夏休みに田舎に行ったら麦わら帽子に白ワンピの女の子と仲良くなって「また遊びに来るからね!」って別れたら
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Part3
48 :
以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/07/01(日) 03:12:48.421 ID:
ZJve1rDnp
少年「とうっ!」
少女「うわっ、すっごーい!! はー、やっぱり男のコには敵わないなぁ。あの高さは流石の私もムリだ」
少年「っぷは、へへ! 見たかオレの実力!」
少女「ホントすごいよ。この前までピーとかパーとか言ってかわいかったのに、ねぇ?」
少年「言ってない!」
少女「あはは! じゃあまだ私の勝てる釣りでもやってみようかな?」
少年「釣りもコツを掴めば多分簡単なんだろ」
少女「いやいや、釣りは奥が深いんだよキミ。石と、川と、風と、世界と一体化して……」
少年「うるせ」
少女「きゃあぁあ!?」
少年「ぷっ、はははは!」
少女「ぷへぇ、ちょっと! マナー違反だよキミ!」
49 :
以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/07/01(日) 03:16:24.192 ID:
ZJve1rDnp
少女「んもー、おかげでサッパリいい気分だよう」
少年「くく、ごめん」
少女「……笑うようになったねー」
少年「ん?」
少女「キーミ。だって最初は、もっと、なんかズーンってしてたもん」
少年「そうかな」
少女「そうだよ」
少年「そうかも。なぁ、オレ」
少女「明日、帰っちゃうんだねー」
少年「……ん」
50 :
以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/07/01(日) 03:20:13.917 ID:6Blf7wRAM
お前の後ろだ!!!
51 :
以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/07/01(日) 03:22:30.946 ID:
ZJve1rDnp
少女「ね、ポラ貸して」
少年「デジカメだって。何するんだ?」
少女「撮られてばっかりだったからさ。はーい、笑って笑ってー」
少年「ん、んん」
少女「あはははは! 引きつってるじゃん、ほら、もっとニコーって! あーもう、ダメダメ、ほら!」
少年「ちょ! ま、近……!?」
少女「ね、カメラ見て?」
少年「おお、う」
少女「ハイ、チーズ♪ えへへ、ありがと!」
少年「これ、撮れてないかもだぞ」
少女「へーきへーき、心のアルバムにしまっといてよ」
少年「……ん」
少女「私とのツーショットなんてお宝だよ〜?」
少年「うるせ」
少女「えへ」
52 :
以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/07/01(日) 03:24:02.948 ID:
ZJve1rDnp
少年「また遊びに来るから」
少女「うん、待ってる」
少年「じゃあ」
少女「うん」
少年「またな」
少女「またね」
53 :
以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/07/01(日) 03:34:38.232 ID:
ZJve1rDnp
父「おばあちゃんの家は楽しかったか?」
少年「結構楽しかったよ」
父「はは、お前がそんなに日焼けするなんてな」
少年「前見て運転してよ」
父「父さんも昔はあの辺一帯を走り回ったもんだ。懐かしいなあ」
少年「ふーん」
父「……」
少年「……山に、さ」
父「ん?」
少年「山に、木の実が生ってて、すっごく甘いのと、すっごく酸っぱいのが見分けつかなくて、オレ酸っぱいのばっかりでさ」
父「……ん」
少年「友達が教えてくれたんだ。そいつ、すごいやつでさ! 色んなこと知ってて、色んな場所知ってて、毎日、いっしょに、あそ、遊びっに」
父「そうか」
少年「川、飛び込ん、込んだりして、カメラ、こっ壊れたっかもだけど、いっぱい、写真、いっぱい……とったがらっ」
父「防水のデジカメ買わなきゃな。また、来年も来ような」
少年「ん゛……!」
54 :
以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/07/01(日) 03:38:45.497 ID:6w6emhS6d
でも実は生きてるパターン
55 :
以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/07/01(日) 03:44:12.247 ID:
ZJve1rDnp
父「トイレ大丈夫か?」
少年「ん。ねえ」
父「ん?」
少年「田んぼ沿いの駄菓子屋、行ったことある?」
父「ああ、まだ残ってたか。あそこの団子は絶品だったなあ」
少年「ふーん、やっぱりそうなんだ。ずっと閉まってたけど」
父「そりゃそうだろうなあ、あそこのお婆さんも生きてたらもう100近いか? 仕事は無理だろうな」
少年「……え?」
父「父さんも昔はよくあそこに入り浸ってたんだよ、今思うとちょっと迷惑だったかもなぁ。お婆さんは『身寄りもないからみんな孫みたいなもんだ』ってよく言ってたけど」
少年「そう、なんだ……」
父「お腹空いたのか? やっぱりサービスエリア寄るか?」
少年「ん、大丈夫」
56 :
以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/07/01(日) 03:48:43.239 ID:
ZJve1rDnp
父「明日は病院で検査してもらって、何かしら食べて、カメラのことはそれからだな」
少年「ん」
父「まだしばらくかかる、寝てていいぞ」
少年「ん、ありがと……」
