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男娼「身請けしてくんない?」 少女「そんなお金ないですね」
Part14


306 :名無しさん@おーぷん :2015/05/30(土)15:49:29 ID:WsG
少年「早く来て、消し炭になっちゃう!」
少女「信じられない…。すみません、ちょっと行ってきても」
男娼「だめ」
少年「ええ?!」
男娼「早くおいで、少女」グイ
少女「ちょ、」
バタン
少女「…」
男娼「…」
少女「お、怒ってますか」
男娼「何に対して?」
少女「ごめんなさい、勝手に…。あまりに暇だったんで、厨房のお手伝いを」
男娼「ふうん」ギシ
少女「…」
男娼「…いいんじゃない、別に」フイ
男娼「君が僕の不在のときには、何しても良いって言ってるし」

307 :名無しさん@おーぷん :2015/05/30(土)15:57:55 ID:WsG
少女(…急に機嫌悪くなってるし)
男娼「なにやってんの、座りなよ」
少女「は、はい」
男娼「…」
少女(帰ってきたときから、なんとなく嫌な雰囲気だったもんな)
少女(何か、あったのかな)
男娼「…何、見てるの」
少女「…」
少女「札遊び、しましょう」ニコ
男娼「…」
少女「男娼さん何が出来ます?私も結構札には自身あるんですよ」
男娼「そう、だね」
少女「遊びましょう!ねっ」
男娼「…」クス
男娼「…君にはかなわないな」
少女「何か、言いましたか?」
男娼「ううん。早く札切って!僕君なんかに負けないから」
少女「望むところです」

308 :名無しさん@おーぷん :2015/05/30(土)16:01:04 ID:WsG
少女「店、開いたみたいですね」
男娼「そうみたい。他が働いてるのにのんびりできるって、いい気分だね」
少女「な、なんですかそれ…」
男娼「…はい、あがり」
少女「えっ!?」
男娼「大したことないね、君。これで二勝だ」
少女「そ、そんなはずは…」
男娼「…」ニヤニヤ
少女「こ、今度は別の勝負しましょう!ねっ」
男娼「はいはい」
ガタ
少女「…」ピク
男娼「隣の部屋に客、入ったみたいだね」
少女「えーと、札、切りますね」パラ
男娼「ん」

309 :名無しさん@おーぷん :2015/05/30(土)16:05:52 ID:WsG
少女「…」
男娼「はい、あがり」
少女「ううぅう…」
男娼「君、顔に出やすいんだよねー。どこにどの札があるかすぐ分かっちゃう」
少女「…そうですか」
男娼「ちょっと休憩していい」
少女「私も、ちょっと疲れたなって思ってました」
男娼「…そう」
少女「ふう…」ノビ
男娼「…少女」
少女「はい」
男娼「膝の上、来て」
少女「え」
男娼「早く」ポンポン
少女「…」
男娼「はーやーく」
少女「…重いですよ」
男娼「全然平気だから。座って」
少女「…」ギシ
男娼「うわ、本当だ」
少女「降りますっ」
男娼「冗談だってば!寧ろ君、もう少し太ったほうがいいよ。肉感がもう少し欲しい」

310 :名無しさん@おーぷん :2015/05/30(土)16:08:56 ID:WsG
少女「…うー」
男娼「恥ずかしい?」
少女「か、なり」
男娼「本当、君何もやったことないんだね」
少女「そりゃ…そうですよ。けど、負い目だと思ったことないです」
男娼「ふうん?その歳だったら皆興味あるんじゃない?」
少女「私は、私ですし。気にしません」
男娼「…」
ギュ
少女「う、わ」
男娼「…君のそういうところ、好きだな」
少女「…どうも」
男娼「僕もそういう風になれたら、いいのに」
少女「なれば、いいと思いますよ」
男娼「…くす。なれるわけないさ。僕は、ずっとこのままだ」
少女「そんなことないですよ」
男娼「…」ギュ

