Part7
144 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/24(水) 07:09:55.19 ID:nwDiYrNv0
魔王「さあ…… 早く、神を出
フワ・・・ ストン。
神「…何やら…大分、我が庭先が騒がしい様子だが…?」
魔王「!!」
空の国の兵「神様! 不審者です、お気をつけください!!」
神「ああ。見れば、わかるな… 下がってよい」
空の国の兵「ハッ!」
ガチャンガチャンガチャン・・・
神「……さて」チラリ
145 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/24(水) 07:10:50.67 ID:nwDiYrNv0
女勇者「こ、このヒトが…神様…!?」
魔王「ああ…こいつが…」
魔王「太陽神・アポロンだ!!」
神「……はは。気安く呼んでくれるじゃないか… 何様のつもりだ…?」ギロ
女勇者「すごい! きらっきら金髪のヤサ顔イケメンで性格悪そう! やっぱり神様らしくない!!」
魔王「……」
神「……」
女勇者「あ、ごめん。なんだろう。勇者の血がね、間違いを正せと訴えてくるんだよね。それが結果、ツッコミという形に…」
魔王「……ならば早く、歪んだ世界の理とやらを直せ」
女勇者「う、うん」
魔王「が、今はとりあえず…」
146 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/24(水) 07:11:39.28 ID:nwDiYrNv0
魔王「…久しぶりだな、神」
神「お前は……ほう、姿形に違いはあるが、その顔つき。見覚えがあるぞ…」
神「いつぞやの、悪魔か」ニヤ
魔王「今は、魔王だ!」ザッ
神「ふ……くっくっく…」
魔王「何がおかしい!」
神「そうか、魔王とはおまえのことだったのか…と、思ってな…」
魔王「何……?」
147 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/24(水) 07:12:13.45 ID:nwDiYrNv0
神「うちの女神が、なにやら大層 お前を気にしていたからなぁ…?」
神「なにやら我の目から隠れて、お前の世話をしている様子…」
魔王「世話などさせていない」
神「くく、だがあれは美しい。側に置くだけでも贅沢な気になるだろう…?」
魔王「女神は置物ではない! そのような言い方は止せ!」
神「ほう。なるほどな…。つまりもっと…あれの世話になりたいのだな?」ニヤリ
魔王「……っ! 貴様…」
神「くくく、残念だったな。随分長いこと指を咥えて待ったつもりなのだろうが…」
神「あれを我が手中より手放すつもりはない」
魔王「……っ」
148 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/24(水) 07:13:31.09 ID:nwDiYrNv0
神「みっともなく未練を引きずりよって、この若造が…くくく、はーっはっはっは!!」
魔王「貴様…」
女勇者「むむむー! 神様、マジで神様らしくない!! むしろこれ魔王のキャラだ! 」
魔王「」
女勇者「もしかして魔王っぽい神様、勇者っぽい魔王、神様っぽい勇者にさせられてたのかな!?」
魔王「」イラ
女勇者「あれっ、だとしてもやっぱり神様ってちょっと危ない感じ!? でもそれはおかしくない?! 神様って魔王っぽいけど魔王らしくはないし!」
魔王「〜〜〜〜っ」プチ
149 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/24(水) 07:14:35.35 ID:nwDiYrNv0
魔王「ええい! しばらく黙っていろ、この“村娘A”!!」
モワッ… バシュ!
村娘A(女勇者)「えっ、ひど…『ようこそ空の国へ! ここは、神様の住む宮殿です!』っ!?」モガガ
魔王「はっ。あまりの鬱陶しさに、思わずちょっと魔力を使ってしまったらしい」
2(う、嘘!? 喋れなくなっちゃったけど!! なんっつー適当な魔法…!)
魔王「すまない、だがまあ本気ではない分すぐに解けるだろう。自分でそれくらいなんとかしろ」
魔王「俺は… その間に…」チラ
神「……くく。茶番劇は、もうよいのか?」
魔王「ああ。待たせたようだな」
神「いいや。お前ほどは待っていないからな、少しくらいは許してやろうぞ」
魔王「ちっ。皮肉なんてすぐに叩けなくしてやる…!」
150 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/24(水) 07:15:38.00 ID:nwDiYrNv0
2(…そういえば、魔力は目的を持たせればどんな力にでもなるんだっけ…?)
2(それって、魔力を持つものにとって…簡単に、願いが叶ってしまう世界ってこと・・・?)
