Part3
46 :
◆loxSgAubwY:2015/05/15(金) 23:12:12 ID:PrLOPvjg
男「きゅ、急に来るからツノが刺さった…」
鬼娘「あ、ごめんっ!」
鬼娘「抱きつく時は要注意だね、えへへ」
男「うん////」
鬼娘「じゃ気を取り直して…」ソソソ…
トム
鬼娘「ずっと、あなたにこうしたかったの」ギュ…
男「遅くなってごめん」ギュ
鬼娘「いいの」
鬼娘「だから、これからは彼氏彼女としていっぱい思い出作って行こうね!」
男「うんっ!」
47 :
◆loxSgAubwY:2015/05/15(金) 23:13:13 ID:PrLOPvjg
鬼娘「あ、でも」
男「何?」
鬼娘「私は推薦だからあんまり受験勉強ってしなくていいんだけど」
男「う…」
鬼娘「…大変だね、勉強」
男「あーあ…、これからって時に…」
鬼娘「ふふふ。応援するからがんばってね!」
……
…
48 :
◆loxSgAubwY:2015/05/16(土) 12:40:15 ID:bC/7zvbY
鬼嫁「次の日から皆に冷やかされるかなって思ってたら」
鬼嫁「だーれも何にも言わなかったんだよね」
男「後で聞いたら」
男「『お前らがくっつくのなんか、誰でも予想できたわ!』って」
男「『わかりきったこと聞くな』って」
男「そこら中からホント、鬼の首でも獲ったように言われたよな」
鬼嫁「でも皆、おめでとうって言ってくれて見守ってくれて」
鬼嫁「嬉しかったなぁ」ニコニコ
49 :
◆loxSgAubwY:2015/05/16(土) 12:41:01 ID:bC/7zvbY
ゴウンゴウンゴウン…
鬼嫁「それから勉強の合間でときどきデートに出掛けて」
鬼嫁「…3回目のデートだったね」
鬼嫁「初キス」
男「うん、そうだな」
鬼嫁「観覧車、もうすぐてっぺんだよ?」
ゴウンゴウンゴウン…
鬼嫁「キス、する?」
男「えっと、そ、そうだな////」スッ
鬼嫁「んっ…」
チュッ
男「…」
鬼嫁「んふふ…」
50 :
◆loxSgAubwY:2015/05/16(土) 12:42:00 ID:bC/7zvbY
男「いい大人が何やってんだか…////」カアッ
鬼嫁「ま、いいんでない? せっかくの記念日なんだしさ」ニッコニコ
男「嬉しそうでなによりです」
鬼嫁「キスも慣れたもんだね」
男「そりゃあ夫婦ですから」
鬼嫁「あの時の初キスは」
男「1回目は鼻と鼻がぶつかって失敗」
鬼嫁「そうそう!」
51 :
◆loxSgAubwY:2015/05/16(土) 12:42:45 ID:bC/7zvbY
鬼嫁「2回目は私のツノが当たって失敗」
男「うんうん」
鬼嫁「3回目でようやくね」
男「懐かしいな…」
鬼嫁「それからも色々あったよね」
男「うん」
鬼嫁「別々の高校に入学して」
鬼嫁「…ちょっと寂しかったんだよ?」
男「普段はそんな素振り見せないのに、意外と寂しがりなんだよな、鬼娘は」
鬼嫁「私もそれぐらいの事あるわよーぅ」プン
52 :
◆loxSgAubwY:2015/05/16(土) 12:43:54 ID:bC/7zvbY
男「まあ、でも」
男「鬼娘は高校の陸上部の短距離新人戦でいきなり優勝するし」
鬼嫁「男が応援してくれたおかげだよ」
男「うん」
鬼嫁「すんごく調子があがったの!」
鬼嫁「それから、大会の時にはいつも応援に来てくれて」
男「他にもお互いの学校の催し物にも行き来したりな」
鬼嫁「文化祭、体育祭…」
男「確かに、いつも隣に居た中学ん時に比べたら少しだけ離れたお付き合いだったけど」
鬼嫁「それでも放課後はほぼ毎日会ってたもんね」
男「少しだけ離れて、じっくり絆を深めていく…」
男「そんな付き合い方も悪くないなって思ってたよ」
53 :
◆loxSgAubwY:2015/05/16(土) 12:45:26 ID:bC/7zvbY
男「ずっとこんな風に、関係を築いていくんだなって思ってたけど」
男「まさか、一度別れるなんてな」
男「しかも鬼娘から切り出すなんて…」
