Part10
214 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 12:16:38.68 ID:ojA/fmKu0
ススッ
女神「? 耳元で何を…? 覚醒の呪文か何かですか?」
女勇者「ま、そんなとこだよー」
女勇者「………ぁぁ大変だー 女神様が どこかの男にー(棒)」ボソリ
魔王「」パチ
女勇者「ワオ、男って単純」
女神「魔王! ああ、女勇者すごいです! いつの間に魔法なんて!?」
女勇者「いやあ、それほどで…っ
魔王「女神!」ガバッ
女勇者「ぎゃっ!? セリフ途中で払い飛ばすとか ひどすぎでしょ、魔王!!」
女神「だ、大丈夫ですか 女勇者…」オロオロ
魔王「女神……」
女勇者「魔王、全然聞いちゃいないし」
215 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 12:17:23.15 ID:ojA/fmKu0
女神「……? 魔王? どうなさったのですか? やはりまだお加減が…?」
魔王「……!」
ギュッ
女神「!?!?!」
魔王「女神…… やっぱり、お前を神の元になど置いておけない!」キリッ
女神「え……? え?」
女勇者(うん、本気でそう思うだろうね)
魔王「嘘をついたり、隠し事をしたり。そんなことばかりしてきたから…俺も決して誠実ではないかもしれないが」
女神「魔王…?」
女勇者(どうしよう。あの神様みたあとだと、魔王が本気で誠実すぎる)
魔王「女神… 嫌ならば、正直に答えてくれて構わない。無理は言わない」
魔王「愛している。初めて出会った時から… ずっと、途絶えることなく愛し続けてきた」
女神「!」
216 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 12:18:01.80 ID:ojA/fmKu0
魔王「お前が欲しい。例えお前が他の誰かのものであろうと… それが俺の願いだ」
魔王「神を大切に想う気持ちもあるだろう。その気持ちはそのままでも構わない。だが…」
魔王「他の人物に心を捕まれている男の元に、お前の気持ちを置いておきたくない」
魔王「女神 お前の心だけでもいい」
魔王「お前を 俺の物にしたい」
女神「〜〜〜〜〜〜〜〜っ」
魔王「……すまない。弓で射られたときに、答えなんてわかっていたのに…」
魔王「やはり、こんな願いでは…
女神「ひゃっ、ひゃいっ! よよよ、よろしくおねがいしますっ!?」
魔王「……」
女勇者(……)
女神「〜〜〜〜っ// ふ、ふつつか、つかか かか よろしくおねがいしまっ!?」
217 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 12:18:59.14 ID:ojA/fmKu0
魔王「……?」
女神「あ、あのっ、私も 昔からずっと魔王のこと好きでしたっ!」
魔王「え……いや だって さっきは弓で…」
女神「〜〜〜きゅ、急に言われて!! 恥ずかしすぎてっ//」
女勇者「んー。やっぱり そーゆーことなのかなー?」
魔王「え… どういうことなんだ?」
女勇者「おかしいこと、もう一個あるとおもわない?」
魔王「……?」
女勇者「やっぱりさ、役割のイメージどおりの人物すぎるのも おかしいんだよね」
魔王「つまり?」
女勇者「神様と女神… 神は妻である女神を守り続けていて、妻である女神は夫に献身的?」
魔王「それのどこがおかしいんだ」
女勇者「ふ… おかしいでしょうよ!!!」
魔王「えっ」
218 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 12:19:31.20 ID:ojA/fmKu0
女勇者「現実!! そんっっな綺麗事のドラマだけで終わるわけないんだよ! 実際、神様は別のところに想う女がいたわけだしね!!」
魔王「ま、まあ そうかもしれんな」
女勇者「つまり! 歪んだ価値観の中で 魔王は当たり前そうに見えることを さも当たり前のように受け入れすぎてたんだよ! おかしいのにも気づけずにね!」
魔王「え なにが…」
女勇者「……女神!!」
女神「え!? あ、は はい!?」
女勇者「ずばり言おう!」
