Part9
192 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 11:53:25.83 ID:ojA/fmKu0
姫勇者「ところでそこの… 女勇者サン?」
女勇者「は、はい?」
姫勇者「……ふぅん。まぁまぁね」ジロジロ
女勇者「」
女勇者(ま、魔王。どうなってるの?)
魔王(俺に聞くな! 神にでも聞け!!)
姫勇者「で、アポロン。せっかくこんあところまで来たのなら、何かあたしに言うことはないの?」
神「愛してる」キリッ
姫勇者「うざい」
ゲシッ
女勇者「えっ」
魔王「な」
193 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 11:54:30.98 ID:ojA/fmKu0
神「ああっ ひどいよ姫!!」
姫勇者「あ、ようやく普通に喋りだしたわね。ほら、もっと蹴ってあげよーか?」
グリグリ
神「や、やめてやめて! わき腹にヒールはやめてくれ!」
姫勇者「はぁ〜? 誰にいってんの? あんたがあたしにしたコト覚えてないの?」
神「忘れたことも無いよ!!」
姫勇者「なら甘んじて受け入れなさいよ」
ゲシゲシ
神「ああああっ」
女勇者「や、優しくて 甘くて淡いとかいってなかったっけ…?」
魔王「神にとってこれが優しさに見えているのか…」
194 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 11:55:39.52 ID:ojA/fmKu0
姫勇者「あら、ごめんなさい。こいつの顔を見るとね、蹴らずに居られないの… うん、もう蹴らずには生きて行けないくらい」
神「俺が居ないと生きていけないとか ツンデレ姫って本当にかわいい」
姫勇者「ええもう 本当に愛してるわ。蹴る行為を」
ゲッシゲッシ
神「ははは、本当にいつからこんなにヤンデレになっちゃったんだろうね、やっぱ蹴りにちょこっと甘さがあるよね」ボコボコ
女勇者「……どういうご関係なのか きいてよろしいでしょうか」
魔王「…神は、勇者を殺したのではなかったのか?」
姫勇者「まあね。実質、コイツに殺されたようなものだわ」
神「あの時は本当に、一生 泣き濡れて生きようと思ったよ」
女勇者「いや ほんとにマジどういうことよ」
195 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 11:56:29.00 ID:ojA/fmKu0
姫勇者「……? 何? あたしのことを知りたいの?」
女勇者「う、うん 多分」
魔王(正直、俺はなんだか知りたくない気がするんだが)
女勇者(私だって本音はそうだよ!!)
姫勇者「ふぅん… じゃあ 教えてあげるわ」
神「う」
姫勇者「アポロンの… 悪行をね?」クス
神「あの、勘弁し
姫勇者「黙ってなさいよ、あたしの美声を聞きたくないの?」
神「拝聴いたします」
196 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 11:57:17.78 ID:ojA/fmKu0
女勇者「あなたは… 神様のなんだったの?」
姫勇者「他人よ。調子に乗っていたアポロンに、ほんの少しの仕置きをするために 私は彼を挑発しただけ」
女勇者「仕置きって… 神様は何をしたの?」
姫勇者「いろいろね。他の冥府の神々を見世物にしたり、あちらこちらで女の子達に手を出したり、笑いものにしたり」
魔王「最低だな」チラ
神「反省している、後悔も少しはある」ドヨン
女勇者「それで…… その仕置きっていうのは?」
姫勇者「アポロンはね、理想の青年なんてみんなに言われてとてもモテたのよ。その中でも、ある妖精の女の子が… アポロンに夢中でね」
女勇者「とりあえずその妖精、少女Aとしておこうか」
魔王「お前の命名センスを疑うな」
197 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 11:58:03.17 ID:ojA/fmKu0
姫勇者「そうそう、アポロンも、少女Aのことを随分可愛がっていたのよ」
魔王「何事もなく受け入れた…だと!?」
女勇者「この適応力の速さ、なんかちょっと親近感あるなぁ」
姫勇者「……聞く気がないならやめるわ」
女勇者「あっ 聞きます聞きます! 恋バナ大好き」
魔王「……俺は黙っておこう」
神(……口を挟みたいけど挟める気がしない)