鬼嫁「…」フーイ
男「はははっ、目ぇ反らすなよ」
鬼嫁「わっ、私は別れたなんて思ってないもん!」
男「いやぁ、あん時は凹んだ凹んだ…」
鬼嫁「あのっ、そのっ…!」
鬼嫁「あの時はそうするのが一番だって思ってたけど、でもっ…!」
男「ああ、わかってるよ」
鬼嫁「ホントあの時は…」
54 :
◆loxSgAubwY:2015/05/16(土) 12:50:35 ID:bC/7zvbY
…
……
〜高校時代〜
男「俺らも来月から『先輩』になるんだな…」
鬼娘「…うん」
男「お前も陸上部、後輩の面倒見たりとか、大変になるな」
鬼娘「…そだね」
男「元気ないな」
鬼娘「…うん、かな…」
男「どうかしたの?」
55 :
◆loxSgAubwY:2015/05/16(土) 12:51:37 ID:bC/7zvbY
男「鬼娘らしくないな。何か悩み事でもあんのか?」
鬼娘「えと、ね…」
鬼娘「私ね、引っ越すの」
男「え…」
鬼娘「パパが昇進するからその関係で」
男「あ、おめでとう」パチパチ
男「あれか? 会社の近くに引っ越すとか?」
鬼娘「んーん」フルフル
鬼娘「転勤になったの」
56 :
◆loxSgAubwY:2015/05/16(土) 12:52:17 ID:bC/7zvbY
男「て、転勤!? どこに?」
鬼娘「私達鬼族にとっては栄転って言うのかな…」
鬼娘「鬼ヶ島、なの…」
男「お、鬼ヶ島ぁっ!?」
男「そりゃまた随分と遠い…」
鬼娘「そこの支店全部を統括管理する責任者…、みたいなのになったんだって」
男「そうか…。ん、まあ何にせよ、おめでとう」パチパチ
鬼娘「…うん」
男「いつ、引っ越すの?」
鬼娘「…」
男「?」
57 :
◆loxSgAubwY:2015/05/16(土) 12:54:58 ID:bC/7zvbY
鬼娘「…」
男「鬼娘?」
鬼娘「明日」
男「え?」
男「あ、明日ぁっ!?」
鬼娘「明日の朝早くに出発するわ」
鬼娘「もうだいたいの荷物は運んであるの」
58 :
◆loxSgAubwY:2015/05/16(土) 12:55:35 ID:bC/7zvbY
男「ちょっ、ちょっとちょっと!?」
男「待て待て待て待て!」
男「転勤なんて、昨日今日で決まるもんじゃないだろっ!?」
男「なんでっ、急にそんな…っ!」
鬼娘「ごめんね」
鬼娘「どうしようかずっと悩んでたら、言うに言えなくて…」
男「悩む?」…ドキ
男「悩むって…、な、何を?」…ドキン
鬼娘「…うん」
59 :
◆loxSgAubwY:2015/05/16(土) 13:00:54 ID:bC/7zvbY
鬼娘「別れよう、私達…」
60 :
◆loxSgAubwY:2015/05/16(土) 13:01:53 ID:bC/7zvbY
男「わ、別れっ…!?」
鬼娘「だって超遠距離だよっ!?」
鬼娘「会いたいって思っても簡単に会えないんだよ?」
男「いやっ、そうだけどっ…」
男「あ、俺が浮気するかも、とかの心配?」
鬼娘「…」
男「だ、大丈夫だって!」
男「は、はは…あは、あはははっ、アホだなー」
男「い、今まで一度だってそんな素振り見せたことあったか?」
男「心配しなくても俺は… 鬼娘「違うのっ!」
男「!?」
61 :
◆loxSgAubwY:2015/05/16(土) 13:03:41 ID:bC/7zvbY
鬼娘「違うの…」
鬼娘「今まで…離れているって言っても、連絡一つですぐに男の顔が見られる距離だった…」
鬼娘「私は、あなたの顔が見られればそれで満足できてた」
鬼娘「でも…今度からは…」
男「鬼娘…」
鬼娘「どれだけ会いたいって願っても、すぐに会いたいって思っても」
鬼娘「何日、何週間…いえ、何ヵ月も会えないほど離れるの」
鬼娘「小さい頃から近くで過ごしすぎた反動っていうのかな」
鬼娘「急に距離が開くなんて私は耐えられない…」
鬼娘「きっと、その事で男にキツく当たる事も出てくると思う」
62 :
