ニンジャスレイヤー「ドーモ、にこ=サン」 にこ「何よ!あんた!」
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Part4
154 :
◆718.HTMzJjwd :2014/06/15(日) 16:14:16.19 ID:Cy7dNtMY0
今から投稿します。
155 :
◆718.HTMzJjwd :2014/06/15(日) 16:15:30.18 ID:Cy7dNtMY0
ニンジャ&アイドル・ミート・ワン・ナイト・スタンド #4
156 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/15(日) 16:18:58.09 ID:ruPprg000
スリケン!
157 :
◆718.HTMzJjwd :2014/06/15(日) 16:21:50.27 ID:Cy7dNtMY0
にこが階段から落ちて脳震盪を起こした翌日。μ'sのメンバーは再び屋上に集
まって練習をしていた。「今日も練習張り切ってやるニャー」凛は威勢よく言う。
「にこ……体の方は本当に大丈夫なのですか……」海未は心配そうに尋ねるが。
「にっこにっこにー!むしろ調子が良いぐらいにこ!」
にこは海未が必要以上に責任を感じない様に少し声色を明るくして答えた。
「で?そのマスクは何?風邪なら大人しくしなさいよ」真姫は鼻から下を全て
覆い隠すようなマスクを指差す。「いや別に風邪ってわけじゃないんだけど、何か
無性にマスクを着けたいのよね」「何それ?意味分かんない」
このマスクの意味についてニンジャ学に精通している方ならお分かりだろう。
これはメンポである。ニンジャは本能的に顔を隠したい衝動にかられる。ニン
ジャになったにこはメンポの代用品として家にあったマスクを使っているのだ。
158 :
◆718.HTMzJjwd :2014/06/15(日) 16:29:49.02 ID:Cy7dNtMY0
「マスクを着けての練習は体力強化には良さそうね。でも病み上がりなんだか
ら気を付けてよ」絵里もにこの体調を心配していた。「わかってるわよ」絵里の
話を聞きながら準備体操を続ける。他のメンバーも談笑しながら準備運動をお
こなっていた。
アイドルの練習は実際ハードである。体を大きく動かし踊りながら息を切らさ
ず歌う。それを何曲もやり続けるのだ。練習の後の後の消費カロリーはスシ何
十貫分にもなるだろう。さらに新曲発表も控えているので練習は厳しい。そし
て数時間後、その厳しい練習も終わりを迎える。
「疲れたー!」「疲れたよ……」それぞれが疲れた様子を見せていたが一人だけ
平然としている人物が一人。「にこ、あなた疲れていないのですか」「いや、別
に」にこは疲れた様子を全く見せていない。「凄いねぇ、にこちゃん……」「ス
タミナオバケだ……」「しかもマスク着けて練習していたよね……」
159 :
◆718.HTMzJjwd :2014/06/15(日) 16:35:32.17 ID:Cy7dNtMY0
ことりと凛と穂乃果は驚いた様子を見せながらにこの姿を眺めていた「あと…
マスク着けていたのにいつもより声が透き通って聞こえた……」真姫も息を切
らしている。「何よ真姫ちゃん!いつもは汚い声みたいじゃない!……でも何か
体の調子が良いのよね。例えば、ホッ!」
バク転。「ヨッ!」バク宙、「さらに」にこは三メートルほどスプリントしたあ
と側転、後方バク転、さらにコマめいたひねり回転を加えたバク宙を決める。
ワザマエ!これはシライと呼ばれる超高難易度の技なのだ!「にこちゃん凄
い!凄いよ!」花陽は目に尊敬の念を滲ませながら拍手する。
(((やばい!やりすぎた)))これは今までのにこなら絶対に不可能な技だ。「で
もこんなに身体能力が急激に上がるなんておかしい……」絵里は不可解そうな
顔だ。その問いに、にこは「きっと……あれよ!頭を打った箇所が運動能力を
司る箇所でそこが刺激されて身体能力が上がったのよ!」
160 :
◆718.HTMzJjwd :2014/06/15(日) 16:39:31.23 ID:Cy7dNtMY0
「そうなのか〜」「凄いね人体!」穂乃果と凛はその意見に納得していたが、他
のメンバーは明らかに納得していなかった。「おかしいです」「うちの病院に連
れて行く?」海未と真姫は不可解なものを見るように眺めるが、「でも体に害が
あるわけじゃなさそうだし、いいんやない」希は気にしてなさそうだ。
「きっと今までにこちゃん一人で練習していたんだよ」ことりも特に気にし
ている素振りを見せずスモウトリめいた柔軟さで練習のクールダウンをおこなっ
ている。「まあ、とりあえず様子見でいいんじゃないエリち?」「そうね……」
絵里は渋々納得したようだが、その顔は明らかに怪訝そうである。
161 :
◆718.HTMzJjwd :2014/06/15(日) 16:42:39.20 ID:Cy7dNtMY0
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162 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/15(日) 16:42:54.30 ID:Eo6VtM1CO
側転!バックフリップ!スゴイ!
