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魔王「ならば、我が后となれ」 少女「私が…?」
Part4


96 : ◆OkIOr5cb.o :2015/01/19(月) 01:59:14.27 ID:7GZzCymT0
魔王「お前自身は…その泥水の方を飲むのだろう」
少女「うん。飲むよー」
魔王「それなのに、花には綺麗な水を汲むのか」
少女「うん」
魔王「なぜだ。むしろお前こそ、綺麗な水を飲むべきだろう」
少女「え? だ、だって…あのお花はすごく綺麗だから、泥水じゃ可哀相じゃない」
魔王「では、その泥水を飲むおまえも可哀相なのだな」
純粋で無垢なこの少女は、取り上げて硬くなったパンを売り渡され、泥水で喉を潤す
その少女を、可哀相と言わずしてなんと言うのか。それくらいはすぐに分かった
だから少女について知ったことを、確認するように反芻したのに…
少女「んー…。私は 可哀相じゃないよ?」
即座に、否定されてしまった

97 : ◆OkIOr5cb.o :2015/01/19(月) 02:00:02.26 ID:7GZzCymT0
魔王「……何故?」
少女「えへへ。だって私は、眼を閉じるだけで 尽きることなくたくさん幸せなことが思いつくから!」
魔王「………」
少女「帰ったら、この瓶に花を挿して飾るんだ。頭の傍に置いたら、きっといい匂いがすると思うの!」
魔王「……花の香りがして、どうなるというんだ」
少女「そうしたらきっと いい夢がみられるでしょ? やっぱり、楽しみ!」ニコッ
割れたワインの瓶を抱えて
言い換えれば、あまりにも不憫なその状況におかれても、なお……
この少女は
幸福を、失わずに生きている

98 : ◆OkIOr5cb.o :2015/01/19(月) 02:00:31.17 ID:7GZzCymT0
魔王「おい、お前」
少女「?」
魔王「『尽きることなく、幸せや楽しいことがある』、といったな」
少女「う、うん」
魔王「ならばその幸せとやら、俺に売ってくれないか」
少女「は、はぁ!?」
魔王は本気だった
少女「え、幸せを売るって……」
魔王「空気を買うために身体を売ろうとしたお前なのだ。おまえの幸せを 他の何かで買うことはできないのか」
少女「う、うんー?」クビカシゲー

99 : ◆OkIOr5cb.o :2015/01/19(月) 02:01:02.02 ID:7GZzCymT0
魔王「では、花ではどうだ。お前は花が好きなのだろう」
少女「花で? 幸せを、買う?」
言うやいなや、魔王は指を打ち鳴らす
パチン!という音と共に、大気中の魔素が花びらとなって周囲に降りそそいだ
少女「うわぁ…!!」 
魔王「これで、どうだろうか」
少女「〜〜〜〜〜〜っくぅぅっ!」
少女は大喜びで 降り注ぐ花を浴び、積もるそれを散らし、辺りを駆け回った
それだけでは興奮が冷めないらしく、はしゃいで、魔王の手を取って廻りはじめた
魔王「な、おい…」
少女「すごいすごい! まるで、春の妖精になった気分!! 見て、動くたびに花びらが舞うよ!」
魔王「あ、ああ」
しまいには歌などをうたい、魔王の腕をさんざんに振り回しながら踊り始めた
少女はひとしきり花びらの雨を堪能し、降り止むまで止まる事が無かった

100 : ◆OkIOr5cb.o :2015/01/19(月) 02:03:06.51 ID:7GZzCymT0
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少女「はふぅ…」
魔王「興奮しすぎたようだな」
疲れて、積もった花びらでつくりだしたベッドに座る少女
その横で、ぐったりと疲弊した魔王も身体を横にした
すると少女は身体をずらし、自らの膝を枕として提供してくれる
晴天、木立の間をまぶしい光が縫う 心地よい時間
しばらくの間、魔王と少女はそのままで休憩を取っていた
預けた頭の下にはぬくもりがあり
耳には幼く、優しい歌声が届く
そして目を開けると、疲れた魔王を気遣う穏かな笑顔があった
魔王(……これは)

101 : ◆OkIOr5cb.o :2015/01/19(月) 02:03:42.67 ID:7GZzCymT0
ぼんやりとしていると、鈴を転がしたような可愛いらしい声が聞こえた
少女「でも、これじゃあ 花も幸せも 私が貰ったコトにならないかなー?」
少女が、真剣なまなざしでつぶやくのが見える
少女「うーん…。やっぱり、私ばっかり貰ったことになる気がするー…」
少女「ねえ、私は代わりに 何をあげたらいいかなぁ。ね、聞いてる?」
少女「こんなにたくさんの幸せを貰っちゃったら、命でもあげないとだめかもしれない〜…・・・って、ねぇ? あれ?」
やわらかな眠りに誘われながら、魔王は 幸せというものが何か・・・
楽しさ、可笑しさというのが何か わかったような気がした