姫勇者「ん。でね、さっき言ってた…笑いものにされた他の神様に、あたしは遣わされたの。アポロンへの報復を目的にね」
姫勇者「やるべきことはひとつ。神の目をあたしに釘付けにすること…」
姫勇者「そうしてそれを、アポロンのお気に入りの少女Aに見せ付けて、こいつらの関係を修羅場にしちゃおうって話だったのよ」
女勇者「…神様も人間みたいなことするんだね」
姫勇者「まあ、空の国も冥府もヒマらしいからね」
198 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 11:58:31.81 ID:ojA/fmKu0
女勇者「んでんで? どうなったの?」
姫勇者「……アポロンに、ちょっとあたしのことを口説かせたらそれで終わる話だったんだけど…」チラ
神「う」
姫勇者「あいつ、あたしに一目ぼれしてね… その日の夜を待たないうちに、“過剰すぎる狼藉”をはたらかれたのよ」
女勇者「えっ」
神「我慢できませんでした」
姫勇者「で。少女Aにはアポロンがあたしをナンパしてるところを見せ付けるはずだったのに、実際はバカみたいなベッドシーンになっちゃって」
女勇者「マジ切れ?」
姫勇者「爆ギレ」
魔王「……」チラ
神「」
199 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 11:59:08.34 ID:ojA/fmKu0
姫勇者「で。キレまくりの少女Aは あたしのお父様… ペルシア王に告げ口したの」
女勇者「それはお父さん、ショックすぎる」
姫勇者「でも、相手はアポロンよ? 太陽神よ?」
女勇者「あ、そっか。守護神だもんね、怒るに怒れないよね…」
姫勇者「そう。それで、まあきっと少女Aもなんか上手いこと言ったんだわ。あの子、本当にアポロンに惚れてたみたいだから」
女勇者「どういう処罰になったの?」
姫勇者「あたしが殺されたのよ」
女勇者「」
姫勇者「殺されたの。あいつが、あたしにエッチしたせいで。あたしが殺されたの」スッ
テクテクテク…
女勇者「あ、あの…?」
200 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 11:59:42.56 ID:ojA/fmKu0
神「えっ 俺? 何?」
姫勇者「あーんーたーのー 理ー性ーがー 足ーりーなーいーせーいーでー」グリグリグリ
神「ご、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ!!?」
女勇者「」
姫勇者「しかもね」クルッ
女勇者「ま、まだなんかあるの?」
姫勇者「こいつ、死んだあたしに何をしたと思う?」
女勇者「え… なんだろう? ごめん、予想もつかない」
姫勇者「遺体掘り返して、神酒ぶっかけて、木に変えてこっそり持ち帰ったのよ」
女勇者「」
神「だって。殺されちゃったって聞いて いてもたってもいられなくて」
201 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 12:01:40.17 ID:ojA/fmKu0
姫勇者「あんたがーーー! あんとき、持ち帰らなければーー!! あたしはあたしを遣わせた神様に復活してもらえたのーーー!!!」グリグリ
神「だってそんなの知らなかったんだもんーーー!!!!」
女勇者「ふ、復活!?」
魔王「…そうか、さては」
姫勇者「あら、そっちの黒髪クンは勘がいいのね」
姫勇者「そう。あたしは、勇者としての魂をもっていた。だからあたしは選ばれた」
姫勇者「そして、あたしを遣わせた神によって… 勇者の契約と加護も もらっていたのよ」
女勇者「! そうか、それで…!」
姫勇者「でも!! こいつが勇者を木に代えて 復活を阻んだのよ」ゲシッ
神「OUCH」
女勇者「勇者の居ない理由は…」
魔王「そんっなにくだらないことだったのか!!!」
202 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 12:02:08.96 ID:ojA/fmKu0
姫勇者「さすがにあたしだって、毎日毎晩コイツに愛でられて 木にされてるのに飽きたの」
姫勇者「だから、少しづつ少しづつ 香となって逃げていたのよ… 本当は樹液を出すほうが効率がいいんだけど…」
女勇者「なんで樹液にしなかったの?」
姫勇者「こいつ、樹液を舐めるんだもん。キモチワルイわ」
神「甘くて美味しいんだ。姫の蜜、サイコー!」
女勇者(変態…)
魔王(変態だな……)