163 :
◆718.HTMzJjwd :2014/06/15(日) 16:50:18.96 ID:Cy7dNtMY0
一週間この厳しい練習は続いた。その甲斐あってか発表した新曲は素晴らしい
出来になった。「見て!ワタシ達の新曲凄い評価されているよ」ことりは嬉しそ
うにしている。昼休みμ'sはアイドル研究会の部室に集まっていた。自分達の
新曲がどのような評価を受けているか見る為だ。
「なになに、『期待のホープμ'sが更なる高みに登る』『新曲は素晴らしい出来
であり、そのパフォーマンスはAーRISEに匹敵している』だって!」この
評価を聞いて穂乃果の顔は緩む。「練習頑張った甲斐があったね。かよちん!」
「うん!ワタシ達がAーRISEに匹敵しているだなんて……」
凛と花陽もお互い手を取りあり嬉しそうにしている。「他には『特に矢澤にこの
パフォーマンスは特筆するものが有り、圧倒的存在感を放っていた』だって、
すごいよぉにこちゃん!」「まあ、確かにここ一週間のにこちゃんのダンスや歌
はもの凄かったからね」真姫も納得の表情をしながらPCの画面に目を移す。
164 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/15(日) 16:51:40.90 ID:OtvbsU1Qo
実際ワザマエ
165 :
◆718.HTMzJjwd :2014/06/15(日) 17:01:03.54 ID:Cy7dNtMY0
「時代がやっとにこに追いついたのよ!ふぁ〜」にこは目を擦りながら欠伸。
「ずいぶん眠そうね、にこ。寝不足は肌の大敵って私達いつも言っているのに」
「いやね……何か夢のせいでよく眠れないのよ」「どんな夢?」絵里は続きを促
す。(((まあ、これは言ってもいいか)))
「病院で寝ていた時も同じ夢を見たのよね。何かアイドルニンジャっていうの
が、にこの目の前にいて日に日にその距離が近づいているのよ」「それで?」「後
は特にないわ。それだけよ」「何かスピリチュアルね」希は興味深そうに、にこ
と絵里の会話に参加する。
「しかし同じ夢を何度も見るなんて、何か意味があるのでは……」海未も興味
深そうに話を聞いている。「まあ、いずれこの夢もいずれ治まると思うわ」(((仲
間なんていらない!)))「うん?誰かにこに話しかけた」「いや何も」「そう」何
か声が聞こえたような気がしたが気のせいと思うことにした。
166 :
◆718.HTMzJjwd :2014/06/15(日) 17:08:12.29 ID:Cy7dNtMY0
「さあ、新曲の評価は良かったけど、気を抜かずに練習に励もうよ!」「そうで
すね勝って兜の緒を締めろと言いますからね」その日の放課後も練習は始まっ
た。「ではまずステップの練習からです」八人は横に並び、海未が手拍子を打ち
ながら皆のリズムをチェックする。
「1、2、3,4……」スシを握るスシマシーンめいてメンバー規則的なステ
ップを刻む。「ちょっと花陽。リズムがずれているわよ」にこは花陽に注意。「確
かにちょっとリズムがずれていたような気がしましたね」「凛も横にいたけどわ
からなかったよ」「0.5秒ずれていたわ。にこには分かるのよ」
「もう一回やるわよ。いいわね。海未」「はい。もう一度です」海未はもう一度
手拍子でリズムを刻む。「1、2、3、4」「花陽!またリズムがずれているわ
よ!」にこの叱責「ご、ごめんなさい……」花陽はきつく注意されたせいか、
少し怯えていた。「にこちゃん。ちょっと厳しいんじゃない?」
167 :
◆718.HTMzJjwd :2014/06/15(日) 17:13:51.98 ID:Cy7dNtMY0
「私もリズムのズレは感じなかったわ」真姫と絵里も反論するが、「今度は0.
