男娼「身請けしてくんない?」 少女「そんなお金ないですね」
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Part3
46 :
名無しさん@おーぷん :2015/05/17(日)18:16:14 ID:
KdM
男娼「そ。僕、売れっ子で顔も良いし、嫉妬買われてるみたいで」
男娼「この楼でまともに喋れる人間いないんだよね」
少女(性格のせいじゃないかしら?)
男娼「だから君、僕と歳も近いし、話し相手になってよ」
少女「…まあ、それなら。もう配達もありませんし」
男娼「そっか」
少女「はい」
男娼「…」
少女「…」
男娼「…」
少女「…」
男娼「何やってんの、何か話しなよ」
少女「え」
男娼「僕から話振るのめんどいし。何か言って」
少女「……」
47 :
名無しさん@おーぷん :2015/05/17(日)18:19:54 ID:
KdM
少女「と、いいますと…?」
男娼「何か僕に質問とか、ないの?」
少女「(ねーよ)え、と」
少女「あ、その。お名前は?」
男娼「男娼。ってか、知ってるじゃん」
少女「…そうでした」
男娼「そういえば、君の名前知らないや。何て言うの?」
少女「…少女、です」
男娼「ふーん。しょうじょ」
男娼「…なんか地味な名前だね」
少女「…」ビキ
男娼「はい、次」
少女「…おいくつですか」
男娼「18。君は?」
少女「17です」
男娼「おお、一個違いなんだね。でも君、もっと子どもかと思ってたよ。小さいし」
少女「…」ビキィ
48 :
名無しさん@おーぷん :2015/05/17(日)18:24:32 ID:
KdM
男娼「次ー」
少女「…え、と」
男娼「…」
少女(やばい、こいつに興味がなさすぎて聞きたいことがない)
男娼「ちょっと、残念だな」
少女「は?」
男娼「君、少しは僕に興味もってくれてると思ってたのに」
少女「…はあ?」
男娼「だってそうでしょ。僕、容姿も良いし、気さくでしょう?」
男娼「薬だって店で一番多く買うし。君の目にもうすこし留まってると思ったんだけど」
少女「…」
男娼「違うの?」
少女(なん、か)
少女(急に、空気が変わった気が)
男娼「ねえ、どうなの」ズイ
少女「や、大切なお客様です…。けど、特別なその、感情はないです」
男娼「ふうん」
49 :
名無しさん@おーぷん :2015/05/17(日)18:33:47 ID:
KdM
男娼「つまり」
男娼「ただの金づるってこと?」
少女「ちっ違いますよ!」
男娼「…ふうん」
少女「だからですね、お客様に対して好きとか嫌いとか、別個な感情はないんですよ(大嘘だけど)」
少女「…皆さん全員、大事なんです。はい」
男娼「…」
男娼「あっそう」
少女(なんでちょっと不機嫌そうなんだよ。面倒くさ)
男娼「…」
男娼「…君、何処に住んでるの?」
少女「町外れです」
男娼「家族は?」
少女「弟と二人暮しです」
男娼「へえ。…親は?」
少女「…ええと、大分前に亡くなりました」
男娼「…」
少女「すみません、重い話で」
男娼「ううん。僕もそうだし」
少女「そうなん、ですか」
51 :
名無しさん@おーぷん :2015/05/17(日)18:40:10 ID:
KdM
男娼「僕の両親、借金あったみたいでさあ」
男娼「死んだらそれが分かって、僕がカタにされちゃったんだよねえ」
少女(…重い。こっちのほうが断然、重い。てか何笑ってんだ)
男娼「まあ野たれ死ぬよりマシだよね。やっぱ顔がいいと得だね」ケラケラ
少女「あ、はあ…」
男娼「結構稼げるんだよねえ。男娼って。他の仕事するのが馬鹿らしくなるくらい」
少女「…」