女勇者「女神と神様… 親子だね!?」
魔王「なっ!? そうなのか!?」
女神「えええっ!? 違いますよ!?」
女勇者「えっ 嘘? むしろ本当? あれ?」
魔王「…お、驚かせるんじゃない、女勇者! 一瞬 信じかけたじゃないか!」
219 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 12:20:14.56 ID:ojA/fmKu0
女神「私と神様は、双子の姉弟ですが、それがどうかしましたか?」キョトン
女勇者「」
魔王「」
女神「?」
女勇者「ええええええええええええええっ」
魔王「神が… 変態でさらにシスコンだと……!?」
女勇者「いやいや、それはさすがに嘘でしょ!?」
女神「嘘ではありませんよ?」
女勇者「せいぜい度の過ぎた“娘は馬の骨などに嫁に出す気はない!”ってやつくらいが相場じゃないの!?」
女神「ぁぅ// すみません…確かに神様… あ、いえ弟は私に依存気味で…。 母がいないもので、昔から私が母代わりだったせいでしょうか…」
女勇者「いやいや、それにしたって結局マザコンじゃない!?」
220 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 12:20:56.85 ID:ojA/fmKu0
女神「うふふ。あの子のお産のときに、取り上げたのが私ですから 命の恩人ってのもあるのかもしれませんね?」
女勇者「まって! まって、双子って言ったじゃん!? お産で取り上げるってどういうこと?」
女神「うまれて5分で、助産させていただきました//」
女勇者「神族って人間とかわらないかと思ってたけど、やっぱりヤベぇ」
魔王「事実は小説より奇なり」
女神「……私と神様の関係を御存じなかったのですか?」
魔王「神の言動と お前たちの生活境遇などから… 夫婦と思っていたのだ…」
女神「ええっ!?」
魔王「……お前は… まだ、誰のものでもなかったのか?」
女神「……いいえ」
魔王「」
221 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 12:21:37.51 ID:ojA/fmKu0
女神「あなたとはじめて出会った日から… 私は、あなたのものでした」ニコ…
魔王「!」
女神「魔王…私と 共に居てくれるのですか…?」
魔王「…ああ。約束しよう これからは、月を… お前だけを、愛すると」
女神「〜〜魔王っ」ギュゥ
魔王「女神…」ギュー…
女勇者「……」
タタタッ
神「う、ううぅ・・」zzz
女勇者「……神様、神様。女神様が魔王のモノになったようです」コソッ
神「!?!?」ガバッ!
魔王「なっ!? 女勇者!?」
神「それだけは許さないぞ!?」シュタッ!
女神「か、神様っ!?」
222 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 12:22:23.23 ID:ojA/fmKu0
女勇者「ふふん! 勇者が魔王の敵ってーことを忘れてもらっちゃぁ困るね!!」
魔王「しかしそれはいくらなんでも勇者の所業じゃないだろう!?
女勇者「役割と人格は別だっ!! 魔王のクセに誠実でリア充たぁ、ゆるすまじ!」
魔王「お前のその思いついたら即行動ってのは元々の性格の悪さでもあったのか!!」
女勇者「ツッコまずにいられないのもだよ!」
魔王「威張るな!!」
神「ええい、俺を無視するな、そこのクソ虫めが!! もう我に残されてるのは女神のみ! 貴様のようなヤツには渡さぬぞ!!」
魔王「お前のその喋り方が、厨二気質だってのもわかっているんだ! 鬱陶しいから今更キャラを作るな!!」
女神「そ、それは今更ですが シスコンが悪化してるじゃないですか、何があったんです!?」
神「すべては勇者が居なくなってしまったせいだ!」
女神「えええ? 何を…!?」
魔王「……!」ハッ
魔王「……」ニヤリ
女勇者「!?」ゾクッ
223 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 12:23:26.85 ID:ojA/fmKu0
魔王「神!」
神「なんだ!? 女神ならお前などには…!
