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男娼「身請けしてくんない?」 少女「そんなお金ないですね」
Part4


92 :名無しさん@おーぷん :2015/05/23(土)13:43:10 ID:vAP
男娼(外に出たの、久しぶりだなあ)
男娼「…ごめんくださーい」
商人「あいよー」
男娼「ひさしぶり」ヒラヒラ
商人「お、男娼さんじゃないですか。長い間お目にかけませんで」
男娼「最近客の入りがよすぎて、疲れてんだよね」
商人「ははあ、そりゃ羨ましい」
男娼「どこが。…あ、はいこれ」
商人「おっ。査定ですか?」
男娼「うん。早くしてね、さっさと帰って寝たいから」
商人「はいはい。…おお、今回も良いものを」
男娼「そうなの?」
商人「こっちのキセルは象牙ですね。こっちのは、東国の宝石…」
商人「いやはや、あなたには頭が下がります。買取商にここまで状態の良い品を卸してくださるとは」
男娼「早くしてってば」ゴロ
商人「はいはいただいま」カチャ

93 :名無しさん@おーぷん :2015/05/23(土)13:47:58 ID:vAP
商人「しかし」
商人「こんなに女客が男娼に貢ぐなんて、聞いたことがありませんよ」
男娼「ふーん」
商人「普通、逆でしょう?」
男娼「馬鹿らしいな。何で僕が客に贈り物してまで媚びなきゃいけないの」
商人「はは、流石。色街屈指の男娼が言うことは違う」
男娼「…」
商人「しかし、一つくらい使ってもいいのでは?勿体無いですよ」
男娼「だって、汚いから」
商人「は?」
男娼「なんでもない」
商人「そうですか?…あ、額が出ましたよ。これでどうです」
男娼「ふざけてるのかな?」
商人「ぐ…」
男娼「ここに丸、一個付け足しなよ」
商人「せ、殺生なっ!」
男娼「じゃあいいや。他のところに持ち込む」
商人「ごめんなさい嘘です」

94 :名無しさん@おーぷん :2015/05/23(土)13:52:03 ID:vAP
男娼「どうすんの?」
商人「…」パチパチ
商人「じゃ、じゃあこれで」
男娼「…ん。まあ、いいや」
商人「ありがとうございます。では、お納めください」
男娼「はーい」ノソ
商人「しかし、これだけ実入りがいいと…」チャリ
商人「借金なんてもうとうに返し終わってるのではないですか?」
男娼「黙秘」
商人「…身請けなんか、お誘いがあるんでは?」
男娼「…うるさいなぁ」
商人「へへ、すみません」
男娼「…まあ、考えてる所ならあるさ」ムク
商人「へ?」
男娼「ばいばい。今度はもっと値段交渉勉強しときなよ」ヒラヒラ
商人「…は、はあ」

95 :名無しさん@おーぷん :2015/05/23(土)13:59:31 ID:vAP
男娼「…あの狸」ジャラ
男娼「言わなきゃ正規の値段にしないんだからなあ。性根腐ってるな」
「…ほら、あの方。あそこの楼の…」
「まあ…本当。綺麗な顔ね」
「は、話しかけてもいいのかしら」
「嫌だわ。私、緊張しちゃう…」
男娼「…」
男娼(帰ろ)スタスタスタ
「くすりは、いりませんかー?」
男娼「…ん」
「けほっ、薬は…。いりませんか?」
男娼(なんだ、あのガキ)
男娼(薬売りの真似事かな。それにしても、薬が必要なのは自分の方に見えるけど)
「…ごほっ、ごほっ。…っ」
男娼「…(やだなあ、移る病気だろうか)」
「…ひゅー、っ…ごほっ…!!」
男娼「…」
男娼「ねえ、ちょっと…」

96 :名無しさん@おーぷん :2015/05/23(土)14:04:35 ID:vAP
……

男娼「ただいまー」
店主「おお、遅かったな…って」
男娼「布団と湯と手ぬぐい、あと熱さまし用意してね」スタスタ
店主「いや待て待て待て」
男娼「なにさ?」
店主「その、お前がおぶってる子どもは何だ?」
男娼「僕の子ども」
店主「ははっ、笑えない冗談だな。客を孕ませたなんて家の楼の名が…」
男娼「冗談だって。こいつ、色街の道でいきなりぶっ倒れたんだよ」
店主「は?…うわ、本当だ。すごい顔色」
男娼「熱がすごいからとりあえず引っ張ってきたんだ。あそこで気絶なんかして、日が落ちてごらんよ」
男娼「…あー、気持ち悪い。きっと人買いに攫われてたよ」
店主「はあ…」
男娼「使ってない座敷あったでしょ?そこ使うね」スタスタ
店主「ああ、まあ。いいけど」
男娼「早く言ったもの持ってきなよ、グズ」
店主「てめっ…」