男娼「何、その顔。怒ってる?」
少女「いえ」
男娼「君、顔に出やすい人だね。面白い」
少女「怒って…ません」
男娼「そう?僕にはそう見えないけど」
少女「…」
男娼「…あ」
男娼「そういえば、身請けの返事を聞いてなかった」
少女「ま、また!?」
男娼「…」
少女「あ、う。またその話ですか」
男娼「うん。どう?僕の残りの人生、買ってよ。身請けして」ニコニコ
少女「…(だめだ、頭おかしいこいつ)」
53 :
名無しさん@おーぷん :2015/05/17(日)18:44:21 ID:
KdM
少女「重ね重ね申しますが、私にはそこまでの財力はありません」
男娼「大丈夫、一括じゃないもん」
少女「無理です」
男娼「そんなぁ。愛があれば、なんとでもなるよ」
少女「あ、い?」
男娼「うん」
少女「何を言ってるのか、さっぱりです」
男娼「僕のこと好きになればいいじゃない。で、身請けを」
少女「あの」
男娼「ん?」
少女「……あなたのお客さんに、頼めばいいじゃないですか」
男娼「…僕の?」クス
少女「私あなたと何の関係もないですし。身請けする義理ないですから」
少女「あなたを気に入ってる女性に買ってもらってください」
男娼「…」
少女(…あ)
男娼「君、わかってないなぁ」クスクス
少女「…」
男娼「もう、今日は帰っていいよ」スッ
54 :
名無しさん@おーぷん :2015/05/17(日)18:46:56 ID:
KdM
少女「ご、ごめんなさい」
男娼「何で謝るの?」
少女「私、あの。不快なことを」
男娼「ふかい?…何が?」
少女「だ、って」
男娼「…?良くわかんないや。いいよ、もう帰って」
少女「気分を悪くされたんですか?…私」
男娼「帰って、いいよ」
少女「…」
少女「はい…」
男娼「ん」
少女「…」
バタン
58 :
名無しさん@おーぷん :2015/05/17(日)19:30:28 ID:
KdM
少女(おわ、ったああ)
少女(はい終わった。でかい顧客もうひとり失ったー)
少女(昨日決めたばかりなのに。なんでこんなに馬鹿なんだ私)ヨロ
店主「お、少女ちゃん。ごくろうさ…」
少女「今までありがとうございました…」
店主「え」
少女「さようなら…」フラァ
店主「…な、なんだ?」
新人「あの子、どうしちゃったんすかね」
店主「わ、分からん。お前、何かしたか?」
新人「自分すか?何にもしてないっすよ」
店主「…死にそうだったな」
新人「…確かに」
少女「…あはは…」フラフラ
82 :
名無しさん@おーぷん :2015/05/23(土)11:03:41 ID:
vAP
ガチャ
少女「…ただいま」
弟「お、おねえちゃん!お帰りっ」ダッ
弟「何でこんなに遅いの!?心配したんだよっ」
少女「…」
弟「それに、おねえちゃん…。この薬、忘れて」
少女「ごめんね、弟」
弟「…え」
少女「私、だめな姉ちゃんだ」
弟「…おねえちゃん?」
少女「…」
弟「泣いてるの?」
少女「…」
弟「何かあったの?」ナデナデ
少女「…っ」
弟「僕になにか、できることがあったら…」
少女「…ふふ」
少女「なんでもなーい!ごめん、今すぐご飯作るねっ」バッ
弟「…」
83 :
名無しさん@おーぷん :2015/05/23(土)11:08:29 ID:
vAP
……
…
中年女「…ぐあ…」ゴロン
男娼「…」ムク
男娼「ふぁーあ…」
男娼「…」ボリボリ
中年女「…ふふ。男娼ー…」ムニャ
男娼「…」
ガラ
新人「あっ」
男娼「おっ」
新人「あの、お客さんは…?置いて出ていいんですか」
男娼「寝てるから別にいいんじゃない?」
新人「はあ…」
男娼「いびきうるさいし、こっちは休めたもんじゃないよね」