魔王「……神!」
神「くくく…なんだ? 聞いてやってもよいが…」
魔王「女神を連れ去りに来た。覚悟しろ」
神「は…」
神「はぁーっはっはっはっは!!」
魔王「何がおかしい!?」
神「あれは、我の所有物だ。譲るわけがあるまい?」
魔王「譲り受けるつもりは元よりない! 奪いにきたのだからな!」
神「くくく… それは、我が剣を全てかわしてから言うのだな!」スラッ…
チャキン!
魔王「いいだろう。望む所だ」
151 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/24(水) 07:16:17.35 ID:nwDiYrNv0
神「ほう… 自信がありそうだな」
魔王「刃物は、魔力なんかより扱いなれているものでな」ニヤリ
ジャキンッ!
村娘A(女勇者)「魔お…『ようこそ空の国へ! ここは、神様の住む宮殿です!』〜っ!!」モガガッ
2(やっぱ喋れない!? っていうか魔王が普段使う刃物って、包丁だよね!? ああもうツッコミたいのに!!)
2(……あれ? なんで…まだ、こんなにツッコミたくなったんだろう。確かに一度、違和感は消えたはずなのに)
2(魔王と勇者の関係は正しく直った… だとすれば… 他に何か…)
魔王「行くぞ!」
神「受けてたとう!」
2(!! っ考えこむ余裕がない…! 魔王が無茶をし過ぎないようにしなくちゃいけないんだから…! でも…!)
152 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/24(水) 07:17:10.82 ID:nwDiYrNv0
ガキイィィン! シャリンッ… ガキン!!
軽妙な剣戟の音が響く
幸い、剣技については神に分があるようだ
細かな足取りと、柔軟な姿勢から洗練された一手を放つ神
一撃一撃は荒く単純だが、その俊敏性と鋭い観察眼を持って攻撃を弾く魔王
勝負は、長くなりそうだった
153 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/24(水) 07:18:50.95 ID:nwDiYrNv0
神「ふはは… どうした! かわすばかりでいいのか?! 剣に自信がないのであれば、剣の代わりに魔力を打ち込んでみてもよいぞ!」
魔王「くっ。鬱陶しい… なななかの連撃をしてくれる…!!」
神「くくく、いつまで交わしていられるものだろうな… 一手でもはいれば、お前はもうここには来れなくなるんだろうが、なぁ」
魔王「ふん… 確かに、連撃の割に 重たい一撃。だが、それならばあたらないようにすればいいだけのこと・・・!!」
神「はははは!! ならば、追い込んで地の国まで堕としてやろう!!」
魔王「できるものならな!!」
ザッ、ヒュ・・・ シュパァン!
2(!!)
154 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/24(水) 07:19:43.80 ID:nwDiYrNv0
魔王「…ちっ。交わしたか」
神「突進力で押すだけの、暴れ猪のような馬鹿な一手だ、避けられないとでも思ったか?」ニヤ
魔王「ふっ、暴れ猪か。どうやら無能な神にはそれも仕留められないようだが。…しかし、どうせそこまで言われるのなら…」
魔王「暴れるだけ暴れてやろう」フッ
神「生意気な」スッ
ブオンッ! ガキィィン!!
キンッキンッ! シャリン・・・ ジャキン!! ガキンガキンガキン!!
2(技術で勝る神、パワーで勝る魔王。拮抗した…いい、戦い)
2(でも… やっぱり、おかしい)
155 :
↑訂正 ×2 ○女勇者 ほんとごめん… ◆OkIOr5cb.o :2014/12/24(水) 07:22:26.43 ID:nwDiYrNv0
女勇者(略奪を仕掛けに来た魔王が、まるで防衛戦のように防御重視で… 女神様を奪わせまいとする神様の方が、攻撃に意欲的)
女勇者(別に、戦いの方法なんてそれぞれの向き不向きがあるんだろうから、おかしくないといえばおかしくないのかもしれない、けど…)
女勇者(けど、なんだろう… この感じ。この戦闘風景は… なんだか…)
女勇者(ああ、なんだっけ…なんだっけ、知ってるのに…!)
その時、不意に強めの風が吹いた
やや甘い香りがした気がして、意識が思考の海より引き上げられる
丁度、剣を振り上げた瞬間に吹いた風が、神様に一瞬の隙を作ったらしい
目に何か入ったのか、それとも風に煽られそうになったのか
戦闘知識も観察眼も動体視力も優れない私には判断がつかなかった
156 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/24(水) 07:23:56.51 ID:nwDiYrNv0
が。魔王は その隙を見逃さなかったようだ
咄嗟に魔力攻撃を足元に打ち込み…
立ち上った雲海のモヤに紛れ、一気に形勢を逆転させたようだ
そして まるで一枚の絵の様な光景が 目の前に現れた
モヤが、風に流されて周囲に漂い…
高圧的に、剣によって神の動きを制している魔王と
魔王の足元で、片膝をついてなお 女神を奪わせまいと睨みあげている神の姿
女勇者(これ、は。 まるで、今の神様の姿は本当に… 魔王に挑む、勇者みたい…?)