97 :名無しさん@おーぷん :2015/05/23(土)14:08:04 ID:vAP
弟「…」
弟「…ぅ」
弟「…!」バッ
弟「…あ、う…」ズキ
男娼「あー、何やってんの。起きるんじゃない」
弟「ここ、どこ。僕っ…」
男娼「あんた、色街の真ん中で気絶してたんだよ。考えらんないね」
弟「いろまち?」
男娼「…あれ。いくら子どもでも知らないはずないでしょ」
弟「…」
男娼「…ま、いいや。とにかく寝てなよ。まだ熱あるし」
弟「でも、僕」
男娼「あーもう、じゃあ体だけ起こしてろ。煩いガキだなあ」
弟「…」ムク
男娼「ったく、何で僕がこんなこと」ブツブツ

98 :名無しさん@おーぷん :2015/05/23(土)14:11:26 ID:vAP
弟「あの、ここは」
男娼「…まあ、どこでもいいじゃん」
弟「あなたは…?」
男娼「通りすがりの色男だよ。てかさあ、まず看病してくれてありがとう、だろ」
弟「あ、ありがとうございます」ペコ
男娼「ん。まあ暇だからいいよ。…で」
男娼「あんたさあ、あそこで何やってたの?」
弟「…薬、売ってました」
男娼「場所悪過ぎない?こんなところで薬買う奴なんかいるかね。精力剤ならともかく」
弟「せいりょくざい?」
男娼「…」
男娼「質問に答えてくんないかな?」
弟「え、っと。僕、おねえちゃんのお手伝いしようと思って。それで」

100 :名無しさん@おーぷん :2015/05/23(土)14:17:21 ID:vAP
男娼「へえぇ。ひどい姉貴もいるもんだなあ。こんないかがわしい町で弟に商売させるなんて」
弟「…ち、違うんです。僕が悪いんです…」
男娼「…」
男娼(しっかし、細いし白い子どもだな。まるで全然外に出てないみたいだ)
弟「僕が、おねえちゃんの言うこと聞かないで無理ばっかりするから…」
男娼「!」
弟「…っ。ひくっ、…っ…」
男娼「何、泣いてるの」
弟「だ、って…。ぐすっ」
男娼「あー。こらこら、泣くな。男が簡単に涙するんじゃない」
弟「ううっ…おねえちゃぁん…」ポロポロ
男娼「うわぁ、もう…」ガリガリ
弟「僕っ、くすりもっ、売れなかったしっ…。発作まで、おこしちゃってっ…」ヒック
男娼「…」
弟「…おねえちゃんが、僕のせいで、またっ…」
男娼「いくら」
弟「…へ…?」
男娼「薬全部でいくらなの?」
弟「…」
男娼「買う。から、早く。計算もできないの?」
弟「で、でも」
男娼「早くしろっ」
弟「は、はいっ」

101 :名無しさん@おーぷん :2015/05/23(土)14:26:54 ID:vAP
弟「本当に、いいんですか?」
男娼「いいんだよ。探せばどっか傷くらいあるだろ」
男娼「はいこれ、落とすなよ」ヂャリ
弟「う、はい」ズシ
男娼「…もうここで商売しちゃいけないよ」
弟「どうしてですか?」
男娼「あんた、見たところ先天性の病気だろ。家で休んでる間は平気でも、いきなり外なんか出たら」
男娼「…そりゃ、そうなるよね」
弟「…」
男娼「…君、何て名前なの」
弟「…お、弟です」
男娼「家は?」
弟「あっちの、町のはずれのほうです」
男娼「ふふん。なるほどねぇ」クス
弟「?」
男娼「やっぱり、君がそうなのか。はは、なんだか似てる」
弟「あ、あの?」
男娼「ま、ゆっくりしていきなよ。夕ご飯もご馳走するからさ」
弟「でも、家に…」
男娼「今から帰ったって、道で倒れて死ぬだけだよ。いいから、いなよ」
弟「…ありがとう、ございます」