魔王「勇者なら、いるではないか」ニヤリ
神「え?」
女勇者「ちょっ」
魔王「お前の大好きな勇者が… 木ではなく、少女として生まれ変わっているようだが?」ニヤ
神「はっ… いわれてみると」
女勇者「えっ」
神「……その気の強さ。確かに面影も…」ジー
女勇者「えっ、ちょっ まっ」
魔王「神! お前は代用品で満足できるのか!!」
神「っ」
魔王「確かに俺も、月の代わりに星を愛してきた! だが、だからこそ わかるのだ!!」
魔王「代用品では!! 決して満たされる事などない!!!」
神「!!!!!!!!!」
224 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 12:24:08.74 ID:ojA/fmKu0
女勇者「魔王!? なんてこと言うの!? もっともだけど!! 今ソレいっちゃダメでしょ!?」
魔王「ふっ。勇者の敵が魔王であることも、忘れてもらっちゃ困るな」ニヤリ
女勇者「〜〜〜〜〜〜っ」
神「……女勇者…」ジー
女勇者「はっ!? なにやら熱い視線!?」
神「……俺のこの燃える思いを受け取ってくれ!! そして新たな俺の姫に!!!」
女勇者「やっぱりそうきたかぁぁぁ!!!」
神「バーーニングラブっ!!!!」
女勇者「ちょっ!? 熱! なんか背後で魔力が核融合しはじめてるよ!?」
神「愛が暴走して止まりそうにないのだっ!」
女勇者「愛じゃなくて魔力でしょうがああああ!!!!」
225 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 12:25:03.48 ID:ojA/fmKu0
女神「もう、神様って本当に思い込んだらとまらない性格ですよね…」
魔王「暑苦しいヤツだな」
女神「うふふ、太陽ですから」
魔王「ふむ。それならば納得だ」
女勇者「〜〜〜〜〜〜っ!! あっっつ! 熱い! 熱いって! と、溶かされる!?」
神「我が愛に溶けてくれ、勇者!!」
女勇者「誰がっ…」プルプルプル…
女勇者「とけるかあああああああああああああああああああああ!!」
ヒュゴォオオオオオオオ!!!!!!!!!!!
魔王「!! 魔力が暴走!? またかっ!?」
女神「っ、これは…!!」
神「!? なっ、我が 熱い想い(核融合中)が!!」
226 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 12:27:39.31 ID:ojA/fmKu0
女勇者「近づきすぎると溶けちゃうような歪んだ愛なら… この勇者が! 冷ましてあげるわっ!!」
ヒュゴオオオオオオオオオオ!!
魔王「なんと。今度は魔力を光ではなく、氷にかえたのか」
女勇者「凍れええええ!!!!」
神「なんの!! 愛の前には全てが無力っ!!!」
女神「うふふ。神の愛は無限ですものね、これは確かに止めるためには 女勇者の大きな力がいるかもしれませんね」
魔王(もしかして、あいつを止めるために 2重に勇者の力が必要だったんじゃないかとか思う)
女神「? どうしました、魔王」
魔王「…世界の理とやらを 保っている運命だか神だかの苦を労っていた」
女神「?」
227 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 12:28:14.53 ID:ojA/fmKu0
魔王「そ、それにしても……っ 暑いし寒い!! 理ではなく気圧が乱れている! 大暴冷風じゃないか!!」
女神「あら…? 氷が急激に溶かされながら…蒸気をふりまいているから…」
魔王「…? あ…」
ヒラ… フアッ、 ヒラヒラ…
女神「……地上は今夜は、雪ですね」
魔王「……ああ。少し大雪になりそうだが… 雪はすきか?」
女神「ええ。月明かりと雪は、相性がいいのです」
魔王「ああ… きっと、綺麗だろうな」
女神「…魔王」
魔王「女神」
女神「…もう、一人で魔王城に住むなんて 言わないでくださいね?」
魔王「ああ。今度からは… 俺の元へ、帰って来い」
女神「はい…っ」
魔王「共に、帰ろう」
228 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 12:29:11.82 ID:ojA/fmKu0
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地の国 魔王城 魔王の私室
魔王「…そういえば」
女神「なんですか?」
魔王「今夜は、地の国では クリスマスだ」
女神「クリスマス… ですか?」
魔王「ああ。 ホワイトクリスマスになった。最高だな」
女神「ふふ。勇者のおかげですね」
魔王「なるほど」
