男娼「身請けしてくんない?」 少女「そんなお金ないですね」
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Part9
188 :
名無しさん@おーぷん :2015/05/24(日)19:49:49 ID:
s9K
少女「えっと、外どうなってるの?」
見習い「あ、もう店が開いてます。お客さんも座敷に入り始めました」
少女「そ、う」
少女「じゃあ外には出れないね。私今、暇してるんだ」
見習い「…ぼ、僕もです」モジ
少女「一緒にいてもらっていいかな?ちょっと居心地悪くて不安なんだ」
見習い「!」パァア
少女「私、少女。君は?」
見習い「み、見習いですっ」
少女(…かわいいなー。背格好は弟と同じくらいか)
見習い「…」ジー
少女「…ど、どうしたの」
見習い「少女さんは…何者なんですか?」
少女「何者も何も…えーっと」
少女(確かにこの店の人たちからしたら、不思議な立ち位置だね)
見習い「…男娼さんの、恋人って本当ですか?」
少女「こっ…いや、違う。違うから」
見習い「え、じゃあどうしてこんな所に囲われてるんですか?」
少女「囲われてる、って…。これには色々事情があるのよ」
見習い「…じじょう?」
少女「話せば長くなるんだけど…」
189 :
名無しさん@おーぷん :2015/05/24(日)19:56:05 ID:
s9K
見習い「へぇー…。いいお姉さんですね」
少女「いや、情けない限りだと思う」
見習い「僕たちの店も、お客さん以外の人の出入りが少なくて」
見習い「昼にたまに来るあなたが、結構話題だったんです」
少女「え、そうなの?」
見習い「はい。だから男娼さんがこの部屋に入れちゃったときも、結構騒ぎになっちゃって」
少女「…なんか、恥ずかしい、けど」
見習い「けど、何だか男娼さんらしくないや」
少女「何が?」
見習い「あの人、あんまり人に固執しないんです。割り切ってるみたいで」
見習い「こうまでしてあなたを傍に置いておきたかったのかな、って」
少女「…それが疑問なんだ」
少女「何で私もあんなにあの人が絡んでくるのかがわかんないのよ」
見習い「さあ…」
少女「…男娼って」
少女「どんな人?」
見習い「え、っと…。お客さんは凄く多くて、憧れの先輩です」
見習い「けど、何だか…。あんまり周りの人と仲良くしないですね」
少女「…分かる」
190 :
名無しさん@おーぷん :2015/05/24(日)20:00:51 ID:
s9K
見習い「たまに、すごく怖い雰囲気出してる時があるんです」
見習い「そういうときは、あんまり近づきたくないかな、なんて」
少女「そうなんだ」
見習い「け、けど。あの人本当に、仕事はものすごく上手なんですよ」
少女「…」
少女「あなたは、ここに何年いるの?」
見習い「僕ですか。2年ちょっとです。まだ全然ひよっこで」
少女(…この子も、男娼になるんだ。こんなあどけない子が)
少女(何があったんだろう、この店の人たちは。…誰にも、守られてこなかったのかな)
見習い「少女、さん?」
少女(…私、何か失礼なこと考えてたのかな、彼らに)
見習い「…あのぉ」
少女「なんでもない。…ね、札遊びしない?私、持ってるから」
見習い「…はい!」
191 :
名無しさん@おーぷん :2015/05/24(日)20:04:50 ID:
s9K
青年「あらぁ、お姉さま〜。また来てくださったの。嬉しい」
男娼「…」
新人「今日男娼さん、不調っすね」ボソ
店主「今日はなんかぴりぴりしてるもんなー…」
「…あの、彼を」
店主「はい、かしこまりました」
新人「げ、言ってる傍からかよ」
店主「男娼!お連れしなさい」
男娼「かしこまりました」スッ
