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男娼「身請けしてくんない?」 少女「そんなお金ないですね」
Part15


322 :名無しさん@おーぷん :2015/05/30(土)16:58:12 ID:WsG
男娼「少女」グイ
少女「ひゃ…」
男娼「何でそんなにおどおどしてるの?らしくないね」
少女「あ、あの。廊下です、廊下ですよここ」
男娼「何がいけないの?君と手繋いでるだけなのに」
少女「近い、です。あの。もう行かなきゃ」
男娼「…」
少女「…あ、の…」
男娼「少女、僕」ギュウ
少女「…っ」
「少女ー!札もってきてー!遊びましょうよー」
少女「あ、行かなきゃ。…青年さんが」ドン
男娼「えー」
少女「が、頑張ってください」ペコ
男娼「…頑張って欲しいの?」
少女「…」
少女「も、勿論です」
男娼「…そう」

323 :名無しさん@おーぷん :2015/05/30(土)17:01:28 ID:WsG
少年「…」
青年「…」
少女「…」
青年「あの、あんたの番だけど」
少女「っ!?」
青年「何ぼーっとしてんのよ…。目が完全におかしいわよ」
少年「おかしいよねー。さっきからチラチラ扉の方見てるし」
少女「ご、ごめんなさい。私の番ですね」バララ
青年「札…落としてるわよ」
少女「ああ…」
少年「ええ、本当にどうしちゃったの少女ー?変なのー」
少女「何でもない、です。ちょっと眠いのかな、あはは」
青年「…」
青年「気になるわよねぇ…」
少年「ねぇ…」
少女「だっから、何がっ!」バン

325 :名無しさん@おーぷん :2015/05/30(土)17:47:54 ID:WsG
少女「何なんですか皆してっ」
少年「まあまあ落ち着いて」
青年「悪かったわよ。…あら」
少年「下が騒がしいねー。お客入ったかな」
少女「…」
青年「…少女」
少女「…喉、渇きませんか?私何か持ってきますよ」
青年「オススメしないわよ」
少女「え…」
青年「見てどうなるの?あなたはどうしたいの?」
少女「……」
少年「俺、ウーロン茶がいいー」
青年「黙ってろ殺すわよ」ギッ
少年「え、どうしてぇ…」
少女「…」ギュ

326 :名無しさん@おーぷん :2015/05/30(土)17:50:46 ID:WsG
青年「まぁ、強く止めはしないけど」パラ
少年「ウーロン…」
青年「おい、餓鬼」
少年「ひぇ」
少女「…単純に、好奇心ですよ」
青年「あら、そう」
少女「…はい」
青年「じゃあ私、お酒飲みたいわ。何でも良いから持ってきて」
少女「はい」キィ
バタン
青年「…青いわねー」
少年「え、なに?なになにー?そういうことー?」
青年「…あんた、そんなんだから全然客つかないのよ」コツン
少年「ええぇー」

327 :名無しさん@おーぷん :2015/05/30(土)17:54:56 ID:WsG
少女「…」トントン
「お客様をお通ししろー!」
少女(…女の人、いっぱいだ)
少女「…」
少女(何、探してるんだろう)
少女(馬鹿らしい)
少女(えっと、お酒と。…緑茶だったっけ?)カチャ
少女(早く、もって行こう…。店先を避けて、階段に…)クル
「男娼っ…」
少女「…」ピタ
「いらっしゃいませ、お嬢」
少女「…」カチャ
少女(何で)
令嬢「会いたかった…!」
男娼「僕もです、あなたをずっと待っていました」
少女(…)
ガシャン