4秒ずれていたわ!」「まあまあにこっち。そんなに細かく気にせんでも」希は
にこを窘める。「まあいいわ……次はしっかりね花陽!」「うん……」花陽は完
全に委縮。
「では……改めてステップ練習を再開しましょう。1、2、3」海未は手拍子
でリズムをとるが、「花陽!ずれてる!」にこは今までにないほど声を張り上げ
た。「ひぃ……」花陽は反射的に、にこの顔を向けて見て感じてしまった!その
いつもと違う青い瞳と人ならざる禍々しいアトモスフィアを!
「ごめんなさい!ごめんなさい!」花陽は壊れたモーターヤブめいて泣きなが
らにこに謝り続ける。「にこちゃん!そんなに強く言う必要はないニャ!」凛は
目に怒気を滲ませながらにこに詰め寄る。「今の花陽のリズムは正確でした」海
未は花陽に怒鳴ったことに怒りを覚えながら否定する。
168 :
◆718.HTMzJjwd :2014/06/15(日) 17:21:30.98 ID:Cy7dNtMY0
「にこには分るの!0.1秒ずれていたの!」実際花陽のリズムは0.1秒ず
れていた。だがその違いはニンジャ感覚を持っているにこだからこそ分かるの
であり、他のメンバーには分からないは当然である。そしてニンジャにとって
の0.1秒は決定的な違いだ。
「もう!非ニンジャのクズが足を引っ張らないで!」この瞬間屋上は水を打っ
たようなに場は静かになる。「あ……ちょっと……頭冷やしてくる……」にこは
そう言うと。敗走する兵士めいて屋上から出る扉に走って行った。「にこちゃん」
穂乃果はにこを静止しようとするが、「ほっときなさい!」真姫がとめる。
「今日のにこちゃん。どうかしてるわ!」真姫はにこが階段を駆け下りる音を
聞きながら怒りを露わにする。「にこ……どうしたのかしら……」「にこっち…
…」絵里と希は信じられないものを見たという顔しながら呆然とし、他のメン
バーは花陽を慰めている。
169 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/15(日) 17:23:02.23 ID:Eo6VtM1CO
サツバツ!
170 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/06/15(日) 17:26:46.38 ID:cQgRlMyc0
ツキジめいたことにならなければいいのだが
171 :
◆718.HTMzJjwd :2014/06/15(日) 17:27:15.13 ID:Cy7dNtMY0
階段を駆け下り、校門を通過し、我武者羅に街中を走りながらにこは先ほどの
ことを思い出していた。(((どうしたのよワタシ!?何であんなこと言った
の!?非ニンジャのクズだなんて!)))にこは気づいていたら無意識に「非ニ
ンジャのクズ」と言っていたのだ。まるで誰かに操られたように。
(((非ニンジャのクズにクズと言って何が悪い)))(((誰?)))にこは急停止し
て辺りを見回すが誰もいない。(((ニンジャになって!歌唱力やダンスが上手く
なったと思ったら、花陽にあんなヒドイこと言って!さらに幻聴まで聞こえる
ようになった!私はどうなっているの!?)))
「家に帰ろう……」兄妹達の姿を見れば気が紛れるかもしれない。にこは外気
の肌寒さを感じながら足取り重く駅に向かっていく。だが道中明日は皆とどう
接したらよいかということばかり考え、収穫間近のバイオ稲めいて頭を下に向
けていた。
172 :
◆718.HTMzJjwd :2014/06/15(日) 17:30:42.18 ID:Cy7dNtMY0
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173 :
◆718.HTMzJjwd :2014/06/15(日) 17:37:42.96 ID:Cy7dNtMY0
翌日、にこは授業を受けるがまるで内容が入ってこない。昨日の件を引きずっ
ているからだ。授業も終わっての中休み、そんな中「にこちゃん……」花陽が
にこの教室の扉の前にいた。(((なんで!?花陽なんで!?)))様々な思考が頭
を駆け巡りながら花陽の前に立つにこ。
「えっと…あの……」言葉が出てこない。このままでいいのか?しかし昨日の
花陽の泣き顔がハッキリと思い浮かんできて意を決して謝罪する。「花陽……昨
日はどうかしてた……いや言い訳ね……ごめんなさい」「ううん……こっちもご
めんなさい」
おお!ほとんど非がなかったといえる花陽が非を認めて謝る!これが日本人の
奥ゆかしさなのか!「これで仲直りやね」「良かったわ……」廊下の影から希と