店主「…お前、気合入れろよ」ボソ
男娼「分かってるよ」
店主「…」
新人「ああ、早くお客さんつかないかな…」
192 :
名無しさん@おーぷん :2015/05/24(日)20:08:57 ID:
s9K
少女「…」
見習い「すぅ、すぅ…」
少女「…ん」ムク
少女「ふぁ…」
少女(あ、…。何時の間に寝てたんだろ)
見習い「…」スゥ
少女「よいしょ、と」パサ
少女(…やっぱ可愛い)ポンポン
少女「…」
少女(…静か、になった気がする)
少女(…もう真夜中だもんね。えーっと、そういうコトはもう終わって寝てるのかな)
少女(…お皿、片付けにいこうかな)カチャ
キィ
少女(音、立てないようにしなきゃ)ソロ
少女(…店先も誰もいない。やっぱ、皆寝て…)
ギシ
少女「…」ビク
「…あっ」
少女「……」
「ん、っ…!」
少女「………」
194 :
名無しさん@おーぷん :2015/05/24(日)20:12:52 ID:
s9K
少女(ひ、冷や汗が、出る)ドキドキドキドキ
「ああっ…!」
ギシ ギシ
少女(そ、外でなきゃ良かった!盗み聞きしたみたいじゃん!か、帰ろう!)クル
少女「…あ」
少女(音がする方、男娼の部屋だ)
少女「…」
「は、あっ…。男娼っ…」
ギシ
少女(…なに、やってんの)
少女(なんで、部屋に帰らないのよ)
少女(なんで…男娼の部屋の方に行くの、私は)
少女「…」ソッ
「…なに。もうお終いなの?」
「もう、やっ…」
「もっとしてって言ったのは、そっちのほうじゃない」
少女「……」
少女「…」
195 :
名無しさん@おーぷん :2015/05/24(日)20:16:30 ID:
s9K
少女「…」
少女(あの人は)
少女(どういう気持ちで)
少女(毎晩毎晩…)
「…っ、ぁああっ…!」
少女「!」ビクッ
少女(な、何やってんだ、私は。馬鹿みたい…)クル
少女(そう、皿。皿返しに来たんだった)タタ
……
…
少女(やっぱ、厨房にも誰もいないのね)カチャ
少女「…はぁあ…」
少女「ここで寝泊りとか…無理だろ…神経減るわ…」グタ
少女「もうこの空気感に慣れないもん…。無駄に緊張するし…」
少女「…あー」ワシャ
196 :
名無しさん@おーぷん :2015/05/24(日)20:23:05 ID:
s9K
少女「寝よ、もう。…はあ」ヨロ
少女(…明日どういう顔して男娼に会えばいいのかな)
少女「…」ソロ
少女(…あ、れ)
少女(…私の部屋の扉、開いてる?)
少女(…ちゃんと閉めたと思ったんだけどなー)キィ
少女「…え。暗…」
ガッ
少女「!!」
「どこ行ってたの」
少女「なっ、なにっ…!」
「どこに行ってたの、って。聞いてるんだけど」
ドサ
少女「だ、誰!?やめて、離して!」
「…どこに、行ってた」
少女(…っ、カーテン、開け…!)シャッ
男娼「…」
少女「だ、男娼、さん…」
男娼「うん」
少女「び、びっくりしたぁ…。な、何やってるんですか。離してください」バッ
男娼「何処行ってたのさ」
少女「お、お皿を返しに行ってたんです。それより、あなたこそどうしてここに」
197 :
名無しさん@おーぷん :2015/05/24(日)20:29:32 ID:
s9K
男娼「…」
少女「あれ。見習い君は?」
男娼「部屋に返したよ」
少女「そう、ですか。…で、何かご用ですか」
男娼「仕事終わったから。君に会いに来ようと思って」
少女「…お客さんのところいなくていいんですか」
男娼「いいよ、別に。寝てるし」
少女「はあ…」
男娼「こっち来て」
少女「…」
男娼「抱いて」
少女「…」
男娼「目で抗議するの、やめてくんない?」
少女「あ、のですね。お仕事で疲れてるだろうし、寝たほうが」
男娼「抱いて」
少女「…」