新人「…あの」
男娼「はい?」
新人「今日、何かあったんですか。その…薬売りの女の子と」
男娼「…」
84 :
名無しさん@おーぷん :2015/05/23(土)11:14:25 ID:
vAP
男娼「何か、って?」
新人「いえ、あの子今日死にそうな顔で店から出てきたから…」
男娼「へえ」
新人「何か、あなたとあったのかなあ、なんて」
男娼「…」
男娼「気になるの?」
新人「へ?」
男娼「あの子のこと」
新人「…や、いや。そういうわけ、では」
男娼「じゃあ別に知らなくていいでしょ」
新人「…」
男娼「あのねえ、君」
男娼「君は体を売る職をしてるのに、どうしてそう、色恋を捨て去れないのかなあ」
新人「い、いやだから俺は…」
男娼「人を好きになんかならない方がいいよ。不幸になるだけなんだよ」
男娼「…自分も、相手も」
87 :
名無しさん@おーぷん :2015/05/23(土)13:22:29 ID:
vAP
少女「…」カリ
少女(顧客二人失ったのはデカすぎるな)
少女(…明日は、足を伸ばして顧客開拓にでも行こうかな)
少女「…」ガリガリ
少女(…頭痛い)
少女「…はぁ」
少女(…男娼って)
少女(もうかるのかなー…)
弟「…」
少女「はぁあ…」ボフ
弟「……」
88 :
アホアホマン◆AHOAHOJgCc :2015/05/23(土)13:27:45 ID:S7m
おもろいな
89 :
名無しさん@おーぷん :2015/05/23(土)13:28:33 ID:
vAP
少女「んじゃ、今日も留守番よろしくね」
弟「…おねえちゃん、顔色悪いよ?」
少女「そうかな?」
弟「疲れてるんなら、休んだ方がいいよ…」
少女「…」
少女「弟、私疲れてなんかないよ。大丈夫!」
弟「…」ギュ
少女「だから、いい子で待ってるんだよ。そろそろ街に検診にも行けるし…」
少女「あ、そうだ!街で何かお土産も買おう!で、美味しいものも食べよう!」
弟「…でも」
少女「お姉ちゃんがんばるから!弟、ちゃんと何して遊ぶか決めとくんだよ!」
弟「おねえちゃん、待っ…」
バタン
弟「…」
少女「…はぁー」
少女(実は交通賃が足りなかったりするのだ)
少女(けど定期健診だからサボれないし。うん、今日も稼がなきゃ)
少女(私が頑張らないと。弟を守ってやらなきゃ)
少女「…」クラ
少女「…」
少女「気合入れろ、気合」ボソ
90 :
名無しさん@おーぷん :2015/05/23(土)13:31:31 ID:
vAP
弟「…」
弟「おねえちゃん、大丈夫かな…」
弟「…」
弟(僕、手伝えるのに)
弟(これじゃ、おねえちゃんのほうが体壊しちゃう)
弟(…僕が、足をひっぱるから)
弟「…」
カタ
弟(おねえちゃんが保存してた、傷薬…)
弟(これ、町で売れるよね?…僕でもできるよね)
弟「…」ギュ
弟(おねえちゃんを、助けなきゃ!)
ガタッ
91 :
名無しさん@おーぷん :2015/05/23(土)13:36:16 ID:
vAP
男娼「…あー」ゴロン
店主「おいお前、暇なら店先の掃除でも手伝わんか」
男娼「やだ」
店主「…」
男娼「そんなことしたら手が荒れちゃうじゃん。新米か見習いの子どもにでもさせなよ」
男娼「それに今日、僕お休みでしょ?何で働かなきゃいけないのさ」ゴロ
店主「ぐぬぬ…」
男娼「はぁーあ」
男娼(…あ、あの子に今日来てって言うの忘れてた。つまんないの)
男娼「…」ムク
店主「どこか行くのか?」
男娼「散歩」
店主「おい待て。行くんなら、小間使いと一緒に行け」
男娼「逃げやしないさ。僕がそんなことする気力があると思うの?」
店主「…」
男娼「昼には帰ってくる。じゃ」