328 :名無しさん@おーぷん :2015/05/30(土)17:58:53 ID:WsG
青年「…と。危ない、落とすとこだったじゃない」ヒョイ
少女「…あ」
青年「ほら、何ぼうっとしてるのよ。行きましょう」グイ
少女「…」
令嬢「早く行きましょう。あのね、話したいことがあるのよ」
男娼「ええ」
少女「…」
少女「だん、」
青年「…っ」バッ
少女「ん、ぐ。…っ」
青年「声をかけてどうするのよ。これが、彼なの。…彼の仕事なのよ」
少女「は、…っ」ギュ
青年「…しょうがない子ね」
少女(彼の、仕事)
少女(あの笑顔も、絡めた腕も、言うことも)
少女(あれが、仕事)
青年「少女」
少女「…馬鹿ですね、私。…行きましょう」

329 :名無しさん@おーぷん :2015/05/30(土)18:02:45 ID:WsG
少年「あ、お帰りー!ねえねえ、次はさあ、盤の遊びしない?俺飽きちゃったー」
青年「あんたねぇー…」
少女「…はい」
少年「ウーロン茶じゃない…」
少女「…」
少年「少女ぉ、どうしたの?どうして泣きそうなの?」
青年「阿呆」パシン
少年「いだっ、何だよー!」
青年「少女、私達部屋に戻るわね。さようなら」
少女「…」コク
少年「えぇー!ちょっと、オカマさんどうしてー!」
青年「ぶち転がすぞてめぇ!いいから来い!」
バタン
少女「…」ボフ
少女(なーに、がしたいんだろ。…私)
少女「はぁ…あ」

330 :名無しさん@おーぷん :2015/05/30(土)18:07:45 ID:WsG
男娼「…は?」
令嬢「だから、身請けよ」
男娼「…あなたが?」
令嬢「そう!お父様を一生懸命説得したのよ。待たせてごめんなさい」
男娼「…」
令嬢「男娼…?」
男娼「…そんな。…僕には、勿体無い、ことです」
令嬢「何を言ってるの。私達、想い合ってるじゃない」
令嬢「決めたの。あなたの面倒は私が一生見るわ。勿体無い事なんかないわ」
男娼「……」
令嬢「もう日取りも決まってるの!店主さんに話を通しておいたから」
男娼「そ、う」
令嬢「あとは待つだけなのよ。良かったわね」
男娼「…」
令嬢「ね、男娼。…嬉しいわよね?」
男娼「は…」
令嬢「男娼…」
男娼「…っ」
グイ
令嬢「…きゃっ!」
男娼「はぁ、はぁっ…!」

331 :名無しさん@おーぷん :2015/05/30(土)18:10:33 ID:WsG
男娼「…僕、は」
令嬢「男娼…?なぁに、もうなの?」クス
ここが今日からお前の家だ
男娼「…僕」
食うためには働かなきゃなんねーんだ、分かるよなぁ?
男娼「…」
お前なんか…いなければ
令嬢「あっ、男娼っ…やっ…」
お前なんか
男娼「はぁ、はあっ…!」
モノのくせに
男娼「あ、…ああああっ…!」

332 :名無しさん@おーぷん :2015/05/30(土)18:14:09 ID:WsG
コンコン
少女「…」
少女「…誰」ムク
「少女…?」
少女「は、はい」
青年「あ、寝てたの。起こしてごめんなさい」
少女「いえ。…寝てたっていうか、横になってただけなんで」
青年「…あの、入ってもいいかしら?」
少女「どうぞ」
青年「電気、つけるわね」パチ
少女「…」
青年「あんた、夜ご飯は食べたの?」
少女「いえ。…いりません」
青年「そう」
少女「…」
青年「座っても良いかしら?」
少女「どうぞ」
青年「よい、しょ」
青年「…ちょっと、話がしたくて」
少女「…」

