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男娼「身請けしてくんない?」 少女「そんなお金ないですね」
Part21


450 :名無しさん@おーぷん :2015/05/31(日)10:15:35 ID:kbY
少女(お互い様、だったのか)
弟「…姉ちゃん?」
少女「…私さぁ」
弟「うん」
少女「やりたいこと、やっていいのかな」
弟「…?」
少女「私も、自分を大事に…やりたいことやっていいのかな」
弟「うん」
少女「わがまま言って、いいのかな」
弟「当たり前じゃない。姉ちゃんは今までいっぱい頑張ってきたんだもの」
少女「…」
弟「そうでしょ?」
少女「私、助けたい人がいるんだ」
弟「うん」
少女「…助けていい?」
弟「姉ちゃんの好きなように、しなよ」
少女「…」
少女「うん。ありがとう、あんたのお陰で目が覚めた」

451 :名無しさん@おーぷん :2015/05/31(日)10:18:46 ID:kbY
=次の日
弟「ふんふーん…」
看護婦「あら、弟くん、一人で準備してるの?」
弟「うん」
看護婦「お姉さんは?今日は退院の手伝いするって…」
弟「僕一人でできるもん」
看護婦「…一緒にいてあげればいいのに」
弟「…」クス
弟「姉ちゃんがね、やっと自分を大事にしてくれたんだ」
看護婦「え?」
弟「僕、すっごく嬉しいんだ」
看護婦「…」
弟「手のかかる姉ちゃんだったけど。…ね」
弟(…頑張れ。姉ちゃん)

452 :名無しさん@おーぷん :2015/05/31(日)10:29:38 ID:LKk
見てるよおおおお
ハッピーエンドにしてくれよおおおお

453 :名無しさん@おーぷん :2015/05/31(日)10:30:51 ID:AwF
え?もう終わっちゃうの?

454 :名無しさん@おーぷん :2015/05/31(日)10:40:39 ID:kbY
少女「はぁ、はぁ」
少女「ふー…」
「あー朝まで頑張りすぎたな」
「仕事行きたくねー」
「あの女郎、もう絶対指名しねーわ」
少女「…」
少女「…」パンッ
少女「よし」タタタ
青年「…はー」
少年「…うー」
青年「私なんだか、もう男娼から足洗いたくなってきた」
少年「俺もー…」
青年「あんたは借金返してからにしなさいよねー…」
「…あのっ」
青年「うおっ!!?」
少女「ごめんなさい、こんな朝早くにっ」

456 :名無しさん@おーぷん :2015/05/31(日)10:44:54 ID:kbY
青年「少女おおおー!久しぶりじゃないのー!」
少年「あれ?3,4日しか経ってない気がするけど?」
青年「どうしたのっ、忘れ物でもした?」
少女「男娼さんに…話があるんですっ」
青年「…あ」
少年「…えーと」
少女「彼、二階です?」
青年「ここには、いないわ」
少女「…え?」
少年「令嬢さんの家に…いるんだ」
少女「…!」
青年「昨日の夜からよ。身請け話をまとめに行ったみたい」
少女「…どこですか、それ!」
青年「ま、待って。あなた、行ってどうすんのよ」
少女「わがまま言いまくります!」
少年「えええ!?」
少女「私、もう絶対遠慮しません!弟に怒られるし!」
青年「ど、どういう心境の変化なの?!」

457 :名無しさん@おーぷん :2015/05/31(日)10:48:46 ID:kbY
少女「もう彼から逃げません。ちゃんと私がなんとかします。だから」
青年「…」
少年「そっかぁ」
少年「君は、彼が好きなんだね」
少女「うん」
少年「彼を助けてあげられるほど、好きなんだね?」
少女「うん」
青年「…」
少年「橋を渡って、二つ目の角を曲がった所。かなり大きいからすぐ分かるよ」
少女「ありがとう、少年っ」タッ
青年「…行っちゃった」
少年「あーあ」
青年「……」
少年「僕、結構あの子のこと狙ってたのになぁ」
青年「そうだったの…?」
少年「うん。…ってうわ、泣いてるのあんた!すっごい顔だよ!?」