男娼「…あ、そっちの意味じゃなくて。抱きしめて、ってこと」
少女「ああ、そっちですか…」
少女「って、えーと」
男娼「早くして」
少女「…は、は…い」
199 :
名無しさん@おーぷん :2015/05/24(日)20:34:27 ID:
s9K
少女「…こう、ですか」キュ
男娼「ううん」
少女「…」
男娼「君、弟を抱きしめることくらいするでしょ。あんな風にしてよ」
少女「ど、どうして急に」
男娼「ちゃんと頭に腕を回して。ぎゅう、ってしてよ」
少女「…」
男娼「早く…」
少女「…」ギュ
男娼「…はぁ…」
少女(何この状況…。や、やだ)
男娼「…もっと、ぎゅってしてよ…」
少女「は、はい」ギュ
男娼「…君、あったかい」
少女「…」
男娼「…」
少女「男娼、さん?」
男娼「…このまま、抱きしめててよ。…寝てたって構わないからさ。僕のこと、離さないで」
少女「…」
男娼「…」
少女(…子どもみたいな顔、するんだな)
男娼「…少女ぉ」
少女「はい」
男娼「……離れないで」
少女「…はい」
200 :
名無しさん@おーぷん :2015/05/24(日)20:41:52 ID:
s9K
……
…
少女「…」
少女「…ん」ゴロ
少女(朝、か)
少女(…って、何だ。あれから記憶がない。まさかあの状況で爆睡したの!?)バッ
少女「…」
少女「な、何もない、よね」
少女「…男娼、何時の間に帰ったんだろう」キィ
男娼「あ」
少女「え」
男娼「今起こしに行こうと思ってた。君、寝すぎだよ」
少女「す、すみません」
男娼「全く。しかも身支度もしないまま外に出てるし。それでも女?」
少女「…」
男娼「朝ごはんだから。下に下りてきて。ちゃんと着替えてよ」
少女「はい」
男娼「じゃ」スタスタ
少女(…昨日のことには触れない、のね)
男娼「…」ピタ
男娼「君さ、男の前で無防備に寝ないほうがいいよ」
男娼「…何かあったら、どうするのさ」ニヤ
201 :
名無しさん@おーぷん :2015/05/24(日)20:43:21 ID:4Lx
支援
202 :
名無しさん@おーぷん :2015/05/24(日)20:44:33 ID:
s9K
少女「…」
男娼「危機感なさすぎなんじゃない?びっくりしたよ」
少女「ご、ごめんなさい」
男娼「いきなり目を閉じたと思ったら寝息たてるんだもん。何か萎えた」
少女「なっ…」
男娼「あと」
男娼「…見習いと一緒に寝ないで」
少女「え」
男娼「寝ないで」
少女「は、はい」
男娼「じゃ」スタスタ
少女「…」
少女(何、なんだ。朝から)ムカ
少女(……昨日の、一体)
少女「…」
少女「ま、いいか」
203 :
名無しさん@おーぷん :2015/05/24(日)20:45:28 ID:
s9K
落ちます!
多分今日はここまでです。
更新遅くなるかもしれませんが、消えた訳じゃないので根気良く待ってくれれば嬉しいです
204 :
名無しさん@おーぷん :2015/05/24(日)20:45:43 ID:4Lx
乙です!
205 :
名無しさん@おーぷん :2015/05/24(日)20:46:16 ID:hk7
おつおつー
ゆっくりでいいから完走してくれよな
206 :
名無しさん@おーぷん :2015/05/24(日)21:02:01 ID:XI3
乙、舞ってる
212 :
アホアホマン◆AHOAHOJgCc :2015/05/25(月)10:46:40 ID:GZi
俺は千と千尋の世界観で読んでる
213 :
名無しさん@おーぷん :2015/05/25(月)10:54:24 ID:n6t
もっと赤ずきんちゃんで読んでた
214 :
名無しさん@おーぷん :2015/05/25(月)21:50:27 ID:RZn
わくわく(´・ω・`)