姫勇者「で、ようやく一定量の脱出が出来たからね。ようやく、あたしは大部分において 生まれ変わる事が出来たってワケ」
女勇者「え? 生まれ変わる?」
姫勇者「そうよ。あなたになったのよ」
女勇者「えっ」
203 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 12:06:55.58 ID:ojA/fmKu0
姫勇者「時代が過ぎすぎていたし、復活するにも本体… 木にされちゃったし。それしか方法がなかったの」
女勇者「私が… あなた?」
姫勇者「そう。あなたは、私よ」
魔王「……もしや、こいつの持つ魔力の多さとも関係あるのか」
姫勇者「そうなの?」
魔王「ああ。女神に加護を受けたのだが、明らかに過剰すぎるんだ」
姫勇者「女神の加護を? それは過剰でしょう、だって最初から加護は受けて生まれ変わっているのだから」
女勇者「え、ええ!? だって私、魔力なんて知らなかったよ!?」
姫勇者「勇者として覚醒してなかったんでしょ。持ってることも知らないなら、よほどの事がなければ気づかないわ」
女勇者「そ、そういうもの?」
姫勇者「あるいは、よっぽど平穏にノホホンと生活していたかね」
女勇者(めっちゃ平凡に平穏に、苦労知らずに育った一人娘のカジテツ姫だから そうかもしんない)
204 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 12:09:20.69 ID:ojA/fmKu0
姫勇者「まったくもう。本当に、トンデモないやつに惚れられちゃったわ」ハァ
神「本気で愛しているんだよ?」
姫勇者「知ってるわよ。 …あなたが泣くところも、ずっと見てたもの」
神「姫…っ」パァ
姫勇者「変態だし、許さないけどね」ゲシッ
神「愛が痛いv」
女勇者「あ、はい。お幸せに…」
魔王「いや、それでいいのか本当に」
女勇者「あー… 歯車が壊れた理由は、事故みたいなものだし…それに…」
神「姫ー」
姫勇者「ちょっ、ヤダ! 裾ひっぱったらダメ!」
女勇者「…ほんの少し、愛しすぎちゃって。やりすぎてしまっただけなんだとおもうんだ」
魔王(あれが、ほんの少しだろうか)
205 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 12:10:00.89 ID:ojA/fmKu0
女勇者「必死すぎた結果なんだし、私には責められないかな」
魔王「……勇者だな、やはりお前は」
女勇者「まあでも、責めるなら、魔王がどうぞ。殺ってもいいだけのことはしてるとおもう」
魔王「ああ。丁度いい、決意を新たに やはりあいつを討とう」
女勇者「ふふ。やりすぎないように止めてあげるね」
魔王「ちょっとまて。それより、なんでココに俺たちを呼んだんだ?」
姫勇者「貴方のことを呼んだわけじゃないわ」
姫勇者「私が呼んだのは… 女勇者よ」
女勇者「私…?」
姫勇者「あたしの残りの魔力や意志… それに、勇者としての存在を まとめるために」
女勇者「あ・・・」
姫勇者「一度、溶け合う必要があったの。だから、私の意識の中に混ぜているのよ」
206 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 12:10:43.17 ID:ojA/fmKu0
女勇者「私… このあと、どうなるの…?」
姫勇者「変わらないわ。ほんの少し、私の持つ 魔力を扱う力や技術を継承するくらいかしら」
女勇者「あなたは、どうなるの?」
姫勇者「あたし?」
女勇者「……あなたは、どうなるの?」
姫勇者「いったでしょう? あたしはもう あなたなのよ」
女勇者「でも」
姫勇者「既に、あなたを形成するものは あたしで出来ている。あなたが貴方だと思っているものと あたしがあたしだと思っているものは 同じよ」
女勇者「そういうもの…?」
姫勇者「あなた、今のあなたに不満があるの?」
女勇者「ううん、ない」
姫勇者「そうでしょうね。 私も自分の人生に後悔とかしないタイプだったわ」
207 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 12:11:27.82 ID:ojA/fmKu0
女勇者「じゃぁ…本当に?」
姫勇者「ええ。もう、十分なはずだから… 目が覚めたらそれでおわり」
女勇者「……お姫様」
姫勇者「心配することなんて、なにひとつないわ。あなたは私だもの…」
姫勇者「自分の心に正直に。 思うままに、生きればいいだけよ」
女勇者「……! うん!!」