458 :名無しさん@おーぷん :2015/05/31(日)10:52:42 ID:kbY
少女「はぁ、はぁ」タタタ
少女(この角、曲がって…)
少女(…うわぁ、本当にでかいわ)
少女「…」スゥ
少女(ん、でも待てよ。どうやって男娼呼び出そう)
少女「…」
少女(いや、やるしかない)
召使「…」
少女「あ、あのお」
召使「はい」
少女「私、男娼の楼の小間使いなんですけど…。彼を、呼んでくれませんか」
召使「今お嬢様と身請けのお話をしています。できません」
少女「…(ですよねぇー)」

459 :名無しさん@おーぷん :2015/05/31(日)10:56:40 ID:kbY
少女「でも、すっごく大事な話なんです。えーと」
少女「そ、そう!彼の楼の同僚が、急に苦しみだしちゃって」
少女「その人、女形みたいな男性なんですけどっ、死ぬ前に一目で良いから友人に会いたいって…!」
召使「…」
少女「も、もう息も絶え絶えなんです!お願いですから彼を会わせてやってください!」
召使「…少女」
少女「は、はい!?」
召使「ああ、合点がいきました。あなたが男娼さんにつきまとっていた方ですね」
少女「つ、つきまとってなんか…。今はそうかもしれないけど」
召使「お嬢様にあなただけは入れるな、追い払えといわれておりますので」
少女「わ、私少女なんかじゃないですよ」
召使「さっき自分で肯定ともとれること言ってましたよ」
少女「…」
召使「お引き取りください」

460 :名無しさん@おーぷん :2015/05/31(日)10:58:09 ID:mhj
  ∧_∧ え…
  ( ・ω・ )
  ( ∩∩ )

461 :名無しさん@おーぷん :2015/05/31(日)11:01:58 ID:kbY
少女「わ、分かりました。私は少女です、けど本当にあのオカマ死にそうで」
召使「接触させるなとも言われております」
少女「な、なんでよ!人の最後の願いを無下にする気?!」
召使「青年さんは朝うかがったときにはお元気そうでしたが」
少女「うっ…」
召使「そろそろ仕事に戻りたいのですが」
少女「…」
召使「もう諦めたらどうです。彼はお嬢様のものになるんですから」
少女「…」
少女「訂正して。物じゃない」
召使「…人を呼びますよ。いい加減にしてください」
少女「…お願いします。少しの間でいいんです、彼に会わせて」ザッ
召使「困ります。顔をあげてください」
少女「お願いします…!」
召使「いけません。私が怒られます」
少女「…」ギュ

462 :名無しさん@おーぷん :2015/05/31(日)11:04:35 ID:kbY
少女「…彼、もう」
少女「私が会わなきゃ、駄目になるかもしれないのに?」
召使「…」
召使「私は、お嬢様の幸せを第一に考えないといけないんです」
少女「…」
召使「…」
少女「そう」
召使「ええ」
少女「分かった。…ごめんなさい、困らせちゃって」
召使「…」
少女「…」フラ
少女「…」
召使「さようなら」

463 :名無しさん@おーぷん :2015/05/31(日)11:09:08 ID:kbY
男娼「…」
令嬢「さ、ここにあなたの署名をして」
令嬢「これで晴れてあなたは自由の身だわよ」
男娼「ありがとうございます」
令嬢「色々邪魔はあったけど、私達、一つになれるのね。やっと」
男娼「…」
男娼(これで、いいんだろうなあ)
男娼(僕は…いや。あれだけ彼女と過ごせただけで、十分な幸せだったのかもしれない)
「…お願いします!」
男娼「…」ピタ
令嬢「男娼…?」
男娼(…少女…?)
令嬢「どうしたの、窓の外なんか眺めて。早く書いてしまったら?」
男娼「…」
「…分かりました」
男娼(…少女!)
男娼「…あ」
令嬢「どうしたの、ねえ」
男娼「…いか、ないで…」
令嬢「え…」

464 :名無しさん@おーぷん :2015/05/31(日)11:12:18 ID:kbY
もっと自分を大事にして
男娼「…嫌」
令嬢「ちょっと、座りなさいよ。ねえ」
男娼「…行かないで。もう、離れないで」
令嬢「ちょっと…!」
男娼「…少女…!」
令嬢「!」
男娼「ごめんなさい、お嬢。…僕、この書類に名前を書けません」
令嬢「ど、どうして!何言ってるのよ!」
男娼「僕、僕。…大事な物を見つけてしまったから」
男娼「もう諦めたくないから…」
令嬢「…駄目よ!許さないっ!あなたは私のものになるの!私のっ!」
男娼「…」クル
令嬢「戻りなさい!男娼ぉっ!」