◆loxSgAubwY:2015/05/16(土) 13:05:10 ID:bC/7zvbY
男「それぐらい俺は大丈夫だって!」
鬼娘「それなら、そんなのになっちゃうなら、いっそ…」
鬼娘「全部無くしてしまえばいい」
鬼娘「そう…、思ったの…」
男「何もそこまで…」
63 :
◆loxSgAubwY:2015/05/16(土) 13:06:15 ID:bC/7zvbY
鬼娘「今までだって、私の部活で色々男に時間を合わせてもらってたんだもん」
鬼娘「これ以上、男に迷惑かけられないよ」
男「俺はそんな風に思った事なんてないって!!」
鬼娘「お互い時間の合う、そんなカノジョ探しなよ…」
男「だから…っ!」
鬼娘「私だったらこの機会に、きっとそう考えるわ」
鬼娘「…無理に男に付きまとって、迷惑かけたツケが回ってきたのかな」クスクス
男「迷惑とかツケって…、俺はそんな風に思った事なんか一度も…」
64 :
◆loxSgAubwY:2015/05/16(土) 13:06:56 ID:bC/7zvbY
鬼娘「だからね」
鬼娘「男が心配とか信用できないとかじゃないの」
鬼娘「私は…耐えられない」
男「…どうしても?」
鬼娘「会いたくても会えないって、苦しくなるくらいなら」
鬼娘「それで男に、キツくしてしまうくらいなら…」
鬼娘「元を断てばいいって…」
男「そんな…」
65 :
◆loxSgAubwY:2015/05/16(土) 13:09:12 ID:bC/7zvbY
鬼娘「私も向こうで頑張るからさ!」
鬼娘「男も頑張ってね!」
ポン
鬼娘「それでさ、早く新しいカノジョ、見つけなよ」
男「!」…ズキン!
66 :
◆loxSgAubwY:2015/05/16(土) 13:14:07 ID:bC/7zvbY
鬼娘「男なら性格良いし、見た目もそれなりだしー」
男「それなりかよ…」
鬼娘「あはは…」
鬼娘「すぐに新しいカノジョできるよ」
鬼娘「ま、元カノの私が言うんだもん」
男「元…、カノっ…」…ズキン
鬼娘「私にしたら、それが一番良い方法だと思うの」
男「鬼娘…」
鬼娘「私はさ、向こうで編入することになった高校が随分陸上競技にも力入れてて」
鬼娘「結構良い環境で練習できるんだよね!」
67 :
◆loxSgAubwY:2015/05/16(土) 13:16:12 ID:bC/7zvbY
鬼娘「さっきも言ったけど」
鬼娘「会いたい〜ってモヤモヤするより」
鬼娘「陸上一筋に打ち込もうと思うの!」
鬼娘「私は、大丈夫だから…」
男「そ、か…」
鬼娘「…私のワガママでごめんね…」
鬼娘「バイクの後ろに乗せてもらう約束、守れなくてごめんね…」
男「いや…」
男「おじさんの転勤なら仕方ないよ…」
68 :
◆loxSgAubwY:2015/05/16(土) 13:17:23 ID:bC/7zvbY
男「正直、別れるなんてツラいけど」
男「おじさんや鬼娘達家族にとっちゃ、スンゴイ喜ばしい事なんだよな」
鬼娘「かもね。パパも張り切ってた」クスクス
男「こっちこそ俺のワガママで鬼娘の枷になるワケにはいかないからな…」
男「鬼娘も…向こうで頑張って」
男「陸上、頑張って」
鬼娘「…ありがと」
鬼娘「いつか『陸上界の期待の新星』っとかって、紹介されるかもね」クスクス
男「最近は若いアスリートが注目浴びやすいからな」
男「楽しみにしておく」ニコ
69 :
◆loxSgAubwY:2015/05/16(土) 13:18:19 ID:bC/7zvbY
鬼娘「…うん」
男「…」
鬼娘「…」
男「…」
鬼娘「…じゃ、ね」
鬼娘「変に『最後の思い出に〜』とかイチャコラするより、スッパリ行くね」
男「ん」
70 :
◆loxSgAubwY:2015/05/16(土) 13:19:03 ID:bC/7zvbY
鬼娘「嫌いになったりとかして別れるワケじゃないから」
鬼娘「連絡、取ろうね」
男「ん」
鬼娘「カノジョ、できたら教えて」
鬼娘「ヘタに親密にしてたら怪しまれるかもしれないし、そこはハッキリしないとね?」
男「ん」