311 :名無しさん@おーぷん :2015/05/30(土)16:14:26 ID:WsG
少女「…」
男娼「少女って、良い匂いだ」
少女「そ、そうですか」
男娼「僕、女の人の匂いって苦手だった」
少女「…」
男娼「女って…白粉と、香水と、汗の匂い。どんなに隠してもさ、するんだよ。いやらしい匂いが」
男娼「僕の関わってきた女って、全員そうだった。…君以外」
少女「そ、うですか」
男娼「僕、君のこと好き」
少女「…知ってます」
男娼「おや。珍しく強気なんだね」
少女「なんかもう、なれてきました」
男娼「…君がさ」スル
少女「…」ビク
男娼「初めて僕に薬売ってくれたときのこと、覚えてる?」
少女「…えっと」
男娼「君、真面目な態度だったけど、微かにだるそうでさ」

312 :名無しさん@おーぷん :2015/05/30(土)16:19:37 ID:WsG
男娼「僕、最初は色気のない女だなあ、って思ったよ。仕事ばっかで擦れた女だって」
少女「それ、間違ってないですよ」
男娼「そだね。…でもさ、僕に薬を手渡す時」
男娼「一瞬…君、僕の手を見てね」スル
少女「…」
男娼「きっとこう思ったと思うんだ。…汚い手だ、って」
少女「そん、な」
男娼「図星でしょう」
少女「…」
男娼「でも、君はお釣りをしっかり手を握って渡してくれた。それで、目を見てこう言ってくれた」
男娼「お大事に、って」
少女「…」
男娼「その時さ、なんとなく、だけど。…僕のこと、ごたごたした感情抜きに」
男娼「純粋に…可哀相な人だ、って思ってくれたんだって…感じた」
少女「…思いました。あなたが、なんとなく可哀相だった」
少女「でもそう思うのって、あなたにとって侮辱でしかないんじゃないですか?」
男娼「侮辱?…ふふ」

313 :名無しさん@おーぷん :2015/05/30(土)16:25:59 ID:WsG
男娼「僕は確かに、可哀相だって言われるの嫌いだよ」
少女「ほら、やっぱり」
男娼「でも君の思った可哀相、は何か違うんだよね」
男娼「目で…分かった。哀れみでも、何でもないんだ。僕をただ単に、不憫に思ってくれてる気がした」
少女「…」
男娼「あと頼んでない腰の痛み止めもこっそり付けてくれたよねえ」
少女「え、バレてたんですか」
男娼「君馬鹿だよねー。自分の生活が苦しいくせに、あんなことするんだもん」
少女「…」
男娼「そんなまっすぐな感情を向けられたこと、なかったんだ」
少女「そうですか」
男娼「だから、君は…」
少女「…」
男娼「…」ナデ
少女「綺麗ですね」
男娼「ん?」
少女「手。…今は、綺麗に見えますよ」
男娼「…」
少女「一生懸命働く手だと思います。あなたに汚い所なんて、一つもないです」
男娼「…嬉しいな」
少女「事実を述べたまでです」
男娼「あはは…。可愛くないなあ、君」ギュ

314 :名無しさん@おーぷん :2015/05/30(土)16:31:04 ID:WsG
少女(…少しずつだけど)
少女(この人が、近くなってきた気がする)
男娼「…よし」
少女(距離をとる必要も、もう感じない)
男娼「寝るか」ボフン
少女「は」
男娼「おやすみ少女。売れっ子と添い寝できるなんて、君幸運だね」
少女「ちょ、ちょっと。それはマズイ…」
男娼「何もマズくないよ。僕はね」
男娼「君は何か…、他意があるの?寝るだけなのに」
少女「あるわけないですよね」
男娼「んじゃ、寝よう。おやすみー」
少女「もう…」
少女(寝苦しいんだけど)
男娼「…すぅ」
少女(寝付くの早)
少女「…」ナデ
少女(ああ)
少女(この感じ、そうだ。…この人、弟に似てるんだ。…脆いんだ)

315 :名無しさん@おーぷん :2015/05/30(土)16:33:57 ID:WsG
少女「…」ナデ
男娼「ん…」
少女(子どももたいな寝顔)
男娼「…」
少女(…この人って)
少女(前に、なにがあったのかな)
男娼「…」
少女(それを知って、どうにかなるものでもないけど)
少女(段々、知りたいと思い始める私がいる)
男娼「ん。…すぅ」
少女「…」クス
少女「おやすみ、男娼」
……


