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男「クリスマスにコミュ症で何が悪い」
Part2


22 : ◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 18:01:52.13 ID:ojA/fmKu0
近付くと、キャンペーンで呼び込みをしていたスーツのお兄さんは
僕たちをカップルとまちがえて声をかけてきた
ーー今日の記念に! クリスマスだしね!
男「え」
女「あの」
ーーほらほら、どうぞどうぞ!
男「その」
女「あ…」
僕たちは二人揃って結局断りきれなかった
流されるままに 僕のスマホを渡して写真を撮ってもらった
ーーはい、ピース!
スマホを受け取ると
お辞儀をしてそそくさとその場をあとにした
他の人からの視線が、気になる
こういう場所で写真を取られるのは ひどく緊張した
そうして僕たちは まっすぐに地下鉄の駅に歩いていった

23 : ◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 18:02:40.02 ID:ojA/fmKu0
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地下鉄駅構内
男「……」
女「……」
地下鉄に乗る 待ち時間
ふと、さっきのスマホを確認する
彼女が写っているのだから、確認してもらって消したほうがいいかもしれない
万が一、欲しいのなら赤外線でもなんでも送りようはあるし…
そう思い、スマホのピクチャフォルダを開いたときだった
男「ぶっ」
思わず吹き出してしまった
いかにもキメ顔でパントマイムの杖をかっこよくかまえていたはずの彼は
凝り固まった真顔の僕たちの真ん中で ひどい顔をしておどけていた
男(ど、どうしよ。ギャップと 緊張感のせいで妙なツボにはいってしまった…!)

24 : ◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 18:03:17.08 ID:ojA/fmKu0
必死に笑いを堪えてみるが、我慢しようとするほどにツボが深まる気がする
とりあえず、彼女にスマホを渡して、写真を確認して欲しい旨を伝える
……正直、言葉にならなかったような気もするが、意図を察してくれたらしい
そして
女「ふぁ!?」
男「ぶは」
素っ頓狂な声で写真を見て驚く彼女の声に、さらに噴出してしまった
そんな彼女も 写真と、笑いを必死にこらえる俺を見ているうちに
妙なツボにハマってしまったらしい
時折、違う、コレが… などと 言葉にならない弁解を繰り返すが
笑いを必死に堪えている様子は 余計にツボを刺激するだけだった

25 : ◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 18:03:57.91 ID:ojA/fmKu0
そうして、なるべく沈黙を保とうとする中で
二人でにやけるのを我慢している。肩を震わせながら。
我慢している様子が、なおさらおかしい
そうこうしていると地下鉄のアナウンスがはいった
僕たちは電車に乗り、彼女が先に品川で降りた
僕は、友に聞いて知っていたので
桜木町の初売りのセールがあることを教えてあげた
女「行ってみます」
電車のドアが閉まり、その向こうで
彼女はにっこりと笑って小さく手を振った

26 : ◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 18:04:25.30 ID:ojA/fmKu0
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男の自宅 自室
男(名前も聞かなかったし まともに喋った会話も数える程度…)
男(でも… なんだか いいクリスマスだったな)
男(…桜木町… 初売りのセールにいけば あの子に会えるかな)
男(でも…さすがに男一人で初売りセール? はずかしい…無理だろ)
男(っと。あ、そうだ。めっちゃノリ気でいきそうなやつがいるじゃん)
友に電話して 付き合わないか打診する
地元にいるなら初詣にも付き合えよ、といわれた
男「友… こいつ、本当にいいヤツだな コンチクショウ」

27 : ◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 18:07:50.33 ID:ojA/fmKu0
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元日
友「初詣にーー きたーーーーーー!!!」
友人「なんだよそれww」
男「はは…」
僕たちは、出店で林檎飴を買ったり、御籤を引いたりした
朝早い時間から集まったのもあり、11時を回るころにはすっかり疲れていた
今日はそれぞれ、親と親戚の家に行ったり
見たい特番があるとかで、そのまま解散することになった
そして、みんながバラバラに帰るのを 僕は鳥居で見届けた
大体こういうときは、最後の一人になるのが僕だ
なんとなく、誰かと一緒に帰ろうとか 思わない
全員居なくなってからでないと、一息つけないのだ