女勇者(でも… 今は私が、勇者の役割を果たしている感覚がある…)
女勇者(なら、神様の今の役割は…本当に神様なの…?)
女勇者(……そういえば… 勇者は…。 もしかしたら…?)
157 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/24(水) 07:25:49.10 ID:nwDiYrNv0
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魔王「…ふ。こんなものか」
神「くっ。これほどの力を持っていたとは… ノータイムであれだけの魔力量を放つなんて…!」
魔王「数百年、城に籠り魔力という魔力を使わなかったせいか。 ほんの少し魔力を使おうとするだけで、勢いよく噴出してきてくれる」
神「ひきこもりが、いきがるなぁっ!!」
ジャキン
神「……っ! 首を…」
女勇者(魔王…。ううん、大丈夫… まだちゃんと、女神のためには神殺しをしたくないという意志があるのがわかる…)
魔王「…女神を渡せ」
神「いやだ!!」
魔王「素直に引き渡すのならば、命だけは助けてやってもよいのだが…」ガキッ
神「誰が貴様などにくれてやるかっ! どんな目に合わされるか、わかったものじゃない!」
魔王「ふん。ただ横暴に捕らえているだけではなく、少しは女神を守ろうという姿勢があったか」
158 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/24(水) 07:26:57.49 ID:nwDiYrNv0
神「当たり前ではないか…!? もし、おまえなんかが女神を連れ去ったりしたら…!!」
魔王「……? なんだ」
神「どうせ!! ( ピー!)とか( ピーー!)とか! ( ピー!)で( ピーーー!)な( ピーーーーー!)とかするつもりだろう!! させてたまるか!!!」
魔王「」
女勇者(えっ、まさかのそんな発言!?)
神「愛しい女神にそんな事はさせないっ!」
魔王「するかああああああっ!!!!」
神「なんでそうと言い切れる!!? 俺だったらしたいぞ!?」
魔王「お前のような変態的嗜好は持ち合わせていない!! それになにより…俺は、あいつを愛してるからだっっっ!!」ザッ
ガキ----ン!
神「! 剣が!」
女勇者(弾き飛ばした!!)
159 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/24(水) 07:27:51.83 ID:nwDiYrNv0
魔王「今度は……おまえが、女神を諦めるんだな。お前の元に女神を置いておく気がなくなった」
神「くっ…剣を奪ったくらいで、侮るなよ…! 俺とて数百年、だてにあいつを奪いに来る馬の骨を切り刻み続けてはいない!!」
魔王「俺は切り刻めないようだがな!」
神「貴様のような生意気なガキなど…! 核融合で、燃え付くしてやるっ!!」
魔王「!! 魔力…!」バッ
神「はぁぁぁぁ……っ」
シュォン シュオン シュオン シュオン…!!
魔王「な… 熱が… 凝縮しながら集まって…膨張を…!?」
神「まだまだぁぁぁ……っ」
魔王「くっ、太陽神というのは伊達ではないということか…!」
160 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/24(水) 07:28:45.32 ID:nwDiYrNv0
神「はははははは!! 我は太陽の化身!! この偉大な力の前にひれ伏せるがいい!!」
ブオ…ッ ゴォッ・・ ドロ…
魔王「大気が溶ける…? そうか、あまりの熱量で大気中の酸素と水素の濃度が…!」
神「くくく… あと一歩でも近づいてみろ… 臓腑の中まで焼き尽してくれる…!」
魔王「これは…流石に…! くっ、おい! お前だけでも早く逃げ…!!
村娘A(女勇者)「『ようこそ空の国へ! ここは、神様の住む宮殿です!』」アワアワ
魔王「」
女勇者(うわぁぁぁんっ! 気づいたことがあるのに言えないよおお!!!)ジタバタ
魔王「ふざけている場合か!!」
村娘A(女勇者)「ググッ・・・『よ、ようこそ空の国へ! ここは、神様の住む宮殿です!』ゥゥ!!」ウガー!
魔王「ええい! いい加減にしろ!」
女勇者(魔王、お願い 気づいて!! ………って、あれは!?)