『願いを… 叶えてあげたいだけなんだよおおおおおおお!!』
魔王「ふふ。どうやらあいつも、勇者としては きちんとやるべきことはやってくれていたようだな」
女神「?」
229 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 12:30:22.81 ID:ojA/fmKu0
魔王「まあ、星に何百年も願ったかいがあったということかもしれないが」
女神「……魔王は ずっと…星に願いをかけていたのですか?」
魔王「ああ…お前のことを想っていた。お前の幸せを、考えていた」
女神「…それで、『星空魔王』に? 私、てっきりどなたか他に愛する方がいるのだと…」
魔王「お前を愛しすぎて不幸にしてしまわぬよう、星を愛そうとはしていたがな」
女神「魔王…」
魔王「ああ… 随分長く続けていたせいか ついこうして、星空を眺めてしまいそうになるほどだ」
女神「ふふ。よいと思います… あ 流れ星!! しかもものすごい ほうき星ですよ! 魔王!!」
魔王「ほう、珍しい…… というか…… あれは… 星…か?」
流れ星<やってられるかああああああああああああああ! 離脱だっ、離脱ううう!!
ほうき部分<逃がさないよっ マイハニー!! 大気圏外でも捕まえてあげよう!!!
女神「……」
魔王「ほう。あいつは星だったのか」
230 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 12:31:35.84 ID:ojA/fmKu0
女神「ままま、魔王! さすがにあれは、どうにかしたほうがいいのではっ!?」
魔王「ふむ。あいつが星であるならば 願いをかなえてくれたのはやはり星だったのだな」
女神「何を悠長な…!」
魔王「メリークリスマス、星の勇者。 俺は星の、『放っておいても大丈夫だと思えるところ』が好きだぞ」
女神「えっ… 魔王、女勇者の事が好きなのですか…?」
魔王「嫌いではない。だが…」
魔王「俺の叶えてもらった願いは 『月を愛していたい』、だ」チュ
女神「ひゃっ//」
魔王「願いを叶えてくれたこと。勇者には感謝しよう」ニヤ
女神「…ままま、魔王っ!?//」
魔王「女神には 素敵な1日を贈ろう」チュ… ギュ
231 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 12:36:48.95 ID:ojA/fmKu0
女神「〜〜〜〜くくく、クリスマスは! 聖なる夜です! 不謹慎ですよ//」
魔王「聖なる?」
魔王「……俺を誰だと思っているんだ?」
女神「えっ」
魔王「俺は魔王… 聖なる夜を穢してしまう事こそ、俺の役割だろう?」
女神「穢っ!?」
魔王「赦してほしくなれば、お前も星に願えばいいさ。きっと叶えてくれるぞ」クク
女神「そ、そんな」
魔王「不満か? ならばこの『星空魔王』が… お前の望むままに応えてやろう」
ドサ。
魔王「Happy Merry Christmas!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
おわり
232 :
◆OkIOr5cb.o :2014/12/25(木) 12:41:54.05 ID:ojA/fmKu0
注:このSSは 太陽王アポロンに関する一部の神話を脚色しております
実際の史実、伝記とは仔細が異なる、あくまで創作です
注2:遅くとも朝までに、とか言っておきながら投下間に合いませんでした。すみません
& >>168->>172 thx!
最後になりましたが 全ての方に メリークリスマス。
233 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2014/12/25(木) 12:58:24.40 ID:DJ8RygV30
乙
勇者さんはどうなったんですかねぇ……
234 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2014/12/25(木) 12:58:43.60 ID:x3NxXxrCO
ありがとう!
メリークリスマス♪
235 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2014/12/25(木) 13:08:43.90 ID:Ul+440HMo
まさかの超展開
超乙
236 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2014/12/25(木) 13:14:23.52 ID:CUjmq8ZfO
乙
めっちゃ綺麗にまとまってて凄い
メリークリスマス!