28 : ◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 18:08:29.62 ID:ojA/fmKu0
男「さて…と」
周囲を見渡す
どこもかしこも、人だらけだった
きっとこの時間に電車に乗っても混んでいる
近くの喫茶店などは開いていないかもしれないし
開いているところはきっと混んでいるだろう
男「んじゃ… まあ」
僕は人混みを避け、社務所の脇をすり抜けて行った

29 : ◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 18:09:20.27 ID:ojA/fmKu0
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社務所裏 小さなベンチ
男「お。大正解…」
休憩を取るのには最適なスポットを見つけ出した
持っていたペットボトルを飲みながら、ベンチに腰掛ける
しばらくそうしていたが
たまに宮司さんがくるくらいで他には誰も来る気配がない
男(まさに、穴場だね)
こういうのを探すのは得意だ
はじめての場所でもだいたいすぐにわかる
なんとなく、人気のない 開けた場所というのがわかるんだ
だけど…
男「あ」
女「あ」
知らない人に会う確立ですら低い場所で
まさか、知った顔が現れるとは 思わなかった

30 : ◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 18:09:53.25 ID:ojA/fmKu0
…これはどうやら、やはり
女「ふ、ふふふ」
男「はは… やっぱ、そうなのかな」
女「うん… 」
男・女「「コミュ症です」」
僕たちの声が揃った
その指先は、それぞれ自分を指差している
まるで鏡のように、見事にシンクロした
ありえない内容で、ありえないシンクロに
僕たちはまた肩を震わせて 笑いを堪えるのに必死だった
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・

31 : ◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 18:11:00.42 ID:ojA/fmKu0
お互いにベンチに腰掛けて、ぼんやりとしていた時だった
女「卒業…したいな」
男「今、三年?」
女「ううん。 二年」
男「同じだ」
女「……」
男「……」
男「……あのさ。じゃあ、なんの卒業?」
女「えへへ… それはやっぱ、コミュ症?」
男「あはは… 確かに。 僕も、同じだ」
女「……」
男「……」

32 : ◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 18:11:37.80 ID:ojA/fmKu0
女・男「「あの」」
女「……」
男「……」
女・男「「名前」」
女「……」
男「あはは… な、なんだろうね。シンクロ率がやばいね…」
女「……お……」
男「……え?」
女「…女、です」
男「あ…… 男…です」
女「……」
男「……」

33 : ◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 18:12:20.92 ID:ojA/fmKu0
女「あの… ありがとう」
男「え…」
女「駅で…困ってるのみて… 焦らせないように 並ばないでいてくれましたよね」
男(あ)
男「ばれてたんだ」
女「そ、そういうの… すぐ、気づいちゃうほうで」
男「…女さんも、さ」
女「え…?」
男「…僕が 悩んでる女さんを気にしてるの…知ってて。券売機、待たせないように 聞いた方がはやいって…聞いてくれたんだよね」
女「え… ばれてましたか…?」
男「はは… 僕も…そういうの、すぐ気づいちゃうほうだから…」

34 : ◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 18:13:39.72 ID:ojA/fmKu0
女「……ふふ」
男「はは…」
女「電車で… 人混みの影になるように してくれたり」
男「傘で、カバンをスリから守ってくれたり」
男・女「「言いかけたのが気になって なんとなく離れられずにいたり?」」
女「…あはは」
男「考えることまで、似てるのかぁ」ハハ
女「コミュ症なんで、毎回 似たような行動しか取れないんですよね」フフ
男「わかる」
女「ロッカーのときも、そうだったけど。こうして…人ごみを離れて、隠れるような場所までおなじなんて」
男「そうだね、ちょっと… さすがに、奇跡的」