102 : ◆OkIOr5cb.o :2015/01/19(月) 02:04:47.47 ID:7GZzCymT0
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魔王(……む。眠っていたか…)
魔王がうたたねから眼を覚ました時
少女はなんと まだ悩んでいた
少女「うー…。ほんとに、何を返せばいいかなぁ…」
魔王「……」
少女「なにか、返したいんだけどな…。できること、あげられるもの なにがあるかなぁ…?」
魔王「……」
少女「叩いたり、身体でーとかは 嫌みたいだし…」

103 : ◆OkIOr5cb.o :2015/01/19(月) 02:05:33.27 ID:7GZzCymT0
少女「うぅ、他になにがあるかなぁ…充分に価値のあるもの…? そんなのあったら、とっくに売っちゃってるよお!」
魔王「……」
少女「何かないかなあ… なんか、なんでも… うーん、うーん…!?」
惜しみなく。ただ、幸せだったから それに見合うものを返したいと言う
ただそれだけで 惜しみなく捧げたいという 無邪気でまっすぐな願い
少女「何か、欲しいものないのかなぁ… 私の持ってるものであれば、なんでもあげるのにな…」
そう呟いてうつむいた時、魔王と目が合った

104 : ◆OkIOr5cb.o :2015/01/19(月) 02:06:47.41 ID:7GZzCymT0
少女「な゛っ。お、起きてたの?」
魔王「……今の言葉は、真実か」
少女「え? あ、うん! なんかあるなら…なんでも言って!」パァッ
魔王「ならば、俺の后となれ」
少女「」
少女を見て、おもわず口から飛び出したのはそんな言葉だった
口をあけたまま固まっている少女が、ようやく「私が…?」と呟いたのを見て可笑しいと思った
でも一番可笑しいのは
自分が何故そんなことをいったのか 自分ではわからないという事だった

114 : ◆OkIOr5cb.o :2015/01/20(火) 12:41:35.55 ID:INjK0txM0
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その日のうちに、魔王は少女を城に連れて帰った
城中がざわめきたったが、魔王は素通りして自室へと少女を招き入れる
少女「……あ、あの。私」
魔王「ああ…注目を浴びて不快だったか」
少女「そ、そうじゃなくて。あの、ここって…」
魔王「俺の城だ」
少女「……本当に、ホンモノの魔王様なんだぁ」
魔王「疑っていたのか?」

115 : ◆OkIOr5cb.o :2015/01/20(火) 12:42:03.09 ID:INjK0txM0
少女「エライヒトは、エライヒトだから。魔王とか、あんまり気にしてなかった」
魔王「お前にとって…軍属の駐在軍であろうと魔王であろうと、同じくへりくだる相手に過ぎないと?」
少女「むぅ。だって、エライヒトはいっぱいいるから…ヤクショクとか言われても、あんまりわかんないんだもん…」
魔王(……最下層、か。そんなものなのかもしれないな)
例えその“エライヒト”の頂点に立とうとも、この少女には意味がない
有象無象と同じ対応。有象無象の一人に過ぎないと言う訳だ
それを思うと、少し苛ただしい気分になる
少女「あ゛」
魔王「どうした」
少女「あの… ご、ごめんなさい!!」
自分の非礼に気がついたか、と 視線だけで話の先を促す
少女「お花の事とか…あんまり嬉しくて。エライヒトなのに、そんな風にぜんっぜん思えなくなっちゃって…魔王様とかすっかり忘れてお話をしてました!!」
魔王「」

116 : ◆OkIOr5cb.o :2015/01/20(火) 12:42:50.55 ID:INjK0txM0
非礼どころか、もはや侮辱のレベル
ここに臣下が居なくて本当によかったと思った
だが『魔王』という立場に強い誇りがあるわけでもない
魔王自身は、魔王として扱われないなんて事はどうでもよかった
むしろ
魔王(こいつは、俺を『魔王』として見ていなかった…。ならば『何』と話をしていたつもりなんだ?)
話せば話すほど、疑問が募る
あちらこちらへと興味がわく
少女「今度からはちゃんと、魔王様って呼ぶからねー!」ニコー
魔王(心がけは立派だが、肝心なのは呼称より態度にあるのではないだろうか)
言葉にはしない
あれほど話をしたいと思っていたのに、言葉にする気になれない
諌めようとは思えなかった
諌めてしまえば、きっと従うだろう。魔王が服従できない相手などいないのだから