絵里が二人の元に駆け寄る。「あんた達ずっと見てたの!?」「ええ。ばっちり」
「花陽ちゃん。にこっちは体重が増えたせいで気が立っていたんよ。だから許
してあげて」希はおどけた様子を見せる。「体重増えたのは希のほうでしょ」
「あ!にこっち。そんなこと言う娘はこうや!」「ちょっと!ワシワシは止めな
さい」そんなふざける二人を絵里と花陽は笑いながら眺めていた。
174 :
◆718.HTMzJjwd :2014/06/15(日) 17:46:27.30 ID:Cy7dNtMY0
「安いよ、安いよ、ジャンバラヤ」やけに陽気なメロディーにのせて非人間的
な機械音が鳴り響く、辺りを見回すと狭い通路の左右にはヒューズ、基盤など
電子機器の部品がぎっしりと並ぶ、大半の人間には只のジャンクに見えるだろ
うが一部に人には宝の山に見えるかもしれない。
通路の奥に進むにつれて「たぶん合法」「安い」「自己責任」商品を告知するノ
ボリが見えるのが、明らかに胡散臭く、商品は実際非合法である。そんな異様
なアトモスフィアを醸し出しているこの場には分不相応な女子高生がいた。少
女は店に入り気難しそうな店長に金を渡し、何かを四つ受け取った。
店を出た後、少女は表に待たせていた三人にそれを渡す。これはクレープだ。
少女は他の三人にクレープを渡す。三人は明らかに訝しみながらそれを口に含
む「「「美味しい」」」三人は一斉に声をあげる。にこと凛と真姫と花陽は秋葉原
の街にいた。
175 :
◆718.HTMzJjwd :2014/06/15(日) 17:50:59.80 ID:Cy7dNtMY0
(((これはしばらく節約ね……)))にこが花陽に謝ったその日。日頃の疲れを
癒すためにその日の練習は中止、放課後暇になり、にこは花陽にお詫びの一環
として美味しいと評判のクレープをご馳走しようとしていたが花陽のそばに凛
と真姫もいたので二人にもご馳走することにした。
「かよちん美味しい?」「うん!美味しいよおはぎクレープ。真姫ちゃんも食べ
る?」「スゴイ組み合わせね……」それぞれクレープを頬張りながら町を歩く。
ちなみに花陽が食べているおはぎはあの薬物のオハギではない。安心していた
だきたい。
「にこちゃんも食べるおはぎクレープ?」花陽は見る限り機嫌が良さそうで、
にこは誘った甲斐があったと感じていた。これで期限が直ってくれればまた明
日にはいつも通りの楽しいアイドル活動ができると願っていた。「しかしあんな
場所に美味しいクレープ屋があるなんてよく分からない街ね」
176 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/15(日) 17:53:19.03 ID:b6rpcyWGo
アーイイ…オハギ…イイ…
177 :
◆718.HTMzJjwd :2014/06/15(日) 18:00:47.92 ID:Cy7dNtMY0
他愛もない会話をしながら四人は当てもなく秋葉原をぶらつく。クレーンゲー
ムで遊んだり、にこに強引に連れられてスクールアイドルのグッズを専門店に
入り自分たちのグッズを物色するなどして放課後を楽しんだ。四人は歩いてい
るうちにいつの間にUTX学園前にたどり着く。
「見て。AーRISEだよ」UTX学園前にはそこには大画面の液晶が設置さ
れてあり。ラブライブの予選が始まっていることもあり新曲の映像が常に流れ
ている。この映像を見たものは「今回のラブライブもAーRISEだ」「やっぱ
り凄い!」「ツバサちゃんカワイイ」と見ている群衆は賛辞の声を送っている。
人通りの多いこの時間に大画面と大音量で新曲を流す宣伝活動は非常に効果的
である。これは圧倒的資本があるUTX学園だからできる戦略で音ノ木坂高校
には逆立ちしてもできないだろう。この資本にものを言わせた宣伝活動はスケ
ールが違えどネオサイタマの暗黒メガコーポを思い出してしまう。
178 :
◆718.HTMzJjwd :2014/06/15(日) 18:07:15.84 ID:Cy7dNtMY0
だがUTX高校は健全であり断じて暗黒メガコーポのような経済活動はしてい
ないと言っておく。「やっぱりAーRISEは凄いな〜」花陽は食い入るように
画面を凝視する。「予選決勝ではAーRISEとぶつかるかもしれないのよね…
…」真姫も相手の強さに熾烈な争いを予感していた。
「でも今の凛達なら大丈夫……」しかしその後の言葉は続かなかった。「「「いや
ー!!」」」三人が落としたクレープが道路に染みを作った瞬間、それが合図のように
一斉に、にこから逃げるように走り去った。三人は見てしまったのだ!