35 : ◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 18:14:14.43 ID:ojA/fmKu0
女「……奇跡…ですか」
男「うん… でも わかってくれるって 嬉しい」
女「私も……気付いてくれて…嬉しいですから」
男「……」
女「……」
きっと ずっと
言い出せないんだろうとはおもう
でも わかってくれる、気付いてくれる
この想いも きっと
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・

36 : ◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 18:15:01.40 ID:ojA/fmKu0
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数年後
結婚式場
友「よう、男!! おめでとうな!! あと、メリクリ!ヒャッハーーー!」
男「はは…そっちかよ」
友「冗談だw それにしても… まさか 男が仲間内で一番に結婚とはなー」
男「はは… びっくりだよね」
友「なぁなぁ、プロポーズは? なんていったの? やっぱ“結婚してください!!”?」
男「あ…」

37 : ◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 18:16:10.32 ID:ojA/fmKu0
友「なんだよー? 教えろよ、このこのっ」
男「まだ…言ってないんだ… ハハ…」
友「え?」
男「結婚しよう…みたいなこと。っていうか…」
男「好き、みたいなことも… 言った事、ない…かな」ハハ
友「」
友「はぁぁああああああああぁ!?」
男「はは… び、びっくり だよね」
さすがに 僕も
まさか 本当にずっと言えずにいる自分には驚くんだ

38 : ◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 18:17:35.21 ID:ojA/fmKu0
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チャペル
神父「汝は 病める時も健やかなる時も…
友(おいおい、マジで…? どういうことよ…? どうやって結婚までこじつけたんだよ…?)ジィィィ
男(な、なんか… 変な視線感じるなぁ)
神父「…〜〜〜 誓いますか?」
男「……」チラ
女「……」チラ
男「誓いますーー」
女「」ピク

39 : ◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 18:18:25.94 ID:ojA/fmKu0
神父「ではー 新婦ーー〜〜〜…誓いますか?」
女「……」チラ
男「……」チラ
女「誓いますーー」
男「」ピク
神父「ではー…
式は、順調に執り行われた

40 : ◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 18:19:35.69 ID:ojA/fmKu0
ふたりして 並んで肩を震わせているのには
泣いていると勘違いした人も きっといるんだろう
でもぼくたちは こんなに厳かな式の最中
黙って二人で、ツボにはまっていた
ここまでこなきゃ、どれだけ言いたくても言えなかった自分たちに
そんな最愛の人の、その止められきれてない ニヤケ顔を必死に抑える姿をチラ見する度に
にやけるのを我慢して、幸せそうに 満足そうに笑っている姿をみて…
たまらなく、ツボにはいっていた
そんな人が 人生の伴侶になってくれるんだったら…
参加者「「「ハッピーウェディング! & メリークリスマス! 男!女!!」
クリスマスにコミュ症で、何が悪い?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
おわり

41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2014/12/25(木) 18:21:59.53 ID:LRSDIK1mO
死にたくなった
(´・ω・`)とおもうらんらんであった

42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2014/12/25(木) 18:29:28.34 ID:Ul+440HMo
傷をなめあうスレかと思ったら致命傷を負った

43 : ◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 18:30:32.64 ID:ojA/fmKu0
※全体に コミュ「障」と コミュ「症」で 打ち間違えてます
>>41 thx! 生きてください

44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2014/12/25(木) 18:41:44.63 ID:XkLbPEFmO
いいなこういう関係
いいな…

45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2014/12/25(木) 23:59:15.85 ID:uEJecrIdO
なんかなける

46 : ◆OkIOr5cb.o :2014/12/26(金) 10:28:52.11 ID:Xkl8iZKP0
>>16 今更すぎるけれど 意味がわからない単位を反省して訂正しておきますね
×2男時間
○24時間
>>42->>45 thx!