333 :名無しさん@おーぷん :2015/05/30(土)18:19:10 ID:WsG
少女「話、ですか」
青年「そう。…あなたのこと、心配で」
少女「…何言ってるんですか。私は、なにも」
青年「私にはそうは思えないわ。あなたがどんな感情を持ってるか、手に取るように分かるもの。…言わないけど」
少女「…」
青年「お節介なら、追い払ってくれてもかまわないわ」
少女「…いて。ここにいて」
青年「ええ。いいわよ」
少女「…」
少女「男娼のこと…教えてください」
青年「知って、どうするのかしら」
少女「わかんないです」
青年「…」
少女「けど、彼は。…私、彼の事知りたいです。それだけなんです」
青年「あんたが失望するような内容かもしれないのよ?」
少女「失望、もなにも」
少女「私は、最初から彼に期待なんかしてないです…」
青年「…知りたいの?」
少女「はい」
青年「…じゃあ、私の知ってる範囲で話すわ」

334 :名無しさん@おーぷん :2015/05/30(土)18:25:48 ID:WsG
青年「…私がこの楼に入ったの、16歳くらいの頃なんだけどさ」
少女「はい」
青年「同じ頃くらいに、彼も入ってきたわ。歳は…12くらいだったかしらね」
少女「…」
青年「あいつさあ、他の芋臭い新人よりもずば抜けて可愛かったのよねえ」
青年「けど、やっぱ…最初からどこか顔つきに冷たいものがあったわ」
少女「そう…」
青年「私は自分の意思でこの商売を選んだんだけど、彼は確実に何か負ってる、って思ったわ」
青年「…なつかしいな」
青年「これでも仲、結構良かったのよ」
少女「えっ…そうなんですか。話してるところ、見たことない」
青年「私に限ったことじゃないわよお。あいつ、誰とも話さないわ」
少女「へえ…」
青年「ま、時間はあるし、ゆっくり話すわ。…いい?」
少女「はい。お願いします」
青年「…彼は…」
……


335 :名無しさん@おーぷん :2015/05/30(土)18:30:43 ID:WsG
…6年前
青年「…よろしくお願いします」ペコ
先輩男娼「おう、じゃあ今日は着付けの訓練なー」
青年「はいっ」
青年(…うーん、前の仕事が合わなくてやめて)
青年(一晩でがっぽり稼げる遊郭を選んだけど…)
青年(案外簡単じゃん。俺に合ってるかも)
ガラ
店主「おい、帰ったぞー」
青年「あ、お帰りなさいー」
店主「おお青年、早速稽古受けてんのか。熱心なこった」
青年「…あれ」
店主「ん。ああこれか」
男娼「…」
青年「だれそれ」
店主「新しい人材だよ。引っこ抜いてきた」

337 :名無しさん@おーぷん :2015/05/30(土)18:34:27 ID:WsG
青年「え、結構小さいのな…。よお」
男娼「…」ジ
青年(…汚れてるけど、綺麗な顔してんな。こりゃ、才能ありそうだ)
店主「おまえ入って三週間のくせに先輩風吹かすなよ」ペシ
青年「あだぁ。いいじゃん、別に」
青年「なああんた、名前は?」
男娼「…」
男娼「僕。…男娼」
青年「そっか。俺は青年!お前と一緒で、新参だ。よろしくなー」パッ
男娼「…」
男娼「うん」キュ
店主「青年、そいつ洗ってきてくれないか?あと新しい服もやってくれ」
青年「わかったー」

338 :名無しさん@おーぷん :2015/05/30(土)18:37:13 ID:WsG
男娼「…」
青年「ここが一応公衆の風呂だ。けど、売れっ子になると部屋貰えるんだ」
青年「部屋にはお風呂とかベッドとか色々ついてんだぜー」
男娼「…青年は、部屋あるの?」
青年「ないよ!俺三週間前に入ったばっかなんだ。ほら、脱いで」
男娼「…」バッ
青年「お、何」
男娼「自分でできるよ」ヌギ
青年「あ、そう」
青年「…ん」
男娼「…」
青年「お前、その肩の傷どうしたんだ?割と新しいけど」
男娼「転んだ」
青年「ふうん…。あ、お湯だすぞー」キュ