Part1
男「クリスマスにコミュ症で何が悪い」
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1 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 17:46:20.71 ID:ojA/fmKu0
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♪プルル プルル… プ
男「もしもし」
ーーあ、男? 今さぁ、カラオケにみんな集まってるんだけどさ、男も来ない?
男「…あ。うん…え、俺が行って迷惑じゃないかな…」
ーーえ?ごめ、聞こえねーよ もっと大きな声で…
男「あ、だからその…俺が行ったら、盛り下げたりしちゃわないかな…って」
ーーなんてー? 来るの? こねぇの?
男「……っ、だ、だから、その」
ーーもっかーい! おっきな声出してくれ、こっち後ろ うるせぇんだわ!
男「………っ! ご、ごめん!」
ーー……あ、そ、そか。なんかいや、こっちこそごめん、来ると思ったからさ
男「あ…」
2 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 17:46:57.71 ID:ojA/fmKu0
ーーまあ年末だし用事あってもおかしくないわな
男「う、うん」
ーー正月の初詣の話もでてんだわ、初日の出。あー…でもあれか? そっちも来れない系?
男「そ……れは、その」
ーーあはは、いいよいいよ。カラオケこない時点でそんな予感してた。断るのも気まずいよな、男って気にしぃだしなー?
男「ご、ごめん。でも誘ってくれるの、嬉しいから…」
ーーあー、いいって。気にすんなよ、田舎かえるやつとかも結構いるし、地元残り組だけだしさ
男「そ、そうなんだ」
ーーじゃあ またな!
男「うん、楽しんでーー」
プチ
3 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 17:47:34.58 ID:ojA/fmKu0
男「……」ハァ
男「………く…」
男「クリスマスにコミュ症で何が悪い!」
男「なんだよ、みんなでクリスマスにカラオケとか 超たのしそうじゃん!!」
男「行きたいよ!めっちゃいきたいよ!!」
男「くっそ、あああああ なんでノリよく言えないんだろ!?」
男「気にしぃとか なりたくてなったわけじゃないんだよ!!」
男「でもなんかしんねーけど気付いちゃうから 気になるんだよ!」
男「端の席にいるから、聞き取れなくて会話に入りそびれて愛想笑いだけしかしてない子とか!」
男「飲み物ほしいけど会話が盛り上がってて注文できないでいる子とか!!」
男「帰りたいけどタイミングとれなくて帰れない子とか!!」
男「だからって、直接に声とかかけれねーよ!」
4 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 17:48:04.20 ID:ojA/fmKu0
:::::: 回想 ::::::::
男「あ、あのさ…ごめ」
友「なんだよ男ー?
男「トイレいきたいから、道開けてくれるかな」
友「ちょっ、トイレってww めっちゃ盛り上がってるのにトイレ中断かよww」
男「ご、ごめん」チラ
友「あー。ま、いっか。俺もしゃべりすぎて喉いてー。 ドリンクバーいってくるわー」
友「みんなはー? なんかいるー?」
“あ。じゃあ、私もーー”
タタタッ
男「あ…よかった。席、立てたんだ…」ホッ
友「……ほんと、男ってよく気付けるよなー…」
5 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 17:48:32.03 ID:ojA/fmKu0
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男「俺一人じゃ…気付けても、気遣いはうまくできなくて」
男「いっつも友に助けられて…」ハァ
男「ついでに、株ももってかれんだけどな」
男「まぁ、でも…」
男「代わりに俺が恥かぶるくらいなら…別にいいんだけどさ…」
男「友は分かってくれてるから、俺のこと馬鹿にしたりしないし」
男「いじられキャラみたいになっちゃったけど、おかげで声かけてくれる友達もたくさんいる」
男「俺の居ないとこで、俺の評判あげようって フォローもしてくれるし」
男「……くっそ。友こそ 気にしぃなんだよな。悪意なさすぎ」
男「あーー モヤモヤのやり場がねぇー!!」
男「クリスマスに自宅で一人でまったり…」
男「寂しいだろ」
男「………出掛けよ」
6 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 17:49:03.61 ID:ojA/fmKu0
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地元駅
男「とは言え…」
男「カラオケ断るみたいになっちゃった以上、地元で鉢合わせたら気まずいよな」
男「電車で…どっか遠出するか」
男「あ。やべ、suicaいれてるパスケース、忘れた…。しゃぁねぇ、久しぶりに切符かうかぁ…」
7 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 17:50:19.85 ID:ojA/fmKu0
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券売機前
男(あ……)
女(えっと…原宿…あれ?乗り換えだから、切符は…あれ…?)