父「おやすみ」
57 :
以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/07/01(日) 04:17:44.946 ID:6w6wNi0t0
死んだか
58 :
以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/07/01(日) 04:28:55.376 ID:mxLzHS9Px
はよ
59 :
以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/07/01(日) 04:29:33.981 ID:
ZJve1rDnp
父「よかったな、ちゃんとこれでまた使えるってさ」
少年「ん、ありがと……ああ。やっぱり」
父「父さんにも見せてくれ。おお、どれもいい風景だな、こんなの撮れる所があったのか?」
少年「写真には写ってないけど、友達に、案内してもらった」
父「ああ、例の同じ年頃の。お婆ちゃん経由で渡してもらうか?」
少年「……ん、やめとく」
父「あ、この子か?」
少年「!?」
父「あー……相当仲良くなったんだな、ツーショットか。ん、そういうこともあるな」
少年「写ってる……写ってる!」
父「お、おい。何をそんな、ん、んん? この子、
60 :
以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/07/01(日) 04:33:39.502 ID:
ZJve1rDnp
少年「相変わらず何にもないな」
少女「そう? 私は気に入ってるけど」
少年「久しぶり」
少女「久しぶり! ちょっと背伸びたんじゃない?」
少年「ん、去年から5cmくらい。お前は変わらないな」
少女「えへへ、まあね」
61 :
以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/07/01(日) 04:40:11.406 ID:
ZJve1rDnp
少女「ふーん、おじいちゃんおばあちゃんの家に泊まってるんだ」
少年「もう肺もよくなったから、田舎に来ることもないんだけどな」
少女「でも、来てくれたんだ?」
少年「ん。また遊びに来るから、って約束したし」
少女「ふふ、私も待ってた」
62 :
以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/07/01(日) 04:47:41.309 ID:
ZJve1rDnp
少年「カメラ、見られなくなってただけでさ。やっぱりちゃんと撮れてたんだ」
少女「ふーん、ちゃんと撮れてたんだ」
少年「……ちゃんと、じゃないな。お前だけが写ってなかった」
少女「あー、やっぱりね」
少年「知ってた?」
少女「うっすら。色んな子と友達になって、中にはポラ持ってる子もいて、一緒に撮り合ったりもしたんだけどね。カメラの調子が悪いのか私だけ写らなかったり」
少年「……」
少女「忘れてたんだよね、あんまりみんなといるのが楽しくって。夏が来る度に、お日様の眩しさで目が眩んで、迷って」
少年「お前」
少女「うん、死んでる。死んでます。お化けだね」
63 :
以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/07/01(日) 04:50:15.869 ID:iJpA/Xh/0
え
64 :
以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/07/01(日) 04:56:48.306 ID:
ZJve1rDnp
父「この子、そっくり……いや、似てるどころか本人じゃないのか?」
少年「え?」
父「父さんが村に住んでた頃、川で足を滑らせて亡くなった子がいてな。明るい子で、村のみんなから可愛がられてたんだ」
少年「……」
父「父さんもまだ小さい頃、一人で家にいなきゃいけない時とか何度か面倒を見てもらってな。ああ、それにしてもよく似てるなぁ」
少年「川で、足を滑らせて?」
父「ん、ああ。雨の日に川へ……何しに行ったのかは知らないが、川へ行ってそこで、って話だったはずだ。詳しくは覚えてないが村中大騒ぎになったのはよく覚えてる」
65 :
以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/07/01(日) 05:06:31.995 ID:
ZJve1rDnp
少年「スケスケだな」
少女「あはは、思い出しちゃったからね。足なんかもうほとんど溶けちゃってるみたいでしょ」
少年「なんか、今目の前にいるのに本当はいないような……変な感じだ」
少女「あんまり見つめちゃだめだよ、えっち」
少年「花火のさ」
少女「あ、うわ、すごいね」
少年「ん?」
少女「うん、あの時にハッキリ思い出したんだ。んー、分かっちゃった? なのかも。お祭りの日は第三日曜日なのに、前倒しにするはずないもん」
少年「そうなのか。いや、そっちじゃなくて……花火の次の日、川行った時の、これ」
少女「これ、この写真」
少年「一枚だけあった。お前がちゃんと写ってる写真……もらってくれるか?」
少女「……えへ。うん! えへへ、ありがと♪ かわいく撮れてるじゃん」
68 :
以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2018/07/01(日) 05:21:09.310 ID:
ZJve1rDnp
少年「もう?」
少女「うん。ホントは思い出した時にすぐ行くべきだったんだけど」
少年「そっか」
少女「でも、待ってたおかげでこんなに立派な冥土のお土産もらっちゃった。ありがとね」
少年「ん」
少女「笑顔、上手になったね」
少年「お前のせいだ」
少女「どういたしまして! じゃあね」
少年「またな」
少年「……またな」
おわり