208 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 12:12:24.20 ID:ojA/fmKu0
魔王「……ところで、神」
神「なんだ、若造」
魔王「お前、あの勇者を愛しているらしいな」
神「ああ」
魔王「女神、よこせよ」
神「嫌だ」
魔王「………」
女勇者「まぁまぁ… それはほら、起きてからでも…ね?」
神「姫は姫で愛している。だが、考えても見ろ」
魔王「なんだ」
209 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 12:13:22.83 ID:ojA/fmKu0
神「俺が姫を愛したときみたいに、女神に悪い虫がついて、俺が姫にやったようなことをあいつにするのかと思うと とても手放せない」
魔王「……お前の脳内が歪んでるせいで やっぱり世界が歪んでたんじゃないか?」
女勇者「あ。いつか言ってた、神様がいってた変態嗜好って もしかして…」
姫勇者「? なにそれ」
女勇者「えっと… ( ピー!)とか( ピーー!)とか! ( ピー!)で( ピーーー!)な( ピーーーーー!)とかって…」
姫勇者「……あら それ、少女Aが見たベッドシーンのそれそのままだわ」
女勇者「」
魔王「」
神「ばらさないでっ!!」
210 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 12:13:51.31 ID:ojA/fmKu0
女勇者「あ…… なんだろ、頭がいたい」クラクラ
魔王「奇遇だな、俺もだ」ハァ
女勇者「う… でも、なんか、ほんとに…」クラッ
魔王「女勇者・・・? おい… 」
姫勇者「あら… ふふ。いってらっしゃい… 『女勇者』」
魔王「え…?」
女勇者「…………そう、いえば… あなたは 『姫勇者』…じゃ…」
姫勇者「ふふ… 気にしないでいいのに」
女勇者「姫、勇……」
ドサッ
211 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 12:14:25.53 ID:ojA/fmKu0
::::::::::::::::::::::
大宮殿 夏の庵
女勇者「………」
女神「…きて! おきてください、どうしたのです!?」
女勇者「う…?」ボンヤリ…
女神「! 女勇者!」
女勇者「あ、アレ… 姫勇者は…?」ボー
女神「何を言っているのです! あなたが女勇者でしょう!?」
女勇者「え… あれ? 女神様?」
212 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 12:15:09.15 ID:ojA/fmKu0
女神「よかった…! よ、よかったですぅ…っ」
女勇者「あ… そっか、つまり昏倒させられてたわけね…」
女神「本当に驚きました! 宮殿中は台風でも通り過ぎたように荒れているし、あなた達は倒れているし…! 何があったんです、大丈夫なんですか!?」
女勇者「うん、大丈夫。 って… あれ? 魔王と神様は?」
女神「魔王はまだ 起きてくださらないのです!! ああ、魔王! 起きて!!」
タタッ
女勇者「大丈夫だと思うけど… 魔王が先でいいの? 神様は?」
女神「神様ならそこにいます!」ビシッ
神「う、うううん… すまな… ご、ごめ うう やめっ…」zzz
女勇者「……えっ。 もしかして神様… 勇者に居残りさせられてるの…?」
213 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 12:16:00.32 ID:ojA/fmKu0
女神「魔王ーー おきてくださいっ」
女勇者「い、いや女神様。 まず神様を起こしてあげないと…」
女勇者(下手するとこれ、永久に起きられなくなるかもしれないし)
女神「神様はよくそうしてうなされてるのでいいのです! むしろそれがいつもどおりです!」
女勇者「よく…? あ、もしかしてここって、神様の部屋だったりする?」
女神「? 普段いらっしゃる部屋ではありませんが 確かにここは神様だけの完全な私室です! ですが今はそんなことより… 魔王! 魔王ったら!!」
女勇者(なるほど、寝てる間にこっそり匂いで夢の中で密会してたわけね。なんだかんだイチャついてるんじゃない、姫勇者も)
女神「魔王ーー!!」
女勇者「じゃあまあ、ほっといていいか。……女神様 ちょっとどいて?」
女神「う、うう。何を…?」
女勇者「いいから」