいっきらい!!」
おそ松「…え?俺なんかした?」
トト子「どこまで最低なのよ!!」
おそ松「……」
トト子「カラ松さんが死んでたら許さないから…!」プルプル
おそ松「だからカラ松は俺だって?」
トト子「」ダッ
おそ松「あ、トト子ちゃん?」
ダダダッ……
おそ松「……やっぱムリか」
おそ松「はなまるピッピはよいこだけ〜♪」スタスタ
147 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/04/04(月) 22:13:18.76 ID:
zIeYhUUDO
222号室
トト子「キャァァァァァアアア!!!あなぁたぁぁあ!!!」ユサユサ
おそ松「大声出したら近所迷惑だよー?せっかく喉元かっ切って静かに殺ったのに?」
トト子「……!」キッ
おそ松「泣き顔もいいけど睨み付けられんのもたまんないね?」ヘラヘラ
トト子「……してやる」ボソッ
おそ松「ん?」
トト子「殺してやる…!あんたを殺して私も死ぬわ…!?」
おそ松「マジで!?すっげー!!」パァァ
トト子「なに喜んでんのよ!?頭おかしいんじゃないの!?」
おそ松「実はさ!俺もそうしようと思ってたんだ!」キラキラ
トト子「……へ?」ピタッ
おそ松「よかったぁ…!トト子ちゃんもおんなじ気持ちで…!最後の最後で通じ会えたんだね…!?」
トト子「い、今のは……」アセアセ
おそ松「ていうかさ、最初っからこうしときゃよかったんだよね。んでリセットして来世からやり直してさ!今度はちゃんと付き合おうよ!?」
トト子「ち、違うの…?私、そんなつもりじゃ…?」アトズサリ
おそ松「そうしよっか!」ジリッジリッ
トト子「来ないで!!誰か!?お隣さん、聞こえてるんでしょ!?ねぇ!警察!!警察ぅぅええうう!!?」
ザシュッ プシャアアアアア
148 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/04/04(月) 22:13:49.29 ID:
zIeYhUUDO
実家
ボォォォォオオオ
メラメラ メラメラ
「火事だ!!誰か消防車呼べ!?」
「わぁー!すごっ!」パシャパシャ
「松野さん家が燃えてるわよ!」
「キレイな花火だじょー」
ワイワイガヤガヤ
ピーポーパーポー
おそ松「父さん、母さん、今までありがとう。ダメな息子でごめんな」ニカッ
149 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/04/04(月) 22:14:42.44 ID:
zIeYhUUDO
魚屋
娘「なんてったってアーイドル♪」オエカキ
おそ松「あ、いたいた」
娘「おそまつおじちゃん!」
おそ松「お手て繋ご?」パシッ
娘「? いいよー」パシッ
おそ松「じゃ、行こっか」ニカッ
娘「パパとママはー?」
おそ松「あっちにいるよ」
娘「???」
おそ松「(トト子ちゃんの親父さんたちに悪いことしちゃったな〜)」ベチョッ
150 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/04/04(月) 22:15:48.62 ID:
zIeYhUUDO
〜〜〜〜〜〜〜〜
おそ松「さぁてと…これからどうすっかな」スタスタ
おそ松「え?金には困らないし自分探しの旅でも始めてみよう?カラ松は相変わらずイタいね〜」
おそ松「まぁそう言うなってチョロ松!たまにはカッコつけてみるのもいいだろ?」
おそ松「とりあえず…ラスベガスでも行っちゃう!?」
おそ松「だろ!?さすがトッティ!合うね〜!クズを隠さないよね〜!」
おそ松「おう!そうだぞ、十四松!バニーガールのお姉さんがあんなことこんなことしてくれちゃうぞ!?」
おそ松「ネガティブだね〜一松!大丈夫、なんとかなるって?」
おそ松「俺はお前でお前は俺!6人いれば、なにがあってもへっちゃら!そうだろ?」
おそ松「そりゃ言いっこなしだよ、トト子ちゃ〜ん」
おそ松「ラスベガスで夢の一攫千金!今度こそ大逆転だ!」
おそ松「あはははははははは!!!」ゲラゲラ
娘「おそまつおじちゃん、ひとりでなにいってるの?」
おそ松「……」ゴソゴソ
おそ松「」プスッ
おそ松「……っアアァァ〜こんやはさいこー」トローン
おそ松「ふぅ〜…」シャキン
娘「おちゅうしゃ?」
おそ松「…なんでもないよ?」ニカッ
娘「そっか!」ニコッ
おそ松「ぜーんぶリセットしてやりなおそーぜ♪」ルンルン
娘「おー♪」ルンルン
ランランラン
お粗末!
154 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/04/04(月) 22:54:39.11 ID:mHmh8wE3O
俺的には面白かった
乙
159 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/04/05(火) 11:57:23.43 ID:3gc5Y3N6O
オチはともかく文章に引き込まれて最後まで読まされたわ
また期待してる