317 :名無しさん@おーぷん :2015/05/30(土)16:40:01 ID:WsG
店主「男娼、ちょっと来い」
男娼「やだ」
店主「やだ、じゃねーんだよ!話がある」
男娼「もう君、見て分からないの!?今大事な所なんだよっ」
少女「店主さん、どうぞ連れて行ってください」
男娼「負けそうだからってそういう言い方はよくないなあ」
少女「関係ないですよ。行ってください」
男娼「…札に細工しないでよね!このままだったら後二手で勝てるんだから」
少女「はいはい」
店主「…仲がいいこったな」
男娼「んで、何」
店主「仕事だ。予約が入った」
男娼「そりゃまた、珍しい。高いのに」
店主「ってことでもう早めに準備しておけ。遊びは終了」
男娼「えぇーー」

318 :名無しさん@おーぷん :2015/05/30(土)16:43:14 ID:WsG
男娼「予約とか聞いてないよぉー。誰だよぉ」
少女「…」
店主「令嬢さんだ。早くしろ」
少女「…」ピク
男娼「…げ。あのお花畑娘か」
店主「いいか、夕方から朝までの予約だ!失礼のないよう接客しろよ」
男娼「…」チラ
少女「!」バッ
少女(平常心。…平常心)
男娼「はぁ」
男娼「分かったよ…。少女、札はもういい。片付けて」
少女「…」キュ
男娼「少女?」
少女「あっ、は、はいっ」
男娼「…どうかしたの」
少女「いえ、別に。なんでも」

319 :名無しさん@おーぷん :2015/05/30(土)16:47:20 ID:WsG
少女「令嬢、って」トン
少年「うんー?」
少女「どんな人、なの」
少年「ははあ、男娼にぞっこんなお嬢様か」
少女「…そうなんだー」
少年「なあに、気になるのぉ?」ニヤニヤ
少女「…青年さん見たいな顔しないでよ。答えてくれないんなら、もういい」ジュッ
少年「ああ、言う!言うからこっちに背向けないでよ!」
少年「令嬢さんは、そりゃもう美人でお金持ちでー。男娼の憧れっていうか、是非抱えたいお客さんだよ!」
少女「ふうん」
少年「前は毎日のように男娼を買いにきてたけど、最近はぱったりだったんだよねー」
少年「何かあったのかなあ。…あ、まさか身請けの話がまとまったとか?」
少女「えっ」グシャ
少年「…少女!卵がー!」
少女「あ、ご、ごめん」

320 :名無しさん@おーぷん :2015/05/30(土)16:51:06 ID:WsG
少女(…身請け、される?)
青年「うわ、っと!」ドン
少女「ひゃ、ごめんなさい!」
青年「あら少女…って、ついに掃除まで始めたのね。本当に小間使いみたい」
少女「ひ、暇ですし。何もしないとうずうずしちゃうんです」
青年「ふうん…」
少女「青年さん、準備しなくていいんですか?もう開きますよ」
青年「ああ、私今日は休みなのー」
少女「そうなんですか」
青年「うん。ひさびさに布団広く使えるわー。いい気分」
少女「…」
少女(……布団。二人で使う。…)
青年「どうかした?」
少女「!」
少女「何もっ。なんっにもありません!」
青年「そお?…ならいいけど」

321 :名無しさん@おーぷん :2015/05/30(土)16:53:55 ID:WsG
少女「…」ソワソワ
ガチャ
少女「!」
男娼「うわっ、何君っ。びっくりしたっ」
少女「あ、う。その、掃除を」
男娼「もういいよ。十分綺麗だし、もう店が開くからお休みよ」
少女「…」
少女(…仕事する前の男娼さん、初めて見た、かも)
少女(こんな…綺麗、なんだ)
男娼「何?見とれてるの?」
少女「は、はあ?!」
男娼「…そんなに否定しなくてもいいじゃん」
少女「す、すみません。恰好いいです、よ。…お仕事頑張ってください」
男娼「…」
少女「で、では」クル
男娼「…」ニヤ