男(あー…あの辺、私鉄多いからなぁ…乗り換え切符は買うとき面倒なんだよな…)
女(あ、あれ? 調べてあった価格と違う…な、なんでだろ?)
男(乗り換え駅が違うからだな。横浜からと品川からじゃなぁ…)
男(なんて。思ってても言えない…ああいう子はSuicaつかうべきだな、うん)
女「あ、あの」
男「え?」
女「その…電車…わかりますか…?」
男「えっ…あ、あの 俺…?」
女「す、すみません 迷惑でしたよね… し、しつれいしました…っ」
男(あ……もしかして)
8 :
↑一人称が俺→僕 に訂正です ◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 17:51:14.48 ID:ojA/fmKu0
男「……あ、あの」
女「…え?」
男「あの…わかり、ます 」
女「……」
男「……」
女「え、えへへ…」
女「教えてもらえますか…?」
男「は、はい」
それが僕たちの出会いだった
9 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 17:53:18.45 ID:ojA/fmKu0
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電車内
ガタンゴトン…
なんとなく、一緒に電車に乗ってしまった
男「……」
女「……」
男(随分…混雑してんな)
女(あ…)
男(通路側に身体をずらしたけど…。自然に出来たかな…)
男「……」
女「……」
10 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 17:53:47.68 ID:ojA/fmKu0
女(……)
サッ…グッ
男(ん…? ああ、傘を持ち変えたのか)
男(って。斜めに持ち上げるとか不自然でしょ。なんで…)
女(……)
男(あ…俺の斜めがけのカバン…? スリに合わないように、こうして傘で…取られにくいようにしてる…?)
男(この子…)
女(……)
男「……」
女「……」
♪次は〜品川ー…JR線にお乗りかえの方は〜…
11 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 17:54:13.56 ID:ojA/fmKu0
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品川駅構内
ザワザワ…
女「あの…」
男「あ、えっと…乗り換えは、あっち…です」
女「あ、はい…あの」
男「……」
女「……」
男「……あ、その。じゃあ…」
女「は、はい。さ、さようなら…。ありがとうございました…」
男「い、いえ」
僕たちは小さく手を降り、そこで別れた
12 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 17:54:52.11 ID:ojA/fmKu0
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男(とはいえ…)
男(なんか言いかけてたし、無事に行けたか気になるし)
男(なんとなく 構内をうろついちゃったなぁ…)
男(…ちょっと休も)
人混みで邪魔にならなそうな ロッカーの影によりかかると
僕は携帯を出し、暇に任せていじっていた時だった
「「……はぁ」」
男(え?)
男(ため息が…シンクロした…?)
13 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 17:55:31.31 ID:ojA/fmKu0
覗きこむようにロッカーの反対をみると… 彼女の姿があった
男「う」
男(……で、でも…まだいるって、なんかおかしいよな)
男(なんか…困ってんのかな…)
<メリークリスマス!