102 :名無しさん@おーぷん :2015/05/23(土)14:30:09 ID:vAP
ガチャ
少女「たっだいまー。弟、今日はお仕事上手くいったん…」
少女「…」
少女「弟?」
少女「お、弟?何処にいるの?おーい」
少女(いつもならお迎えしてくれるのに。部屋かな)ギィ
少女「…いない?」
少女(いたずらのつもり?にしても、…)
少女「…え」
少女(あいつの鞄と靴が、無い…)
少女「…」
バンッ
少女「…お、弟っ…!?」ダッ

104 :名無しさん@おーぷん :2015/05/23(土)14:33:28 ID:vAP
少女「はぁ、はぁ」タタタ
少女(ど、何処に行ったの?あの子っ)
少女(前に行ったことあるお店かな?それとも、公園…?)
少女(あの体で遠くに行かれたりなんかしたら…っ)
少女「はぁ、はあっ」
少女(どうしよう、どうしよう、どうしようっ…)
少女「…」
少女(色町にまで来たのに、どうして何処にもいないの?)
少女(弟…)
「何やってんの、君」
少女「…え」
男娼「泣いてるの?みっともないなあ」

106 :名無しさん@おーぷん :2015/05/23(土)14:38:44 ID:vAP
少女「…っ」
男娼「もう夜だよ。色町に来たってことは…ああ!」
男娼「ようやく君も決心がついたんだね。いや、我慢できなくなったってことかな?」ニコニコ
少女「気持ち悪いこと言わないでよっ!」
男娼「…何。何怒ってるのさ」
少女「今…忙しいのよ!私に話しかけないでっ、どっか行きなさいよっ!」
男娼「…忙しいって」
男娼「もしかしてこれ探してた?」クル
弟「…すぅ、すぅ」
少女「…」
男娼「色々あって僕が預かってたのだけれど」
少女「…」ヘナ
男娼「うわ。大丈夫なの」
少女「よか、った…」
男娼「…」
少女「し、死ぬかと思った。心配で、私っ…」ポロ
男娼「あー、と。ちょっと、ここで泣かないで」
少女「おとうとぉっ…よかったぁあ…」ポロポロ
男娼「…姉弟そろってこんなんだからなぁ」
少女「…っ。うわぁああ…」

107 :名無しさん@おーぷん :2015/05/23(土)14:44:33 ID:vAP
……

少女「…」スン
男娼「まだ鼻水出てるけど」
少女「嘘ですよね」
男娼「ちぇ。可愛くない女」
少女「…で」
男娼「うん?」
少女「どうして弟と、あなたが」
男娼「こいつ、あんたを助けようと思って薬売りの真似事してたんだよ」
少女「…」
男娼「それで、発作で倒れたのを僕が拾った」
少女「…ありがとうございました」ペコ
男娼「この子恐ろしいほど馬鹿なんだね。でも、それ以外は君にそっくりだ。見た瞬間分かったもの」
少女「…」
男娼「君、この子のために働いてるんだ」
少女「そう、ですね」
男娼「…ふーん」
少女「その、弟を。連れて帰ります。ご迷惑かけました」
男娼「…」
男娼「やだ」

109 :名無しさん@おーぷん :2015/05/23(土)14:51:31 ID:vAP
少女「は?」
男娼「やだ」
少女「あの、ふざけてるんなら」
男娼「本気なんだけど?」
少女「…」
男娼「この子さあ、色町に売りなよ」
少女「…は?」
男娼「まあまあ綺麗だし、ウブなかんじが受けると思うよ。なんなら僕の楼に入れよう」
男娼「僕が色々教え込んであげるから。きっと売れっ子にな」
少女「…っ」
パシン
男娼「…」
少女「…」
弟「…ん、」パチ
男娼「はは。…顔はやめてよ。商売道具だ」
少女「…うるさい」
男娼「何怒ってるの?」ニヤ
少女「もう一回殴られたくなかったら、弟を返して」
男娼「だから嫌だって。僕が仲介するから、売って」
少女「…っ」
弟「おねえちゃん…?」
少女「!」ピタ
弟「おねえちゃん。…あれ、ここ、どこ?」
少女「…」