その青い瞳でAーRISEを汚らしい何かを見るような侮蔑な目で見た後「所
詮は非ニンジャのクズか……」そのジゴクめいた声はこの世のものとは思えな
かった!彼女達は心の底から恐怖した。にこが尊敬したAーRISEにあんな
言葉を吐くとは思えない!三人はにこは変わってしまったと確信してしまう。
179 :
◆718.HTMzJjwd :2014/06/15(日) 18:12:06.64 ID:Cy7dNtMY0
にこは悲鳴をあげながら走りゆく三人を呆然と見送る。(((私はまた何かした
の!?)))自分が「所詮非ニンジャのクズか……」と発言したことに驚く、花
陽の時と同じようにいつの間に喋っていたのだ。
「あら、あなたはμ'sの矢澤にこさん」立ちすくんでいるにこに声をかけて
くる人物がいる。茶髪のショートヘアで活発なアトモスフィアを感じる。彼女は
綺羅ツバサ。AーRISEのリーダーである。「新曲良かったわよ」ツバサは友
好的に声をかける。「そう……ありがとう……」にこは興味なさげに返答。
「……予選の決勝で会いましょう」彼女は少しだけ表情を引き攣らせながらU
TX学園の校内に入って行った。(((前会った時はあんな感じではなかったの
に?さっきの不快感はなに?)))ツバサは言いようのない不快感に襲われてい
た。その不快感の正体は侮蔑である。
180 :
◆718.HTMzJjwd :2014/06/15(日) 18:19:38.52 ID:Cy7dNtMY0
ツバサはAーRISEのメンバーとして数々の賞賛や憧れ、ライバルからの嫉
妬や敵意は受けたことはあったが侮蔑はなかった。アッパーガイオンの人間が
アンダーガイオンの最下層の人間を見るような侮蔑の目を向けられて、この感
覚は初めてであり彼女は分からなかったのだ。
(((ツバサってあんな感じだっけ?)))にこはAーRISEに強い尊敬を抱い
ておりファンだった。しかし急速に尊敬が失せていくのを感じていた。AーR
ISEのパフォーマンスはスクールアイドルのトップであるが、にこ、ニン
ジャの目から見ては児戯めいたものだ。
(((そう、アンタが尊敬したアイドルも非ニンジャのクズ。そしてアンタの仲
間も非ニンジャのクズ)))(((誰よ!)))にこはこの声に聞き覚えがあった。階
段から落ちてから聞こえてくる謎の声。(((自己紹介したじゃない。アタイはア
イドルニンジャ)))
181 :
◆718.HTMzJjwd :2014/06/15(日) 18:23:01.37 ID:Cy7dNtMY0
なんとアイドルニンジャがにこに語りかけたのだ!このソウルはナラク・ニン
ジャのように明確な意識を持っていた!(((あんな非ニンジャのクズなんか只
の足手まとい。あんなのは見捨てて一人でアイドルをやりましょう)))(((黙り
なさい!)))
(((アンタは私を一人にさせたいみたいだけど、絶対にメンバーを見捨てない
し、アイツらも私を見捨てない!)))ひとりだった自分がやっと得た仲間。そ
してその仲間が自分を切り捨てることはあり得ない!にこは己のニューロンに
語りかける声に抗いながら街中に溶け込んでいく。
182 :
◆718.HTMzJjwd :2014/06/15(日) 18:30:26.20 ID:Cy7dNtMY0
このUTX高校前の一件からにこの環境、そしてμ'sの環境は変わっていく。
にこのニューロンに語りかけるアイドルニンジャの声は大きくなり、語りかけ
る頻度が飛躍的に上がった。その声に抗いながらもアイドルニンジャが自分
の意識の中徐々に溶け込んでいるような不快な感覚に襲われていた。
それでもにこは必死に抗う。もしアイドルニンジャの声に従ったら、忽ち自分
の自我は無くなってしまう、そんな予感。そして何よりも自分があのニンジャ
に飲み込まれることにより、大切な仲間を失ってしまうことを恐れていた。
そしてμ'sの一年生組がにこを明らかに避けていた。彼女達はあの時の姿がニ
ューロンに奥底に刻み込まれており、本当のにこちゃんは違う。そう思い込も
うとしてもあの時の恐怖がフラッシュバックしてそれを拒む。そしてにこへの
恐怖は練習にも影響が及ぶ。