465 :名無しさん@おーぷん :2015/05/31(日)11:15:25 ID:kbY
男娼「…はぁ」
令嬢「店がどうなっても知らないわよ!あなた、路頭に迷いたいの!?」
男娼「…」
令嬢「私といれば幸せになれるのよ!?何でもできるのよ!?」
男娼「…お嬢」
令嬢「あんな、あんな貧相な小娘と一緒になったって、何も…!!」
男娼「あなたはもっと大切なことを知るべきです」
令嬢「…!」
男娼「ごめんなさい。急がないと」
令嬢「…っ、男娼ごときが!卑しい男のくせに!私を拒むな!!」
男娼「…」
男娼「はぁ?」
令嬢「…!」ビク

466 :名無しさん@おーぷん :2015/05/31(日)11:19:53 ID:kbY
召使「お嬢様、いかがしましたか」
令嬢「!召使、そいつ捕まえなさい!外に出しちゃ駄目!」
男娼「もー…」ガリガリ
令嬢「男娼、今なら許してあげるから!座って、書きなさい!」
男娼「…う、っさいなぁあああ!!」ダン
令嬢「!」
男娼「もうぎゃんぎゃんうるさいんだよ、小娘っ!親の七光りでよくそんな偉そうにできるもんだよ!!」
男娼「お前といると蕁麻疹が出そうだ!僕、こういう恵まれて我儘な女、だいっきらいなんだよっ!!」
令嬢「…だ」
男娼「何驚いてんの?これが僕だよ?あはは、失望したかなぁ、お嬢様?」
召使「…」
男娼「…あー、もうだるい。お前に身請けされるくらいなら、死んでやる」
男娼「どいて」
召使「…」フルフル
男娼「あんたもさあ、自分のお嬢さんの道徳性、考えた方が良いよ」ドン
召使「…っ」

467 :名無しさん@おーぷん :2015/05/31(日)11:24:12 ID:kbY
男娼「じゃあね、もっと上品な男娼ひっかければ」
召使「…」
召使「彼女、西へ…。色町のはずれのほうへ行きました」
男娼「ん」
令嬢「あ、あんたっ…」
召使「…が、」
召使「…頑張ってください…」
令嬢「……!」
男娼「あはは、君、恰好良いなぁ」
男娼「ありがとっ、ばいばい!」タッ
バタン
令嬢「…」ヘナ
召使「申し訳ありません、お嬢様」
令嬢「…彼…」
召使「しかし、彼と一緒になってもお嬢様は幸せにはなれないんですよ」
召使「…気づいていたでしょう?」
令嬢「…」
令嬢「そう、ね…」

468 :名無しさん@おーぷん :2015/05/31(日)11:27:30 ID:kbY
男娼「はぁ、はぁ」タタタ
男娼(何処に、行ったんだろ)
男娼(全く、わざわざ会いに来たんなら、逃げ出すなっての)
男娼「…っ」
男娼(…ここら、結構人通りも少ないのに…)
男娼「少女おー」
男娼「何処だよ、なあー」
男娼(…会いたい)
男娼「少女ー!」
男娼(今すぐ、会って、話して。…少女…)
男娼「少…」
ジャリ
「…」
男娼「…あ」
少女「…」
男娼「…あはは、君…。何やってるの。そんなとこに座り込んで」

469 :名無しさん@おーぷん :2015/05/31(日)11:30:37 ID:kbY
少女「…男娼さん」
男娼「君…下駄のまま出てきたの。足、血が出てる」
少女「う…」
男娼「ほら、立って」
少女「…」
男娼「よいしょ」グイ
少女「…お腹、空いた」
男娼「馬鹿だな…。もー」
少女「もう歩けない…」
男娼「あはは、…情けないのー」
少女「うう…」
男娼「どこかお店に入ろう。君、ちょっと休んだ方がいい」
少女「ごめんなさい…」
男娼「いいんだ。謝らないで」

470 :名無しさん@おーぷん :2015/05/31(日)11:31:06 ID:VGX
もうこの二人かわいすぎる