男「」ビクッ
男(あ、なんだ…パン屋のスピーカーかよ…)
男(クリスマス…か)
男(勇気を…出してみようかな)
男「あ、あの」
女「!」ビクッ
14 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 17:55:58.28 ID:ojA/fmKu0
女「え… え? あ、あれ!?」
男「あ、あはは…まだ、いたんですね…」
女「そ、その…人混みでやられちゃって…」
男「あー…、わかり、ます」
女「……」
男「……」
彼女のスマホはライトがついたままだった
どうやらマップをみていたらしい
男(いや、やっぱり、もうちょっと…勇気をだそう)
15 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 17:57:08.66 ID:ojA/fmKu0
男「もしかして…どっか行きたいとこ、さがしてたりですか?」
女「え… は、はい。 そ、そうです」
男「め、迷惑じゃなければ…その」
女「え…」
男「案内…しましょうか?」
友に、あちこちになにかと連れ回されていたことに、感謝しようと思った
16 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 17:57:47.01 ID:ojA/fmKu0
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品川駅 周辺ビル
僕たちは一度、駅から出た
男(人混みに酔っていたようだったからな…やっぱ外気にあたんないと、電車にやられちまうよな…)
屋外にある広いフリースペースにはベンチや樹木がならぶ
綺麗な駅だと思う。休むにも最高だ
男(時間的に…もう昼食でもいいけど…食欲も予算もわからないしなぁ)
男(コンビニはあるけど…)チラ
女「あ…すごい。セブンイレブンだ」
男「え?」
女「2男時間じゃないです。7-11ですね、ほんとに」
男「ああ…営業時間」
17 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 17:58:14.99 ID:ojA/fmKu0
女「初めて見ました」
男「テナント店だし…駅かビルの利用客にあわせてあって…」
女「へぇ…」
男「……いく?」
女「…はい」ニコ
男(結局、俺はサンドイッチと肉マンをかった)
男(彼女はカロリーメイドとウィダー)
男(やっぱり食欲はあんまなかったんだな…。 店 はいんなくてよかった)
男(それにしても… あのタイミングで、コンビニの話振ってくれて…助かったな)
一休みしてから、僕達は電車に乗った
18 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 17:58:47.84 ID:ojA/fmKu0
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電車内
男「え? イヌーピーショップ…?」
女「原宿駅前の…ありますよね」
男「……いま、ないよ?」
女「え?」
男「あ…。そこにいきたいなら 桜木町いけばよかったかな…」
女「…桜木町にあるんですか?」
男「うん」
女「…今度、いってみますね」
そうして僕たちは それ以上の会話が出来ず…
とりあえず目的地の原宿に降りてしまった
19 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 17:59:30.21 ID:ojA/fmKu0
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原宿駅
男「今日は…他にはどこに?」
女「あ… 図書館に」
男(なら 原宿のど真ん中は避けていこう)
男「じゃあ…こっちに」
女(え?)
男(竹下通りを抜けたら…人、きっと すごく多いもんな…)
女「……」
男「……」
僕たちは何事もなく、図書館に辿り着いた
20 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 18:00:13.56 ID:ojA/fmKu0
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渋谷図書館
図書館でに着いてすぐに 僕は本を一冊手に取った
男「俺…これ、みてるし ご自由に…」
女「あ…は、はい」
入り口にあったオススメ新刊を やはり入り口にちかい席にすわって読む
小一時間して 彼女が声をかけてきた
小説は 丁度終わるところだった
男「もう、いいの?」
女「はい」
男(……終わるのを待っていたようなタイミングだけど…)
男(もしかしたら 彼女も…?)
21 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 18:00:53.92 ID:ojA/fmKu0
外に出ると、雨と雪が混じっていた
僕が折り畳み傘をだすのと同時くらいに、彼女も傘を広げた
並んであるく
だけど、来るときよりも一歩、歩幅を離した
男「……」
女「……」
男(傘…当たらないにしても。滴はねたら、服とか汚れたりするし可哀想だもんな)
歩いていると、ふと目に留まったイベントがあった
女「あれ…なにかのキャンペーン…ですかね…」
男「パントマイムと写真をとれるらしいね…」
女「へぇ…」
男「少し、見てみようか」