117 : ◆OkIOr5cb.o :2015/01/20(火) 12:43:33.50 ID:INjK0txM0
少女「魔王様! ねぇねぇ、コレは何? すごいね! こんなにいっぱいの立派なもの、見たコト無い!」
少女「う、うわぁぁぁぁぁぁ!! すごいーーー! お布団がふかふか! 屋根がある!? 布団のお部屋なの? お部屋の中にお部屋なの!? なんで!?」
少女「! コレ、壁じゃなくて鏡だ!! ピッカピカで、しかもすっごいおっきい鏡だ!? か、顔だけじゃなくて 身体も全部写るよ!?」
魔王「……気に入ったか?」
少女「……こんなおっきい鏡がもしも割れちゃったら、私が8人になっちゃうと思うと…ちょっと怖い」ブルブル
魔王「」
服従するのは簡単だろう
だけれど、放っておいた方がこんなに可笑しい
手に入れたいと思ったはずなのに、手にしてしまうのは勿体無い

118 : ◆OkIOr5cb.o :2015/01/20(火) 12:44:22.63 ID:INjK0txM0
欲しいのか、欲しくないのか わからなくなってしまった
もしかしたら 自分の物になどしなくていいのかもしれない
結局、そんなことはどうでもいいんだ
ただ
魔王「8人に増えるのならば、割ってみよう」
少女「えええ!? やだよ! 割っちゃだめぇ!!」
こうして居てくれることが『嬉しい』と知っただけで、満足だった

119 : ◆OkIOr5cb.o :2015/01/20(火) 12:45:21.17 ID:INjK0txM0
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厄介ごとを避けるために、臣下や従者たちへは何も説明をしなかった
后にしようと思った、などと言っては 今度はどんな混乱になるかわからない
ましてや、本当に『手に入れたい』のか 疑問すら持ってしまった身だ
少女を連れ帰りそばに置いたまま沈黙をする魔王を見て
城内には様々な憶測が飛び交った
「ペットのおつもりじゃないかしら」
いつの間にかそんな意見に憶測が集中し、そこで収まった
夕方には数人の侍女が魔王の部屋を訪ねて来て……
メイドA「魔王様のお部屋を汚されては困りますので、身体を洗いましょう」
メイドB「まぁ、ひどい傷。魔王様の側にこのような穢れがあるなんて」
メイドC「麻服? 魔王様の品位と沽券に関わります。いくつか違うものを用意しなければ」
少女「あ、あのっ あの!?」
魔王「……」
少女が困惑しているのに気がついたが
衣服を脱がされ始めたのを見て、魔王は何も言わずに部屋を出た

120 : ◆OkIOr5cb.o :2015/01/20(火) 12:45:51.63 ID:INjK0txM0
魔王が時間を置いて部屋に戻った時、既にメイドたちは退室していた
一人部屋に残されていた少女は、真っ赤な顔をしてモジモジと立ち尽くしている
鏡と魔王を交互に見ては、うつむいて口ごもって、最後には座り込んで動かない
魔王(どうしたのだろうか)
少女が着ていたのは 夢にまで見て憧れた、美しい絹の一級品のワンピース
夢見心地でお姫様気分を味わいつつも、あまりの照れくささに披露するのもはばかられる代物
少女(な、なんで 何もいってくれないの〜〜〜! どうしようっっ//)
少女が着ていたのは メイドの一存で即時に数着の用意ができるようなワンピース
落ち着いたならば、『后』として充分に相応しいものを贈るべき魔王にとっては一時的な着替えに過ぎない代物
魔王(ふむ。衣装か…気付かず放置していたが必要なものだな。早いうちにきちんと整えねばならぬ)ハァ
少女(うぅ。こんなに立派なお洋服、やっぱり似合わないのかなぁ)ハァ

121 : ◆OkIOr5cb.o :2015/01/20(火) 12:46:20.99 ID:INjK0txM0
こうして始まった魔王城での生活だったが
なんだかんだとうまく物事が進んでくれた
翌日以降
恥ずかしそうに魔王の後ろに隠れてどこまでも付いて回る少女を見た者によって
『少女=魔王様のペット』という図式が 広く城内に認識されていったからだ
魔王の機嫌を損ねないよう、そのペットである少女は誰からも虐げられることはない
魔王の招待客として扱われていたら、過度の接待を受けて気後れすることになっただろう
后として紹介されていたならば… 妬みの的として、どこかの謁見希望者に暗殺されていたかもしれない
ペット、という周囲の待遇
それが今の少女にとっては、快適で居心地がよく素晴らしい生活だったのだ
それが丁度よかったと気がついたのは、もうしばらく後のことだが……
ともかく、こうして少女は
ゆっくりと魔王城に溶け込んでいくことができたのである