161 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/24(水) 07:29:48.71 ID:nwDiYrNv0
神「くくく… くらえっ! あのイカロスでさえ墜落死させた この超過熱量を!」
神「シャァァァァァイニングゥゥゥ……
?「やめてくださぁぁぁぁぁぁぁいっ!!!」
魔王「っ!? この声は!」
ヒュンッ! シュパッ! シュパパパパパ!!!!
神「!? うがっ!? あががががっ!!!!」ドサッ
ヒュゴォ… オオ… シュゥ・・・
女勇者(! 熱量が… 消えた!)
魔王「…くっ 一難去ったが… なんだこの矢は!? どこから飛んで来た!?」
村娘A(女勇者)「魔…『ようこそ空の国へ! ここは、神様の住む宮殿です!』!!」ビシッ!
魔王「!」
162 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/24(水) 07:30:44.40 ID:nwDiYrNv0
女神「ーーーーっ」キリッ
魔王「女神…!」
女神「やめてください、神様! 魔王を傷つけたらいくら神様でも許しませんからね!」
女勇者(めっちゃ長距離からの的確な射撃技術があるとか、女神の隠しスキルがパないけど美人なだけにすごく似合う!!)
神「しかし女神! いくらなんでもいきなり矢を打ち込むのはひどいではないか!!」
女神「しかしもおかしもありませんよ! とんでもない攻撃をしようとしていたくせに!!」
神「とんでもないってお前…! あれは俺の最大の…
女神「とにかく!! どうして二人が争ってるんですか、説明してください!!」
神「そ、それは… こいつが女神を頂戴するとか抜かしやがったんだ!」
女神「えっ… ま、魔王が…ですか?」
神「だから汚らしいこの虫野郎を追い払っていただけだ!」
163 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/24(水) 07:31:43.11 ID:nwDiYrNv0
魔王「女神!! 俺はお前を愛している、そんなやつの元にいるより幸せにしてやろう!! 俺についてこい!!」
女神「えええっ!? ちょ、ちょっと まってくださ…!!
神「きっさま、俺の前でよくもぬけぬけと…!」
魔王「ふん、ならば口を利けぬようにしておけばよかったではないか!」
神「女神は俺のものだ!」
魔王「今日からは俺が貰い受ける! 無理やりにでも、必ず女神を俺の物にする!!」
女神「!?!?」
神「女神!」
魔王「女神!」
女神「〜〜〜〜〜っ!?」
女神「ま、ままま まってください!? とにかく、落ち着いてええええええええええええ!!!!」スッ!
164 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/24(水) 07:32:41.08 ID:nwDiYrNv0
ヒュォッ! シュパシュパシュパシュパッ! パパパパッ!!
神「ぎゃぁす!!」ザクッ! ドススッ!
魔王「ちょっ! 弓?!」ヒョイッ! ヒョヒョヒョイッ!
女神「〜〜〜〜〜〜っ」ウルッ
タタタタ……
神「女神っ!!」
魔王「な、討ち逃げ…だと…!?」
女勇者(………おやぁ?)
魔王「な… ど、どういう… どういうことだっ!? 何かこの 明らかにおかしい理について解説しろ!」
村娘A(女勇者)「多分『ようこそ空の国へ! ここは、神様の住む宮殿です!』……」
魔王「……」
女勇者(……解説できない… ってか私こそ聞きたいことあるのに・・・ どうしよう。ジェスチャーで通じるかな?)パッパッ、パパパ、 ギュー、ッポン♪
魔王「」イラ
165 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/24(水) 07:34:13.80 ID:nwDiYrNv0
魔王「〜〜〜しっかりしろ! 魔力が篭った言葉とはいえ、ただの誘導催眠で村娘なんかになるんじゃない!!」
村娘A(女勇者)「そんな事言『ようこそ空の国へ! ここは、神様の住む宮殿です!』!」
魔王「〜〜〜〜〜っ」
魔王「おまえは!! “女勇者”だろうが!!!!」
バシュッ!
女勇者「!」
神「……え?」
女勇者「……はっ!? あっ、口が! 口が自由に動く!!」
魔王「ならばさっさとこの状況についてわかることを説明して見せろ! もはや怒りかどうかもよくわからなすぎて血管が沸騰しそうだ!」
女勇者「ちょっ、落ち着いて! そんなことでは暴走しないでね!?」
魔王「暴走でもしなきゃやってられんような気分だ! 何故 女神に、弓で射られる!?」
女勇者「だから、ともかく… まずは…」チラ