124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/01/20(火) 14:28:17.39 ID:aWK/M55uO
可愛い!面白い


125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/01/20(火) 14:38:35.67 ID:Lb4CFAgGO
いいっすねぇ

126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/01/20(火) 16:58:29.98 ID:9tSjUJXkO
乙ー
いやはやどうなることやら、続きが気になるね

127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/01/20(火) 17:38:00.28 ID:v18eES5U0
少女ちゃん可愛いですー

128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/01/20(火) 18:17:13.51 ID:+cV9SjvaO
よかった。
これまで少女が不憫で不憫で どうしようもなかったから。
二人が幸せになれますように。

137 : ◆OkIOr5cb.o :2015/01/21(水) 17:24:10.02 ID:WWLfwMQc0
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謁見の間に少女も同席するようになってから数日
事情を知らない謁見希望者の間には 城内とはまた少し違った噂が流れ始めた
「あれは、どこかの国が秘密裏に魔王様に捧げた娘なのではないか」
少女自身は、いつも魔王の後ろに隠れている
見え隠れする場所で姿を現さない少女に対して、日に日に詮索の視線は強まっていった
好奇、羨望、嫉妬、侮蔑。そういった種で、あからさまに少女に向けられた物もあった
魔王(不愉快だ)
ある日、魔王は謁見を中断し 少女を離席させることに決めた
少女を視線から守るためにマントに隠し、無言のまま退室する
部屋に少女を残し、謁見の間に戻ると… 扉の向こうでは また混乱が起きていた

138 : ◆OkIOr5cb.o :2015/01/21(水) 17:24:50.04 ID:WWLfwMQc0
「魔王様はどうなさったんだ。謁見はどうなる!?」
「あの娘に何かあったのでは? あの様子、寵愛しているようにも見えるではないか」
「俺がこの謁見の機をもらうのに、何ヶ月待ったと思ってる! あんな貧相な小娘…」
臣下B「皆、落ち着いて欲しい。ともかく魔王様のご様子を伺いに行かせる。申し訳ないがしばし待機いただきたい」
「大体、噂に聞いていたがあの小娘はなんなんだ」
「どこの国だ、おまえの所から出してきたのか!?」
「何!? うちならばもっと立派な美女をーー そういうお前の所なんじゃないのか!?」
「あんな金魚の糞のようなガキを、どうして我が国がーー」
来訪者同士の、小汚い罵り合い
突然に魔王が居なくなり、緊張のタガが外れたせいもあるのだろう
互いの言い合いがエスカレートしていく内に、その言葉は全て少女をなじる物に代わっていく

139 : ◆OkIOr5cb.o :2015/01/21(水) 17:25:23.81 ID:WWLfwMQc0
臣下A「貴様ら、いい加減にしろ! あの娘はどこの国かより捧げられたものではなく 魔王様のペットでーー
魔王「后だ」
「「「!!!?!?」」」
扉を開けると同時、そう一言だけ宣言する
部屋中の者達を見渡すと 一様に皆、凍りついた
冷え切った空気の中を、まっすぐ玉座へ歩く
ドサリと乱暴に椅子に腰かけ、肘掛に頬杖をつく
謁見途中だった組の3人は 蒼白の表情で膝をつき、微動だにしない
魔王「お前たちか。貧相な小娘、金魚の糞…そのように言っていたな」
謁見希望者「「「!!!」」」
魔王「臣下。お前もあいつをペットだなどと言っていたが… 誰がそう言った?」
臣下A「そ、それは……」

140 : ◆OkIOr5cb.o :2015/01/21(水) 17:25:49.73 ID:WWLfwMQc0
魔王は、魔王だ
誰もが彼の才能に畏怖し、視線に硬直し、その言葉に希望を見失う
それは決して 先入観や第六感的なあやふやなものに起因するわけではない
生まれながらに、彼は次代の魔王としての教育を受けてきた
代々その血に受け継がれてきたものは 威圧感あるその風貌だけではない
怒らせれば一人で国を破壊することも可能な魔力ーー武力
気に障れば、一声で経済貿易を停止させてしまえるほどの、権力
それだけではない
誰かに先手を打たれてしまえば…あっという間に有利に事業を成立されてしまう
人も、土地も、金も 全ては彼の手の内だ
魔物を生み、操るかのごとく統制に置くその支配力は、何よりも恐ろしい
王族も貴族も富豪も商人も、些細な魔王の言動にすら人生を左右されかねない
知れば知るほどに、震え上がる
夢物語ではなく…現実に、王としてそこに存在する“絵に描いたような恐怖”
それが、魔王という存在であった